TKOPEACENEWS
 2面 NO.59 06.2発行

原子力空母配備反対訪米団報告


 昨年10月28日、日米政府は2008年の通常型空母キティホークの後継艦として横須賀基地にミニッツ級の原子力空母を配備すると発表しました。さらに米国防総省はキティホークの後継艦として、大西洋艦隊所属の原子力空母ジョージ・ワシントンを横須賀に配備すると発表しました。原子力空母が横須賀基地を母港にすれば、東京から50キロしか離れていない横須賀で空母原子炉のメンテナンス活動が行われることが考えられ、そうであれば周辺が放射能汚染の危険にさらされるばかりでなく、万一、原子炉事故が起これば、首都圏3千万人の住民が放射能汚染にさらされることになります。多くの地元住民、日本国民、地元自治体は唯一の被爆国民として、このような危険な計画は絶対に受け入れることはできません。地元の市民団体はこの原子力空母の横須賀母港化計画を懸念して、昨年4月より原子力空母の横須賀母港計画ストップの署名を始め、35万人が署名をしています。発表があってから、ますます多くの市民が不安の念を強め、反対の声を上げています。地元の横須賀市長も、横須賀市議会も、神奈川県知事もキティーホークの後継艦は、これまでと同様に通常型空母にすべきとし、原子力空母配備に対する強い反対声明を出しており、このような私たちの日本の声を米国の関係機関やピース団体に伝え、原子力空母の配備を取りやめるよう要請をするために17名の訪米団が12月4日から11日までワシントンD.Cに入ってきました。


●訪米団・国会議員団
千葉景子(参議院議員・民主)、阿部知子(衆議院議員・社民)、那谷屋正義(参議院議員・民主)
団長  宇野峰雪(神奈川平和運動センター議長)
副代表 福山真効(フォーラム平和事務局長)
小林雪夫(全国基地ネットワーク代表)
大波修二(県央共闘会議代表)
事務局長 呉東正彦(市民の会代表)
事務局次長 加藤 泉(神奈川平和運動センター)
団員 関  久(東京平和運動センター)
石田恭子(フォーラム平和・人権・環境)
森田洋郎(ストップ・プルトニウム)
酒井孝一(神奈川平和運動センター)
小原慎一(三浦半島地区労)
長 裕輔(同)
山城保男(横須賀母港を考える市民の会)
鈴木千尋(同)

<行 動 経 過 >
○12月4日(日)午後4時、17名の訪米団が、成田発、同日午後6時30分ワシントン着
○12月5日(月)午後2時、アメリカ科学者同盟、ハンスクリステンセン(『空母・原子力の限界』の著書)に原子力空母の危険性について話を聞き、意見交換。同日、午後5時、日本大使館にて、兼原信克公使と原子力空母配備につき意見交換。
○12月6日(火)午前11時、国務省のストロウブ日本部長に要請意見交換(議員のみ)同日、スミソニアン航空博物館でエノラ・ライ号を見学。
○12月7日(水)午前11時、メソジスト協会にてピース・アクションらの平和団体との交流。同日、午前12時30分、国防総省のヒルに本部長に要請・意見交換(議員のみ)、同日、午後3時、国家安全保障委員会のチャ日本朝鮮部長に要請・意見交換(議員のみ)。(ケネディー退役に反対しているビル・ネルソン上院議員らの政策秘書に、メソジスト協会総合委員会のマーク・ハリソン氏を通じて連絡し、要請書を送付した)
○12月8日(木)午前10時、議会調査局のロナルド・オルーク氏(『空母ケネディー退役案・議会向け論点と選択肢』レポート著者)に議会の動きについて話を聞き、意見交換。
午前10時、ナショナルプレスクラブにて記者会見、同日、午後0時軍縮非拡散センターのクリストファー・ヘルマン氏と会い、原子力空母配備問題などについて、意見交換。
同日、午後4時30分、ラファィエット公園(ホワイトハウス前)にて、ピース・アクションらの米国市民とともに、抗議集会、キャンドルデモ
○12月9日(金)有志がバスで、原子力空母母港のノーフォーク周辺(オセアナ基地・ノーフォーク基地・ニューポートニューズ造船所)を見学、修理中のG/ワシントンを撮影。
○12月10日(土)午前10時30分、ワシントン発
○12月11日(日)午後4時、成田着


1、3名の神奈川の国会議員を通じて、米国政府関係者に、先の米海軍による原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備発表に対する、地元住民・自治体の強い憤り、撤回を求める願い、そして発表後、反対運動が急速に広がっている状況や横須賀市長の訪米団に対する激励の手紙、横須賀市議会議長の要請書、35万を超えた署名などの写真などを提出しながら伝え、にも係らず米国が撤回しないならば、両国および地元との友好関係に重大なヒビが入ることを警告した。しかし、米国政府関係者の回答は、「原子力空母は能力が優れている。原子力空母は安全である。日本もまた変わらなくてはならない。」などあまりにも独善的な、日本国民の懸念、願いを無視した強引なものであった。特に原子力の恐ろしさや事故の危険性についての日米両国のあまりの認識の違いがはっきりした。


2、米国議会の研究者との会合を通じて、米国議会が海軍の残る通常型空母ケネディーの退役計画を凍結するとともに、海軍に艦命延長工事をすることを命ずる2006会計年度国防認可法案を現在審議中であり、その法案の内容や議会が来年の中間選挙を控えている情勢からして、海軍が容易に通常型空母ケネディーを退役させられない状況にあることや下院の委員会が、ケネディーの母港化を求めていることが明らかになった。
このことから米両政府が主張している『原子力空母しかない』という主張が事実に反することや米国議会の情勢を無視したものであることが明らかになったとともに原子力空母でない選択肢が十分に存在することが明らかになった。2008年までの3年間に、日本政府が国民の願いを踏まえて、主権国家として、断固とした主体的な再交渉をすれば、横須賀市や神奈川県の求める通常型空母の配備という選択肢が可能であることが明らかになった。


3、ワシントンのナショナルプレスクラブでの記者会見やホワイトハウス前での日米市民による集会とデモ、平和団体との交流を通じて、日本国民、地元市民の原子力空母配備やキャンプ座間への陸軍司令部移転に対する反対の強い思いや地域ぐるみの運動の盛り上がりの動きを米国社会や市民に訴え、今後の日米両国での反対運動の協力体制のきっかけを作った。


4、米国の原子力問題の研究者との会合を通じて、横須賀が原子力空母の母港化されれば少なくても必然的に、日常的なメンテナンス作業として、一時冷却水、フィルター、原子炉の部品などの放射性物質の交換作業が行われることが明らかとなり、日本政府の横須賀では修理は行わないという主張が正確ではないことが明らかになった。

アメリカ訪米団の皆様へ
 宇野峰雪団長をはじめ、横須賀への通常型空母の継続配備のため、ワシントンに赴かれる活動に敬意を表します。
 是非とも、私をはじめとする横須賀市民、ならびに横須賀市や横須賀市議会の意思を、直接米国に伝えて頂きたいと存じます。
 私も12月、訪米し直接横須賀市の意思を伝えますが、皆様の取り組みの成功をお祈りするものです。
ともに、通常型空母の継続がされますよう、がんばりましょう。
平成17年11月29日
横須賀市長  蒲谷亮一



 

◆活動報告

1、全国基地問題ネットワーク第40回幹事会
 12月19日、午後1時30分より総評会館会議室で、全国基地問題ネットワーク第40回幹事会を開催しました。小林雪夫共同代表(北海道平和運動センター議長)の挨拶の後、福山真劫平和フォーラム事務局長から連帯の挨拶と問題提起がなされました。秋の三大闘争として在日米軍再編反対、イラク自衛隊撤退、六ケ所再処理工場稼動阻止のたたかいを全力で取り組んできました。また、中間報告を受けて政府の3月の最終報告に対するたたかいを是非、議論していきたいと提起がありました。報告事項では各地の情勢やたたかいの報告を受け、協事項について協議をしました。
(1)在日米軍基地再編に関する取り組みについては各自治体に対し頭越しの政府の中間発表に対し、全ての首長が反対しており、このことを包み込む取り組みが重要であること。
1月22日の名護市長選挙や政府が1月からの通常国会で現行の都道府県知事が持っている公有水面の権限を国に移す「米軍再編推進法(仮称)」、「教育基本法」の改悪案、「国民投票法案」など上程する動きが鮮明になっており、予算案審議などの討議経過など予想すると、2月下旬ごろには再度中央集会を開催し、問題を喚起することが必要であるとの認識にいたりました。全国集会にするか、中央集会に各地がある程度日程を合わせて全国統一行動的にするか検討することにしました。また、これらのたたかいと地方自治体、野党の院外闘争や連合などなど現地での連携を強化する方向で検討することとしました。
(2)原子力空母の横須賀母港化については、後継艦の配備は2008年で米軍再編とは別問題となっているが、原子力空母配備の発表が10月28日、在日米軍再編「中間報告」が10月29日となっていることから、最終報告が予定されている3月中に大きな行動を起こすことが重要であると神奈川平和センターから報告されました。


2、全国基地ネット交流会in大分・日出生台
 来年1月に米海兵隊が大分県日出生台演習場で実弾砲撃演習を実施します。すでに11月29日に事前調査隊が日出生台入りし、演習場内・大分空港・大在公共埠頭・公立病院などの調査を実施しました。演習は1月下旬からの予定になることから、「全国交流集会」開催への参加要請が大分県平和運動センター提起されました。
 1.名 称  基地問題ネットワーク全国
  交流集会in大分・日出生台
 2.場 所  大分県玖珠町・メルサンホール
 3.日 時  1月29日(日)13:30〜
 4.主 催  全国基地問題ネットワーク、
  フォーラム平和・人権・環境 
  日出生台現地視察(現地)〜11:00


★今後の取り組み

 
□「狭山事件の再審を求める東京集会」

日 時  2月6日(月)18時〜
場 所  豊島公会堂
主 催  狭山東京実行委員会
参 加  平和センター、解放同盟都連、
東京同宗連 
* 集会に向けたビラまき…1月30日(月)
17:30から18:30、有楽町駅交通会館前 

□ 米国産牛肉等の輸入再開問題に関する集会
名 称:「米国産牛肉は安全か?―BSEを問う消費者・生産者緊急集会」
日 時:1月23日(月)13:30〜16:30
会 場:衆議院第1議員会館第1会議室
呼掛け:食の安全・監視市民委員会、フォーラム
平和、日本消費者連盟、全国農民組織連絡会議、フードアクション21
内 容:アメリカ産牛肉等の輸入再開の経緯と問題点、アメリカ等の査察報告(厚労省、農水省・厚労省)、消費者・生産者からの訴え、今後の活動提起と討議

□「建国記念の日」を考える2・11集会
名 称:「愛国心」強要の憲法・教育基本法改悪を許さない
「建国記念の日」を考える2・11集会
日 時:2月11日(土) 13:30〜16:00
会  場:自治労会館6Fホール(第1会館)
主 催:フォーラム平和・人権・環境
内 容:講演と提起 
・「東アジア・中国から見た最近の日本」
講師 朱  建栄さん(東洋学園大学教授)
・「『愛国心』と憲法・教育基本法」
講師 嶺井 正也さん(専修大学教授)

□自衛隊をイラクに送るな!もどせ!2・12練馬集会
 練馬北町駐屯地に司令部を置く陸上自衛隊第1師団500名がイラクに送られようとしています。イラクの人々からすれば、米軍と一体の占領軍です。自衛隊にイラク民衆のデモ隊が「帰れ!」と投石するといった事態も起きています。そうした事態の中で自衛隊がイラクの人々に銃を向ける恐れもあります。サマワ周辺域も、アメリカ軍が使用した劣化ウラン弾による放射能被害が深刻だといわれています。小泉政権がなすべきことは、これ以上、もう自衛隊を送らず、送っている自衛隊をすぐに撤退させることです。「送るな!もどせ!」の声を大きく上げていきましょう!
日 時:2月12日(日)午後1時開始
場 所:都立城北中央公園
    (東上線・上板橋または有楽町線・氷川台)
主 催:自衛隊をイラクに送るな!もどせ!2・12練馬集会実行委員会

□原子力空母の横須賀配備を止める署名のお願い
 

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