NEWS IN BRIEF


八王子拘置支所ワープロ使用不許可訴訟に判決

 Sさん(現在、宮城刑務所在監)は精神外科手術(脳)による後遺症のため文字を書くことが著しく困難であったため、八王子拘置支所在監中、所長にワープロの使用許可を求めたが、これを不許可とされた。Sさんは外部交通権を奪われたとして、国賠訴訟を提起していた。96年9月24日、東京地裁民事第38部(大内俊身裁判長)は、「原告は筆記にかなりの困難を伴うことがうかがわれなくはないが、…字体そのものは容易に判読できないものでない」、ワープロにより「自殺・自傷等の行為に及ぶ危険性があるとした支所長の判断には相当の理由がある」、原告は「代書制度を利用することができる」から、「不許可処分が裁量権の範囲を逸脱し、著しく不合理なものということはできない」として請求を棄却する不当判決を下した。


死刑確定記録の謄写認められる

 死刑囚の刑事確定訴訟記録の閲覧不許可処分の取消しなどを求めた準抗告審(CPRニュース第8、10号参照)で、96年9月27日、最高裁第一小法廷(遠藤光男裁判長)は検察の特別抗告を棄却し、閲覧を命じた決定が確定した。これに基づき、97年3月29日までに福岡地検小倉支部は、石塚伸一さん(北九州大)が申請した死刑事件の刑事確定記録の謄写を認めた。弁護人ら事件関係者以外の死刑確定記録の謄写を認めたのは初めてであり、画期的決定となった。


東京拘置所閲読不許可国賠敗訴判決

 東京拘置所在監の沢地和夫さん(死刑確定)は、自費で購入している新聞の1995年12月の死刑執行や96年2月のイラン人東京拘置所脱走事件の記事を拘置所が抹消したのは、憲法の保障する閲読の自由の侵害であるとして国賠訴訟を提起していた。さる2月18日、東京地裁(富越裁判長)は、「死刑確定者は社会復帰はもとより、生への希望さえも持ちえないため、時に自暴自棄になり、逃亡や自殺を試みて、刑の執行が困難となる恐れがないとはいえない」「(抹消部分の)閲覧を許可すれば、原告の心情の安定を害する可能性があった」などとし、「拘置所長がこれらの記事について、心情の安定を害する恐れや身柄確保を阻害する恐れがあると判断し不許可としたのは合理的制限だった」と、請求を棄却する不当な敗訴判決を下した(沢地さんの別件訴訟はニュース第12号に掲載)。


東京拘置所「Tシャツ訴訟」一部勝訴判決

 福岡など全国の支援者から東京拘置所の大道寺将司・益永利明両氏へ、死刑確定前に寄せ書きをしたTシャツ・現金の差し入れ、ゼッケン着用での接見・拘置所構内への立入り、信書・写真・新聞記事等の抹消、確定後の外部交通の相手方制限、本裁判への両氏の出廷不許可、両氏からの裁判所提出文書の拘置所による発信遅延、等を違法として、支援者・両氏が共同原告となって提起していた国賠訴訟で、福岡地裁(寺尾洋裁判長)は、97年3月26日、現金の差し入れについてのみ、「訴訟関係費用のカンパの差し入れが不許可となれば民事訴訟の追行にも支障を及ぼす恐れがあると考えられる」から裁量権の範囲を逸脱し違法とし、その他は棄却とする、一部勝訴判決を下した。原告・被告とも控訴中。


国連人権委員会で死刑廃止決議が採択される!!

 4月3日、ジュネーブで開催中の国連人権委員会で、死刑廃止決議が採択された。94年の国連総会に死刑執行停止決議案を提出して8票差で否決されたイタリアが提出。共同提案国はドイツ、フランス、オーストラリア、北欧諸国、ベルギー、スイス、ボリビア、コスタリカ、ベネズエラ。クロアチアなど。賛成27、反対11、棄権14で可決された。決議反対国は、アメリカ、韓国、パキスタン、マレーシア、日本、インドネシア、エジプト、中国、ブータン、バングラデシュ、アルジェリア。英国は棄権。日本政府は「各国の国内事情、犯罪状況を考慮して総合的に判断すべきもの」として反対したという。  決議内容は以下の通り。@国際人権規約(自由権規約)加盟国に対して、死刑廃止条約を批准するよう呼びかける。A存置国に、自由権規約および子どもの権利条約の完全実施をよびかける。すなわち重大犯罪以外には死刑を適用しないこと、18才以下の子どもや妊娠中の女性には適用しないこと。B存置国に、死刑に直面する者の権利の保護の保障の履行に関する国連決議を遵守するようよびかける。C存置国に、死刑適用犯罪の数を段階的に制限するようよびかける。D存置国に、死刑を完全に廃止する考えをもって、執行を停止するようよびかける。E国連事務総長に、世界中の死刑の実態について人権委員会に報告するようよびかける。F存置国に、死刑に関する情報を公開するようよびかける。G次回人権委員会で本件を議題にすること。


東京拘置所死刑確定者処遇が一部変更される

 今年3月から、東京拘置所在監の死刑確定者の処遇が一部変更された。改善点として、他の拘置所においてはすでに許可されている独居室内における月2回以内1回約1時間半のビデオ視聴が許可されたこと、自弁購入食品(副食・間食類等)の品目が増加したことが挙げられる。一方で、これまで一部の死刑確定者に認められ、互いに励まし合う場となっていた集団処遇が全面的に廃止された。自室でのビデオ視聴自体は評価できても、従来集団処遇が認められていた者にとっては、集団処遇の廃止は個別化・隔離の徹底であり、実質的な改悪であると言わざるを得ない。様々な証言によれば、他の拘置所においても集団処遇を廃止していく傾向にあるという。改善点については評価できるが、従来の集団処遇の復活とともに、今後とも、より抜本的な死刑確定者処遇の改善を求める。

 東京拘置所の建替え問題では、東京三弁護士会の「東京三会東京拘置所建替問題協議会」が、市民向けパンフレット「どうなる東京拘置所?」を作成し、配布している。希望者には無料でいただけます。
問合せ先;東京第二弁護士会事務局(担当:木下さん ・林さん)
〒100 東京都千代田区霞ヶ関 1−1−3弁護士会館内、 03-3581-2257


「東京犯罪被害者支援センター」に支援を!

 犯罪被害者を支援する市民グループ「東京犯罪被害者支援センター」が今年6月に設立され、電話相談室を開設します。@犯罪被害者等給付金支給法の周知・徹底、A給付金申請手続きの援助、B被害者への必要な情報の提供、C被害者からの電話相談の受け付け、などが当初の活動内容。
 会長・土屋公献氏(前日弁連会長)、事務局長・菊田幸一氏(明大法学部教授)ほか、イーデス・ハンソン、江川紹子、土本武司、平岩弓枝、広河隆一各氏等47名の著名人がよびかけ人・賛同人として資金援助を訴えています。市民グループが犯罪被害者に対する相談窓口を開設するのは日本では数少ない試みです。ぜひご協力を。賛助会費一口3000円。何口でも可能だそうです。カンパも大歓迎とのこと。
 カンパ送付先 00180-0-354174(郵便振替口座)
    名 義 東京犯罪被害者支援センター
    連絡先 044-865-1851(対馬・臨時連絡先)


「ヨーロッパ拷問展」開催

 明治大学刑事博物館ほか主催、アムネスティ・インターナショナル日本支部ほか後援による「ヨーロッパ拷問展―人類の権利・自由を考える―」が、東京・御茶ノ水の明治大学刑事博物館(大学会館3階)において、4月12日〜10月12日の予定で開催される。イタリア・フィレンツェ郊外サンジミニャーノの「中世犯罪博物館」所蔵の100点余りの拷問器具・処刑器具等を展示。主催者は「『我々自身の負の歴史』と現代に至る『人間の本質にある残虐性』そして『人権』の問題について考える機会になれば」と語っている。
 開催にあたって4月12日、19日、26日、5月10日、17日の毎土曜日午後1時半(5月17日のみ午後5時半)から、連続講演会が行われる。特に、4月12日、川端博さん(明治大学刑事博物館長)「ヨーロッパ拷問展―人類の権利・自由を考える―」、5月10日、五十嵐二葉さん(弁護士)「代用監獄と拷問禁止活動の国際的取り組み(仮)」、17日、菊田幸一さん(明治大学教授)・川端博さん「対話集会・死刑問題を考える―オウム真理教事件・ペルー人質事件・日本赤軍幹部引き渡しとの関連で―」はCPRもおすすめ。
会場等問い合せ先:明治大学刑事博物館
03-3296-4431


ソレンセンさんプロジェクトにカンパを!!

 今回お招きするベント・ソレンセンさんには、外務省人権難民課・法務省大臣官房国際室・矯正局・入管局訪問、東京拘置所・府中刑務所・入管局第二庁舎(十条)等への訪問、国会議員に対するセミナー、記者会見等々を通して、日本政府の拷問等禁止条約批准を求める私たちの活動を大きくあと押ししていただく予定です。このプロジェクトには、共催・協力団体の負担金およびカンパなどを除き、CPRとしてあと約40万円が必要です。  (常々そうですが)現状の財政状況は非常に厳しいものとなっています。会費未納の方は会費の納入をお願いします。また、特別にこのプロジェクトに一口3千円のカンパを要請することにしました。応じていただける方は、ぜひカンパを、よろしくお願いします。

年会費 1口 5,000円 学生 1口 3,000円
特別カンパ1口 3,000円(何口でも)
弁護士の方は2口以上でお願いします。
郵便振替 00100-5-771629
口座名義 監獄人権センター