APWSL日本委員会2006年(第17回)総会の報告

16年目の日本委員会の新たな発展を

高幣真公(調整委員)

基金団体HIVOSの資金援助を断たれ数年間崩壊状態に陥っていたAPWSL(国際組織)は昨年5月のマレーシア総会の開催し、立ち直り始めている。タイの女性パラットさんが調整委員、韓国の牧師チャン・チャンウォンさんとオーストラリアAAWLのグイニスさんが共同議長の書記局体制ができている。日本も山崎さんが東アジアの地域調整委員となっている。

2006年度日本委員会総会は、第1日目15人、第2日10人が参加して大阪のゼネラルユニオンの新しい事務所で開いた。日本委員会は16年目を迎えたが、相変わらず国際組織の再建と日本委員会自身の再発展をとおして、APWSLがアジアの労働者の連帯の絆を強める先導者として一層がんばっていきたい。

総会の第1日目は米「レイバーノーツ大会」(5月)参加報告や反グローバリゼーションの世界的潮流などの報告会を開いた。第2日目の定期総会報告を以下にダイジェストでお伝えする。詳細は機関誌「リンクス」次号(NO.45)を参照下さい。

<日時>2006年7月16日(日)午後10時〜 13時
<会場> ゼネラルユニオン事務所(大阪)
<出席者>山原、小山、前原、原田、池田、丹羽、榊原、稲垣、高幣、山崎

第1日目 国際交流の報告会・ゼネラルユニオンの事務所

<議 題>

1)APWSL書記局会議・11月ソウル地域調整会議

山崎(共同代表。東アジア調整委員)が書記局及び地域調整会議の経緯を報告。

昨年秋のメルボルン書記局会議で決めた今年5月バンコック開催予定の地域調整会議(書記局+地域調整委員)は、資金難のために延期された。そこで調整委員のパラットさんは11月にバンコックで開催予定のアジア社会フォーラムに併せて開催を提案したが、タイ国内の事情でアジア社会フォーラムが中止になり、地域調整会議も開けなくなった。

5月フィリピンでKMUの国際会議があり、参加した代表らが非公式のAPWSL会合を持った。6月に共同代表チャン・チャンウォンさんが11月1日〜12日、韓国で地域調整会議とAPWSLフォーラムの開催を提案してきた。その招請文で正式代表7人+インドネシアの8カ国に代表参加を求めている。調整委員(パラットさん)や共同代表(グィニスさん)に相談せず提案していることなど問題があるが、現実に可能な地域調整会議開催案である。

原田 6月にバンコックを訪れ、日本からの連帯基金(500ドル)を届けるとともにパラットさんと話した。パラットさんは調整委員になったが、家庭の事情、英語力、資金などさまざまな困難があり、できるだけの努力している。しかし、APWSL各国からの反応は少ない。地域調整会議はバンコックで開催したいが、無理なので韓国開催を検討している。共同代表のグィニスさんと連絡取れない。病気だとか聞くが、判明しない。

討議の結果、日本としては韓国開催に賛成し参加するが、地域調整委員会を優先して日程や議題など注文し、具体的な計画を明らかにしてもらう。

2)インターネット活用
−日本委員会ホームページ(WEBサイト)とメーリングリスト(ML)/国際WEBサイト”Labornet-Asia”と国際ML”APWSL-MEMBERS” (報告:高幣、山崎)

 ◇ 日本委員会のWEBサイトは開設以来10年余り経過したが、最近はあまり活発に更新されず、APWSL日本の紹介リーフレットの役割を果たしている。また、会員組織や海外団体へのリンクも重要な機能である。さらに充実を図る。

 ◇ 会員メーリングリスト”APWSLJP-members”は昨年度35人から現在40人と5名増加した。日本委員会の日常的な活動が反映されるので、会員のML登録メンバーを増やしていく。

 ◇ 2004年ムンバイの世界社会フォーラムと平行して開かれたAPWSL国際会議でAPWSLのインターネット活用を決めた。それ以後何度も確認され、昨年暮れからWEBサイト(”LaborAsia” 韓国が責任)とML(“APWSL Members”日本が責任)が立ち上がった。

WEBサイト” LaborAsia”はアクセスが不安定、ハングル文字多用、管理がルーズなど問題が多く、チャンウォンさんがメールで書いているのとは違い、ほとんど活用されていない。韓国で開かれる地域調整会議できちんとした議論と対策を話し合うべきだ。(「リンクス」No.44参照)

 ◇ 国際メーリングリスト“APWSL Members”は当初の混乱を脱して、ようやく活用が安定してきた。今年には行ってからは山崎が投稿されるメールのタイトルの日本語訳を週刊で日本委員会MLに流している。今後さらに充実させ、活用を増やしていきたい。

3)「リンクス」と”APWSL JAPAN”

◇ 「リンクス」(榊原・編集長)

昨年度はNo.42(05年9月) No.43(06年9月). No.44(06年3月)の3号を発行した。大阪コーナー、フィリピントヨタ争議などを連載。安倍川製紙労組を皮切りに日本の労働組合紹介を始めたが、続かなかった。海外での会議や活動報告と国内での会員活動を中心に取り上げてきた。内容についての読者の意見をできるだけ聞きたい。APWSLと一般労働者を結びつけるために多くの人に書いてもらうなど会員参加型のメディアとして編集していきたい。

討議では、最近号の内容。体裁ともに評価が高かった。運営委員会で討論しながら、さらに内容を充実させていくことを確認した。

APWSLの紹介のために第1日目に上映したビデオや資料などの紹介を各地でやったらどうか。またそれらを「リンクス」でも宣伝しようと提案された。

◇ 英文ニュース”APWSL JAPAN”

編集長の喜多幡氏に代わり丹羽さんが報告。ゼネラルユニオンの外国人組合員が日本労働運動の英語ニュースを発信し始めたが、個人的事情で2号(個)で途切れている。発信形態は以前のプリント形式は止めて、デジタルな配信に移行している。ゼネラルユニオンのホームページの英語ニュースは豊富だが、海外向けにはAPWSL日本からの独自のニュースを作っていきたい。発信先はレイバーネットかAPWSL国際メーリングリストなどに発信するかなど、今後相談しながら進めていくことを確認した。

4)争議支援・国際交流

@ フィリピントヨタ労組の代表が来日・各地集会と支援する会加入問題

「フィリピントヨタ労組を支援する会」へのAPWSL日本委員会の加入を要請されているが、APWSL日本はネットワーク組織であるので会員に参加を呼びかけた方が良い。財政的事情から会費2口\10,000/年も厳しい。以上を回答する。

昨年12月パキスタン側へカンパ300USドルを送金したが、いまだに返事がない。他団体・個人に協力してもらったので、その結果を報告できないとAPWSLの信用に関わる。担当者に連絡をお願いする。

当初今年秋を予定したが、調整が遅れたため来年2月に延期し、NZ側の責任者キャロルさんと連絡して準備を進める。テーマはNZでの規制緩和後の揺り戻しの現状を視察・交流。主な参加予定組合は郵政、清掃、鉄道(国労争議団)ほか。予算:20万余円。

C韓国との共同会議(今秋の地域調整会議で韓国と相談する)

5)2005年度決算・2006年度予算

◇ 2005年度決算 ― 会費収入は予算55万円に対して38万円と大幅に少なかった。支出については、「リンクス」を3号発行したが、今年度の支払いは2号分12万円に留まった。国際国流費はAPWSL連帯基金として500ドル(\58,000)使った。合計\33,568の赤字であった。個人・団体ともに会員の減少と会費未納で収入が大幅に減少し、財政危機が深刻になっている。

◇ 2006年度予算 − 前年度より約8万円少ない51万円の収入を見込む。一方、新規会員の獲得と未納会費の支払いを要請する。これまでの「リンクス」寄贈者に購読会費(年会費\1,500)を値下げして購読会員になってもらう。また、現在の2つの事務所の経費半額削減を要請する。ゼネラルユニオンは¥30,000/年で了解してもらった。労働情報にも同様の申し入れを行う。

 

 

レイバーノーツ大会を報告する望月吉春さん(左)と共同代表の山崎精一さん