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受刑者用の作業衣の試行はじまる

 矯正局は、受刑者が着る作業衣の色を35年ぶりに衣替えし、若草色に変えると発表した。これは97年の「矯正保護審議会」の審議を踏まえて局内で検討されてきたもの。現在は、房内で着る舎房衣と同じ灰色だが、「暗くてみじめ」とのイメージがあることから、作業衣の色を変えて気分転換を図ることにした。新型は肌触りがよく、ズボンもひも式からテープで留める方式に替わった。既に水戸少年刑務所で試行しており、今秋から東京、仙台、札幌の各矯正管区内施設において試行し、他の管区へ拡大していく方針。2001年度末までに全国で約39000人分の作業衣が行き渡ることをめざす。今回は男性用だが、女性用についても今後検討する、という。小さな改善ではあるが、矯正局の積極性は歓迎したい。

アムネスティがブラジルの調査報告書を公表

 アムネスティ・インターナショナルは6月23日、ブラジル国内の536ヶ所の刑務所や、数千の警察署の拘置施設などに計17万人が収監されており、そのうちの33ヶ所の実態調査をまとめた報告書を公表した。報告書によると、電気ショックや逆さづりなどの拷問や虐待が一部で横行、死者が出ている、南東部エスピリトサント州の刑務所では、定員16人の房に92人が詰め込まれ、トイレとシャワーは一つしかない過剰拘禁状態にある、被拘禁者が劣悪な環境に反発して暴動を起こした場合、警察による発砲などで多数の死者が出ている、として「刑務所制度が危機的な状況にある」と指摘している。

大阪刑務所の医療体制について弁護士会が要望

 大阪弁護士会は6月24日、医師による診察が遅れ、指のはれが悪化したなどとして元受刑者の男性が申し立てた人権救済について、大阪刑務所(九重信行所長)に診療制度の改善を求める要望書を提出した。男性は服役中の1997年5月、左手人さし指の先のはれと痛みについて医師の診療を求めたが、准看護士の資格を持つ保健助手の消毒だけで、同年8月に医師が初めて診察、良性腫瘍(しゅよう)とされ、切除手術を受けた。大阪弁護士会は調査の結果、医療を受ける権利を侵害する恐れがあったと判断、「約2000人の受刑者を6人ほどの保健助手が巡回しているが、客観的に異常がある場合は速やかに常勤医師らの診療を実施すること」などとしている。

大分刑務所、また不祥事?

 大分刑務所(井戸川重利所長)で今年3月17日午前、女性の看守部長が、収容者から図書貸し出し用カードを回収中、独居房の物品出し入れ口に手を差し出した際、勾留中の女性被告に図書カードで手をたたかれたことに腹を立て、房内に入り、女性の肩を手で三回突いて、しりもちをつかせる暴行をふるったことが、6月29日当局の発表により明らかになった。同所では昨年六月、看守が男性受刑者ともみ合いになり、軽傷を負わせていたことが発覚。同刑務所の山崎昌二総務部長は「立て続けに不祥事が続き、深く反省している。職員研修を行い二度と起こらないように指導する」と話している。現在、同所から告発を受けた大分地検が、特別公務員暴行陵虐容疑で捜査を進めている。大分刑の一連の不祥事は、他施設における日常的な暴行と比較して軽微であるにもかかわらず、立て続けに明らかにされるなど、なんらかの政治的な意図をも疑われるところであり経過を注視していきたい。

最高裁、安島さん父母の国賠訴訟を棄却

 1994年12月に死刑執行された安島幸雄さん(当時44歳)と養子縁組した養父母が「面会や手紙のやり取りを禁止されたのは違憲」と主張し、国家賠償を求めた訴訟(ニュース第2号参照)で、最高裁第2小法廷(北川弘治裁判長)は7月16日、養父母が監獄廃止運動に関与していたため「面会を認めると死刑囚の心情の安定や規律の維持などに支障が出るおそれもあり、東京拘置所長が面会を許可しなかったことには合理的な根拠があり、裁量権の逸脱はない」として請求を棄却した1、2審の判断を、「是認でき、国際人権規約違反などにも当たらない」とする不当な判決を下した。

岡山刑務所・面会者死傷事件で略式起訴

 今年3月25日午前11時頃、勾留中の知人に面会するため街宣車で岡山刑務所に訪れた団体幹部の男性が、街宣車を職員用駐車場に止めたため刑務官ともみ合いとなり、刑務官らが2人を刑務所庁舎内に連行し「制圧」した。その際、6人の刑務官が団体代表を当直室の畳に、7人の刑務官が同構成員を床に、十数分間うつぶせに「制圧」し続け、団体代表が胸部圧迫により窒息死、構成員は一時意識不明の重体となった。岡山区検は、7月29日、現場を指揮した渡部征忠所長と竹板信夫前首席矯正処遇官、柴崎正文前統括矯正処遇官は、男性を取り押さえた際、けがをしないよう注意を払うなどの刑務官への監督が不十分だったとして、業務上過失致死傷罪で略式起訴する一方、刑務官13人による制圧行為は「庁舎管理権」に基づく正当な行為であったとして嫌疑不十分で不起訴処分にした。また広島矯正管区は7月29日、渡部所長を停職2カ月、ほか2名を停職1カ月とするなど、同所職員計18人を処分した。また法務省は矯正局長ら2名を注意処分とした。さらに7月30日、法務省は渡部所長から出ていた辞職願を受理、後任に繁永正博・仙台矯正管区第二部長を発令した。「制圧」行為によって現実に人が死亡しているにもかかわらず、略式起訴によって処理されたことには大きな疑問があり、同事件の今後に注目していきたい。

新潟刑務所の出廷不許可処分に対して勧告

 1996年3月、当時新潟刑務所拘置区に勾留中の被拘禁者が、賃貸マンションの大家から部屋の明け渡しを求める民事訴訟を起こされ、当時の所長に対し、第1回口頭弁論への出廷願を文書で提出したにもかかわらず、所長は「書面での陳述が可能」などとして、出廷を認めず、同訴訟で96年5月に敗訴した。このため96年4月、新潟県弁護士会に人権救済の申し立てを行った。同弁護士会(渡辺隆夫会長)は8月2日、「憲法32条は『何人も裁判所において裁判を受ける権利を奪われない』と定め、この保障は(刑事事件で)勾留中の被告にも及ぶ」として、「権利を不当に妨げないよう実行性のある措置をとること」などとする勧告を行った。同刑務所の磯貝和浩総務部長は「出廷への必要性をその都度考え、所長の裁量で判断している。今回のケースで人権侵害があったとは考えていない」などと話しているという。

アメリカ合州国の被拘禁者人口が過去最高に

 アメリカ合州国司法省は8月15日、98年末時点で、国内の刑務所・拘置所の収容者総数が前年より約4.6%増え、約182万人と過去最高を記録したと発表した。これによると、連邦や州の刑務所に収容されている受刑者は123万人。さらに未決囚や一年以内の受刑者を収容している拘置所には約59万人が収容されている。刑務所の受刑者数の人種による割合は、97年末で黒人49%、白人48%だが、人口比を勘案すると黒人の割合は白人の約6倍の高率となっている。刑務所の収容者数は連邦で27%、州で13%も定員をオーバーしている。

陣内法務大臣、大阪拘置所の建て替えに言及

 陣内法務大臣は、8月31日、閣議後の記者会見で、前日視察した大阪拘置所について「大阪拘置所は定員の2000人に近い収容者を抱えているが、施設は昭和38年に建設されたもので老朽化が進んでおり、収容業務には苦労が多いと思う」とし、建て替えについて「財政的な制約が厳しいが、今の大阪拘置所のこうした状況をみると、できるだけ早期に改善されるよう最大限努力しなければいけない。関係各方面の理解を得て実現していきたい」と述べた。CPRでは建て替えに際し、被拘禁者の人権に配慮した構造とするよう求めていきたい。