茨城県血中ダイオキシン濃度発表に対する 声明 1999/05/27

一.
 本日、茨城県による城取清掃工場周辺住民のダイオキシン類関連健康調査結果が発表された。右結果によれば同工場に隣接する新利根町根本・龍ヶ崎市塗戸などをふくめて、周辺住民の血液中のダイオキ シン類は平均で九・七ピコグラムというものである。
 この間、住民団体による二度の自主的な調査によれば、城取清掃工場周辺住民からは高濃度のダイオキシン類が検出されている。また、組合の洗浄灰の検査でも八五〇〇ピコグラムという極めて高濃度のダイオキシン類が検出されており、城取清掃工場のこれまでの操業実態からすれば、周辺環境や人体汚染がないということは考えがたく、今回の県の調査結果は信じがたい。

二.
 今回、調査を実施したのは日本の民間企業であり、これまでほとんど検査実績はなく、また脂肪抽出方法などの分析方法は公開されておらず、結果のみの公表ではおよそ科学的検証には耐えられないものである。
 労働省が実施した、能勢の労働者の調査は、実績のあるドイツの調査機関に依頼しており、高濃度の結果が出ている。県がなぜ、能力がありかつ価額面でも安い海外の調査機関を選定しなかったのか疑問である。
 ちなみに右企業は、四月二八日、公正取引委員会よりダイオキシン分析に関し、談合により排除勧告をうけた企業である。

三.
 城取清掃工場をめぐる環境汚染は、同工場の操業実態をみれば明らかである。県及び組合は、洗浄灰のデータを長年にわたり隠し、かつ環境庁の定める土壌汚染一〇〇〇ピコグラムをはるかに超える八五〇〇ピコグラムを検出しながら、今年に入ってから、そのデータを隠したまま通常の方法で民間業者に委託して大量の灰を勝手に処分している。これは、能勢が汚染土壌を今も厳重に保管しているのに対して、極めて悪質である。また組合は、周辺の地下水の検査データも隠している疑いがある。
 このような長年にわたる事実隠ぺいの体質をまず改めることが必要である。

四.
 城取清掃工場をめぐる周辺環境が、ダイオキシン類や重金属類などにより汚染されているのではないかという住民の疑いは、長年にわたりその操業実態を見てきた住民の確信である。周辺住民の間でのガン死の多発など、住民の懸念はこの間の住民団体による土壌・血液調査により裏付けられてきた。県知事は、今回の結果で住民に健康問題はないかの如く発表しているが、これは極めて一面的である。真実、城取清掃工場からの汚染がないというのであれば、同工場と周辺の土壌、そして河川や地下水などの環境汚染や、素堀の谷に焼却灰を埋めている最終処分場のボーリング調査などを行い、十分に実態を解明しなければ判断できないものである。ダイオキシン類や重金属類などによる汚染は、長年月を経て現れるものであるからである。

五.
 私達は、今後も城取清掃工場による環境・人体汚染について、さらなる自主的調査を続けるとともに、県や組合に対しては公正で科学的な調査を実施していくようこれからも要求していきたい。そして、住民が安心して暮らせる環境を取り戻すために引き続き努力していく所存である。

一九九九年五月二七日

      龍ヶ崎 自然と環境を守る会           代 表    横田 誠
      新利根町 ダイオキシンから子供の未来を守る会  会 長    野村金次郎

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