アムネスティ発表国際ニュース
(2000年6月6日)

アムネスティ日本支部 



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日本:秘密裏の死刑執行の危機
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AI Index ASA 22/003/2000

最大9人の死刑確定囚が6月9日付近に秘密裏に死刑を執行される可能性がある。
アムネスティは本日、日本政府に対し、直ちにすべての死刑の執行停止を宣言す
るよう求めた。

「その死刑囚たち自身、その弁護人や家族たちも、死刑執行が予定されているの
が誰なのかを公式に確認することはできない。日本政府が死刑執行についていさ
さかも恥じるところがないのならば、なぜ政府は処刑を密行主義で続けるのだろ
う。」アムネスティはそのように疑問を呈した。

法相がすでに5日に死刑執行命令書に署名したかもしれないというおそれはある。
6月25日に予定されている総選挙に向けて、政府は犯罪に対して弱腰ではないと
表明しようとしているということは考えられる。

日本政府は、死刑囚に対する死刑の執行を毎年夏と冬におこなっている。その時
期はちょうど国会が閉会中であり、死刑があったことに対する国会内や世論の批
判をかわそうとしている。

誰を死刑執行するかという法務省による選別は恣意的である。そしてそこには死
刑に対する世論の反発を最小限に抑えようとする意図がある。

9人のうち、3人は恩赦の請願をしている。うち1人は2000年5月末に棄却されてお
り、他の二人の結果はわからない。9人のうち4人は昨年12月に人身保護請求をお
こなっており、1人は再審請求をしている。

1999年におこなわれた死刑執行の状況に照らし、こうした請求に対する結果が出
ていないにもかかわらず、死刑執行の手続が進行する危険性をアムネスティは感
じている。

政府によっておこなわれた世論の調査結果には偏りがあるが、それに依拠しつつ、
死刑存置派は、世論の圧倒的多数が死刑制度を支持していると主張する。しかし
ながら、1989年から93年にかけての事実上の死刑執行停止の期間、日本の中には
それに対する大きな反対の声はなかった。現在日本には、死刑の宣告を受けた人
々が100人余りいる。

日本全国で大きな勢力を持つ死刑廃止団体の多くのメンバーたちは、9人の死刑
確定囚たちが収容されている4つの拘置所に対して、監視をする予定である。実
質上も、また法律上も死刑の廃止を求める記者会見がアムネスティ日本支部と他
の死刑廃止団体によって開催される。