158. 三里塚管制塔闘争(1978年3月)の被告団を支えるための緊急アピール (2005/08/21掲載)  

 1978年3月に行われた三里塚空港の管制塔占拠闘争については、ご存知の方が多くいらっしゃると思います。この闘争で逮捕、起訴された人びと(16人)の裁判は終結していますが、彼らには、「損害賠償」金の支払が課せられました。このことに関して、最近、以下のアピールにあるような、非常事態がおこっています。これに対処するため、緊急のアピールを出すことになり、私もその「呼びかけ人」に加わっています。
 三里塚闘争に共感し、支持し、参加された方も多いと思います。アピールをお読みくださり、ぜひご協力くださるよう、心から訴えます。

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元管制塔被告への不当な損害賠償請求に抗議し、被告たちを全力で支えよう
     ――皆さんへ、大胆率直に、訴えます――

  すでに御存知のように、成田空港の「暫定B滑走路」は、その南側にいて、買収を拒否している農民を説得しきれず、急遽、計画を変更、北側に延伸することになりました。これはそもそものはじめ、富里地区に予定した建設計画が、農民の反対に遭って行き詰まり、三里塚に不時着した事態とおなじ、事業の致命的な欠陥をあらわしています。 
 これから、あらたな「事業計画」の策定や公聴会の開催などが必要になります。ですから、順調にいってでさえ、北延伸滑走路320bの完成には、6年はかかる、といわれています。 政府の航空審議会で「喫緊の国家的事業」とされてから42年、三里塚に位置決定してから39年、部分「開港」からでさえ27年、それでもまだ、うろうろと計画を変更しなければならない空港とはなにか。滑走路予定地にされた土地には、いまなお、数戸の農家が、畑を耕し、家畜を育て、大地に根をはるようにして暮らしています。政府は、あたかも、買収に失敗した腹いせのように、農家の屋根を擦るようにしてジャンボ機を飛ばそうとしています。これは危険なばかりか、騒音地獄をつくりだす非人間的な仕打ちです。
 このような、杜撰にして強権的な政府の失態を覆い隠すかのように、法務省は、最近になって管制塔占拠(78年3月26日)の元被告16人にたいして、総額1億300万円の「損害賠償」の「強制執行」を断行しました。問答無用の暴挙であり、国家権力の醜態ともいえます。 
 「成田空港」建設史上での政府の総括とは、農民になんの相談もなく計画し、反対するものを暴力で排除して財産を収奪した方法は、間違いであった、というものであったはずです。近代国家がおこなうべき、民主主義的手続きさえ踏んでいなかったのです。だからこそ、運輸大臣が現地を訪れ、農民に謝罪したのでした。
 ところが、こんどは、元被告たちが勤務している企業の経営者にたいして、「賃金の4分の1を天引きして国に納入せよ。それに応じなかったなら、相当分の会社資産を差し押える」と迫り、あたかも罰金刑として、労働者の賃金袋に手を突っ込むやり方をはじめたのです。長いものでは、未決をふくんで12年、短くても6年の獄中生活を送り、いまようやく家族との生活を慈しむことができるようになった元被告への執行は、職場での存在を不安定にされ、すでに退社に追いこまれた人もいます。肉体的な拘束のあと、塗炭の苦しみを与える追い打ちです。
 損害賠償請求に係わる最高裁判決からでも10年、それも時効寸前になってからのこの執行とは、空港建設に説得性がなかったからこそ、これまで損害賠償請求に手をつけられなかった躊躇をあらわしています。ところが、北側延伸発表と符節をあわせたような施行は、闘争の再燃を牽制する狙いをもっています。そればかりか、これから起こるであろう、あらゆる大衆闘争へのみせしめであり、先制攻撃ともいえるものです。
  しかし、残念ながら、いますでにはじまっているこの執行を止める法的な手段は、もちえません。三人の元被告による差しとめ裁判も、敗訴となっています。賠償請求1億300万円の内訳は、元金4384万円にたいして、年利5l(219万2千円)というものです。
 そこで、皆さんに、大胆率直に訴えます。十六人の肩にのしかかっている重圧を、こんどこそ、わたしたちが、肩代わりをしてあげようではありませんか。すでにかれらは長期の服役によって、重すぎる報復をうけています。
 あの晴れわった三里塚の青空を背景にして、管制塔に翻った真紅の赤旗をみたものも、それをみなかったひとたちも、国家の強制を断ち切った、あの人民闘争の勝利の標(しるし)に、大いなる解放感を感じたではありませんか。
 わたしたち、廃港をもとめ、非暴力での「空港包囲、突入、占拠」を夢みたもの、あるいは、農地を取りもどす農民の闘いに共鳴したもの、すべて、管制塔戦士とともにたたかった同志ではありませんか。かれらはわたしたちの夢を実現させた英雄でした。いま、すべての犠牲をかれらに押しつけたまま、だんまりをきめこむわけにはいきますまい。それであったなら、この反動攻勢の激しくなっている時代、もうまえにでてたたかう若者たちはあらわれなくなってしまうでしょう。
  わたしたちが願ってきた、日本社会を変える運動をつづけるためにも、この試練は引き受け、乗り越えなければならないでしょう。管制塔戦士にもわたしたちにも、老いは容赦なく降りかかっています。しかし、それでも、わたしたちは、ともに闘いともに苦しみ、ともに歩む精神を、実践によってつぎの世代につたえていかなければなりません。そのためにも、この政府からの攻撃を、三里塚闘争を支持したもの全体への弾圧として受け止め、渾身の拠金を集めて、見事に撥ね返そうではありませんか。
 1億円の基金となれば、一口1万円として1万人の拠金者が必要です。
 このメッセージを、郵送、サイトに乗せるなどあらゆる方法で、あの人民闘争の勝利の標(しるし)に、大いなる解放感を感じたすべての方々、農地を取りもどす農民の闘いに共鳴したもの、管制塔戦士とともにたたかった同志たちに届けていただくようお願いいたします。
               記
管制塔被告連帯基金
郵便振替口座 00130-3-445762 (加入者名)管制塔被告連帯基金
(送金の際は通信欄に領収書必要の有無とメッセージ、氏名公表の可否をご記入ください)
「管制塔被告連帯基金支援ウエブサイト」http://jioos.podzone.net/が開設されています。基金の日々の状況など詳細な情報が掲載されております。
 この振替用紙つきチラシは多数用意してあります。必要枚数をお知らせくだされば、すぐお送りします。さまざまな集会で配布したり、お知り合いの方にお送りくださるなど、広げるための活動に力をお貸しください。           
     
呼びかけ人(8月13日現在51名) (あいうえお順)

天野恵一 石崎昭哲 石森健 江藤正修 遠藤一郎 大野和興 小倉利丸 大沢豊 小寺山康雄 大橋成子 
加地永都子 鎌田慧 菅孝行 菊永望  北沢洋子 国富建治 虎頭昭夫 小山広明
設楽清嗣 島田清作 白川真澄
高木久仁子 高見圭司 高田 健 高橋千代司 塚本春雄 柘植洋三 富山洋子
中里英章 中山千夏
橋本久雄 花崎皋平 林廣治 針生一郎 樋口篤三 日高六郎 福富節男 福士敬子 藤川泰志 
前田裕晤 松谷清 水原博子 武藤一羊 村田文雄
矢崎泰久 柳川秀夫 山鹿順子 山口幸夫 吉川勇一 吉田勇
渡辺勉

 連絡先:市民のひろば(東京都千代田区三崎町3−1−18近江ビル4階、TEL03−5275−5989 FAX03−3234−4118) 

元管制塔被告への不当な損害賠償請求に抗議し、皆さんへ、大胆率直に、訴える声明の会