監獄人権センター設立3周年記念講演会

アムネスティ・レポートから見た日本の刑事施設
国連規約人権委員会における日本政府報告書審査に向けて


アムネスティ・インターナショナルが日本の拘禁施設について報告書を発表

アムネスティ・インターナショナル国際事務局は昨年11月10日に「日本における外国人被拘禁者に対する虐待」と題する調査レポートを公表しました。このレポートは昨年5月に国際事務局から派遣された調査団が約1カ月に渡って調査を行なった結果をまとめたものです。
更にアムネスティはこの他に、日本における死刑問題、刑務所における保護房、皮手錠問題等に関するレポートを作成中で6月に発表が予定されています。監獄人権センターでは、この報告の発表と併せて、アムネスティからお二人を招いて講演会を開催します。

報告の執筆者と国連へのロビイングの専門家が講演

マーク・アリソンさんは、アムネスティ国際事務局で日本などを担当するチームの一員として昨年の調査にも参加し、報告書の中心的執筆者の一人です。メル・ジェイムズさんは、国際人権法を専門とし、最近までアムネスティ国際事務局で、国連の人権委員会、拷問防止委員会等へのロビイングを長く担当されてきた方です。日本、韓国の人権問題にも詳しく、死刑問題の調査を行ったこともあります。他に女性問題や労働問題も専門としており、現在はイギリスのロー・ソサイェティー(日本の弁護士会にあたる団体)の国際問題担当事務局として勤務しています。

画期的なアムネスティレポート

国際的に評価の確立した人権NGOであるアムネスティ・インターナショナルは代用監獄や死刑制度、難民認定等についてはレポートを公表してきました。しかし、拘禁施設の処遇についてのレポートはありません。アムネスティが日本の拘禁施設、とりわけ刑務所、拘置所の問題について続けてレポートを公表することは画期的なことです。

国連規約人権委員会における日本政府報告書の審査へ向けて

 この一連のレポートは今年秋にも予定されている国連規約人権委員会における日本政府の報告書の審査でも極めて重要な役割をもつものと考えられます。ここで指摘されている勧告の内容は国際人権水準に合致し、また監獄人権センターの求めてきた改善点と基本的に同じ方向にあるものと評価できます。このアムネスティ・レポートを効果的にサポートし、規約人権委員会の審査に影響を与えていく必要があると考えています。このセミナーでは、アリソンさんから一連のアムネスティ・レポートの紹介を受けると共に、ジェイムズさんからは、国連機関への豊富なロビイング経験から、秋の日本政府報告書の審査への取り組みと、日本の拘禁制度改善の方向について考えていきます。