3.9「いまなぜ『終末期』及び『事前指示書』なのか」集会決議                       2019年3月9日               やめて!!家族同意だけの「脳死」臓器摘出!市民の会               尊厳死法いらない連絡会                  代表   弁護士 冠木 克彦 1.私達は、従来から、『脳死』臓器移植による人権侵害や、尊厳死法といわれる延命治療の切りすて等、広く病者、障害者、高齢者の生命の切り捨てに反対してきた。   しかし、尊厳死法というような法律が作られていないのに、厚生労働省のガイドラインや各学会が任意で作っているガイドラインによって、話し合いや一定の要件のもとで,現実には当該患者の同意をとって、生命の切り捨てを行う動きが、かつてない勢いをもって私達に迫っていることを意識せざるをえない。   社会保障費の切り捨て、社会保障のもとで保護されている人たちに対するヘイト、バッシング、生きるための医療費を切り縮めることによって、各患者が自己の存在によって家族を苦しめる心配から、自らの意思で早く死なされていく状況に追いつめられている。 2、本日の集会で明らかになった事実は、2007年(平19)厚生労働省が「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」(現在は改訂され「医療・ケア」となっている)がだされ、かつ、医療機関に患者から「蘇生術拒否の同意(DNR)」をとることを勧めた結果、助けられる命が助けられない危険にさらされていること、新しく始まったアドバンス・ケア・プランニング(ACP)では、数人で何回も何回も「話し合い」がなされ、最終的に延命治療について断念させられたりするような対応が強まり命の切り縮と目される状況が進行している。。 3.加えて各自治体などが進めている「事前指示書」では最後を迎える場所を自宅としていると、自宅で病状が急変悪化しても救急車は病院に運んでくれないとか、抗生剤の使用を望まないとしていると肺炎になっても使用してもらえず死亡させられるなど、明らかに高齢者などの生命を早く切り捨てる政策として機能していることがあきらかである。 4.これらは、社会保障費を削減するため、社会的弱者である病者や高齢者を攻撃して切り捨てていく政策の一環としてなされていると判断せざるをえないし、このことがまた社会における高齢者などにたいするバッシングをかそくさせているとかんがえられる。現に本年2月11日朝日新聞朝刊は「終末期医療とコスト」の表題で、文芸誌「文学界」2019年1月号の若手論客の対談を紹介しているが「亡くなる一か月前の医療は必要ない」「延命治療は保険適用外に」などと暴論を平気で発表する社会現象も生み出し、また、3月8日毎日新聞で明らかにされた公立福生病院での患者に透析中止方針を選択させて死亡させるという自殺教唆で切り捨てる深刻な事態まで発生している。 5.今や生命を救うはずの医師が「死の提案」を行い、患者の利益のためとして延命治療を受けさせず、早く死なせる方策が現れるまでに至っている。 これら深刻な事態を前にして、わたくしたちは、なお、理不尽かつ不合理な事実を一つ一つ暴露し、政府厚労省が進める社会保障切り捨て政策に反対し、私たちの憲法上の権利たる生存権に基づき社会保障拡充政策を要求するものである。                                   以上