news-button.gif (992 バイト) 49 有事三法案の成立に反対する ( 『市民の意見30の会・東京ニュース』 No.78  2003.6.1)    (2003/06/03搭載)  

       有事三法案の成立に反対する      市民の意見30の会・東京  吉川勇一

 私たちの強い意思表示を無視して、有事三法案は衆議院を通過しました。残念ながら、今の推移からすれば、この法律は成立することになるのでしょう。
 有事法とは、多くの人が指摘するように、アメリカの戦争に即応する戦時体制をつくりだす法律です。イラクへの先制攻撃が正当であったのなら、北朝鮮への先制攻撃も同様だということになります。中東のイラクと東アジアの北朝鮮とでは置かれている状況が違いますから、すぐにそういう事態が起こるとは限りませんが、もしアメリカが北朝鮮と軍事対決を図ろうとした場合、日本はそれに参戦することになり、そして自治体、運輸・交通・医療機関などがそれへの協力を拒んだ場合、罰則も適用され、市民の権利は大幅に制限されるという、容易ならぬ環境が生ずることになります。今国会では個人情報保護法案も制定され、市民の権利を制限します。
 また、小泉首相は、
520日、参議院の審議の中で、自衛隊は「実質的には軍隊」と発言し、改憲が望ましいとも語りました。
 いずれも、私たち「市民の意見
30の会・東京」の絶対に容認できない事態であり、それに対する厳しい抗議を表明します。
 「力こそ正義」、「われこそ至高の善の体現者」というアメリカの主張を既成事実にさせることなく、イラク戦争に反対して表明された全世界の人びとの強い反戦の意志こそを、今後の世界を律する基礎とさせなければなりません。そのために、私たちは、どういう考え方、どういう展望を持ち、どういう心構えをする必要があるのか。それが大事なことでしょう。
 『ニュース』今号では、小田マサノリさんが、そうした文章を書かれていますが、それ以外にも、すでにいくつもの重要な指摘や提案が出されています。小田実さんは、「有事をいうなら、まず市民安全法をつくるべき」だとし、戦争をしようとする政府に対する抵抗権、戦争に巻き込まれるのはイヤだという中立権、「非武装地域」を宣言する権利、さらに市民が相手に降伏してもよいという降伏権なども(もちろん、相手に対し抵抗する権利も)それ含まれるべきだと語っています。(『赤旗』
523日号)
 私は、
53日、立川市での憲法市民集会での講演で「有事法体制下の9条的生き方」と題し、個々の事態への対応に追われて、日米平和友好条約、良心的軍事拒否国家日本、東北アジア非核武装地帯の設置など、大きな基本方向を見失うことなく、同時に、個人としては、政府の命令、法律の規定が どうあろうとも、自己の良心、信念に反することは、たとえ不利益が生じようともそれに従わないという、市民的不服従の姿勢を固めることが大事だとのべました。(この講演内容はまもなく出る次号の『マスコミ市民』に掲載予定)
このほかにも、いろいろな提言がまだありうると思います。締め切りの関係で十分には出来なかったのですが、次号では、かなりのページを割いて、私たちのそうしたこれからの生き方を論じていただこうと思います。
  
       
 ( 『市民の意見30の会・東京ニュース』 No.78  2003.6.1)