globul1d.gif (92 バイト) 4 東京都知事選挙についての声明参加への批判と反論 

 4月10日に行われた東京都知事選挙について、その直前、私が三上満候補を支援する共同声明に加わったことは、このサイトの「ニュース・ご案内」欄ですでに報じましたが、これについて神奈川県在住の「S」という人(ここでは実名を避けます)から、べ平連ホームページの投稿フォームを通じて私宛ての批判文が送られて来ました。
  この批判に納得できなかったので、私はその「S」さんにメールで返事を出したが、その後ももう1往復、メールが交わされました。以下にそのすべてを掲載します。
  これは論争ともいえぬものですが、他者への批判は、どういうふうにすべきか(すべきでないか、のほうが正確)を示す例として、載せようと思いました。相手の「S」さんは、最後の手紙にあるように、匿名を希望されていますので、実名は避け、「S」さんとしました。
  なお、以下のなかで、 〉青色で書かれてある文章 のように青色で書かれている部分は、メールでやりとりをするとき、相手の文章を引用したものであることを示すメール上の約束事です。

(1) あの吉川さんが……

初めてメールをお出しします。
 本当は、吉川さんの新しいホームページ開設の件で、お祝いのメールをお出ししたかったのですが、都知事選のアピールの文書を読んだ途端、お祝いの気持ちが失望へと変わってしまいました。吉川さんほどの方が、なんで日共候補を応援する賛同者の中に加わったのか、まるで理解できません。
 戦後一貫して、反戦・反差別をはじめ、とにかく反体制運動すべてに対して、ことごとく敵対・妨害を繰り返してきた日共を、今まで散々な目にあわされ続けてこられた吉川さんが支持するとは、正に青天のへきれきです。いくらファシスト慎太郎が当選する可能性が高いとしても、また他にろくな候補がいないとしても、それが日共支持を合理化する理由になるのでしょうか。
  被差別部落や在日コリアン、三里塚や青い芝の会などに対する、第一級の差別者・妨害者=日共に投票することは、どう解釈しても彼らに対する裏切りであるとしか考えられません。積極的な棄権、例えば白紙投票などは、敗北主義でしょうか。
  私は都民ではなく、神奈川県民ですが、日共に投票するつもりは全くありません。
  本来は、吉川さん個人のページにメールをお出しすべきでしたが、アドレスが記載されていなかったので、やむを得ずこちらにお出ししましたことをお許しください。
                                            「S」

(2) Re. あの吉川さんが……

「S」 様
 簡単にお答えします。
 問題にされている声明(ご存知のない方へ――その全文は下にある私の個人サイトの「ニュース」欄で読めます)に加わった理由は、あの声明にあるとおりで、それに付け加えるべきことは、今はありません。「まるで理解できない」と言われるのでしたらやむをえません。
 確かに私は日本共産党から除名され、非難、攻撃も受けてきましたし、また、これまでの共産党の方針や実際の運動のの数々(すべてではありません)に反対の立場をとってきましたが、共産党があなたの言われるような「被差別部落や在日コリアン、三里塚」などに対する「第一級の差別者・妨害者」であるとは認識していません。私がこれまでそう思っていたとあなたが思われているのだったら、あなたの勝手な思い込みです。これまで、私は、そういう認識を一度でも公表したことがありましたか?(共産党を批判する文章はいくつか書きましたが)。
 あなたは、私が被差別部落や在日コリアン、あるいは三里塚闘争などに対する「裏切り」をしたと非難されています。そう思う自由はもちろんあるでしょうが、私は「裏切り」などという言葉を、そう簡単に使うべきではないと思います。日本共産党に対して私がもっている批判の一つには、彼らがそういう非難やレッテルを安易に貼りつけることにも向けられていたのです。
 あなたは、棄権と白紙投票を同じものと考えておられるようですが、私は、それは違うと思います。白紙投票は、一つの積極的意思表示だと認められますが、棄権(投票所に行かないこと)は、積極的、消極的に関わらず、結果としては区別が困難で、ひとくくりに政治、あるいは選挙への無関心と思われてしまうでしょう。あなたは白紙投票は敗北主義か、と私に問われています。私は、白紙投票をする人に「敗北主義」というレッテルを貼るつもりはありません。私の周辺の市民運動の仲間にも、今度の選挙ではそれしかないと考えている人は少なくありません。それはそれで、一つの政治的意思の表現と思えるからです。今度の東京都知事選では、とくにそれは選択肢の一つであろうと考えられます。あとは、選挙の結果をどう政治的に判断するかに関わることだと思います。ただ、私としては、あの声明にあるような判断に賛成したのです。
 批判は運動の前進にとって必要なことですが、勝手に人の意見を忖度し、思いこんでいたのと違ったからといって、「裏切り」だなどという言葉を簡単に投げつけるのでは、いい議論にはなりません。お考え下さい。
 あなたは、私のメールのアドレスが記載されていない、と書かれていますが、あなたも書かれているべ平連のサイトの「お便りをください」のアドレスは、私の個人メールのひとつです。
YOSHIKAWA Yuichi 吉川勇一

(3) ご返事ありがとうございました

 お忙しいなか、お返事ありがとうございました。
 まず、私の表現にいたらない点が多すぎたということをお詫びしなければなりません。
 弁解にはなりませんが、あのアピールを読んで、完全に頭に血がのぼってしまい、未整理なまま、湧きでた感情をぶつけるような投稿をしてしまいました。このような失礼な態度をとってしまったことは、批判されて当然であると考えています。不愉快な気分にさせてしまいましたことを心からお詫びいたします。
>共産党があなたの言われるような「被差別部落や在日コリアン、三里塚」などに対
>する「第一級の差別者・妨害者」であるとは認識していません。私がこれまでそう思
>っていたとあなたが思われているのだったら、あなたの勝手な思い込みです。これま
〉で、私は、そういう認識を一度でも公表したことがありましたか?

 これに関しては、本当に「勝手な思い込み」でした。吉川さんが、「そういう認識」を公表されたことは確かに一度もありません。ただ、三里塚闘争に対してさえも、そう思われているのだとしたら、あまりにもの認識の違いに、ただ驚くばかりですが。
> あなたは、私が被差別部落や在日コリアン、あるいは三里塚闘争などに対する「裏
> 切り」をしたと非難されています。そう思う自由はもちろんあるでしょうが、私は「裏切
> り」などという言葉を、そう簡単に使うべきではないと思います。
 私の表現に誤解を招く点があったことを認め、お詫びいたします。
 私の文章では、たしかに吉川さんを「裏切者」と見做していると受け取られかねません。ですが、私は吉川さんが「裏切った」といいたかった訳では決してありません。さらにいえば、いわゆる「代理糾弾」をしようとしたわけでもありません。
 ただ私がいいたかったことは、日共が今まで、特に部落解放同盟に対して行ってきた一連の許しがたい行為を、たとえ他にロクな候補がいなかったとしても、一時的にでも不問に付して支持することができるのか、ということです。もちろん吉川さんは、不問に付したりはしないと思っています。ですが、三上氏が仮に当選したとして、例えば被差別部落に対する政策は一体どのようなものになるのでしょう。もともと一本しかなかった「窓口」に、強引に第二組合的な組織を作って割り込もうとし、それが受け入れられないことがわかると、「窓口一本化の弊害」を赤旗を通じて、扇情的にまき散らす。部落解放同盟を、端に「利権」を求めるだけの「暴力集団」であるとするデマを垂れ流して、差別の拡大再生産をする。
 そんな政党の候補が知事になれば、被差別部落にとって著しい不利益になることは、疑問の余地がないと思うのです。被差別部落問題を重視する観点に立てば、三上氏が当選するかもしれないということには、「深刻な危機感を抱いて」しまいます。
(もちろんこれは私個人の見解で、吉川さんにそう思ってほしいと強いているわけではありませんし、吉川さんが被差別部落についてどう考えているかを問うているわけでもありません。)
 私が、いかなる場合でも、まず日共候補を除外するのは、以上のような理由が第一義的にあるからです。私にとっては日共に投票することは重大な「裏切り」になるということです。
 また私は、最近の日共は、事実上「日の丸・君が代」も「自衛隊」も「安保条約」も「天皇制」も認めている、あるいは追認していると認識しています。果して三上氏が(消去法という点を加味したとしても)「憲法と都民の立場に近い」といえるのでしょうか。
> 批判は運動の前進にとって必要なことですが、勝手に人の意見を忖度し、思いこ
> んでいたのと違ったからといって、「裏切り」だなどという言葉を簡単に投げつける
> のでは、いい議論にはなりません。お考え下さい。
 重ねて申し上げますが、吉川さんが、「裏切った」とは思っておりませんし、吉川さんの党に対する考え方に関しては、私の勝手な思い込みだと理解しました。
 本当に申し訳ありませんでした。
 ただ、失望した事実は消えません。
                                「S」

(4) 確認です

先ほどメールをお出しした「S」です。
 吉川さんのメールに、共産党問題とは無関係の重大な疑問があるのですが、文中で
>問題にされている声明(ご存知のない方へ一一その全文は下にある私の個人サイ
>トの「ニュース」欄で読めます)

とあるのは、一体どういう意味でしょうか。私への返信を第三者にも送ったということなのでしょうか。そうでないとしたら、「ご存知のない方へ」と書かれていることは意味がありませんので、私にとってはまったく不必要な文面です。もし、第三者にも送ったというのであれば、この件に関して、何ら判断材料(私の出したメール)もない人間に、一方的に私に対する否定的な価値観を植え付けることになると思います。私のメールを転送していたとしたら、それは、著作権者である私の許可を得ず、私信を勝手に公開したということになります。
  これは信義にかかわることですので、ぜひ回答をいただきたいと存じます。
                                「S」

(5) Re. 確認ですが

「S」 
 お答え。
 確かに,「ご存知のない方へ」は、あなたにとっては意味のない、不必要な文面です。あなたへの返信からは省くべきでした。
 最初,あなたの通信は、私が配信を受けている{aml}に公開されている通信上に載ったものと勘違いし、私も[aml]上で答えなければならぬかと思ったため、あの個所を挿入したのでした。
 しかし、あとで、これは「べ平連のホームページ」へのメール投稿用のチャネルを通じて送られたのだということに気がつき、[aml]へは送らず、あなたとの個人間のメールとして返送しました。したがって、あの文書はまだ,公開されていません。
 しかし、私は公開するつもりでおりました。というのは、あなたが利用された「べ平連のホームページ」への通信用のコラムには「このページに寄せられ たご意見、希望、質問等の中から、適宜、管理者(吉川)が選び、それに対するお答えを含めて、掲載してゆきます。原則的には、誹謗中傷、あるいは虚偽であることが明白である場合を除き、すべて掲載してゆく方針です。「簡設(間接?)」と名付けている理由です。……今後投稿される方で、匿名希望の方はそのむね記入してください。」と明記してあります。
 あなたの手紙には、匿名希望の意思表示はありませんでした。それで、今、私は、私の個人ページ(あの声明が載っているサイト)の上に、今回の往復メールを載せるつもりでおります。もちろん、私の返書だけでなく,最初の私宛てへの批判文からでなければ、意味が通じませんから、往復の全文書を載せるつもりです。あなたのが名前を記してまずいのなら、匿名にしましょう。その旨お知らせ下さい。
 なお、その際、私からの再度の返信にあたるようなもの、つまり、

> これに関しては、本当に「勝手な思い込み」でした。吉川さんが、「そういう認識」>を 公表されたことは確かに一度もありません。ただ、三里塚闘争に対してさえも、
>そう思われているのだとしたら、あまりにもの認識の違いに、ただ驚くばかりですが。
  とか、
> ですが、三上氏が仮に当選したとして、例えば被差別部落に対する政策は一体ど
> のようなものになるのでしょう。
などという、ご意見についての私の見解もつけようかと考えています。
 しかし,前回もそうですが、「著作権者である私の許可を得ず、私信を勝手に公開」とか、「信義にかかわる」とか、どうもあなたの表現には、相手の感情をことさら刺激するようなものが多いように思いますね。お考え下さい。
YOSHIKAWA Yuichi 吉川勇一

(6)  .Re. 確認です

 今回のメールは、あくまでも吉川さんの個人サイトへの私信として、お出ししたもので、フォームを通じてお送りしたのは私のミスでした。ですから、フォームの規定では公開されるのが原則だとしても、やはり公開していただきたくはありません。もし、それでも公開されるのだとしたら、匿名でお願いいたします。
> しかし,前回もそうですが,「著作権者である私の許可を得ず、私信を勝手に
>公開」とか、「信義にかかわる」とか、どうもあなたの表現には,相手の感情を
>ことさら刺激するようなものが多いように思いますね。お考え下さい。
  どうも申し訳ありませんでした。今後は気をつけます。
                                     「S」

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