東京平和運動センター94-2

TKOPEACENEWS

　2面　NO.94　2010.4.5

活　動　報　告

■ビキニデー｢浜岡原発スタディーツアー｣
　３・１ビキニデー全国集会の前段企画として浜岡原発ツアーが取り組まれ、東京からも５人が参加した。昨年８月11日に起きた駿河湾沖地震は、｢東海大地震か!｣と多くの県民が恐怖を感じました。浜岡原発は、８月11日の駿河湾地震(Ｍ6.5)によって運転中の４・５号機が緊急停止しました。その後一部観測データが中部電力より公表され、同じ敷地内にあって東へ行くほど揺れが増大していることが判明しました。とくに５号機にあっては設計時の想定を超える値が観測され、行政庁からもその要因究明の指示が出ているところです。
　また、一昨年12月22日には、１・２号機の廃炉が発表され、また同時に６号建設計画も発表されるなど、これまで以上に浜岡原発が注目されてきています。差し迫る原発震災リスクをこの目で見ると言う主旨でした。当日は、チリ地震の影響で御前崎周辺にも「津波警報」が出されており、6号機の建設現場の見学が取りやめになるハプニングもありました。午後1時に掛川駅をバスで出発。車内では浜岡原発問題を考える会代表の伊藤実さんより、この間の状況と問題点などレクチュァーを受け、浜岡原発周辺の泥炭地層を見学し、浜岡原子力館で副館長から今後の運転計画など説明を受け、見学者からも「危険性」を訴える多くの質疑がありました。その後、館内を見学し帰途に向かいました。帰路では意見交換やＤＶＤ放映があり、「震災原発」の恐ろしさを改めて確認しました。
■「被災56周年ビキニ・デー集会」
　３月１日、原水禁は東海ブロック、静岡県民会議とともに、被災56周年３・１ビキニ・デー全国集会を静岡市の勤労者総合会館で開催しました。集会には約300名が参加しました。川野浩一原水禁議長の主催者あいさつ、鈴木修静岡県平和・国民運動センター会長の歓迎あいさつにつづいて、浅井基文広島市立大学広島平和研究所所長が「核兵器廃絶のために何が求められているか－ＮＰＴ再検討会議と日本の情勢」と題する講演と提起。　　
　マーシャル諸島共和国駐日大使ジベ・カプアさんの特別報告「マーシャル諸島の核被害について」、水上賢市福井県平和環境人権センター事務局長の「もんじゅ再稼動を前にして」、豊村雄二山口県平和運動フォーラム事務局長の「上関原発建設阻止に向けて」の報告が行われました。
■平和フォーラム全国活動者会議
　３月１日～２日、平和フォーラムは全国200名の参加者のもと静岡市で全国活動者会議を開催しました。１日は福山真劫共同代表の主催者あいさつ、西谷修東京外語大学教授の講演「日米安保条約50年－自立的政治に向けて」、「2009年度総括と2010年度運動方針について」の藤本泰成事務局長の提起を受け、新潟2名、長野、青森、沖縄、富山、鹿児島、福島、神奈川などからの報告と発言を受けました。２日は、「エネルギー、環境問題」と「平和、人権問題」の２つの分科会に分かれて、飯田哲也エネルギー政策研究所所長の「日本版グリーン革命は可能か？－地域が主導する分散型・自然エネルギー革命」、徐勝（ソ・スン）立命館大学コリア研究センター所長の「韓国併合100年と日本の課題」のそれぞれ講演を受け、質疑・討論しました。これらは平和フォーラムが４月21日に予定している第12回総会の議案方針に活かされます。
■朝鮮学校を｢高校無償化｣から除外しないよう求める緊急応援集会
　３月12日(金)18時半から東京朝鮮中・高級学校多目的ホールで『朝鮮学校を｢高校無償化｣から除外しないよう求める緊急応援集会』を開催した。主催は日朝友好促進東京議員連絡会、東京平和運動センター、東京‐ピョンヤン友好交流会議の三者で行った。「高校授業料無償化法案」が衆議院で審議入りしましたが、中井洽拉致問題担当大臣が「無償化」の対象から朝鮮高級学校を除外するよう、川端達夫文部科学大臣に要請し、政務三役で検討されていることが報道されました。このことに抗議し、朝鮮学校も当然無償化の対象にするよう緊急集会を開催しました。集会は日朝友好促進東京議員連絡会江口済三郎代表(中野区議)、東京平和運動センター本橋益男議長のあいさつに始まり、李春熙（リチュニ）・金舜植（キムチユンシク）弁護士からの報告、全・東水労、東京教組、東交、I女性会議などの発言や保護者の発言、生徒会委員長、学校長の愼吉雄（シンキルウン）の発言を受け、決議文採択を採択して閉会した。講堂を満杯にする250人が参加。
　この日の朝日新聞に「実態見えぬ」を理由に、無償化を除外する報道があり、怒りと緊張の集会でした。国会はこの日、衆院文化科学委員会を開催し、付則をつけて可決。16日衆院本会議で可決しました。朝鮮学校無償化については、第３者機関を設置して客観的に評価するとし、４月からの実施を引き延ばし強行しました。中井拉致問題担当大臣、川端文部科学大臣、平野官房長官、鳩山首相は、何のために政権交代を与えられたか全く分からず、私たちに失望を与えるものとなりました。
　しかし、国連の人種差別撤廃委員会は16日、日本での人種差別撤廃条約の実施状況を検証した報告書を公表した。報告書は、高校の授業料を実質的に無償化する新制度の対象から、朝鮮学校を除外するよう求める意見が出ていることに対し、子供の教育に差別的な影響を与える行為」として、懸念を表明した。各地で朝鮮高校の無償化からの除外を反対する諸行動があり、３月27日代々木公園で「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する緊急行動」には、４月からの新入生含め242人もの朝鮮高校生をはじめ700人が参加して行われました。
■「戦争も基地もいらない WORLD PEACE NOW 3.20」
　イラク戦争開戦から丸７年となった３月20日、平和フォーラムなど約50の市民団体などでつくる「WORLD PEACE NOW」は、やや風が強いながらも晴天に恵まれたなか、港区・芝公園４号地に約800人の参加者を得て「戦争も基地もいらない WORLD PEACE NOW 3.20」を開催しました。本年は沖縄の普天間基地移設問題が大きな山場を迎えていることから、「沖縄から基地をなくそう」「イラク・アフガンから外国軍の撤退を」「パレスチナ占額をやめさせよう」の３つのスローガン・テーマのもと開催されました。「ＭＵＳＥＢＡＮＤ」のオープニングにつづいて開会。「イラク戦争を検証する」と題してジャーナリストの志葉玲さん、「パレスチナの危機」についてパレスチナ子どものキャンペーン常務理事の大河内秀人さん、「沖縄に基地はいらない」と題して名護・ヘリ基地反対協共同代表の安次富浩さんがスピーチ。このうち、開戦直後の取材で米軍に拘束されたのをはじめ昨年まで何度もイラク現地を取材してきた志葉さんは、「イラクは今も街が壊れたままで、約450万人が心に深い傷を負いながら避難生活を送っている」と発言。安次富さんは、先の沖縄での米軍による「ひき逃げ事件」に触れ、「現場から救急隊に通報もせず立ち去るのは、戦争行為者にしてみれば当然の感覚かもしれない」と断罪。「昨年の総選挙で沖縄の自民党候補をすべて落選させ、民主党政権を誕生させたのは、まさに国民の力だ」とし、移設反対派候補の稲嶺進さんが勝利した今年１月の名護市市長選。直後の平野博文官房長官の「選挙結果を斟酌していたら何もできなくなる」という発言に対し、「沖縄の民意を踏みにじる暴言に怒りを覚えた」と強調。「私たちは米軍が沖縄から飛び立って引き起こす戦争の加担者。米軍を沖縄から追い出すことが、運動の基軸になる」とし「沖縄だけのたたかいにせず、みなさんに支援してほしい」と力強く訴えました。
　カンパ・アピール、「寿[kotobuki]」の熱唱の後、「アフガニスタンに平和を」をテーマに日本国際ボランティアセンター(ＪＶＣ)代表理事の谷山博史さんのスピーチ、集会アピール、藤本泰成平和フォーラム事務局長の閉会スピーチが行われ閉会。浜松町駅までのパレードに出発、「武力で平和はつくれない」と市民に訴えました。オバマ政権はイラクからの米軍撤退を約束したもののアフガンへは増派を決めていることを厳しく批判しました。

活　動　日　誌

２月27日（土）東京大空襲６５周年朝鮮人犠牲者追悼国際シンポジウム・追悼会東京都慰霊堂
２月28日（日）ビキニ・デー関連企画「浜岡原発視察ツアー」
３月１～２日　平和フォーラム全国活動者会議（静岡市）
３月３日（水）沖縄等米軍基地問題議員懇談会（17:30～衆議院第２議員会館）
３月13～14日　第31回合成洗剤追放全国集会（さいたま市）
３月12日（金）朝鮮学校高校無償化実現集会
３月15日（月） 2010在日朝鮮人歴史・人権月間実行委員会(14:00～総評会館)
３月17日（水）「動かしていいの？六ヶ所再処理工場議員と市民の勉強会」
３月20日（土）WORLD PEACE NOW（芝公園）
３月26日（金）水基本法を求めるシンポジウム（憲政記念館）
３月27日（土）「高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する緊急行動」

今　後　の　日　程

４月８日（木）ＮＰＴ再検討会議に向けた集会（18：00～全電通会館）
４月10～11日「反核燃の日」全国集会・行動（青森市）
４月11日（日）「米軍住宅追加建設反対！池子の森を守る４.11全国大会
４月17日（土）健康食品問題学習・講演会（13:00～総評会館）
４月21日（水）第85回原水禁全国委員会（13:00～総評会館）
４月21日（水）第12回平和フォーラム総会（15:00～総評会館）
４月25日（日）「日本と朝鮮半島の今を問い、日朝国交正常化の実現を!女性集会」
10:00～16:00　　　在日本韓国ＹＭＣＡ
４月29日（木）連合中央メーデー（代々木公園）
４月29～５月６日ＮＰＴ代表団派遣（アメリカ）
５月３日（月）施行63周年憲法記念日集会（13:30
～日本教育会館大ホール）参加費：５００円
内容：主催者あいさつ、講演「新政権と憲法」
「アジアのなかの日本～安保５０年と沖縄」
「国立追悼施設と靖国問題」
５月６日（木） 2010在日朝鮮人歴史・人権月間実行委員会（14:00～総評会館）
５月13日（木）～16日（日）沖縄平和行進
＊東京は15日～17日　

★密約問題に関する有識者委員会に対する声明

　3月９日、「密約」問題に関する有識者委員会は、核問題などをめぐる「いわゆる『密約』問題に関する調査報告書」をまとめ政府に提出しました。2009年の外務省事務次官の発言に端を発した密約問題については、岡田外務大臣が徹底的に調査し国民に対して報告するとしていたもので、長い間疑惑とされていた事への解明に着手した新政権の姿勢は評価されるものです。
　報告書は、「朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動」については、日米二国間の文書による狭義の密約として認定し、「安保改定時の核持ち込みの容認」、「沖縄返還時の原状回復補償費肩代わり」については、文書の交換はないが事実は認識していたとして広義の密約と認定しました。「沖縄返還時の核再持ち込み」については「密約」としないとしましたが、岡田外相は、「一般常識からみれば、密約ではないかと」と述べるなど、４つの案件は全て密約であったと言わざるを得ないものです。あらためてこれまでの歴代政権と一部官僚の国民をあざむく姿勢に強い怒りを覚えます。
　「非核三原則」は国是としながらも、一方で長い間国民を裏切ってきた自民党政権の責任は重大です。憲法が規定する民主主義は、主権者への情報へのアクセスの権利と政策決定プロセスへの参加を保証するものであり、今回の案件は、自民党政権がいかに非民主的な政権であったかを表すものです。このことを、「極めて重要な政治判断であった」などとして免罪されるものではありません。
持たず、作らず、持ち込ませずという「非核３原則」が、被爆国日本の主権者の強い「思い」であったことは論を待ちません。現状を是認しようとする動きもありますが、原水禁は断固として反対するものです。鳩山首相や岡田外相の「非核３原則」の堅持の表明を、私たちは支持するもので、さらに非核政策を確かなものにするためにも「非核３原則」の法制化へと踏み出すことを求めます。アメリカの核の傘からの離脱し、武力にたよらない平和外交の構築が必要です。
今回の調査では失われた文書の存在が明らかにされました。徹底解明とは言い難い部分も数多くあります。公文書などの文書の保管や公開についても、透明性の確保を強く求めます。密約の存在は、これだけではないことも考えられ、徹底した洗い出しによって、「開かれた外交と信頼」をつくり出す事が重要です。現政権のさらなる努力を期待します。
　核疑惑は、これまでも何回となく取りざたされ問題にされてきました。原水禁は、核廃絶の運動を進めてきたものの立場としても、今回の密約問題を真摯に反省し、今後の運動に生かしていきます。また、現政権には過去の政権の批判に終ることなく、非核政策のさらなる強化と、平和と民主主義の前進に向けたさらなる努力を求めます。
　２０１０年３月１１日
原水爆禁止日本国民会議　議長　川野浩一

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