今回の右派勢力による教科書攻撃は、当然のことながら、多くの人々を憤激させている。しかしこの動きは、けっして突然浮上したのでない。だから、この危険な動きをはばむためには、右派勢力の動きをおおまかにでもとらえる必要がある。私はそう考えてこの略年表をまとめた。
記載したいことはなお多いのだが、右派勢力の狙いと動きの主体と経過を理解することに力点を置いているので、閣僚・元閣僚のくりかえされる暴言に対するアジア太平洋諸国の反応や各地の現場で反撃をつづけている仲間達の活動などは十分反映していない。その点をあらかじめお断りしておきたい。今回の右派勢力のキャンペーンでは、『産経』がいわば広報紙の役割を果たしている。それゆえ本略年表は同紙を参照した部分が多い。しかし、右派勢力の文書については、できるだけ第1次資料にあたり正確を期した。その収集については、全国の仲間たちの惜しみない協力をえた。それは、どうしても記しておかねばならないことだ。仲間たちに深い謝意を表したい。
戦後52年の今なお、私たちが民衆の立場で戦争責任・戦後責任をとっていないということが、ことの根底にあると、私は思う。だから問題は、かつての天皇制国家と形を少し変えてつづいてきた戦後天皇制国家の責任回避を許している私たちのありようそのものだ。私の作業は、そのような自覚に基づいている。
1997年2月4日
井上澄夫(フリージャーナリスト)
◎右派勢力がこれまでの「教科書問題」をどうとらえているかについては、西尾幹二・藤岡信勝著『国民の油断・歴史教科書が危ない!』(PHP研究所、96年刊)の巻末の資料(略年表)「戦後の教科書をめぐる動き」がとりあえず参考になる。
略年表
[1994年12月〜1995年][1996年][1997年]
[略年表全体ダウンロード用(Shift-JIS, Mac, Windowsなど用 66KB)]
この略年表は定期的にアップデートしています。