埋立工事中止要請書


平成17年2月7日


大分県知事 広瀬勝貞殿

大入島石間区           
代 表    清 家 太
大入島埋立反対弁護団       
団 長 徳 田 靖 之

第1 要請の趣旨
  佐伯市石間浦地先水面の埋立計画について、工事を完全に中止すること及び計画を白紙撤回することを求める。
第2 要請の理由
1 大分県は、本年1月、予算執行の期限を理由として埋立を強行しようとした。現在は安全確保を理由に工事を一時中断しているものの、埋立工事を撤回したわけではなく、今後埋立工事を再開する方針であることにはかわりないとしている。
  しかしながら、以下に述べるとおり、本件埋立計画は、地元住民の意志を無視したものである上、多額の公費を使い豊かな自然を破壊して、用途すら決まっていない空地を造成するという計画であり、到底、合理性のないものである。
2 埋立予定海域は地元住民が先祖代々守ってきた海であること
  大入島では、文献で残っているだけでも、遅くとも明治時代から現在に至るまで、地先水面の管理は部落が行い、部落民が採貝採藻しそれらを食べて生活の糧としている。地元住民らは海と共に生活してきたという実態が古くから存在する。
  にもかかわらず、大分県は地元部落の同意を得ずに埋立工事を行おうとしている。これは、先祖代々管理してきた地元部落の意見を無視するものであり、また海と共に生活してきた地元住民の生活環境そのものを破壊する行為である。
3 石間浦を埋め立てる必要性が存在しないこと
  県は埋立の目的として、@宅地を造成すること、A緑地公園や運動公園を整備すること、B浚渫土砂・掘削残土の廃棄場所を確保することをかかげている。
  しかしながら、@大入島は過疎地であり多くの空き地、空き家があるので、巨費を投じて宅地を造成する必要性はまったくない。A大入島には、すでに緑地公園や運動公園が整備され、ほとんど利用されていない利用状況に鑑みると、新たに緑地公園等を整備する必要性も皆無である。必要性もないのに過疎の離島に埋立地を造成すれば、埋立地が利用されないまま空き地となることは当然に予想される。実際に、かつて大入島の堀切や守後で造成された埋立地についても、現在空き地となっているという現状がある。
  ところで大分県は、埋立計画においては、宅地の造成や緑地公園の整備をするとしておきながら、その必要性がないことを指摘されるや、今後、地元住民と相談し、埋立地の利用目的を定めていきたいなどと表明した。このことは、埋立計画にかかげた埋立目的が埋立免許出願のための名目的なものであり、実際には利用目的がいまだに決まっていないことを表している。
  利用目的も定まっておらず、利用されないまま空き地となる蓋然性が極めて高いのに、そのような埋立工事を緊縮財政を推し進めている大分県が行う必要性は全く存在しない。
4 石間浦を埋め立てる必然性が存在しないこと
  大分県は本年1月の工事再開にあたり、地元住民には、佐伯港港湾整備の必要性について理解を求める旨の記者発表をし、前記埋立目的中のB浚渫土砂等の処理の必要性を説いてきた。
  しかしながら、浚渫土砂等の処理の必要性が存在するとしても、そのことと石間浦を埋めなければならないということはつながらない。佐伯港の港湾を整備することと石間浦を埋め立てることは不可分一体のものではなく、石間浦を埋め立てずとも佐伯港港湾の整備は可能であるはずである。
  しかも石間浦は、先述のとおり石間部落民の生活の基盤である上、後述のとおり豊かな自然の残る貴重な海域である。地元住民が命を賭して守ろうとしているこの海をあえて埋め立てなければ必然性は全く存在しない。
  なお、地元住民において反対しているのは、石間浦の埋立工事に対してである。佐伯港港湾整備に対する反対運動などは全く行っていない。にもかかわらず、大分県は、知事が「工事は佐伯や県南の将来のことを考えてのこと。県南で若い人たちが就職し、雇用の場を作れるようにしたい。引き続き、理解頂けるよう努力する。」などとコメントし、あたかも地元住民が佐伯港港湾整備自体に反対しているかのような発表を繰り返してきている。このような発表をする大分県の姿勢は、埋立反対運動の理由を真摯に受け止めたものといえず、極めて遺憾である。
5 環境保全の必要性
  大分県による再調査においてもすでに明らかになったとおり、埋立予定海域には、多種の絶滅危惧種が生息している。この調査結果を受け、大分県は、埋立計画を当初より縮小すること、埋立地の近くに藻場を造成し自然環境の再生を図ること、といった方針を表明している。
  しかしながら、埋立予定地の1期工事分は希少生物が生息する貴重な干潟すべてを包摂する場所である。当初の計画の一部を縮小しても、埋立予定の1期工事分の埋立工事をすれば、希少生物の生息環境の破壊をまったく避けることができない。
  また環境を保全するということは、自然界に存在する生態系そのものを保存することに意義があるのであり、新たな藻場を造れば足りるなどという考えはそもそも的はずれである。貝類の専門家である山下博由も「そのような試みが成功した例など聞いたことがない」と大分地裁での埋立免許取消請求訴訟において明確に証言した。
  そもそも大分県は、環境保護基本条例を制定し、自治体と施主に、環境保護義務を課している。本件埋立において大分県は、自治体として施主として二重の環境保護義務を負っているのである。また、大分県は独自にレッドデータブックを作成し、希少生物の保護を図っている。特に石間浦に生息している希少貝類については、ほかならぬ大分県のレッドデータにおいて、埋立により生息環境が破壊されているので保護が図られなければならないとしている種なのである。本件埋立計画は、明らかにこのような大分県の基本的な施策と矛盾する。
6 以上より、本件埋立は、その必要性も合理性も欠き、豊かな自然を破壊して、利用計画のない空き地を造成しようとする工事であるのは明らかであるから、要請の趣旨記載のとおり、埋立工事の完全中止と計画の白紙撤回を要請する。
  知事においては、石間浦住民の思いを理解し、英断を下されることを期待する。
以上

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