土岐〜瑞浪(東濃)[1998/05]

[背景]
 1995年8月21日、科学技術庁と動燃が「東濃地科学センターに「超深地層研究所」を建設する」と発表。
 1995年8月22日、新聞・NHKで発表され、初めて市民は知る。当初「高レベル放射性廃棄物のちそうしょぶんのための研究」と言う事がきちんと説明されず、かえって不信と疑惑の思いが募る。発表してして協定書を結ぼうとしたが、市民の反発は強く、凍結状態になる。
 1995年12月12日〜15日、瑞浪市議会本会議で「超深地層研究所」建設に関する協定書調印の凍結を求める三つの請願が否決される。そのため、研究所建設に不安をもつ瑞浪の市民が「住民投票を実現させる みずなみ市民の会」を結成し、協定書調印を一時凍結する事の賛否を問う住民投票条例の制定を求める直接請求の署名を集める。年内中に住民投票の是非を問う為、有権者の1/30である631人の約3倍1,730人の署名を3日で集めて議会に提出したが、却下された。
 1995年9〜12月、瑞浪市の総人口35,752に対し、半分に近い19,563人が協定書の調印締結を求める署名に署名した。
 1995年12月28日、直接請求の手続きがされている最中、県庁で科学技術庁原子力局長の立ち会いのもと、岐阜県、土岐市、瑞浪市、動燃の4者による協定書が市民の声を無視して強引に調印される。

超深地層は高レベル放射性廃棄物を地層処分するための基礎研究である。実験では実際に高レベル廃棄物を用いた実験が行われるだろう。また、地層の研究とはいえ、同じ地形は他には存在しないため、東濃が核のゴミ捨て場になる可能性は極めて高いと言えるだろう。実際1997年5月26日科学技術庁原子力局廃棄物政策課の職員は次のように発言「青森県は知事の了承なくして処分場にしないと確約しているが、岐阜県については確約していない。岐阜県が処分場になるかどうかについては、今後検討される」と。

[感想]
 土岐市の駅に降り立つ。案内をしていただくOさんに車に乗せていただき、まずは核融合科学研究所に向かう。この辺りは昔から陶器の街で、江戸時代には徳利は殆どが東濃で作られていたと言う。道沿いにある看板が目立つ「首都機能を東濃に」。関東圏に住む人は殆ど知らない大きな目標を掲げており、何枚もその看板を街中で目にする事が出来る。地元の土建屋をその気にさせて何を企んでいるのだろうか。青森の六ヶ所村は企業誘致の予定だった、日の出はスポーツ施設が出来る予定だったと言う。そこに何かが企まれている可能性は極めて高い。又、計画されいる東海環状自動車道路は超深地層研究所の近くに通される計画であり、その計画には驚かせられる。
 核融合研究所に着く。核融合は高温中で行われるため、周辺器材冷却用の水が大量に必要とするため、近くのダムのかさあげ(90m→115m)が1箇所、新しいのが1箇所(1箇所は完成済み)建設する。実験が進につれ、完成予定が遠のいて行き、多くの知識人が実現不可能と言っている核融合研究にこれだけの予算を注ぎ込む理由はなんだろう。純粋な「知への探求心」だけとはとても思えない。
 次に先端科学技術体験センターに向かう。先端科学技術センターはまだ建設中だった。ここでは多くの子どもを集めて科学の楽しさを教えると言う。超深地層研究所は山の向こうにあり、いずれは道を広げる予定だという。この他にも、極限環境研修センター、極限環境科学館など東濃研究学園都市構想は膨らみ続け、この不況の中、東濃では建設ラッシュである。
 超深地層研究所予定地である月吉地区の正馬様洞に向かう。正馬様までは細い道が続いており、小さなトンネルを通る。現在動燃がボーリングを行っているが、道が細いためその器材をバラバラにして持ち込んだそうだ。動燃としては道・トンネルを太くしたいのだが、地元住民の反対のため出来ないでいると言う。


正馬洞への唯一のトンネル。隠れ郷の雰囲気の場所だ。

 正馬様は細いトンネル以外は出口の内盆地であり、隠れ里の様な美しい土地だ。水がその土地に白い布を被せた塔が2つ立っている。ボーリングを行っているのだ。予定では1000mまでボーリングすると言う。現在600mまでボーリングしている。ボーリングは計画の2段階目にあたり、着々と計画が進んでいる事に気付かせられる。正馬様内に後7箇所ボーリングする予定だと言う。4〜5キロ離れた周りは9箇所1000mボーリング済み。

     
 ボーリング。現在600m        遠くから写す。水が絶え間無く流れていた。

 正馬様の近所の反対運動の方にお話を伺う。先日、水利組合が動燃から198万(1年分)貰ったらしい。1991の動燃技報にこの月吉地区をモデルにした地下水の流れのレポートが出ている。この計画はそんな前から決まっていたとは驚きだ。
 全国の皆が気付かぬうちに計画は着実に進んでいる。


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