東京平和運動センター68-1

TKOPEACENEWS

　1面　NO.68　07.1.26発行

新年挨拶　

東京平和運動センター議長　遠藤幹夫

国民投票法案、共謀罪新設法の成立を許すな！
私たちは今後も憲法９条を柱とした運動、そして平和課題全般、
人権、環境権確保などの運動をしっかり続けていこう！

　平和運動センター各構成組織、会員の皆様、明けましておめでとうございます。
昨年は、チェルノブイリ被爆20年に当たることから、その後の現地状況の視察、平和コンサートなどを開催しました。また、米軍再編、これを争点とした沖縄県知事選、教育基本法改悪、防衛庁の省への昇格問題、さらには石川一雄さんの第三次再審請求の開始などさまざまな取り組みが続きました。
昨年９月には小泉政権から安倍政権へと政権移行が行われましたが、安倍政権は憲法問題をはじめ保守的政治を強めており、今後も緊張感を持った対応が必要です。
安倍首相は自民党大会でも、参議院選挙では正面から憲法改正問題を掲げると述べましたが、この問題は安倍首相にとって信念とも言えるもので、この流れを促進するか止めることができるかが参議院選挙の最大課題になるでしょう。　　　　　
戦後60年、日本は世界に冠たる現行憲法によって平和が守られてきました。とりわけ９条はその柱であり、平和であり続けることを望むならばまったく変える必要のない条文です。確かに現在の自衛隊の実態を見ると、その予算、装備、隊員数、いずれを見ても立派な軍隊を持っており、イラクの派兵をはじめ、集団的自衛権の行使という面でも憲法の精神に反した行動、実態にあります。かといって実態に即して憲法条文を変えれば、さらに解釈を拡大し、自らの意思で戦争を行うことが可能な政治状況になることは間違いありません。私たちは今後も憲法９条を柱とした運動、そして平和課題全般、人権、環境権確保などの運動をしっかり続けていきたいと思います。
　安倍晋三という人は、戦後生まれ初めての首相です。自ら戦争体験を持たない人間が戦争のできる国づくりを目指すもっとも危険なパターンです。今度の国会ではあの悪名高い「共謀罪」をも成立させると息巻く安倍首相、「美しい国日本」などといいながら、戦後国民が血と汗の結晶で築いてきたこの平和を60年前にもどしてはいけない、このことを改めて強く決意をし、引き続き運動を進めていきたいと思います。
当面、国会での論点は国民投票法案、共謀罪となるでしょう。それを受けて参議院での一定の審判が下されることになります。小泉首相があれだけ国民の生活や平和を脅かす政治を行ったにもかかわらず、結局最後まで高い支持率を維持し続けさせてしまったことを、私たちの運動としても深く反省し、その反省を踏まえ、政治変革の第一歩として参議院選挙での与野党逆転の構図を作るためそれぞれの立場でがんばりぬこうではありませんか。

◆活動報告

　グアムのチャムロ・ネイションとの交流

　□平和フォーラム・グアム訪問団・報告
平和フォーラムは１月９日から11日の日程でグアムに訪問団を派遣しました。昨年11月に平和フォーラムと市民団体で「アジア太平洋反基地東京会議」を開催した際に、グアムの先住民組織「チャムロ・ネイション」から参加したリサ・ナティビダートさんにグアム訪問と交流を申し入れ、それが実現したものです。
日米両国政府は在日米軍再編協議の中で、沖縄に駐留する米海兵隊のうち8,000人の兵士と9,000人の家族をグアムに移転することで合意。日本政府はグアム島内に新たに作る基地や米軍住宅の建設費として、総額1兆2,000億円（102億ドル）のうち7,100億円（60.9億ドル）を負担することになりました。平和フォーラムはこうした中で、グアムの人々は移転に関してどのように考えているのか、直接聞いてみなければならないと考えました。今回のグアム訪問では「チャムロ・ネイション」をはじめとした平和運動組織だけでなく、グアム選出米下院議員の政策秘書、グアム議会などを訪問し、グアムの米軍基地問題や沖縄海兵隊のグアム移転について意見を交換することができました。
○参加者と日程
福山真劫　フォーラム平和・人権・環境事務局長
加藤　泉　神奈川平和運動センター
　　　　　事務局長
山城博治　沖縄平和運動センター事務局長
関　　久　東京平和運動センター事務局長
八木隆次　フォーラム平和・人権・環境事務局
[日　程]
●１月８日　成田空港発、深夜－グアム空港着
●１月９日　午前－デビー・キナータさん（「チャムロ・ネイション」代表）と懇談。
午後―アンダーセン空軍基地・アプラ湾海軍基地の視察　※チャモロの青年組織「ファモクサイン」のマイケルさんが案内
●１月10日　午前－ジョーキン・ペレズさん（米国議会グアム代表の上級政策秘書）と懇談。グアム議会議員と懇談。昼食―チャモロの女性団体と昼食交流。午後－基地視察。夜―チャモロのみなさんによる歓迎夕食会
●１月11日　午前―チャモロの歴史・文化視察。
昼―デビー・キナータさん宅にて交流昼食会。地元テレビ局によるインタビュー
　　午後―帰宅
[グアムの概要]
グアムはマリアナ諸島の最南端にあり、近隣にはロタ、ティニアン、サイパンなどの島々に囲まれている。グアム島は縦に30マイル（48キロ）、やや沖縄に似た地形をしている。グアムはスペイン、アメリカ、日本、アメリカの他国に統治された歴史を持ち、1950年に米国議会で採択された基本法に基づいて、米国の自治属領（準州）となり、チャモロ族の人々は米国市民となった。また、大統領がグアム知事を任命、自治政府は米国内務省の管轄下に置かれる。1971年には初めての公選による知事が選ばれ、1972年には議決権を持たない代表を初めて米国に送った。また、1898年から米国の自治属領であり、米軍戦略拠点基地として活用されてきた。2003年の総人口は164,000人で、チャモロ人37％、フィリッピン人26％、白人10％、ハワイその他のアジア系６％で構成されている。残りの14％は他の民族が混在している。

【山城さん地図を広げて、沖縄の基地説明】
グアムの経済を支えているのは、政府、軍、観光、建設業である。1990年代の観光業の飛躍が、軍の依存を軽減した。この傾向が2000年まで続いたが、2001年の9･11テロ攻撃の余波で経済も打撃を受けた。2005年の観光客100万人を超えた。現在は年120万人。政府と軍の雇用がグアム全体の３分の１を超える。グアムの米軍基地と施設は、南部のアプラ港に駐留する海軍と、北部アンダーセン空軍基地にある陸軍予備軍、空軍国家警備隊と島中央部バリガダには海軍の通信施設がある。駐留人数は1993年の11,500人をピークに、1990年後半から2000年前半にかけて落ち込み、2005年現在で6,500人である。
グアムは太平洋とフィリッピン海の境界に位置し、アジアの最も重要ないくつかの地域と至近距離にある。マニラ、フィリッピンから東に1600マイル、日本の東京から南に1560マイル、ハワイ、ホノルルから西に3800マイルの位置にある。

【アンダーセン空軍基地、Ｂ52爆撃機飛来】
昨年の５月の在日米軍再編「ロードマップ」では、再び普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への2014年（８年後の）移設が合意された。アメリカは「グアム統合軍事開発計画」を作成し、沖縄の海兵隊8000人と家族9000人の移転を含めて、グアムを米軍の戦略基地として機能させようとしている。グアムの米軍増強は太平洋軍が主導する「統合的／地球規模のプレゼンスと基地設置戦略」の中核にしようとしている。１、米軍海兵遠征隊の部隊と同司令部をグアムに移転　２、プラットホーム（戦闘機、戦車、空母、潜水艦などの一般的な兵器運用）と合同運用を併せ持つ前方作戦と後方支援の拠点として、グアム海軍基地を強化　３、新しい前方展開基地としてローテーション任務の要件を満たすアンダーセン空軍基地の継続的強化　４、関連インフラ、住宅、クオリティーライフの改善向上―など行おうとしています。・無人機の投入や原子力空母の一時配備など、・旅団規模の海兵遠征隊、・陸軍旅団司令部と陸軍大隊、・様々な空軍任務支援イニシアティブ、・現在グアムを母港としている核攻撃用潜水艦に加え沿海戦闘艦、戦域支援船の配備、・原子力空母の繋留設備とその空母航空団の支援など計画されています。重要部隊の到着は2010年以降とし、現在の現役6,450人と家族7,740人から現役21,000と家族19,000人へと増強しようとしています。
　今回の視察と交流で多くのことを学びました。
●デビー・キナータさん（チャモロ・ネイション代表）：私たちチャモロ・ネイションは現在、グアムの自治権の尊重を求めるためのオンライン署名活動を行っています。また、米軍の増強を止めるために、ブッシュ大統領へ要請書を送りました。グアム島は第２次世界大戦中に大きな被害を受けましたが、それに対する米国の補償は何もありません。その上で今回、海兵隊が沖縄から移転して来ることに強く反対しています。日本の皆さんには日本政府に対して、沖縄からグアムへの海兵隊移転反対と、移転関連費用の支出の反対を訴えてもらいたいと思っています。また、私達は、日本国内での憲法９条の改悪に強い危惧をもっています。
●ジョーキン・ペレズさん（米国議会グアム代表の上級政策秘書）：海兵隊8,000人とその家族が支払う税金は、グアムにとっては大きな経済効果です。しかし、マイナス面もあります。兵士が増えれば、兵士と住民との緊張関係が高まるでしょう。これは沖縄でも同じだと聞いています。
●グアム議会議員との懇談
・グアムは米国領のために、米軍が来ることを受け入れざるを得ません。しかし、「しかたがない」で済ませるのではなく、「反対する」ことを、同僚議員に訴えたいと思います。（ジュディ・ウオンパットさん女性）
・海兵隊の移転について米国の説明には、疑いが強い部分があります。そこで議員のスタディーグループを作り海兵隊移転のプラス面とマイナス面を調査し、連邦議会に意見書も提出しました。（ベン・パンゲリアさん男性）
・「海兵隊のグアム移転は、グアムノ人々の生活を脅かすので反対する」というような署名などを、日本の国会などに提出してください。（ジュディ・グザーズさん女性）
＊この面談には地元のテレビ局や新聞社も取材に来ていました。
　最後に、この間の私達は「米軍基地は米港本土またはグアムに移転を」と主張してきました。しかし、チャモロの人々は、グアムが基地の島として強化されることを望んでいないことが分かりました。「グアムは米国の植民地」という認識をもつチャモロの人々に、在日米軍基地を押し付けるわけにはいかないでしょう。日本･グアム･ハワイ･米本土の平和運動や反戦運動の連携や国際会議を進める事によって、私たちの側の対応策を作らなければなりません。

●タイトル頁に戻る　●目次頁に戻る　●機関紙頁に戻る　●2頁に進む