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1997年
1月 1日 同日付『産経』の「年頭の主張」―「日本史には、 125代
にわたって平和裏に存続した天皇の存在がある。連綿とし
た文化の継承性を象徴する。この歴史は誇りとすべきであ
り、守らなければならない」
4日 橋本龍太郎首相が伊勢神宮に参拝
「明るい日本・議連」(自民党)と「正しい歴史・議連」
(新進党)が、中学校教科書の「従軍慰安婦」記述の削除
や検定制度の見直しに向けて、連携する方針を固める(同
日現在、両議連に所属する議員は衆参両院で177人)
7日 同日付『産経』によれば、同紙の6日までの調べで、中学校
教科書から「従軍慰安婦」記述の削除を求める陳情を趣旨
採択したり、 政府への意見書を採択したのは、96年暮れま
でに10議会にのぼっている(【都道府県議会】岡山県
【市町村議会】青森県黒石市、 金木町、柏村、山形県南陽
市、 新潟県栃尾市、岡山県瀬戸町、大原町、北房町 京都
府加茂町)。また陳情が継続審議などになっているのは、6
議会である(【都道府県議会】新潟、 福井、熊本、鹿児島
の各県 【市町村議会】青森県中里町、長崎県琴海町)
13日 自民党の江藤隆美代議士(元総務庁長官、宮崎2区選出)が
北9州市内でおこなった講演で、 次のように発言。教科書
の歴史記述に関連し「韓国併合」について「国と国が条約
を結んで決めたことの、どこが侵略なのか。言葉は悪いか
も知れないが、町村合併といかほどの差があるのか」。中
学校の教科書に従軍慰安婦などの記述が盛り込まれること
について「侵略とは武力による占領、弾圧、搾取だ。いっ
たい日本がどこを侵略したというのか。白人世界がやった
植民地支配とは違うのに、なぜ教科書に載せなければなら
ないのか」(1・14付『朝日』)
さらに江藤は同日夕、共同通信に対し「町村合併ですら血
で血を洗うような抗争がある。 1つの国がなくなり歴史が
途絶える時、国を挙げて賛成するわけがない。しかし、当
時の韓国政府はそういう選択をした」とのべる(江藤は第
2 次村山連立政権の総務庁長官だった95年10月11日、「韓
国併合」について「当時は国が弱いとやられた時代だった
んだから、やむをえないことだ」など日本による朝鮮の植
民地化を正当化する発言をして、 辞任をよぎなくされ
た。)
14日 自民党の総務会で板垣正参院議員が96年秋総選挙の公約に
盛り込まれた「靖国公式参拝の実現」が97年の党運動方針
案で見送られたことを批判、板野重信参院議員会長などが
教科書問題など歴史教育の是正への対応について執行部を
批判
19日 右派弁護士グループが「自虐的・反日的な教科書を使った
授業は公平・公正な教育を受ける子どもたちの教育権を侵
害する」として、国、教科書会社を相手取り、検定教科書
の履修義務不存在の確認を求める訴訟を東京地裁に起こす
ことを決める
◆東京・渋谷区で「『従軍』慰安婦と教科書問題」をテー
マに藤岡信勝東大教授らをパネリストにパネルディスカッ
ション(主催・東京レディスフォーラム)が開かれ、 約
400人が参加
21日 「新しい歴史教科書をつくる会」の呼びかけ人代表 7人が
文部省で小杉文相と会談。教育課程審議会で歴史教育の見
直しを加える、中学校教科書の「従軍慰安婦」関連記述を
大臣勧告で削除する、 の2点を申し入れ。文相は後者につ
いては拒否、前者について「ヒアリングなどをおこない、
真剣に審議するよう事務当局に指示する」とのべる(この
時点で「新しい歴史教科書をつくる会」の呼びかけ人は20
人になり、賛同者は100人を超える)
〔「新しい歴史教科書をつくる会」の新たな呼びかけ人11
名〕(最初の呼びかけ人9名については、 本年表の96年12
月2日の項を参照してほしい)井沢元彦(作家)、 伊藤隆
(東大名誉教授)、 大月隆寛(国立歴史民俗博物館助教
授)、大宅映子(評論家)、賀来龍三郎(キヤノン代表取
締役)、川嶋廣守(プロ野球セ・リーグ会長)、佐藤愛子
(作家)、 遠山1行(音楽評論家)、 涛(なみ)川栄太
(作家・新松下村塾塾長)、芳賀徹(国際日本文化研究セ
ンター教授)、山本卓真(富士通会長)
24日 同日付『朝日』夕刊によれば、 4月から使われる中学校社
会科教科書の執筆者や出版社役員の自宅、出版社などに、
執筆者や役員の自宅の写真コピーを同封した脅迫状が送ら
れていたことがわかった。文書は教科書の内容が偏向して
いると批判する内容で、「赤報隊精神も想起しましょう」
などの表現もあった。文書が届いた出版社は、教科書を発
行している7社のうち東京書籍、 大阪書籍、日本書籍、教
育出版で、96年12月上旬から中旬にかけて届いたという。
(「赤報隊」は、一連の朝日新聞襲撃事件後、通信社に犯
行声明を郵送している。)
◆同日夕、梶山静六官房長官が首相官邸で元従軍慰安婦問
題に関連して「中国に行って来た中山太郎さん(元外相)
と今日、慰安婦の問題などについて電話で話した。今、声
高に言っている人たちは、その時代背景について習ってい
るわけではない。当時、公娼(こうしょう)制度があった
ということを知らない。私たちより上の世代は従軍慰安婦
といってもそれほど驚かない。(公娼になったのは)多く
は貧しくてカネのためだったんだろう。戦地に行くと加給
金がもらえるということもあったし、最後には徴用とか徴
発があったんだ。背景も知らずに、そういうことだけを教
えるのはどう思うか」などとのべる(この発言内容は1・
25付『朝日』。同日付『産経』では「今の人はその当時の
社会状況というものを教えられていない。昔は公娼制度と
いうものがあった。それが、戦地にもそういうものができ
て、いくらか加給金がはずまれた。戦争の後の方に徴発と
いうか、そういうことがあったかもしれない」となってい
る)。中山元外相は24日、 梶山長官に「過去の戦争中の
出来事を否定するものではないが、元慰安婦問題などを青
少年に教えるのは時期尚早であることを理解してほしい」
などと電話で語った(1・25付『産経』)。
25日 橋本龍太郎首相は韓国の金泳三大統領との昼食会(大分県
別府市)で、 前日の梶山発言について、 「報道の結果、
(大統領と韓国国民が)懸念を持たれたとすれば申し訳な
いし、本意ではない」と「陳謝」する。金大統領は「官房
長官は内閣のスポークスマン。発言は非常に不幸なタイミ
ングで、(韓国)国民に衝撃を与えた」とのべ、さらに同
日の共同記者会見で「日本の一部の政治家が過去に対して
韓国国民にとって理解に苦しむ話をよくしている。実際に
あったことは、隠すことも消すこともできない。ありのま
まの過去を直視したうえで、未来志向的な関係を築いてい
かなければならない」と不快感を表明。 (1・26付『産
経』の記事〔署名・榊原智〕は、梶山発言について「官房
長官としての立場、首脳会談の直前というタイミングをわ
きまえなかったのは、軽率とのそしりを免れないが、ある
意味では『正論』といえる」と論評)
◆東京の九段会館でシンポジウム「反日・自虐の歴史教科
書を如何に正すか」がおこなわれ、大原康男國學院大教授、
長谷川潤桜丘中学校教諭(大阪府枚方市)、半本茂「教科
書を正す親子の会」事務局長らが発言。半本発言「教科書
問題では政府も役所も責任をとらない。各地方議会に教科
書是正のための請願を出したり、裁判などを行うことで、
政府が政策を変更しやすくなる状況を作り上げていく必要
がある」
26日 岡山市内で藤岡信勝東大教授が講演(タイトル「教科書が
教えない歴史」)。主催は「岡山キリストの幕屋・教育問
題を考える会」〔「原始福音・キリストの幕屋(まく
や)」は、「日本の精神的荒廃を嘆き、大和魂の振起を願
う」ことを信条のひとつとする国粋主義的キリスト教派〕
27日 梶山官房長官が記者会見で開き直る。その発言「(1月24日
の発言が日韓首脳会談で取り上げられたことについて)正
当に書いていただければ良いが、(記者の)自分の判断を
交えて書かれるのは大変迷惑だ。一部の方々が、日韓関係
を悪くしたいという意思があったかわからないが、結果と
して、そういうものをもくろんだというなら反省をしてほ
しい」(報道機関への不信感の表明)、そのうえで「首脳
会談で少しでも不快な思いと、韓国国民に誤解を与えたこ
とは、 私の不徳の致すところで、 心からおわび申し上げ
る」「(発言の真意について)日韓にまたがる慰安婦問題
を申し上げたのではない。戦争中の時代、貧しいために公
娼制度があった。やむを得ず自分の体を売らなくてはなら
ない立場に追い込まれた経済的な弱者がたくさんいた。軍
隊が外地に行くにしたがって、そういう方々も進出してい
った」「(教科書の記述について)慰安婦問題も当然取り
上げるべきだ」(発言内容は1・27付『朝日』夕刊)
◆同日、神奈川人権センター(日高六郎理事長)が、 1月
29 日に開催される三浦商工会議所(神奈川県)新春経済
講演会の講師としてジャーナリストの櫻井よし子が予定さ
れていることに対して、再検討を要請
◆同日付『産経』のコラム「産経抄」=「梶山発言は間然
するところもないほど正しい」
28日 三浦商工会議所は、神奈川人権センターの申し入れと市民
からの抗議の電話を 「総合的に判断して」、翌日予定さ
れていた櫻井よし子の講演会を中止
◆衆院予算委員会で梶山官房長官が「釈明」=「大人げな
いといえば大人げないが、(発言の)次の日に首脳会談が
おこなわれることをつい失念していた。そのことを橋本龍
太郎首相におわびしたし、首相から金泳三韓国大統領に事
情の説明を願い、『韓国民に嫌な思いをかけたとすればお
わびして欲しい』と申し上げた」
29日 日本教育会熊本県支部(校長などで構成、支部長・瀬下享
済々黌高校校長)が2月1日に予定している藤岡信勝東大教
授の講演会を熊本県と熊本市の教育委員会が後援している
ことに対して、「歴史を歪曲する藤岡信勝講演会に反対す
る市民の会」(「自衛隊の海外派兵に反対する熊本市民フ
ォーラム」など約50の団体・個人が参加・賛同)が、両教
育委員会に後援の取り消しを申し入れ。県教委は拒否(30
日には、「子どもと教育くらしを守る県教職員懇談会」と
「新日本婦人の会県本部」が県教委に後援の撤回を要請。
31 日にも「熊本『証言』集会実行委員会」が県・市教委
に抗議)
◆同日付『産経』によれば「参院自民党が政策審議会に設
置した『教育問題に関するプロジェクトチーム』(座長・
井上裕元文相)は、昨年12月中旬の会合を最後に再開のメ
ドが立っていない。教科書問題への対応をめぐって、打ち
切りを求める座長と議論の継続を訴えるメンバーとが対立
しているため」
30日 参院予算委員会での質疑の一部。田村秀昭議員(新進党、
会派=平成会)「中学校教科書に事実と違う部分がある。
訂正する気はあるのか」・小杉隆文相「慰安婦の部分につ
いては目を通したが、妥当と判断している」、片山虎之助
議員(自民党、「明るい日本・議連」)「教科書でも政府
のものでも、 従軍慰安婦という言葉をやめていただきた
い」・小杉文相「従軍慰安婦の問題が教科書に載ったのは、
戦後処理問題が議論された1991年3月頃からだ。 政府とし
て調査し、内外の調査機関にあたったり、資料を検証した
りして、 客観的な結果として、93年8月に慰安婦関係調査
結果が公表された。この問題が社会的に大きく取り上げら
れ、歴史の実証として、中学生にも理解できるとして、執
筆に踏み切ったと思う」・平林博内閣外政審議室長(同じ
く片山議員への答弁)「政府が調査した限りの文書には軍
や官憲の強制募集を示す記述は見いだせなかったが、総合
的に判断した結果、 1定の強制性はあると判断した」〔片
山議員が資料の予算委提出を要求したため、理事懇談会で
協議した結果、全会1致で提出を求めることで合意〕
31日 『読売』が社説「見逃せぬ《言論封じ》の動き」で、三浦
商工会議所の櫻井よし子講演中止について、神奈川人権セ
ンターを批判(同紙朝刊「編集手帳」も櫻井擁護)。同セ
ンターは文書で社説の修正を要求。同日、埼玉県羽生市と
同市教育委員会などが主催する講演会(2月22日)で当初
講師に予定されていた櫻井よし子がキャンセルされイーデ
ス・ハンソンに変更されたことが判明
◆文部省記者クラブで「新しい歴史教科書をつくる会」の
高橋史朗明星大教授ら呼びかけ人代表が、30日現在でまと
めた賛同者名簿を配布(言論・経済・スポーツ界から計
203人、 2・1付『産経』が氏名・肩書きを掲載)。同会が
30日、任意団体としての設立総会を開き、会長に評論家の
西尾幹二、副会長に藤岡信勝東大教授を選任したことを明
らかにし、社団法人化を視野に入れて幅広く会員を募集し
ながら、歴史教科書の正常化運動を進める考えを示す。さ
らに櫻井よし子の講演が各地で中止されたことに憂慮を表
明
2月 1日 ◆日本教育会熊本県支部主催の藤岡信勝講演会(熊本市、
約600人参加)
◆福岡キリストの幕屋主催の藤岡信勝講演会(福岡市、約
200人参加)
◆「新しい歴史教科書をつくる会」が1月31日に公表した
賛同者名簿に名前が掲載されたダイエーホークスの王貞治
監督は賛同していないことが判明
2日 フジテレビの報道番組での中曽根康弘元首相の発言「ガー
ドレールのようなある限度の枠はいるが、 (学校教科書
の)検定をやめて自由につくれるようにした方がいい。今
はまるで上から与えられたものを採用している。教科書会
社の寡占形態をやめ、だれでも良い教科書をつくれるとい
う競争時代にしたらいい」
3日 「よしりんの主張を支持する読者」による「10代から20代
の若者中心」の文部省・外務省に向けた教科書是正要求デ
モ(主催「教科書是正を求める青少年の会」)集会・デモ
参加者は約35人で、若者は5、6人〔2・4付『産経』は「大
学生ら約50人」と表記〕。 右翼団体の街宣車つきでデモ
〔よしりん=雑誌『SAPIO』(小学館発行)連載の
「新ゴーマニズム宣言」で、教科書の「従軍慰安婦」記述
の削除を呼号している漫画家小林よしのりのこと〕
〔集会・デモで撒かれたチラシ「まった!その教科書」の
一部〕「慰安婦とは明日にも命を落とすかもしれない兵隊
をなぐさめる公娼のことであって、 兵隊と慰安婦の営みを
非難できるでしょうか?」「(日本の教科書がアジアの反
日感情を煽る結果になってしまい)現に昨今の日本は、 竹
島や尖閣諸島の領有権の正当性についてさえ、 何も言えな
くなってしまいました」
◆和歌山市内で藤岡信勝が講演(和歌山「正論」懇話会)。
発言の一部「大東亜戦争が結果として東南アジア諸国の独
立に寄与したという事実についても子どもたちは知る権利
がある」「自虐的な歴史教育を克服しないと、日本は国家
として生き残れない」
◆衆院予算委員会での質疑 西村真悟(新進党、 「正しい
歴史・議連」)「私は、梶山官房長官の発言が事実に反す
ると思わない。 なぜ、 韓国の金泳三大統領に陳謝したの
か」・橋本首相「陳謝という言葉が適切かどうかわからな
いが、お客さんとしてお迎えし、報道されたことに対し、
不快を覚えられたとすれば申し訳なかった、ということは
確かに申した」、 西村「陳謝というのは謝罪ではないの
か」・橋本「報道されたことが不快感を与えたとすれば申
し訳なかった」(2・4付『産経』の見出し=「首相、報道
を否定、『梶山発言』自体は陳謝せず)
◆同日付『朝日』朝刊によれば、日台交流の議連である自
民党の「日華関係議員懇談会」(山中貞則会長、 202人)
と新進党の「日華議員連盟」(小沢辰男会長、 67人)が2
月5日に統合する。 また、自民党の「みんなで靖国神社に
参拝する国会議員の会」(小渕恵三会長、 209人)と新進
党の「靖国神社参拝議員連盟」(渡部恒三会長、71人)と
の間でも、統合の話が進んでいる。さらに自民党の「明る
い日本・議連」(奥野誠亮会長)と新進党の「正しい歴史
・議連」(小沢辰男会長)にも共同歩調をとりたいとの声
が出ている。新進党の日台、靖国をめぐるふたつの議連は、
いずれも自民党分裂の際、旧新生党議員を中心に発足した。
一連の動きは「保保連合」を視野にいれたものとの憶測も
ある〔山中貞則は「明るい日本・議連」顧問でもある〕
◆参院自民党の「教育問題に関するプロジェクトチーム」
が活動を再開。教科書問題に関する自由討議をおこなう
◆同日付諸地方紙の記事(共同配信)「文部省が検定を進
めている来春から使用の高校教科書のうち、日本史全点が
従軍慰安婦について記述、現代社会と世界史でも過半数が
取り上げていることが2日、 明らかになった。被害者証言
を採録したり、民間基金による補償にも言及するなど、現
在使われている教科書より詳細な内容となっている。関係
者によると、検定では従軍慰安婦の記述は大筋で認められ
る見通しだが、軍の直接的な「強制連行」を示す記述と被
害者数については、書き換えや削除となりそう。史実とし
て教科書に記載する流れは、定着したと言える」
2月 4日 藤岡信勝東大教授が「明るい日本・議連」の招きで講演
(自民党本部、演題「教科書問題を衝(つ)く」)。自民
党の衆参両院議員39人、代理49人が出席。藤岡は講演で、
慰安婦問題について、旧日本軍による強制連行の事実がな
かったとして、その虚構性を指摘、「戦時下と同様のマイ
ンド・コントロールが言論の自由の世の中でおこなわれて
いる」とのべる。出席した高市早苗衆院議員の発言=「政
府、国会議員の役割は国益を守ることだが、主権までが侵
されている状況になっている。それなのに教科書に慰安婦
を記述する必然性はあるのか」、小野晋也衆院議員の講師
への質問=「慰安婦問題は、国際的にこの問題を利用しよ
うとする人がいるのではないか」・藤岡の答え=「この問
題は、今まで中国や韓国がカードとして使っていたが、平
成7年前後から米国のメディアは反日的になってきている」
◆民主党の鳩山邦夫副代表が、衆院予算委員会で教科書の
検定制度必要論を展開し、その上で「従軍慰安婦を書くか
書かないかは自由だ、というぐらいの自由度をもった教科
書の検定があった方がよい」とのべる
5日 橋本首相が衆院予算委員会で、靖国神社公式参拝をめぐる
1985 年 8 月の中曽根内閣当時の官房長官談話や政府見解
について「変える意思はない」とのべ、 96年7月の参拝に
ついて「(中曽根内閣の)官房長官見解に当てはめれば、
私的参拝だった」と公式に認める(同首相は96年7月に参
拝した際、参拝の資格に関する記者団の質問に「もう、ど
うでもいいだろう。公私を分ける質問自体が、ばかげてい
る」などとのべていた。)
◆自民党の島村宜伸広報本部長(元文相)は、同党旧渡辺
派の総会で歴史教科書問題などについて講演したのち、記
者団と懇談し、自ら「ところで、みなさんはどうやって慰
安婦を集めたとみるか」と切り出し、こうのべた。「軍隊
が出ていって『ちょっと来い』と連れていったと思ってい
る人が多いようだ。おおむね現地の女衒(ぜげん)が一役
買って、中国の人なり韓国の人なりが(女性を)集めてい
た。問題発言はしたくないが、本人の意思で、望んでそう
いう道を選んだ人たちがいる」、(戦後社会の混乱時を念
頭に)「日本では本人の意思をまったく無視し、女衒が悪
さをして売春婦にした例があった。(しかし)いわゆるパ
ンスケさんは得意になっていた」。同席した中尾栄一前建
設相も(従軍慰安婦に関して)「食べるのに困っている人
を女衒が組織的に集めたことがあるようだ」とのべ、さら
に「公娼制度がなくなったことには、いろいろな意見があ
る。 1般の女性が助かっている面もないわけではない。英
BBC放送は米軍基地では年間5千件のレイプ事件がある
と流した。公娼制度があった方がいいということで、ドイ
ツにはいまだにある」とのべる(女衒=買春施設に女性を
斡旋する業者)
〔島村宜伸は第2次村山連立政権の文相であった95年8月9
日、「侵略戦争じゃないかというのは、考え方の問題。侵
略のやり合いが戦争じゃないか。これをいつまでもほじく
ってやっていることが果たして賢明なやり方なのか」との
べ、韓国の諸新聞に厳しく批判されたが、なかなか撤回し
なかった。そして結局、記者会見をおこなわずに「撤回」
の短いコメントを出しただけで、文相の座に居座った。〕
◆神奈川人権センターが「櫻井よし子問題発言と『言論の
自由』についての声明」を発する。 「『言論の自由』は
『差別発言の自由』ではない。『言論の自由』の名のもと
に差別、人権破壊の扇動を行うことは許されない。特にマ
スコミ、ジャーナリズムがこれを忘れるとき、『言論』は
『凶器』となる。(中略)公的な機関や、社会的な影響力
をもった団体や法人の場合、講演会や研修会の持ち方は、
人権擁護の観点をきちんともって行うべきだと考える」
◆96年10月3日に横浜市教育委員会主催の教職員研修でお
こなわれた櫻井よし子講演を批判し、同市教委に「講師選
択を反省すべきだ」などと申し入れをしていた神奈川人権
センターに対し、 同市教委から回答があった。内容は1、
慰安婦への強制があったことを認めた1993年の河野洋平官
房長官(当時)の談話や政府の調査結果が、この問題の基
本認識だと考えている、 2、櫻井講演が、市教委が91年に
策定し、旧日本軍の朝鮮侵略などに触れた「在日外国人に
かかわる教育の基本方針」と異なる歴史認識で展開された
ことは大変残念、 3、今後も差別を許さず人権を尊重する
観点で講師を選ぶ。人権センターは「申し入れに沿った回
答で了承する」とコメント(2・6付『産経』は「横浜市教
委、神奈川人権センターに屈服」と伝える)
◆超党派の「日華関係議員懇談会」(会長・山中貞則=
「明るい日本・議連」顧問)が発足。 参加者は5日現在、
自民党202人、 新進党86人、太陽党7人、さきがけ5人の合
計300人。 会長=自民党の山中、副会長=新進党の日華議
員連盟会長だった小沢辰男(「正しい歴史・議連」会長)、
自民党の村上正邦(「明るい日本・議連」副会長)、平沼
赳夫(「明るい日本・議連」)、前田勲男、幹事長=自民
党の藤井孝男(「明るい日本・議連」幹事)、幹事長代理
=林寛子
2月 6日 自民党の加藤紘一幹事長が伊藤茂社民党幹事長と会談、梶
山官房長官の問題発言について「内閣のスポークスマンと
しては慎重を欠いたもの」として遺憾の意を表明。同時に
梶山発言は「従軍慰安婦問題を直接のべたものではなく、
(記者に)部分的に受け取られ、広く伝えられたことは本
意ではない」と、報道機関の責任を指摘。自民党の見解は
1、従軍慰安婦問題で政府の見解に変更はない、2、歴史認
識に関しては3党政策合意をふまえ、平成7年(95年)の村
山首相談話を基本とする、など。伊藤幹事長はなお不満を
示しながらもそれ以上の追及をせず了承。あいまいな決着
となる
7日 岐阜県が後援し11日の「建国記念の日」に開かれる右派勢
力の式典(主催「日本の文化と伝統を守る岐阜県民会議」
〔会長・有吉慶三岐阜銀行頭取〕)で、講師(中村粲〔あ
きら〕独協大学教授、著名な右派論客)が「南京大虐殺や
従軍慰安婦の強制連行はうそで、史実として教科書に記載
を許した検定は学校教育法違反」との自説を語ることが判
明(演題=「検定パスした歴史の大嘘―新しい中学校歴史
教科書の実態」)。講演内容を知らなかった県は、演題を
変えるよう主催者に通知、主催者側は県の後援を返上、名
誉会長の梶原拓知事は出席を取りやめ
◆衆院予算委員会で栗本慎一郎(自民)の従軍慰安婦記述
に関する質問に対して小杉文相が答える。小杉文相「特定
の歴史的事実について、教科書にどのように記述するかは、
基本的に執筆者、発行者の判断にゆだねられている。教科
書の検定は専門家からなる審議会で検定基準に基づいて、
客観的、学問的な成果や資料に照らして適切におこなわれ
ている。いろいろな学説がある場合、定説になっていない
ものは教科書には載せていないはずだ。検定審議会の委員
は、学会、教育界に非常に視野の広い人、総合的専門的見
地から客観的判断ができる人に委嘱している」(2・8付
『産経』の見出し=「小杉文相、 教科書問題『従軍慰安
婦』で答弁、定説以外載せていない」)
●1997年・2月11日 特集=「建国記念の日」の右派勢力の動き
◎同日付『産経』のコラム「産経抄」の一部=「『建国記念の
日』だからいうわけではないが、いまこの国・日本は国家とし
ての体をなしているだろうか。国家としての威厳と品位と名誉
を保ちえているだろうか。/日本の首相として韓国大統領に謝
罪すべき理由は全くなかったにもかかわらず、ひたすら頭を下
げる行為も続いている。しかも発言者である官房長官自身が後
になって弁解これ努め、あげくに陳謝してしまう。話にも何に
もなりはしない。/教科書も教科書で、自国の歴史をさながら
外国人の目のごとく冷ややかに、意地悪く、さげすんで書く。
父祖の悲しみに対して一片の愛憐(あいれん)も惜哀(せきあ
い)も抱かず、「日本ほど悪い国家はない」と教える。そして
それが良心的で、理性的で、文化的な態度だと錯覚している。
/これでも日本は国家と呼べるだろうか」
【全国各地の動き】(地域の並べ方はアト・ランダム)
- ◆《奈良》
- 橿原(かしはら)市畝傍(うねび)町の橿原神宮で、恒例の紀元祭がおこなわれ、約4,200人が列席。2月14日付『産経』夕刊によると《祭典は午前11時から。内庭に並んだ崇敬者の列の間を、天皇陛下の勅使一行が内拝殿へ、ゆっくりと入場。五色絹が入ったお供え物の奉納や、巫女(みこ)による神楽「扇の舞」、総勢約100人の「紀元奉頌(ほうしょう)の歌」を歌うなど、厳かに進められた》(そのまま引用)。午後からは、外拝殿前広場で全国民謡大会などの行事が催され、全国から約14万人が集まる。
〔註 紀元祭は、記紀(古事記と日本書記)伝承で第1代の神武天皇が大和国畝傍の橿原宮(かしはらのみや)で即位したとされる日(2月11日)にちなむ行事。神武天皇を祭る同神宮では年1度の大祭として1891年(明治24年)に始まる。なお「建国記念の日」は、明治天皇制国家が1872年(明治5年)、神武天皇即位の日として祝日とした「紀元節」を継承したもの。「紀元節」は第2次大戦後廃止されたが、1966年(昭和41年)、自民党政府が「建国記念の日」として強引に復活させ、翌年から実施されている。〕
- ◆《東京》
- 「日本の建国を祝う会」(村尾次郎会長)が「奉祝中央式典」を東京都渋谷区の明治神宮会館で開く。島村宜伸自民党広報本部長(元文相)など国会議員や外交団を初め、作曲家の黛敏郎(日本を守る国民会議・議長)ら約千人が参加。病欠の会長に代わって関口孝副会長が「国を愛する心の欠如を感じる。建国のみなもとを再確認し、ゆるぎない愛国心を子々孫々まで伝えていくことが我々の責務」などと挨拶。教科書問題のほか、夫婦別姓や「竹島・尖閣諸島」問題どを挙げ「自国の誇りある歴史を冒涜 (ぼうとく)し、家族の絆(きずな)を軽んずる傾向をもたらし、さらには国家主権を自ら否定するもの」などとする決議案を採択
- ◆《東京》
- 「建国記念の日を祝う国民式典」(主催・財団法人「国民の祝日を祝う会」、後援・総理府、外務省など)が、東京都千代田区の日比谷公会堂で開かれる。来賓として挨拶した橋本首相は「建国記念の日に当たり、先人のご労苦に感謝し、平和で活力に満ちた祖国をつくる責任を深く認識し、その決意を新たにする」とのべ、「6つの改革」の必要を強調。〔同式典には、94年に細川首相(当時)が外遊のため、95年には村山首相(同)が阪神大震災への対応を理由に欠席しているが、橋本首相は昨年(96年)に続いての参加。また、土井たか子衆院議長(現・社民党党首)は過去3回出席を見合わせていたが、今回は自民党出身の伊藤宗一郎が現職議長として4年ぶりに出席〕
- ◆《岩手》
- 盛岡市内の県公会堂で、「県建国記念日奉祝会」が主催して「建国記念の日を祝う奉祝県民大会」が開かれ、神社関係者ら約500人が参加。自民党の玉沢徳一郎、鈴木俊一代議士が来賓として出席。栃内松四郎同会副会長が「外国では、建国記念日を盛大に祝う。国家の統合をはかる精神的よりどころとして重要なのに、日本ではいまだに民間団体が主体で、国民こぞってとなっていない。31年目を迎える今、そのもつ意味を再確認したい」と挨拶、国や県による式典の開催を求める。大会では、アジア太平洋戦争で戦死した若い兵士の手紙をもとにした映画『天翔(あまがけ)る青春―日本を愛した勇士たち』も上映される。さらに、▽国の誇りを傷つける歴史教科書や夫婦別姓導入に反対すること ▽政府主催の奉祝行事を実現すること、などを橋本首相に求める決議を採択
- ◆《宮城》
- 仙台市内の県民会館で「第31回建国記念の日を祝う県民大会」が開かれ、約1,500人が参加。「君が代」を斉唱したあと、大会会長の高橋健輔県議会議長が「5月に白石市で開かれる全国植樹祭では、ご訪問される天皇、皇后両陛下を真心を持ってお迎えしたい」と式辞をのべる。式典に先立ち参加者は、市内を「日の丸」や、夫婦別姓に反対するプラカードを掲げてパレード
- ◆《石川》
- 金沢市内の石川郷友会館で、「石川県郷友会」が主催して「『建国記念の日』奉祝の会」が開かれ、約100人が参加。「君が代」や「紀元節頌歌」を斉唱して「建国の日」を祝う。式では石崎皓三同会会長が「建国をしのび、国を愛する心を養うことを1人でも多くの隣人に理解してもらえるよう、共に行動しよう」と挨拶。その後、全員で橿原(かしはら)神宮を遥拝(ようはい)し、万歳三唱で今後の日本の発展を祈願。続いて講演会がおこなわれ、自衛隊石川地方連絡部の菊川忠継部長が「我が国の安全保障をめぐる現状と問題点」と題して話す
〔註 遥拝(ようはい)=はるかに遠い所からおがむこと〕
- ◆《福井》
- ▽福井市内の市民福祉会館で、「足羽(あすわ)山招魂(しょうこん)社奉賛会」(会長・酒井哲夫福井市長)が主催して「『建国記念の日』式典」が開かれ、市遺族会連合会や市連合婦人会などの約60人が参加。酒井市長が「今日の日本の平和と繁栄は、先人の努力のたまもの。民族の誇りと自覚を持ち、さらなる発展を期したい」と挨拶。中谷輝雄市会議長が祝辞をのべ、福井市史編纂委員の松原信之が「朝廷と朝倉氏」と題して講演
▽福井市内の学校法人・金井学園の金井講堂で「平成9年・建国記念の日式典」がおこなわれ、中高校生、大学生、教職員ら約2,500人が出席。建学の精神を唱和したあと、金井兼造学園長が「伝統を大切にし、祖先に感謝するのが日本人の心。この日を機会に歴史を振り返ってほしい」と挨拶
- ◆《愛媛》
- 松山市の県民文化会館で「建国記念の日奉祝県民大会」が開かれ、約千人が参加(「日本の伝統と文化を守る県民の会」〔久松定成会長〕などで構成する実行委員会主催)。久松会長は挨拶の中で「この日は日本人の《心のふるさと》。大会を、わが国の発展について考える機会にしてほしい」とのべ、教科書問題に触れて「検討不十分な歴史教科書の出版は、日本人の責任感の欠如の現れで亡国にもつながりかねない」と語る。来賓の小菅亘恭・愛媛県副知事が「世界平和に向けて、わが国の文化を見直してほしい」と祝辞をのべ、台湾・東方工商専科大学の許国雄学長が「日本人へのメッセージ―台湾に生きる《やまとだましい》」と題する講演をおこなう。同大会は、▽政府および県主催の建国記念の日奉祝行事を要望する▽夫婦別姓に反対し家族のきずなを守る▽偏向した反日歴史教科書を是正する▽日本固有の領土竹島、尖閣諸島を守る、などを決議し、さらに愛媛玉ぐし料訴訟に関し一部の新聞が「最高裁が違憲判断を示す見通し」と伝えたことについて、司法の中立性や裁判官らの守秘義務に反するとして最高裁に抗議文を提出することを決める
- ◆《高知》
- ▽高知市内の高知会館で、「建国記念の日・天皇誕生日県奉祝会」(谷相勝二代表)が主催して「県奉祝式典」がおこなわれ、約200人が参加。「日の丸」に拝礼、皇居遥拝(ようはい)のあと、「君が代」と「紀元節頌歌」を斉唱。谷相代表が「祖国日本は2,657回目の誕生日を迎えたが、建国以来の危機にひんしている。建国の理念を思い起こし、世界平和に向け再起できる日となることを願う」と式辞。日本固有の精神文化の退廃などに懸念を表明。さらに橋本大二郎知事の「国歌」見直し発言 (註参照)に触れ「いかに個人的見解といえども、現職知事が国歌を否定する発言をしたことは許しがたい。国歌を変える国民運動を提唱するなら知事の座を離れ、一市民としてなすべきだ」と批判。続いて青年、女性代表が「知事発言は腹立たしく、あきれてものが言えない」「理想の国日本に生まれたことに誇りを持つ」などと祝辞。「橋本知事に厳重に抗議し、発言の取り消しを求める」との決議を採択し、万歳三唱。「君が代」や「日の丸」の歴史を紹介したビデオを観賞 ▽〈嶺北地域〉土佐郡土佐町の農村環境改善センターで、「嶺北建国記念日を祝う会」(川村満海会長)が主催して「奉祝式典」を開き、地域内から約140人が参加。式典では壇上の「日の丸」に拝礼、「君が代」と「教育勅語」を斉唱。川村会長の挨拶に続き、中谷元衆院議員や川田雅俊県議らが 「薬害エイズや住専問題などこのところ、モラルを問われる事件が相次いでいる。日本人古来の素晴らしい道徳心を取り戻そう」などと訴える。橋本知事の発言に「何らかの抗議をしたい」などの声も出る
〔註 橋本大二郎高知県知事は2月1日、高知市内で開かれた「人権・同和問題啓発フェスティバル」のシンポジウムで、現在の天皇制について会場からの質問に答え、「個人としては」と断りながら、「日の丸はともかくとして『君が代』が国歌であることはおかしいと思う。戦後50年がたって、もうそろそろ変えることを国民運動として起こすべきではないかと思う」とのべた。同知事は96年の県議会2月定例会で質問に答え「義務教育の中で子どもたちに日の丸・君が代を強制することには、個人としては反対だ」などと答弁。「私見に当たる部分」として発言を取り消している。〕
- ◆《岡山》
- 県遺族連盟や県郷友軍恩連盟などでつくる「平和日本を守る岡山県民会議」(木村睦男会長)が、岡山市の県護國神社で「皇紀2657年奉祝県民大会」を開き、約200人が参加(約100人という報道もある)。同神社本殿で建国祭の祭事がおこなわれ、橿原神宮への遥拝(ようはい)、紀元節奉祝歌の斉唱などに続き、荒木栄悦同県民会議議長が挨拶。「民法改正による『夫婦別姓』や『反日教科書の記述』に断固反対し、国家100年の大計に立って祖国再生の礎を確立する」という趣旨の大会決議を採択。場所を同神社遺族福祉会館に移し、「新しい歴史教科書をつくる会」呼びかけ人の高橋史朗・明星大教授の記念講演「建国記念日に因(ちな)んで」がおこなわれる。高橋は新しい中学歴史教科書を見せながら「『従軍慰安婦』という言葉は戦争当時はなかった ▽強制連行を裏付ける資料はない ▽日本だけが特殊だったわけではない、などの理由を挙げ、教科書に取り上げるのは適切ではない。歴史教育で負の場面のみを強調したため、日本の子どもたちが自信を持てなくなった。元気が出るような歴史教育が必要。中学の教科書に従軍慰安婦のことを書いている国はどこにもない。自分を愛せない者は隣人を愛せないように、自国を愛せない国は隣国を愛せない。自国の物語を自分の言葉で、子どもたちに語り継ぐことが大切」と話す
- ◆《鳥取》
- 鳥取市内の聖神社で「日本を守る鳥取県民会議」が主催して「建国祭」がおこなわれ、鳥取聯隊会などの旧軍人、県議ら約40人が参加。「紀元祭」と式典があり、参加者らは神社の拝殿で、祖先が営んできた建国の歴史に感謝、国の安泰と世界の平和を祈願する。また橿原(かしはら)神宮を遥拝(ようはい)し、「君が代」「紀元節頌歌」などを斉唱して「建国記念日」を祝う
- ◆《熊本》
- ▽熊本市内の藤崎八幡宮で「建国記念の日奉祝式典」が開かれ、約300人が参加(老人クラブのメンバーなど約500人という報道もある)。「主要祝日等熊本県奉祝会」(会長・中山義崇=熊本工大学長、約70団体で構成)が主催。来賓として魚住汎輝・副知事、岩本洋一・熊本市収入役も出席。皇居遥拝、「君が代」斉唱に続き、中山会長が「あらためて建国の大義を感じ、民族の誇りをもって国・人づくりを進め、愛国の輪が広がることを期待します」と祝辞をのべ、高校1年生が奉祝の言葉をのべる ▽菊池市内の菊池神社で紀元祭がおこなわれ、その後市中央公民館で奉祝式典(約200人が出席)。
- ◆《佐賀》
- 「県内各地の神社で祝賀行事がおこなわれた」という報道もあるが、詳細は不明。判明しているのは、次の2つ ▽佐賀市内の県護國神社で「建国記念祭」があり、神社関係者や県遺族会のメンバーら約60人が参加、神殿に玉ぐしをささげる。参拝客には「護国粥(がゆ)」と名付けられたあずき粥がふるまわれる。このあと、神社隣の市平和会館で、「日本を守る県民会議」(会長・陣内孝雄参院議員)が主催し「紀元2657年奉祝建国まつり」を開催、約200人が参加。陣内会長が「戦後の教育改革で日の丸、君が代がどこかへ行ってしまったような状況が続き寂しかった。最近、やっと国旗、国歌として認められた。奉祝会の長い努力の成果で大変おめでたい。歴史を尊ぶ教育をしっかりやって日本を繁栄に導かなければならない」と式辞をのべる。政府主催の建国記念行事の実現を要望する決議をおこなう ▽同市内の伊勢神社では、戦前からこの日に続けられている「大祭」があり、午前零時に「建国祭」を開いたあと、商売繁盛、五穀豊穣(ほうじょう)、進学合格などを祈願
- ◆《長崎》
- ▽長崎市内の市公会堂前広場で「第38回奉祝大会」が開かれ、旧日本軍の遺族、老人会など約2000人が参加(主催者発表、1000人という報道もある)。主催者の上杉千郷・「長崎日の丸会」理事長(諏訪神社宮司)が「命を投げ出し国を守った英霊に感謝し、伝統を大切にして国を守っていこう」と挨拶。「祖国への誇りを喪失した歴史教科書問題、家族のきずなを断ち切ろうとする夫婦別姓問題、竹島・尖閣諸島問題など何の解決策も見いだしえないままだ。今こそ、語り伝えてきた理想の姿を示していくべきだ」とし「建国記念の日」の政府主催行事の開催を求める大会宣言を採択。集会後、市中心部で「日の丸大行進」。「日の丸」を振りながら「建国記念日を祝おう」と呼びかける ▽佐世保市で、「佐世保市建国記念の日奉祝会」(辻田徹会長)が主催し「日の丸行進」。商工会議所や自衛隊など48団体の約1万1800人が参加し(主催者発表)、「日の丸」の小旗を振って市中心部を行進。式典で実行委員長の梯正和市議(自民、「奉祝会」副会長)が「日本人は世界で類を見ない優秀な民族だが、最近、日本古来の精神を忘れている。わが国は内外政に勇気と自信をもって対処すべき。日本民族の誇りを忘れないため建国の日を祝う」と挨拶
- ◆《山口》
- 下関市の海峡メッセ下関で奉祝式典。約2000人が参加。高千穂商科大学の名越二荒之助講師が「韓国は建国の祖とされる壇君を大切にしている。日本では建国記念の日にも神武天皇を口にしない。祖先の心まで教えていない」と歴史教育を批判
- ◆《広島》
- 広島市内で「建国記念の日奉祝式典」(主催者代表、岡本繁・朋和会会長、広島商工会議所後援)が開催され、国会議員6人を含む約1200人が参加。▽県主催の「建国記念の日奉祝式典」開催を要望する ▽建国の理想を強く掲げ、我が国の歴史・伝統を県下の若い世代に伝える、などと宣言。宣言文は「自虐的な視点に貫かれた歴史教科書の改訂問題、夫婦別姓問題など、国の歴史・伝統にかかわる事件が相次いだが、国民が自らの歴史・伝統を否定する国が滅びていくのは世界の歴史に明らか」としている。同式典に平岡敬・広島市長が「式典が、国民としての使命と責任を自覚し、わが国の平和と繁栄はもとより、世界恒久平和の確立に寄与する契機となることを祈念する」とのメッセージを寄せる(これについて、「プルトニウム・アクション・ヒロシマ」が同月13日、「広島市長が国連のクマラスワミ勧告さえも否定する国粋主義者に与(くみ)したと判断されても、反論の余地はありません」などと抗議)
- ◆《徳島》
- 県神社庁や県遺族会など20団体でつくる「県建国記念の日奉祝会」(森下元晴会長)が、徳島市内の眉山中腹にある神武天皇銅像前で「建国記念の日県式典」を開き、約80人が参加。御所神社の舞姫6人が「浦安の舞」を奉納し、森下会長らが玉ぐしをささげたあと「君が代」を斉唱。同会長は「最近教科書問題が話題になっているが、自国の国柄を悪く言うのは憂うべき風潮だ。個人が誕生日を祝うように、国家の誕生日を祝う行事が盛んにおこなわれることを願っています」と挨拶。式典は「日本の伝統精神を高く掲げ、歴史と文化を次代の若い世代に伝え、平成の御代の発展に全力を尽くすことを誓う」と宣言、政府による奉祝行事開催などを求める決議を採択
- ◆《福岡》
- 福岡市内の県神社庁で、「日本を守る福岡県民会議」(高千穂有英会長)が主催して「建国記念の日奉祝県民大会」が開かれ、約300人が参加。高千穂会長は「昨年は民法での夫婦別姓問題や中学歴史教科書記述問題など反日、反国家思想が蔓延した1年だった。国家は生存と繁栄を宿命づけられており、国の道程の中で反省、改善すべき点は改め、守るべきものは伝えていかなければならない」と挨拶。映画上映の後、青年の意見発表
- ◆《鹿児島》
- 鹿児島市内のホテルで「日本を守る県民会議」など7団体が主催して「建国記念の日奉祝大会」が開かれ、約70人が参加。会場には「反日歴史教科書を是正しよう」などの垂れ幕が掲げられ、戦争責任容認派に反発する発言が相次ぐ。「日本を守る県民会議」の上原康議長は、従軍慰安婦の記述問題に触れて「歴史教科書は事実が曲げられている」と批判、「うそが伝えられないように、歴史認識を正しく持ち、政治に反映させなければならない」と強調。大会決議で「自虐史観に貫かれた歴史教科書は歴史を冒涜(ぼうとく)するものだ。今こそ高貴なる歴史に思いを致し、国の理想の姿を宣揚すべきだ」と訴える
- ◆《沖縄》
- 那覇市内の県青年会館で、「国旗国歌推進沖縄県民会議」が主催して「建国記念の日を奉祝する県民のつどい」が開かれ、100人近くが参加(参加者は数10人との報道もある)。「君が代」斉唱で始まり、主催者を代表して恵忠久会長が「国の生い立ちや由来をしのび、平和を願って建国を祝うのは当然」と記念日の趣旨を強調し、「戦後教育は日本の歴史を抹殺した占領軍による改革を基本にしている」と歴史教育のあり方を批判。「日本神話は真実である」と題する講演で、言語学研究家の西平守盛が日本書記や古事記、沖縄の古謡オモロから日本史を検証。県吟詠詩舞道連盟の舞踊や「特別参加」した自衛隊音楽隊による演奏がおこなわれ、「県や市町村が率先して奉祝式典を主催し、全県民こぞって日本国の豊かな、そして平和な弥栄(いやさか)を祈念すべき」とする決議を採択
〔註 「建国記念の日」をめぐる右派勢力の動向については、なお調査をつづけており、 今後もニュースを追加する予定。これは、2月16日までに入手できたものである。〕
12日 新進党の「正しい歴史を伝える国会議員連盟」(小沢辰男
会長、 38人)が、国会内で小杉文相と会い、4月から使用
される中学校歴史教科書の内容の訂正を求める「歴史教科
書問題に対する声明」を提出。声明は「中学校の歴史教科
書は、罪悪史観に立って、わが国の近現代史を記述してお
り、特に従軍慰安婦の強制連行をすべての教科書が記述し
ている」としたうえで「国家による強制の事実が何ら確認
されていないのに、義務教育の教科書としては極めて不適
格である。国の将来を担う青少年を育成できるのか」とし
て、記述内容の訂正を要求している。これに対し、小杉文
相は「現在のところ大臣の職権による教科書の修正をおこ
なうつもりはない」と答える。 同議連の永野茂門(しげ
と)幹事長(参院議員)は「政治的決断をしない文相に怒
りを感じる。今後とも事実に反したり、確定していなかっ
たりする内容に対しては積極的に発言していく」とし、自
民党内のグループとも連携していく考えを明らかにする
〔本略年表制作者・註 問題とされている中学校教科書には、政府でさえ
認めざるをえなかった日本軍の強制性を表わす文言はあるが、「従軍慰安
婦の強制連行をすべての教科書が記述している」という主張は事実に基づ
いていない。これはためにするデマである。
ちなみに、 永野茂門は羽田政権の法相に就任した直後(94年5月)「私
は南京事件というのは、あれ、でっち上げだと思う。私は、あの直後に南
京に行っている。いずれにせよ、そういうことは戦争に伴う悪であり、そ
れを侵略的行為と言うなら、それはまあ言えるが、日本は、そこを日本領
土にしようとしたのでもないし、そういう所を占領したのでもない」と発
言し、中国政府や韓国政府の激しい抗議によって辞任をよぎなくされた。
「あの直後に南京に行っている」というのは明白なウソである。永野は同
時に「日本で言う大東亜戦争というものが、侵略を目的にやったか。日本
がつぶされそうだったから生きるために立ち上がったのであり、かつ植民
地を解放する、大東亜共栄圏を確立するということを、まじめに考えた。
戦争目的そのものは、 当時としては、 基本的に許される正当なものだっ
た」とのべ、アジア太平洋戦争を肯定した。またこの暴言に続き、永野は
「慰安婦は当時の公娼であって、それを今の目から女性蔑視とか、韓国人
差別とかは言えない」とのべている。〕
14日 同日付『産経』のシリーズ「教科書が教えない歴史」第22
6 回「日本国憲 法・10」の記述=「こと天皇の地位に
関するかぎり、日本国憲法と明治憲法との間にはそれほど
大きな違いはないのです/天皇が国家の栄光の源泉であり、
元首であることに疑いがありません/自由な国民の民主主
義は権力の制限という考え方に基づく民主主義であり、君
主制と決して対立するものではありません/権威と権力を
分離する立憲君主制は、独裁や専制政治の出現を抑止する
はたらきなどをもっているのです」(著者・平成国際大教
授・慶野義雄=自由主義史観研究会会員)
15日 同日付『産経』夕刊の論説委員・安村廉(やすむらきよし)
のコラム「消滅した国軍の記憶」の一部=「(私の中学生
時代〔昭和32―35年〕、軍事雑誌『丸』には大東亜戦争に
関する貴重な証言や戦史がふんだんに盛り込まれてい
た。)少年期の記憶というのは案外馬鹿にならない。私が
読んだ『丸』の1つに元慰安婦の1ページ大の写真が載って
いたのを思い出す。部隊の後を追って行くのであろう。黒
いスカートに白いブラウス、小川でも渡っていたのか、ス
カートの裾をつまみ頭の上に荷物を乗せている。問題はそ
の顔だった。金属製の丸いフレームの度の強そうなメガネ
をかけているが、何かひたむきさを感じさせるような表情
だ。《強制連行》とやらを思わせる暗さはない。/兵士と
の交情物語や慰安所、軍医の検診風景なども、マンガ風の
絵入りで、すべてが陰惨さなく当たり前のように書かれて
いた。私はこのころ『検黴(けんばい)』(性病検査)と
いう難しい漢字を初めて知った。ごく自然な好奇心で少年
たちは、こうしたことを知っていくものである。何も中学
の教科書で教え込む必要などないのだ」
〔備考・藤岡信勝(自由主義史観研究会代表、「新しい歴史教科書をつく
る会」呼びかけ人)にとっての「歴史教科書問題」の位置づけ=「今、日
本国民の歴史認識に大きな変化の兆しが見えはじめているといえる。古い
枠組みにしがみついている朝日新聞を初めとするマスコミ主流や左翼勢力
は、いずれ国民の意識の変化に置き去りにされていく可能性がある。
もちろん、別の可能性があることも事実である。このままジクジクと自
虐・迎合・保身・怯懦の風潮が勝利を占めてしまう可能性である。新しい
動きに対する反動も、各種の謀略を含めてすさまじいものになるだろう。
彼らは、まちがいなく外国の勢力と結びつき、次々と日本国家破壊の策謀
を仕掛けてくるはずである。
だから歴史教科書をめぐる闘いは、 単なる1つの特殊な教育問題に過ぎ
ないという見方は、 全くの的はずれである。 西尾幹二氏の指摘どおり、
「20世紀の戦争解釈が国益を分ける」のであり、これから21世紀にかけて
「歴史が国際政治の最大闘争」になるのである。歴史教科書問題とは、右
の戦争解釈・歴史解釈問題の最も大衆的な表現形態に過ぎない」(97年3
月号『サンサーラ』掲載の藤岡のアジ文「歴史教科書をめぐる闘い・日本
人は常識に還れ」)〕
〔註 本略年表は、97年2月16日までに入手したニュースに基づいている。制作者〕
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(c)井上 澄夫