90. わだつみ会の「平和・不戦」声明文にご賛同を! (2003/01/20)

 私の参加している「日本戦没学生記念会」(わだつみ会)から、以下に転載するような「平和・不戦」声明文へ賛同を求めるアピールが送られてきました。ご覧の上、皆さんのご賛同を呼びかけます。賛同される方は、わだつみ会へのメール( wadatsumikai@mbe.nifty.com  )でどうぞ。

――「平和・不戦」 声明文へ賛同人署名を――
                                              」
 今年は「学徒出陣」六〇周年に当たります。私たちは改めて戦没学徒兵に思いを馳せ反戦の意志を新たに堅持したいと考えます。
 御存じのように現在世界はアメリカの先導により大きく戦争へと傾斜し、日本もまたそれに追随した体制をすすめています。この状態は決して黙視できるものではなく、なんとしても阻止せねばなりません。
 去る一月二六日の理事会席上、戦争体験者の私たちは「平和・不戦」の声明文を起草し世界に訴えようと意見が一到しました。
 会員、誌友の皆さまも別紙声明を一読され賛同人として連名されるよう願ってやみません。戦争体験の有無にかかわらず趣旨に賛同の方は署名をくださるようお願い申し上げます。
 お知り合いの方々にも署名を呼びかけていただければ幸いです。
  二〇〇三年二月一〇日
         日本戦没学生記念会(わだつみ会)
               元学徒兵有志
                 一瀬智司  大島孝一  小澤一彦
                 谷   栄  手塚久四

 

 平和・不戦を世界にむけて訴える
   ――「学徒出陣」六〇周年にあたって――

 アジア・太平洋戦争のさなか、一九四三年九月、大学・高校・専門学校の学生にたいする在学中の徴兵延期が停止され、満二〇歳以上の約一〇万の学生は直ちに軍隊に入ることが義務つけられました。理科系の学生は入営延期が認められましたが、文科系の学生は一二月上旬には陸海軍に入営しました。当時、日本の植民地であった朝鮮・台湾の学生もこれに準じ、やがて特別志願兵制によりほぼ強制的に入営させられました。これが「学徒出陣」であり、今年はその六〇周年にあたります。
 一九三一年、中国の東北地方(旧満州)への侵略から始まった「事変」という名の戦争は、一九四一年の米英への宣戦布告によりアジア・太平洋の全域に広がりました。一九四三年になると、日本軍はガダルカナル島、アッツ島と敗北を重ね、敗戦への途を急速にたどりつつあり、兵士となることは死を覚悟しなければならない状態でした。学徒兵は学問への断ち難い憧憬、肉親との別れ難い思い、戦争と軍隊生活への批判と不安、そして「民族共同体」の一員としての義務のはざまに苦悩と葛藤を続けました。

 入隊をひかえた戦没学徒兵の一人はこう書き遺しています。
 「日本人の死は日本人だけが悲しむ。外国人の死は外国人のみが悲しむ。どう してこうなければならぬのであろうか。なぜ人間は人間で共に悲しみ喜ぶよう にならないのか。平和を愛する人。……私にはこの言葉が痛切に感じられてな らない」 『新版 きけわだつみのこえ』二七五ぺージ
                 
 あるいはまた中国戦線で戦死した学徒兵は書き遺します。
 「中沢隊の一兵が一シナ人(中国人)を岩石で殴打し、頭蓋骨が割れて鮮血にま みれ地上に倒れた。それを足蹴にし、また石を投げつける。見るに忍びない。高木少尉の指図らしい。冷血漢。罪なき民の身の上を思い、あの時何故遅れば せでも俺はあの農夫を助けなかったのか。自責の念が起こる。……俺の子供は 軍人にはしない、軍人にだけは……平和だ、平和の世界が一番だ」 同書、九〇 ぺージ
  
 日本戦没学生記念会(わだつみ会)は、一九四九年の戦没学生の手記『きけわだつみのこえ』の刊行を記念して、翌年の一九五〇年に設立されました。会は、戦死者の無念に応えるには戦争を二度とくりかえさないことしかないという趣旨から、半世紀にわたって平和運動を続けてきました。会はこうして学徒兵の死に由来する団体ではありますが、戦争の悲劇は国民全体のものであると考え、学徒兵の死を戦没青年全体の死とともに考える立場にたって、戦争体験を思想化し、絶対平和をめざす市民の平和団体として今日にいたっております。

 朝鮮戦争(一九五〇年代)、ベトナム戦争(一九六〇年代)と日本の軍備は平和憲法に違反して進められ、自衛隊と称しする軍隊は世界有数の」軍事力を保有するまでに至り、ついに一九九〇年の湾岸戦争には海上自衛隊の掃海艇がペルシャ湾に出動しました。私たちは一九九三年「学徒出陣」五〇周年に当たり自衛隊の海外派兵に抗議しました。さらに一昨年のニューヨークでのテロ以来、情勢は急変しました。アメリカはただちに報復行動を開始しアフガンを侵攻占領しました。昨年九月には証拠に乏しいまま核兵器開発を理由にイラクヘの先制攻撃を発表し、フセイン政権の打倒を目標とする戦争政策を強化し、これを「悪の枢軸」に対する「正義の行動」であると正当化しております。日本政府はこのアメリカに追随し一昨年は海上自衛隊の給油艦をインド洋に派遣し、ついで昨年最新兵器を装備したイージス艦を出動させました。
 また本年一月一五日に小泉首相は突然、靖国神社を参拝しました。これは大日本帝国の侵略行為にたいする国民の自責と反省の念を無視するものであります。一昨年八月の靖国神杜参拝のとき日本戦没学生記念会は抗議声明を行い、他の平和団体と共同行動を行いました。昨年の一二月一日(学徒出陣の日)では「アメリカの先制攻撃はゆるさない」と不戦集会を開きました。

 戦没した学徒兵は、新しい未来を信じ、愛する家族や同胞にも語れなかった「胸の内」を秘めながら散っていきました。私たち生き残った旧学徒兵には、彼らの心情と無念を背負って、これを後世に伝える義務があります。「学徒出陣六〇周年」の節目にあたり、私たちは、あえてここに平和・不戦の固い意志を世界にむけて強く表明し、併せて「わだつみのこえ」に真撃に耳を傾けるよう訴えます。

   二〇〇三年二月一〇日
             日本戦没学生記念会 (わだつみ会)
                元学徒兵有志
                  一瀬智司  大島孝一  小澤一彦
                  谷   栄  手塚久四