私たちは、死刑執行を
インターネットで市民の監視下におきます。



 法務当局は、死刑というもっとも重大な刑事罰の執行を、一般の市民の目が一切とどかないところで行いつづけています。
 私たちは、死刑そのものが、残虐な刑罰を禁止した憲法36条に違反するものと考え、その合法性を認めません。しかし、かりに百歩譲ってそれが法として存在している現状に立ったとしても、その執行が公正な手続きにもとづき、恣意性を排して行われているか否か、国民が判断しうるための情報公開が必要だと考えます。これなしには、法執行の公正さは担保されえません。
 しかし、法務当局は、死刑執行を異常なまでの秘密主義によって覆い隠してきました。
 執行は、直前まで本人を含めて、その親族にも弁護士にも知らされず、したがって被執行者は、執行から自己を防御するための法的な対抗措置をとる権利をまったく剥奪されています。
 前回の処刑にあたっては、再審請求中の人、人身保護請求が出されている人に対しても、執行がなされました。法務当局の異常な秘密主義は、このように、法にもとづいた救済措置すらふみにじって処刑を強行するために、国民による監視から逃れようとする態度と言わざるをえません。その端的な現れが、国会会期中の執行を避け、国会での追及や質問を逃れようとしていることです。
 また、執行対象者の選定基準も、まったく伺い知ることができず、これでは死刑執行を政治的に利用しようとする恣意的な選定が行われている、という疑問が呈されるのは当然のことです。また、死刑の確定判決を受けた人たちは、つねに執行の危険性と向き合った生活を余儀なくされ、死刑の残虐性・異常性をさらに深刻なものとし、刑の執行に付加された拷問に等しい状況であることも、国際的な人権機関などからたびたび指摘されています。

 こうした中で、私たち、死刑制度に反対する市民団体は、執行に対する可能な限りの監視を行い、それを公開することによって、死刑執行の恣意性や秘密主義に異議を申し立てたいと思います。
 執行の危険性がきわめて高いと考えられる6月9日、市民団体は、全国4箇所の拘置所前(東京、名古屋、大阪、福岡)で、抗議と執行阻止のためのさまざまな行動を予定しています。
 東京拘置所では、午前7時より、隣接する小菅万葉公園で集会をもちつつ、執行を監視しつづける体制をとります。
 また同時に、この状況をインターネットによる同時中継と録画によって放送し、公開します。
 インターネット中継には、市民活動・NGOのための非営利ネットワーク・プロバイダ JCA-NET の技術協力を得ています。
インターネット放送には、以下のアドレスからアクセスできます。

http://www.jca.apc.org/cpr/haishi/

(ライブ放送は、6月9日午前7時半前後から開始します)

技術協力:JCA-NET (03-3291-2875)
2000年6月7日 死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90