news-button.gif (992 バイト) 101.意見広告運動についての『朝日』の記事の反響 (2003/12/22掲載 )

 12月22日(月)の『朝日新聞』全国版の朝刊社会面に、私も力を入れているイラク派兵反対などの意見広告運動の状況を報ずる記事が載りました。(記事は最後に掲載) 予想はしていたのですが、朝から夜まで、運動事務局の電話は鳴りっぱなしになりました。受話器を置いた途端に、すぐベルがなります。どの人も、「やっとつながった、朝からずっとかけ続けていたんですよ」といいます。中には、電話局に、いくらかけてもつながらないが故障ではないか、という問い合わせもあったようで、電話局から連絡も入りました。
 事務局には、井上澄夫さんほか、もう一人のボランティアの人がいて、応対に努めたのですが、お茶を飲むこともトイレに行くこともできないほど、と言っても大げさでないほどでした。私も、午後、事務所へ行って、まず、お湯を沸かしてお茶を入れ、それから電話の応対を手伝ったり、依頼のチラシの発送を少し手伝ったりしたのですが、とにかく大変、うれしい悲鳴でした。
 感じたことは、反戦運動の素地は、まだまだ膨大にあるのだが、運動の側がそこに十分に接しえていない、ということでした。ほとんどの人は、「反戦の意思表示をしたかったのだが、どうしていいかわからなかった、イラク派兵の準備が進むのに、いてもたってもいられなかった、やっとこれで、自分も意見を表明する機会を得られる」という趣旨のことを言われました。北海道から九州まで、若い人、87歳だがという人生の先輩、さまざまな人からの電話が、異口同音にそういうことを言われました。参加の最低限の方法をお伝えする1件の電話が平均2分として、1時間に30本、9時間、話し続けてやっと270人ほどの方にご返事したことになるのでしょうか。つながらないので、あきらめた方もいるに違いないと思います。運動の広げ方についての工夫がまだまだ必要と思いました。
 募金目標の1,500万円があと1〜2日で達成されることは、間違いないでしょう。明年なるべく早く意見広告が掲載できるよう、これから、文案確定、すでに引き受けてくださったイラストレーターの鈴木一誌さんによる紙面レイアウト、新聞社の広告部との掲載料の交渉などに、これから年末いっぱい、忙しい日々が続きそうです。
 とにかく、今日の反響の大きさに驚いた次第です。

(『朝日新聞』12月22日朝刊社会面の記事)

イラク派遣反対
募金1400万円に

意見広告運動に反響

決定者自ら行って/教え子の隊員心配

 自衛隊のイラク派遣に反対する意見広告を新聞に出そうという市民運動の呼びかけに、2カ月半で1400万円の募金が集まった。振込伝票の通信欄に、自衛隊員への心配やイラクの平和への思いを、びっしりと書き込んでくる人も多い。「教え子の隊員が心配だ」「年金老人78歳。スズメの涙ですが」 「憲法9条を派遣しよう」
 全国紙でイラク派遣と改憲への反対を訴えようという「市民意見広告運動」。作家の澤地久枝、歴史家の色川大吉、哲学者の鶴見俊輔、漫画家の石坂啓の各氏らが呼びかけ人になり、来年1月中旬の掲載をめざす。
 事務局長の井上澄夫さん(58)らが全国の市民団体を通し、目標1500万円の募金を呼びかけたのが10月初め。関係者も驚く早さで、これまでに約3500人が応じ、21日までに「あと100万円」に達した。
 送金が急増したのは自衛隊派遣の基本計画が閣議決定された今月9日すぎから。それまで1日平均数十件ずつ、数万円から20万円程度で推移してきたが、10日に117件47万円、11日に105件46万円、15日には217件115万円になった。
 記者会見で憲法前文を読み上げた小泉首相に対し、山口県小郡町の浦部頼子さん(67)は「勝手な解釈」と批判し、「身が凍りつく思い。決定者自らイラクに行ってほしい。いつも決定者は無傷なのですから」と書き送った。
 「殺すのも殺されるのもイヤ」と書いた高校生の飯塚彩さん(16)=千葉県野田市=は、「イラクの人々はほんとうに自衛隊を望んでいるの? 復興事業も米国が独占するのではなく、イラクの人々の働き口にならなければ」と話す。
 賛同者の6割以上が女性で、北海道が目立つ。「卒業生は自衛隊に入っています。心配です」と高校教師の落合良子さん(29)は書いた。
 脳幹梗塞(こうそく)で思うように動けない安岡英二さん(64)=高知県大月町=は「戦争加担は許し難い」との意思表示の場を探していた。病気の両親の介護で家を離れられないという高橋国明さん(53)も「護憲政党が敗退し、反戦・平和を訴える場がますます狭くなってきた」と危機感を強めていた。
 「日本がどこへ行くのか不安。家族3人で参加します」 「9条が改めて脚光を浴びているのに政府はどこを見ているのか」など。メッセージは連日続く。
 問い合わせは同事務局(電話03・3423・0185)へ。

 なお、現在発売中の『週刊新潮』12月25日号は、「『彼をイラクに行かせないで』 また得意の手口を使った『朝日』の反戦記事」という〔特集〕記事を載せ、12月11日付け『朝日』朝刊の記事を引用しつつ、「自衛官を恋人に持つ女性が派遣に反対していることをダシにして,お涙頂戴で読者に反対を訴えたのだ。朝日得意の手口である」と非難した。
 また、12月4日の『朝日』には、本田雅和記者の署名入りで、私たちの意見広告運動に寄せられた北海道の自衛官の妻からの便りを紹介し、その女性へのインタビュー記事が載ったが、これに対しても、『週刊新潮』は、「朝日新聞OB」の稲垣武氏の談話、「私にいわせれば、生命の危険を顧みず職務を遂行することが自衛官の本分であり、記事に登場する妻は、自衛隊員の妻としての覚悟がないというしかない。しかし、この記事には、実名が出ておらず、検証のしようがありません」を載せている。ほかに、拓殖大学の佐瀬昌盛教授の「……家族もまた、父や夫がそうした任務についていることを誇りに思っています。……日頃から父や夫の姿を見ている家族なら、頑張ってきてね、というのが普通なんですよ」という談話を紹介してもいる。
 『週刊新潮』の朝日新聞非難は毎度のことで、右派言論人の談話を動員するやり方こそ、『週刊新潮』お得意の手口というところだが、ただ、「自衛官の妻としての覚悟」だの「誇りに思う」「頑張ってきてね」などといって戦地へ家族を送り出すのが普通というのであれば、「父よ、あなたは強かった」だの、「夢に出てきた父上に、死んで帰れと励まされ、覚めて睨むは敵の空」というようなあの歌の世界が、すぐそこまできているということになるだろう。