NEWS IN BRIEF


FM岩手が少年刑務所に「出前スタジオ」
 エフエム岩手は97年10月18日、盛岡少年刑務所に同局の人気情報番組「ハートビートカフェ」のスタジオを移し公開録音をした。きっかけは97年7月、番組のアナウンサーに未決囚がヒット曲のリクエストを寄せたこと。はがきに検閲済みを示す桜の印があったことから、同局が「ラジオ制作の舞台裏を見ながら、音楽を楽しむ機会を」と「出前」を思い付いた。番組は所内の若い収監者に人気があり、これまでもリクエストが寄せられていた。プライバシー保護のため、録音は後日、同刑務所内だけで放送されたが、「全国でも初めての試みではないか」と同刑務所は話している。盛岡少年刑務所は26歳未満の約280人を収容。休日などには館内放送でFM放送を流しているという。  現行の制度を前提にしても創意工夫しだいでこうした試みは可能であり、今後ぜひ他の施設でも試みてほしい。
死刑確定者への差し入れ求め国を提訴
 97年11月10日、東京拘置所在監の死刑確定者、大道寺将司さん、益永利明さんと支援者が、訴訟費用のカンパ差し入れを拘置所が拒否したことなどを違法として、国と拘置所長(当時)を相手取り、損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。原告らが「寄せ書きしたTシャツの差し入れや手紙のやりとり、それに面会などを拘置所が制限しているのは憲法違反」として、損害賠償を求めた訴訟は、97年3月、福岡地裁で、「現金の差し入れについては認めないと収監者が裁判を続けるうえで支障が出る」として計6千円の賠償を国に命ずる判決が言い渡されている(双方が控訴中)。支援者は改めて原告に控訴審に必要な費用や資料などを差し入れたが、拘置所側がこれを認めず、接見も拒否されていた。
着色レンズを理由とする厳正独居は人権侵害と警告書
 新潟刑務所(渡部征忠所長)在監の男性が、着色度15%以上のカラーレンズ眼鏡を掛けていたことを理由に、満期釈放までの約1年10カ月間、独居房で正座で作業をする厳正独居拘禁(昼夜間独居拘禁)にされたことについて、新潟県弁護士会は11月12日、刑務所に警告書を提出した。
 男性は1994年4月、懲役2年の判決が確定し、同刑務所に服役した後、着色度20%の近視用眼鏡をかけていたが、5月の持ち物検査で眼鏡の変更を迫られ、拒否したため、「経過観察」を理由に独居房に収容された。半年ごとに眼鏡変更の意思を確認されたが、男性は断り続け、出所の96年3月まで昼夜独居拘禁が続いた。レンズはこはく色で、弁護士会が眼鏡店で調査したところ、着色度20%のレンズは最も一般的でよく売れる商品であり、見た目には普通のレンズだが、同刑務所は、「安全管理のため受刑者の表情、視線を十分確認できるよう」着色度15%以上のレンズを不許可とする運用基準があるという。弁護士会は「着用制限の合理性に疑問があり、長期の昼夜独居拘禁は受刑者の社会復帰を阻害するおそれがある。個人の尊厳を基本原理にした憲法を軽視している」としている。
日弁連が死刑執行中止を求める要望書を提出
 日本弁護士連合会は97年11月19日、93年に執行された3名についてなされていた人権救済申立を受け、死刑囚の権利が保障されないまま死刑が相次いで執行されているとして、対策が取られるまで執行中止を求める要望書を橋本龍太郎首相と下稲葉耕吉法相あてに提出した。
 要望書は、被疑者段階の国選弁護人制度がない、死刑確定後の面会・通信の外部交通が著しく制限されている、処刑の事実が家族にも通知されない、自動的上訴制度がない、死刑が執行されない最高年齢が定められていない、判決宣告時における「精神障害または極度に制限された精神能力者」に対する死刑が排除されていない、再審申立、恩赦申立に執行を停止する効力が認められていない、死刑に直面する者の権利保障に関しての立法の再検討に着手せず、死刑の適用に関する情報の公開もしないまま死刑執行を継続していることなどを挙げて、現行の死刑制度は、国際人権規約や死刑に直面する者の権利に関する国連決議に反すると指摘している。
福岡拘置所で洗髪を強制、弁護士会が「要望書」
 福岡拘置所に勾留中、宗教上の信念で髪を洗わない男性が、職員から洗髪を強制されたとして、96年5月、県弁護士会に人権救済を申し立て、98年1月14日、弁護士会は「信仰に基づく生活の自己決定権は可能な限り尊重すべきだ」として福岡拘置所に特段の配慮を求める要望書を提出した。要望書によると、男性は交際のあった黒人ミュージシャンが信仰していた宗教の「万物に神が宿る」との考えに共鳴。以後「神が髪に宿る」との信念から髪を切らず、洗わない生活を続けていた。1996年4月に逮捕、起訴され、福岡拘置所に勾留。拘置所は、頭髪の清潔を保つよう定めた監獄法施行規則を基に週2回の入浴時に洗髪するよう指導。男性は信仰に反すると拒んだが「強要する職員がいたため一度は洗髪を余儀なくされた」などとして96年5月、人権救済を申し立てた。県弁護士会人権擁護委員会は「洗髪しないことが他人の生命身体に危害を及ぼすわけではない」と判断。「宗教的信条からくる生活信念を抑圧しないよう配慮してほしい」と要望した。
 吉村静輝・福岡拘置所総務部長は「宗教的信条を尊重することは当然で要望は真しに受け止めるが、看守が強制して洗わせた事実はない。集団生活の最低限のルールは守ってもらわなければならない。」と話しているという。
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