news-button.gif (992 バイト) 9   5月21日、東京・明治公園で5万参加の反新ガイドライン集会・デモ 
       ――『赤旗』の報道はあいかわらずだな、という感想も――

 5月21日、東京、千駄ケ谷の明治公園で「ストップ戦争法! 5・21全国大集会」が開かれ、5万人の人びとが参加しました(主催者発表、警視庁は2万4千と発表)。

 ベトナム反戦運動では、しばしば明治公園があふれるような集会もありましたが、ここしばらくは万単位の反戦行動などなく、実に久しぶりの大きな集会となりました。沖縄から北海道まで、各地からさまざまな労組、宗教グループ、市民団体、職能団体の人びとが加わり、参加者は公園前の道にまであふれました。かなりの割合で共産党、および、共産党系団体からの参加者が多かったようです。市民運動グループは会場の演壇に向かって左側の一段高い広場が集合場所として割り当てられており、さまざまなグループの旗や幟が目立ったものの、参加者はそれほど多いようには思えませんでした。

 プログラムは以下の通りでした。あえて、そんな形式的なことをここで並べるのは、この発言者の顔ぶれが、一昔前では考えられなかったような組み合わせだからです。共産党の不破委員長と、「百万人署名運動」を代表した中島誠、婦人民主クラブの代表の赤石千衣子、そして「5・19実行委」代表の内田雅敏さんらが演壇上に並び、発言するというようなことは、数年前ではありえなかったでしょう。会場の入り口近くには、「革マル派」と大書した横断幕も掲げられ、核マル派のチラシがくばられていましたし、たくさん掲げられていた「百万人署名運動」の旗を持っていたのは、おそらく、中核派の活動家だったでしょう。「アトラクション」の出演に「中央合唱団」と「多摩じまん」が並ぶなどということも、はじめての出来事だったでしょう。

 集会の「よびかけ」は「宗教者たちの『平和を求める』集い実行委員会」と「陸・海・空・港湾労組20団体」で、その「よびかけ」に応えて、賛同・参加した団体は500を超えると報告されていました。最初は、労組関係だけの主催としたかったそうですが、それでは広範な層があつまらないのではないか、という意見になり、各宗派を超えた宗教者の集まりをもう一つの中心にすえるという努力がされたようです。しかし、宗教者のグループも、キリスト教のプロテスタント、カトリックの両派の団体、そして日蓮宗の日本山妙法寺の僧侶などの参加はめだちましたが、新宗連関係の参加はほとんどなく、数もそれほど多いとは思えませんでした。

 まずは、この日のプログラムです。

・18:00 アトラクション 海勢頭豊と月桃の花歌劇団/多摩じまん

・18:30  開会 トランペットによるファンファーレ(「原爆許すまじ」のメロディーでした) 仏教徒による鐘

議長団選出(案)
宮脇哲也(全日本海員組合政策教宣局長)
石井摩耶子(日本YWCA副会長)
鯉沼麻希子(航空労組連絡会幹事)
武田隆雄(日本山妙法寺僧侶)

呼びかけ団体あいさつ
大津健一(宗教者たちの「平和を求める」集い実行委、日本キリスト教協議会総幹事)

来賓あいさつ
土井たか子(社会民主党党首)
不破哲三(日本共産党委員長)

連帯あいさつ
井上ひさし(作家)
山内徳信(前沖縄県出納長)

カンパの訴え  西村静子(全国港湾)

メッセージ紹介

各界決意表明
小林洋二(新ガイドラインとその立法化に反対する国民連絡会、全労連議長)
中島誠(日米新安保ガイドライン有事立法に反対する百万人署名運動、文芸評論家)
内田雅敏(5・19戦争協力を許さないつどい実行委員会、弁護士)
守谷武子(日本婦人団体連合会副会長)
赤石千衣子(婦人民主クラブ共同代表)
笠原紀子(日赤医療センター第一労組委員長)
日巻佳菜恵(神奈川県高校生平和ゼミナール)

集会宣言の採択 
一色義子(日本キリスト教婦人矯風会会長)

閉会あいさつ
川畑二郎(航空安全会議議長)

議長団解任あいさつ 武田隆雄(日本山妙法寺僧侶)

シュプレヒコールとデモ指示
野口正夫(運輸一般東京地本副委員長)
・19:30 集会終了
・19:45 デモ出発(4コース)
     アトラクション 荒馬座/中央合唱団/よろずピースバンド

 この組み合わせは、その評価は別として、共産党が柔軟になったと見ることもできるのかもしれませんが、しかし、22日づけの共産党の機関紙『しんぶん 赤旗』の報道ぶりを見ると、まだ、そうも言えないな、という思いです。というのは、上に掲げたプログラムは出ていないのです。不破、土井両氏の発言はもちろん、大津、井上、山内、川畑そして日巻の各氏の発言は全文が紹介されているのですが、中島誠、内田雅敏、赤石千衣子さんらは、その名前も団体名も、どこにも書いてないのです。僅かに一段記事で、「各界代表ら決意を表明」という見出しの下に、「『5・21全国大集会』では、労働組合、市民運動、女性団体、弁護士、看護婦、高校生の代表らが次々と立って、二分間の決意表明をおこないました。」とあるだけです。内田さんは弁護士ですが、この日は、「弁護士代表」として挨拶したのではなく、配られたプログラムにもあるように、「5・19戦争協力を許さないつどい実行委員会」を代表して発言したのです。やはり、認めない団体と人間の名前は報道しない、あるいは変えてしまうという姿勢は、変っていないようです。

この日に採択された集会宣言(全文)は、以下の通りです。

        集会宣言

 私たち市民・労働者・文化人・宗教者らは、陸・海・空・港湾労組20団体および宗教者たちの「平和を求める」集い実行委員会のよびかけに応えて、それぞれの立場の違いを越え、新ガイドライン関連法案に共同で反対の意志を表明し、廃案を求めるために、北は北海道から南は沖縄まで全国各地から集まってきました。
 わが国は、過去の侵略戦争の反省から戦後50数年間、平和憲法のもとで世界のどの国とも戦火を交えずにきました。いま、日本にとって必要なことは、この平和憲法を遵守し、外交的努力によって戦争の原因となるものを取り除き、アジアや世界の国々と正義と信頼に基づいた平和な関係を築いていくことです。アメリカが引き起こす戦争に地方自治体や民間人を動員したり、自衛隊の海外派兵に道を開くことではありません。
 政府が国会で新ガイドライン関連法案の成立を急ごうとすればするほど、「もっと慎重に審議を行え」「廃案にせよ」という声は、全国津々浦々から日増しに強まっています。私たちは、新ガイドライン関連法案を成立させることは絶対に認められません。戦争に「安全な後方はない」ことは、ユーゴの事態が明瞭に語っています。
 私たちは、本集会の名によって、
 1 私たちは、国民を再び戦争にまきこむ新ガイドライン関連法案の廃案を求めます。
 2 私たちは、新ガイドライン関連法案にもとづく戦争協力を拒否します。
 3 私たちは、憲法を守って信頼と正義に基づいた平和なアジアと日本をつくることを求めます。
  以上、宣言します。
        1999年5月21日
         ストップ戦争法! 5・21全国大集会

 以上、とりあえずの報告と感想。私のこの日についての意見は、このホームページの「最近文献」に載せてあります。

→ 「新ガイドライン関連法成立の後で」 

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