2003年9月12日
プレス・リリース
報道関係者各位殿

「JALのハワイ・メガゴルフリゾート開発に裁判所が工事停止命令」

  ハワイ島南コナのケアラケクア地方裁判所は、1昨日(現地9日)、日本航空(JAL)が出資する10億ドル高級リゾート開発「ホクリア開発」は、開発に必要な認可を得ていないとして工事の即時全面的中止を裁定した。これほどの大きな開発事業が中止されたことは、現地では驚きをもって受け止められている。開発側が工事を再会するには、地目変更をするか管轄行政府からの認可を得る必要があり、事実上開発の大幅な見直しは避けられない状況だ。

  ホクリア開発は、JALが1998年からアメリカの開発業者と共同で、ハワイ島南コナに進めている高級ゴルフリゾート開発で、すでに1900万ドル以上が費やされている。これは、610万平方メートルの広大な土地に、ゴルフ場やロッジ、クラブハウス、パビリオン、テニスコートなどを併設する750の高級リゾート分譲住宅地を建設する計画。これらの分譲宅地は1区画あたり75万ドルから260万ドルで販売 されており、すでに190分譲区画が販売済みで、その中には多くの日本人購入者もいる。

  このリゾート開発地の沿岸海域はクジラやイルカの生息地として知られ、世界でも有数の水質を誇る国立海洋保護区に指定されており、計画当初から開発による海洋汚染が危惧されていた。実際、2000年には大雨によるゴルフ場工事現場からの土壌流出によって沿岸地域が広範囲に汚染されサンゴが多数死滅するという事件が2回も起きている。また、この土地は古くから先住ハワイ人が住んでいたところで、埋葬地や寺院跡などが多く、ハワイ王朝族の遺跡もあり、ハワイ人たちにとっては今でも神聖なる土地とみなされている。事実、開発工事が始まって以来、あまたの埋葬地がブルドーザーで過って掘り起こされ、遺骨が散乱するという事件が多々おきたため、現地のハワイ人グループが開発中止を求めて訴訟を起こしていた。

  今回の裁定は、農業指定地区にリゾート開発(都市開発)はできないという州法によるもので、いままでハワイでは開発業者は本来州法が必要としている
煩わしい地目変更手続きを無視して、開発を進めてきた。また行政もこれを黙認してきた事実がある。今回の裁定は、これまで当然のように行われてきた農業地区の開発にストップをかけるものであり、ハワイの開発史上でも画期的なものである。ホクリア開発裁判はリゾート乱開発に歯止めをかける試金石としてその意味は大きい。

  原告側代表でハワイ人のジム・メデイロスは、「これは私たち地域の人たちの偉大な勝利だ。開発業者は、この開発が地元のためになると言ってきたが、このような農地への開発は、私たちのような農民やハワイ人にとって先祖代々大事にしてきた土地から出て行けというものだ」と語っている。

ハワイ現地新聞記事: http://the.honoluluadvertiser.com/article/2003/Sep/10/ln/ln01a.html

詳細問い合わせ:ハーモニクスライフセンター(森田 玄・きくち ゆみ)
        Tel: 0470ー97ー1011 Fax:0470ー97ー1215
        Email: gen@awa.or.jp
Homepage: http://www.jca.apc.org/arco/jal/

最終更新 2003/09/16