6. 「反戦映画クラブ」2000年9月のご案内 (2000/07/28掲載)

ベトナム戦争による深刻なトラウマ(精神に受けた傷)を描いた韓国映画の問題作

 ベトナム戦争が終了してから四半世紀を経ても、これに参戦した米兵の中に深刻なトラウマに悩まされているものが多いことは、深刻な問題となっている。

『七月四日に生まれて』や『ディアハンター』、或いは、以前、この欄でご紹介した『Mr.P’s Dancing Sushi Bar』など、アメリカ兵をとりあげた映画にはそれを描き出したものが多くあるが、九〇年代に入ってから、ベトナムに派兵した韓国でも、こうしたテーマを扱った映画が登場するようになった。

なかでも、安正孝(アン・ジョンヒョ)の同名小説を映画化した鄭智泳(チョン・ジヨン)監督の『ホワイト・バッジ』は、第5回(1992)東京国際映画祭「東京グランプリ・都知事賞」・最優秀監督賞、第38回アジア太平洋映画祭最優秀男優主演賞(アン・ソンギ)など、多数の賞を獲得している問題作だ。

朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の暗殺後の韓国社会を舞台に、かつてベトナム戦争に参戦して猛勇振りを発揮した元韓国軍兵士の体験と帰国後の悪夢のような後遺症を描き出した作品である。ベトナム・ロケも行われた。

 日本では、このあと、『ホワイト・バッジ2』『同3』などもビデオで発売されているが、これはまったく本作とは関係のない別映画で、それらと比べて、本作は傑出している。

 8月の映画クラブは休会。次回は2ヵ月先の鑑賞となるが、ぜひ予定に入れていただいて、多くの方がご覧下さるようお奨めする。

9月9日(土)午後2時 市民の意見30の会・東京事務所

鄭智泳監督『ホワイト・バッジ――大殺戮外人部隊』 一九九二年、韓国第一フィルム制作、安正孝(アン・ジョンヒョ)の同名小説を映画化したもの。出演は、韓国の国民俳優とも言われる安聖基(アン・ソンギ)、沈恵真(シム・ヘジン)屋、この作品で第29(1993)百想芸術大賞男子演技賞を獲得したイ・ギョンヨンら。

市民の意見30の会・東京の会員の方は参加無料だが、それ以外の方でも、スペースに余裕があれば参加可能ですので、ご希望の方はメールでご連絡ください。お待ちしています。この反戦映画クラブは毎月第2土曜午後2時から、代々木の同会事務局で行なわれています。