緊急市民集会の開催にあたって 2011年2月19日 実行委員会 代表 冠木克彦 1.臓器移植法の「異常な改悪」 2010年7月17日臓器移植法が施行され、臓器提供側患者(ドナー)が「臓器提供しない」という意思表示をしていないかぎり、家族が同意すれば「脳死」の判定をして、脳死判定が出れば臓器を摘出することができるようになりました。 1997年に作られたもとの臓器移植法は、「脳死」は人の死とは決められないから、ドナーから臓器を合法的に摘出する根拠は唯一、そのドナーが提供する意思を表示しているから違法でない(違法性阻却)として立法されました。  では、ドナーが臓器提供の意思を表示していないのに、家族が同意して摘出することがなぜ殺人にならないのか。この問題がとけないからこそ、新聞記事にもありますように、同意をした家族が悩み苦しんでいるのです。  これ以上被害者を増やしてはなりません。法律はできましたが、この制度に対する反対や疑問の声を大きくすることによって食い止めなければなりません。 2.市民組織を作り、継続的に反対の声をあげていきましょう  法律ができてしまっているため、粘り強く家族同意条項の撤廃を訴えていく必要があります。そして、一旦同意した家族が「やはりおかしい」と考えて裁判に訴え、判決をとっていくというような形を展望していく必要があります。そのためには恒常的市民組織が必要です。本日の集会の名称と同じ市民組織を立ち上げ、多くの市民の皆様がご参加いただけるよう心から訴える次第です。会の趣意や組織はお手元に配布しています。自由でゆるやかな市民組織でしなやかに息を長く続けたいと思います。 3.本日を出発点に広く大きな運動にしましょう  本日の集会では、小松美彦先生に「脳死は人の死ではない」ことを基本的なところからお話いただきます。そのあと、これまで無意識というのは外からの刺激に反応しない状態と考えられてきましたが、昏睡し瞳孔散大の状態でどのような刺激にも反応しない人が、実は、その間外部の会話を聞いており、記憶し、回復後にしゃべったという事例について報告します。そして、その実例としてのザック君の話があり、会場からも多くの発言があると思います。本日この集会を準備した諸団体は、移植法が制定される前から「脳死」の問題に取り組んできた団体であり、それ故に寄せられた多数のメッセージは良心を代表されているメッセージです。  法律が改悪されて後、本日を出発点として新たに運動にとりくんでいきたいと思います。