news-button.gif (992 バイト) 21  春の卒業・入学式シーズンへ向けて強化を――「日の丸・君が代」強制反対の運動  (『市民の意見30の会・東京ニュース』 No.58 2000.2.1..)  

 一月二一日の『毎日新聞』は、一面のトップ記事で、文部省が新年度から学校教育法施行規則を改め、職員会議を「校長が主宰するもの」と初めて明記し、「校長と職員会議の意見が対立しても校長の意思が優先される明確な法的根拠を与えた」と報じた。

 これまで職員会議では「日の丸・君が代」の扱い方などをめぐって、文部省や教育委員会からの強い締め付けを受けている校長と、他の教員の意見とが対立し、活発な討論が行なわれ、学校ごとに多様な対応がなされることもありえたが、この改定によってその自由が奪われることになる。この措置をはじめとして、文部省、各レベルの教育委員会は、春の卒業・入学式の機会に教育現場への圧力を一層強化し、「日の丸・君が代」の強制を徹底しようと努めている。

 これまでこうした問題は、職員会議、あるいは教職員組合という比較的閉じられた空間の中で議論されることが多く、PTA、通学児童・生徒を持つ家庭の父母たち、あるいは地域住民などに広く問題が提起され、開かれた場で検討されるということはあまり多くなかった。そのため、文部省などからの締め付けや処分の威嚇などが強められると、現場での抵抗は孤立化され、挫折する場合も多くなってくる。教育現場での強制に反対し、良心の自由を尊重させるには、その周辺に広い市民・住民の運動が広がり、それを包み込むことが必要となる。

その点からも、今私たちが進めている「君が代・日の丸」の強制に反対し、不服従の意思表示を宣言する運動の役割は、非常に大きくなってきている。

 「日の丸・君が代」の強制を進めようとしている勢力も、それがわかっているだけに、地域の市民が活発な運動を展開し、民主主義と良心の自由を守る空気が教育現場を包み込んでいるような地区への攻撃を強めている。東京西部の国立市の

場合はその一例で、昨年暮、くにたち公民館で『中国からの証言 南京1937』の上映会が行われた際には、都内各地から「正論の会」「新しい歴史教科書をつくる会」「自由主義史観」などのグループが押し寄せ、激しい抗議を続けた。抗議の終了後、彼らは「今後は国立市の学校の『日の丸・君が代』完全実施を要求する運動を行う」とし、一月三〇日に駅頭情宣、二月には集会を国立で開くことを宣言し、別れ際には公民館前で「天皇陛下万歳」を三唱した。これをはじめとして、今年に入ってからも右翼の街頭宣伝車が多数、市内を走り回り、異様な雰囲気が現出しているという。

 もう一例が神奈川県の場合である。例えば横浜市では市教育委が昨年一二月の校長会議で「卒業式・入学式等における国旗国歌に対する対応シート」なるものを配布し、各校長にその記入求めた。この中の「教職員の対応(チェック表)」という部分では、個々の教職員ごとに、@国旗掲揚A国歌斉唱B国歌斉唱時起立C国歌伴奏D国歌指導E児童・生徒への斉唱指導F児童・生徒への起立指導G登壇(卒業生の担任等)」の各項目ごとに「反対意見の表明、行動・分担の拒否、妨害、その他」の表の枠内に記入するようになっており、「職務命令」と「処分」の発動のために、日常的に教職員の「日の丸・君が代」に関する動向や発言・考え方を記録しておけというもので、「問題ある教職員」を炙り出し、全体を管理統制してゆくことで「日の丸・君が代」教育を徹底してゆくことを目指したものである。

 一月一九日、日本キリスト教会館会議室で開かれた「日の丸・君が代」強制反対意思表示の会の会合では、こうした現状を検討するとともに、三月下旬、都心の公園で、卒業式闘争の経験を交流し、引き続く入学式の時期へ向けての活動のバネとなるような集会を開く(本ニュースに同封のチラシ参照)、すでに各地から寄せられている多くの意見などを集めた『ニュース』を発行する、婦人民主クラブが進めている共通の意思表示と連帯強化のシンボルとしてのブルー・リボン運動をひろげるなど、具体的な方針を決定した。

 意思表示運動のリーフレット、賛同金送金用の振替用紙など、多数が事務局に用意されており、まだ配布されていない市民団体、グループなどの申し込み、協力が期待されている。(事務局連絡先=〒101-0061 東京都千代田区神田三崎町3-1-18 近江ビル4F 市民のひろば気付 電話・FAX 03-5275-5989 )

 また、運動手段や法的処分などへの対応の相談に、弁護士や法律学者らが電話で対応する「日の丸・君が代ホットライン」の運動は、昨年の天皇在位十周年記念行事の時期に開設したホットラインを、再度、卒業・入学式の時期に合わせ、二月二五日(金)〜三月四日(土)と四月三日(月)〜八日(土)の一三時〜一九時の間、弁護士・専門家が以下の電話口に控えて、この問題をめぐる苦情、迷惑、相談などに対応する。(電話03-3341-2436、なおそれ以外の時間帯でも以下のFAXでも相談を受け付ける。03-3341-2437)