TKOPEACENEWS
 2面 NO.46/04.6.30発行


原子力空母横須賀母港化を許さない全国連絡会
  結成総会記念・講演…梅林宏道さん(ピースデポ代表)

●原子力空母横須賀母港化と米軍の世界戦略
  ●2004年5月30日14:00〜       
●横須賀市・セントラルホテル



 私自身、神奈川県民ですので皆さんと一緒に頑張って行きたい。私に、与えられたテーマは、「原子力空母横須賀母港化と米軍の世界戦略」ということで、その原子力空母を我々が迎える背景にあるアメリカの戦略はどうなっているかということであります。
 私は、米軍の文書をよく読むんですけど、そして、そのことについて話す機会はよくあるのですが、いつも考えていることはアメリカはいつもこうゆうことを考えているということを話しをするとややもすると抵抗のしようがない。一つの宿命論的筋書きがそこにあるというような受け取り方があるので、決してそうではなくて、彼らの考え方をまず知っていただいて、その中に、どういう私たちの手掛かりとすべきものがあるのかというふうに考えていただきたいとおもいます。私自身そう思いながらアメリカの文書を読んでいます。
 とはいえ、今日は、私たちの運動をめぐるアメリカの戦略というのは決して横須賀の運動にハッピーではない。その意味ではユーウツな状況をお話しなければならないと思っています。
 来月、私は、沖縄の宜野湾市伊波市長さんの訪米のお手伝いでアメリカのさるべき人達と会うことにするのですけど沖縄は私はいますごくいいチャンスだと思っています。つまり今のアメリカの戦略からして今の沖縄には目があって非常にここがチャンスだと言えると思っています。それにくらべて横須賀は大変だ。しかし、さきほども言ったように私たちが使うべき手がかりは確実にありますのでそのことも再確認したいと思います。
 アメリカ議会では10月から2005年会計年度がはじまるので予算を含めて議論をしている最中でありますが、その中にしばしば登場する言葉として「世界的国防態勢見直し」(GPR)が登場します。こういうキーワード、これは正式には昨年の11月25日ブッシュ大統領の声明というのが出まして、そこで新しい安全保障環境に最善に対処するのに最も適した場所に正しい軍事能力を配置する」と、そのために米軍の態勢の見直しを行うという大統領の声明を発したわけです、それが先程紹介しました世界態勢見直しであります。実際はそれに先立ってそれに類する動きはずーとありました。日本にもラムズフェルドがきてそういう話しをしているわけで、11月25日に始まったというのは整理をするうえでのことでありますけれども、とにかくそういう形で正式に世界的な米軍の見直しが始まったといえます。 その背景をまず説明しますが、二本のより糸と書きました。やや長期的な米軍の大きな変革、米軍を生まれ変えさせるというような意味あいでトランスフォーメーション(軍転換)単なる変化ではなくて、すっかり形を変えてしまうというくらいの意味あいをもっている言葉です。そいう転換を数十年かけて行うということが進行しています。これは、ブッシュになる前からクリントン政権の頃から21世紀を見通した米軍の戦略としていわれてきたことです。ブッシュ大統領になってラムズフェルドドクトリン(今の国防長官の名前をとって)そこで軍転換いうものに非常に明確な方向性・イメージが付与されたというか、そこに書きましたけども「能力」ということを非常に重視いたします。米軍に必要なものは数ではない。多くの軍艦、大きな兵隊、多くの戦闘機というというなものは20世紀の兵力である。21世紀は非対象な脅威、正規の軍事力同士が戦争するという形ではなくて非常に対象性を欠いたテロに象徴されるような、そういうようなものを対象にした戦力であって、軍のもっている能力を重視しなければならない。脅威ベースから能力ベースへという見方をしていました。脅威ベースというのは旧ソ連とか中国が次の危機であるとか、そういう脅威を特定してそなえるという考え方ではもう古い。脅威ベースではなくて誰が脅威であるかということはもう特定できない。いつ、何時、どういう攻撃をうけるかわからないということを想定しないといけない。
 しかし、その敵がどういう能力を持って襲ってくるか予想できる。敵はだれだかわからないけれど、その能力は予測できる。その能力に対抗するために力をまんべんなく世界中にちらばせる。それに対応できるようにするというのが、この能力ベースへの転換です。先程いいましたようにそういうときには物量よりも能力だということを繰り返し繰り返しいうわけです。
 そういうことが実際に軍隊で編成の仕方について転換をもたらせなければならないということで、「統合化」ということがもう一つのキーワードになって進行しています。海兵隊、海軍、陸軍、空軍4軍といわれるような軍別の考え方をもう越えないといけない。そういう時代ではなくて、いつも4つ要素が組み合わされて、小さな会議でも統合した兵力として展開しないといけないと、そういうふうに、考えを切り替えるというわけです。
 これは大変なことでして、米軍にかぎらず軍隊が歴史上生れてきたのはそれぞれ必要性があって軍がまずあって、海軍が大航海時代に誕生して、やがて空軍ができてそれぞれ生れてきて、それぞれに特殊能力を基礎にしていましたからすごく、なんとか気質、海軍気質、海兵隊気質ふうにしてそれぞれ職人気質を持って軍隊というのは伝えられていたのです。けれど21世紀の軍隊はそれを越えないといけない。というふうにアメリカは考えたわけです。
 そういう軍隊のテストケースを育てていくということで1999年の米大西洋軍これは我々の所の米軍は太平洋の基地ですが、その大西洋側にいた太平洋軍のパートナー扱いの軍を廃止してまでそこに統合部隊ということで、新しい統合化した軍隊の試験と実戦をしてそれを世界に派遣していくというような機能を持った軍隊を作りました。
 最初は大西洋軍のもっている地域的な防衛の任務をもって兼務していたのですがその兼務も解いて2000年には統合軍に専念する軍隊ということで本格的なことをやっている。これはいわば伝統的に進行している軍の転換というよりいとです。そのよりいとはわりと抽象的な頭からくるようなやり方なのですけれど9・11以降、テロとの戦争という合い言葉をブッシュ政権が作り出しまた。9・11があってアフガンがあって、イランがあってというにして、世論作りには非常にこってりしたスローガンでありまして短期的な政治なテコとして米軍の大きな転換が行われている。ということであります。実際、予測のつかない2000年時点では予測のつかないような現状がかもし出されているということは皆さんもおきずの通りであります。
 イラクには十数万人の兵力をいつまでおいていなければならないのか、今、だれも予言できない。兵力をそこに維持していくためには兵隊のローテーションをどうくむか、志願兵制度をくずさないとすれば兵隊に行くと将来の予測がつかない。いつ任務が終わるかわからない状況であれば志願兵制度の維持ができないわけでありまして、今、アフガンには1万3千人、イラク13万人これがどうなるのかわからない中で、無理やりローテイションを組んでアメリカ国民には非常に分かりやすい状況になっていて、今のままだと兵隊に行きたくないということが明確に出てきているわけです。
 それで軍転換、世界的に再配置をするときに、例えばこういう説明をしています。今年の3月27日にコーン国防次官補代理の言葉なのですが第2次世界大戦の見直しの目的は米軍兵士を海外に永住させ軍人としての生活になにがしかの安定感をあたえる。わが兵士やその家族が予測可能性と必要なライフスタイルが維持できるような環境を我々がどうやって作ることができるかという問題につきるというふうに言っている。これはいち側面ですけど世界大戦の見直しがアメリカの志願兵制度にとってはどういう必要性がからんでいるか見える言葉だと思います。 そういうふうな背景のもとで転換をしている国防の世界的な態勢見直しですけど平常どういうふうにみているかということをそこにちょっとした統計を資料として出しておきました。2001年の9・11の直後に出された米軍の4年期国防見直し(QDR)と呼ばれるもので、はっきりと書かれているのは西ヨーロッパと東北アジアには米軍が過剰に配置されている。これは冷戦時代から引き続いている非常にアンバランスな現状にそぐわない状況であるとはっきり言っているわけです。西ヨーロッパと東北アジア・我々が住んでいるこの地域であります。実際どれだけの人数かとアメリカの統計でここに書きました。ここに人員と書いてありますのは軍人の数で、何カ所は基地の数ですけど面積が10エーカ以上で資産価値が1000万ドル以上である基地だけを数えている。基地の数え方については、たとえばキャンプバトラーという横須賀の海兵隊基地、キャンプバトラーというのは実際にはキャンプホスターであるとか、キャンプキンザーであるとか、キャンプコートニーであるとかのいくつかの基地を全部まとめて一つキャンプバトラーの名前で呼ぶということがありまして、からなずしも個々に私たちが数えている基地の数とは違うんです。それを念頭においていただきたいとおもいますが、ともかくドイツ、イタリア、イギリス、西ヨーロッパに合計して10万人です。昔、ヨーロッパ10万人にアジア・太平洋10万人といっていたのはその数です。
 基地の数が合計して300カ所、東北アジアに関しては日本と韓国が圧倒的に多くて87000人約30カ所そういう面積、全世界と書いたのは海外配置されている人員はそういうふうに書いてある数です。ですからこれを見ただけでもヨーロッパと東北アジアに配置した人員はじつに95%をしめる。基地の面積51%をしめるということでですから冷戦時代にかたよった配置といわれている事実はそういうことです。ですから、この態勢をかえないといけないというふうに基本的に彼らは考えているわけです。そのときに考えている配置の仕方について繰り返しいわれていることは、柔軟性をもつということで、いろんな意味がこの中に含まれている先程ちょっと説明しましたけれども、いったん韓国に配置されてローテーションされている米軍の兵士にローテーションが終わらないうちにイラクに派遣されている。沖縄の海兵隊もローテーションが終わらないうちにイラクにいかされているわけです。そうするともうひとつの抵抗ある議会でそれが追及されているし、ですから軍隊だからわりと人間をコマのように扱うということはそれはそれとしてあるんですが、アメリカの軍の転換というのはいろんな制約がついて回っているわけです。それが柔軟性がないと彼らはいっているわけです。
 そういうことが起こらないようにするために、最初から世界にうまく配置する。将来どういうことが起こるかわからないときに、無理をしなくても柔軟性を欠いた運営をしなくても転換できると言う事が、基本的な世界配備の考え方であるといわれているわけです。
 もうひとつ世界転換をするときに、ややもするとアメリカは単独主義で全部アメリカの軍事力で世界をおさめるだというイメージになるわけですが、とてもアメリカの力だけでは、そんな力はアメリカにはないわけで先程の例にもわかるように、とにかく今、兵力を多くすると国内的には大変な議会の議論を経ないといけないし、予算もそんなに増やせないという制約の中でアメリカが考えていることは、世界転換するときに最大限同盟国と共同する。いままで以上に同盟国との関係を大事にするというスタンスであります。その時に西ヨーロッパ、東北アジアはアメリカの同盟国の中でもうんと関係が深い同盟国であるドイツ、イタリア、イギリス、日本、韓国というところは基地の数を減らして、人員は減らすけれどもその機能は格上げをするという考え方がそこに登場しています。それは主要基地のハブ化といわれているものです。つまり同盟国はもっと本気で米軍と一緒に行動してほしい、それには彼らにいわせれば、テロとの戦争なのだ共通の利益なんだと言い方をするわけですが実際にはアメリカの戦略をもっとコミットしてもっと深入りをしてお手伝いをする、そういう同盟国になるべしというのがこの世界配備の見直しの一つの考え方であります。ですから同盟国には相当きつい要求をしているわけです。本気で自分たちと一緒に戦えとそれは必ずしも人数とか基地の数ということに反映されることではない、より深い関係を要求しているというふうになっています。
 こういう転換をなしとげるために今3つの政治過程がアメリカ国内で進行しています。一つは、国防省の国防態勢見直しという声明に登場した昨年来の動きです。それと密接に関係して05年基地閉鎖再編法という法律が2001年に作られてブラツク05法とよんでいるんですが、そういうものの流れがあります。それからもう一つ、海外基地見直し委員会というものが設立することが法律でさだめられまして、その委員会プロセツというものが進行しています。これについて少し簡単に説明します。このブラック05法というのは冷戦後アメリカの国内の基地の見直すということで何とか整理・縮小して経費を浮かせようという、最先端の防衛投資、技術的な開発にお金を回すということを目的としまして国内基地の整理・統合というのが4回おこなわれました。その過程をブラック過程、ブラックというのはの頭文字なんですけど基地の再編整理という言葉の頭文字です。そういうことが4回おこなわれまして、それの5回目を来年おこなうということが法律で決まったわけです。
 しかし、米国内では基地の閉鎖ということは地方経済、その基地を持っている地域経済に非常にマイナスになる。雇用の問題が発生します。ですから地元出身の議員は最大限自分の場所の基地は雇用を守るという趣旨で基地の防衛に力をそそぐわけです。そういう力学が働きます。ブラック05という本来米国内の基地の閉鎖立法なのですけど、これには特別要件が付けられました。それは海外基地をそのままにしといて海外基地を放っておいてなぜ国内の基地ばかりを整理統合するんだと、先に海外基地を整理統合せよというのが議会の主張として出てくるわけです。それで議会と国防省はお金を浮かせたいからとにかくに整理統合を推進しようと攻防はものすごく続いていまして、今この時点でもアメリカの議会でブラック05についての攻防がおこなわれているという状況です。そういう中で、海外見直し委員会というのが作られました。これはこういう議会と国防省との攻防の中で生まれてきたんです。議会は海外基地を早く整理統合せよという主張ですから、それを国防省にまかせておかないで議会が任命して海外基地見直し委員会というものを作るという昨年の11月2日に立法化しました。ですから、法律によって海外基地見直し委員会というのができている、そこが今年のすえ04年末までに整理統合に必要な諸情報を勧告もふくめて議会と大統領に提出するというになっていたわけです。
 ところが、今、進行しているアメリカの議会でこのブラック05と基地見直し委員会に対して根本的にこれをひっくり返す議論がはじまっています。下院の結論で、その段階ではブラック05をブラック07に延期するつまり、05年にしない07に延期する。海外基地見直し委員会は撤廃するという法律を通しました。しかし、まだ、上院があるのと国防省ははやく05をやりたいわけですからその攻防が続いている。今年の秋までたぶんひきずっていくだろうというふうに思っています。
 米国内の基地をとりあえず延命させながら米議会としては海外基地の閉鎖をとにかくやらせる。国防省に基本的に今の世界態勢見直しという流れの中でやらせて、その結果をみて07年の国内閉鎖に着手するというふうに彼等はいま考えていると思います。ですからひとつ我々にとって海外基地見直し委員会はひとつの希望の目だったのですけど、それはちょっと怪しくなっているところであります。なぜ希望の目かというと見直し委員会というのは一応独立委員会でして、専門家8名で形成されているんですけど、そこは大統領にも勧告をし、議会にもレポートを出して勧告をするときに資料をペンタゴンからとりよせるだけでなく、直接、たとえば沖縄の知事がそこに行ってそれで彼等が公聴会をひらくように要請して意見を発表するとか、直接海外からの意見が可能なしくみになっている。それをなんとか活用してとりあえず沖縄の基地の返還のひとつの突破口をひらく場として考えていたんですけど、それが壊されそうということでこれはひとつのマイナスの事がおこりつつあります。
 しかし、国防省自身の海外見直しということも先ほど説明した流れですので、ここでおこっていることそのものは相当我々がつかうべき目があるともいえす。こまかいことは後にして、そこに書いたことを説明しますと、ドイツからは兵力を半減するという動きがあるとこれはワシントンポストです。
いずれも国防省は、まだ外国政府と交渉中であって、すべてジャーナリズムがかきたていることは推測にすぎないと言っているのでひとつも公式的なことではないのですけど、しかし、いろんな所で火のないところに煙りはたたないというようにリークされている報道がいろいろあるわけです。
 ドイツの陸軍は半減する、アジアからは1万5千人の兵力削減計画これらはいずれもワシントンポスト紙で、それから韓国ではすでに陸軍の大改変が始まっています。3600人がイラクに派遣されるということは米軍は認めました。そのかわりの兵隊は韓国には来ない、これからイラクで仕事をおえたあとその部隊は韓国に帰らないということですから、少なくともこの派遣部隊3600人は削減される。それで韓国の陸軍が相当削減される中でアジア太平洋陸軍全体の再編が起こりそうです。その中には日本で報道されたキャンプ座間への第一軍団司令部の移駐という問題がありますし、さらに韓国の新聞が報道したことによると、アジア太平洋陸軍司令部というのが新設される可能性がある。太平洋陸軍司令部というのは日本におかれる可能性があるということで司令部機能を日本に持ってくる可能性があるような報道があります。
 ドイツで大幅に削減された兵力の一部は東ヨーロッパに配置されようとしています。出ている国の名前としてはポーランド、ブルガリア、ルーマニアですね拡大されたNATO諸国に小さな基地をおくということで交渉がはじまっていて、ロシアをなんとかするためにアメリカの外交が展開されている。それから中央アジアのアフガニスタンの戦闘の延長線上でウズベキスタンとキルギスの基地の継続使用が追求されている。そのほか、沖縄ではすでに3000人の海兵隊がイラクに派遣されそれの大部分はイラクの任務が終わったら沖縄に帰らないと言う韓国と同じようなことになりそうなことがおこっているのと沖縄の海兵隊が転属という報道がある。
 一方、グアムには4隻の原子力潜水艦の母港が3隻を差し引いてあと1隻は巡行ミサイルトマホークの発射のための潜水艦です。これはオハイオ級で核ミサイル発射艦を改造してトマホーク発射艦にかえたものをグアムを母港にするという話があります。それから爆撃機のが配備がすでにおこなわれています。
 オーストラリアでは共同訓練場の拡充が政府間の合意として行われています。シンガポール、タイであらたな軍事協力が中味はよくわからないが進行しています。等などいろんな報道がおこなわれているわけです。
 そういう中で、アメリカ海軍の次期の空母に対するものの考え方はどうなっているのかということを次に説明します。ラムズフェルド国防長官が着任以来、今の最新型空母ニミッツ級と言われている原子力空母なのですがこれは2008年にキテイホークが退役したあとは、おそらくニミッツ級の原子力空母が交替するのではないか、ファーゴ太平洋軍総司令官の話しはそういうふうに読めるということがあるわけですが、このニミッツ級というのが旧艦名レーガンの名前の船が今年ついこの前母港とするサンディゴのノースアイランド入ったばかりなんですが、これは今の最新型のニミッツ級の9隻目の船です。
10隻目の船がいま建造中であります。2008年にそれが就役すると丁度キテイホークがいなくなったときに就役をする。これはまえまえからのサイクルで、ただ現在、建造中の船の次に米軍は海軍はどうしようとしているのかというのはずっと論争だったわけです。ラムズフェルド長官は、大型空母には反対派であるため大型空母は意味がないと、我々の冷戦時代の巨艦主義のひとつの考え方だ、実際にはテロの時代にもっと軽量空母にすべきだという議論があります。軽量化否かにかかわらずそもそも原子力推進ということが本当にメリットがあるのかコストに関係するようなメリットが本当にあるのか、こういう大型化の是否と原子力推進の是否というような論争がずーとあって、しばらく行方がよくわからなかったのですけど、昨年の後半くらいからだんだんと具体的に進行していることが見えてきて現時点では非常にはっきりとおちついてきたという段階であります。
 まず、空母の位置付けについて、我々、反対をするものにとってはおもしくない状況にあります。これはもうゆるがないものだろうと思われます。というのは、先ほど言った、軍の転換の中で海洋基地化(シー・ベイシング)という言葉を使った新しい概念を打ち出しました。
 統合した軍隊、陸海空・海兵隊すべてが機能的に運用するときに、彼らの考えでは陸上基地の確保というのは、たくさんの候補地はあるし、これからも交渉して広げていくことができるだろうけれども、ゆくゆくはそれは非常に難しい局面を考えないといけない。そのため統合された軍隊を展開できるような基地をもたないといけないというシー・ベイシングであります。
 今年のアメリカの海軍長官の議会証言でシー・ベイシンクを説明しているところをちょっと要約したんですけど世界中の海から作戦行動する独立主権をもった広範に分布したネットワークされた部隊を操作できる利点をいかしこれは海軍のもっている利点ですね、それをいかにして統合軍のアクセスを確実に可能にするよう世界中のどこにでもアクセスできる統合軍を送り込める、それを可能にするよう海軍・統合軍を統率し持続する国家的能力をシーベイシングというように考える。そういう考え方で大型空母を位置付けた。しかも、今までより広角的、世界的に展開する部隊運用の新概念というものを打ち出した。それが作戦の世界概念(グローバル・コンセプト)とよばれるもので艦隊即応計画とよばれていて空母打撃団を中心に開発をする。6+2計画と彼らが呼んでいるのは空母が全部で12隻ある。12隻態勢はこれまでもこれからも退役したものは新しいものに置き換えると言う事です。12隻態勢の中で6+2というのは6隻をいつでも使える。実際に展開しているあるいは展開がいつでもできる状態に保つ。プラス2というのは90日の予告で出動できる状態に保つということで、6+2:計画というものを推進するというふうに言っています。計画のなかで太平洋には空母2隻を前進配備する。空母1隻の港は横須賀を考えているいるわけですが、もう1隻は、ハワイないしはグアムと言われている。横須賀の運動で勝てばグアムとハワイでいいんではないかアメリカの領土内でやらせることになると思いますが、そういう中で、10隻目のニミッツ級CVN77の番号の船になることがきまっているわけですが、2008年就役がこれが最後になってその後にニミッツ級にかわって新設計でCVN21といふうに呼んでいる。これは仮に呼んでいるだけで21世紀の21をとったにすぎないで実際には、そういうよくわからないのですがとにかくCVN21という構想でついこの間、総額14億ドルでノースロップ・グラマン社ニューポートニューズ造船所アメリカで原子力空母を建造できるドックをもっているのはニューポートニューズ1カ所しかないので、そこを維持することも彼らの頭の中には当然あると思いますが、契約が成立して2007会計年に建造開始、それまでは設計を海軍と協力して最終設計までやって2007年に建造開始して2014年に引き渡す、2014年というのはジョン・F・ケネディという最後の通常型空母最後のニミッツ級ではないのですが一番最後まで艦名が退役するのが2015年といわれていますから、それと交替をする時期にCVN21の1号艦ができる。このCVN21号艦で何を考えているか最近の議会の資料でいろいろでてきています。
 21世紀、米海軍力の中心とした搭載航空機には統合戦闘攻撃機JSNこれは今、海軍も空軍も海兵隊も同じ航空機を使い、それぞれが違う航空機を使うのをやめて、先程いった、統合戦闘攻撃機というのはそういうことです。それから統合無人戦闘機これはラジコンのでっかい無人の戦闘機それなんかをのせる、指揮センターというコンピュータシステムを考えているのですが、これは海軍のみならず新しい革新的能力を持たせる。それから重要なのは新設計の原子炉でニミッツ級の3倍の発電力でこれは慎重な言い方なのですが新設計の原子炉、原子力の出力が3倍というのではなくて、新設計の原子炉と発電プラント発電機の改良この2つでニミッツ級の3倍の発電力と言う方をしています。明らかに発電炉も大きくなります。少なくとも出力も大きく従来よりも大きいということをふくむと思います。それから新しい拡大した飛行甲板、飛行甲板をニミッツ級より大きくこれをまたユーウツな話し、電池カタパルト。電池カタパルトというのは飛行機を発進させるときにいま蒸気噴射での推進力で飛行機が甲板から押し出す、投げ出すのを助けている。そういうカタパルトがいまの蒸気力から電池力、電池カタパルトこれはリニアモーターカーを考えて下さい。リニアモーターカーのレールを作って加速するという電池カタパルトが資料の中に書いています。
 これによって今よりも20%出撃発進回数が増加する。平坦基地の要件を改善しつまり、故障をすくなくするとか点検する期間を短い期間で、25%期間を短縮する。将来いろんな設計変更が可能なアイランドというのは甲板の上に立っている司令塔ですけどそれの位置が変えられるようにしておく、武器しだいの扱いシステムを改善する。それから大事なのはミニッツ級よりも少なくとも800人は少ない。すごく機械化、合理化をして船を維持するというような資料が出てきています。
 以上がアメリカの世界戦略とその中で原子力空母がどうなるかと言う事です。ここでぜひとも勇気のでる話しをしたいのですが、今年3月25日に、今、世界再編はどうなっていくのか公式の発表は一つもないものですから、記者会見でいろいろ聞かれるわけです。その中で、ラムズフェルドが中味はいえないえないけど世界的な再配置の時の原則みたいなものを考えているとしてならずしも4原則という言葉は使ってはいないのですが、つぎの4つの原則を記者会見でを発表しました。
 その4原則の第一は海外配備は必要である。すべての軍隊を米国内にもってくることは無理である。二つ目の原則は歓迎されないところに配置しない。ラムズフェルドがヘリコプターで普天間基地をみてどういったかわからないけど、彼が韓国にいってソウル上空でヘリコプターでみてヨンサン基地はソウルのど真ん中に陸軍の基地があるわけですよ、それを見た時のラムズフェルドの言葉は、これはニューヨークのセントラルパークにどこかの軍隊がいるのと同じだと言ったそうだ、韓国でいやがられていることは知っていて韓国世論を気にしているわけです。日本に軍隊をおくというのは軍事的にはいいのでなくて経済的、お金が安く付くという話しと政治的日米同盟のひとつのシンボル的な役割、この2つが決定的に大きいと思っているわけですが、とにかく歓迎されないところに配置しないという第2原則その時のことが話し言葉なので実際に長いのですけど、第2の原則は我々は本当に我が軍を望まれている所におきたいということであった。そんなに歓迎されない所には居たくないのである。それから第3の原則は部隊展開の柔軟性の確保。たとえばどこかに基地をおいたそこからどこかに移動する時に、自由にその基地がつかわれるようにするというのがひとつ、我々は次のように部隊を配置しなければならない。つまり次の紛争がどこに起るか分からない以上、移動しなければならないところのはどこにでも移動できるように柔軟性のある取決めができていなければならない。4つ目の原則は関係国との合意が必要である。この4つの原則をもって再配備を計画しほぼできあがっている。
 しかし、同盟国、関係国との協議で事は決まっていくのである。だから今はなんとも言えないというのが彼の言い方で、この4つの原則はとても大事であるし使える。基本的に日本にもし民主主義があるならば民主主義ともうひとついいたいのは法治主義のこの法にのっとって行動する。この2つの最低限の事を守られるならば、この4つの原則を適応していくと在日米軍基地というのはほとんどなくなるはずです。とりわけ指摘したいのは、3つ目の原則は日米安保条約に反する。日米安保条約に忠実であれば条約ですから法的な日米間の取決めです。法的な日米間の取決めに忠実であるならばこの柔軟性の確保というのは不可能なはずで、日米安保条約では第5条と6条で在日米軍の仕事が決められて、それは極東の日本自身の平和と安全ということで在日米軍が居ることになっているのですが、今、世界態勢の見直しで要求されている基地というのは、そこからどこにでも行ける基地なのです。とにかく日本に要求されているのはハブ機能といえると思います。先程の原則からいっても米軍をそのような趣旨でおくということは出来ないわけで、日本が米軍に依存しない安全保障の選択をして自治体住民のいやがる声を聞いて行動してこの4原則をテコにして基地はいらないということができるはずでその意味ではちゃんとした手掛りがそこにあるというふうに考えるわけです。
 この間、沖縄の基地の縮小問題を考えたり、それから海外における米軍基地反対のいろんな動きをみる中で、最後に運動論的なことですが2つ提案します。1つは横須賀基地の半島を未来をイメージできるような半島の名前にして返還イメージを作り出しながら、先程、全駐労の人の話しもありましたけれど雇用の創出、それから環境の保全と、特に海というのはこれからの若い人たちがすごく魅力を感じる場所だと思う。生命の誕生の場所であるし海に何かがある、これからも凄くロマンを駆り立てる一つのフロンティアだと思う。ですから基地半島に名前をつけて雇用の創出をふくめたトータルな多くの市民があそこに新しいイメージをつくりだせるようなそういう風潮が必要なのではないか。少し時間がかかりますが急ぐ運動は運動としてやりながら、やや長期的に10年くらいで返還をすると、そういうものを作ることは大事ではないか、特にあの半島そのものを生まれかわらすというようなイメージを作り出さないと今の米軍の世界戦略の中ではそれに違うイメージを作り出すためには必要である。
 そういうことをふくめた住民の声をアメリカに届けたほうが良い。これは4原則がある中で、いやがるところには基地をおかないといっているラムズフェルドがいっているのに日本政府は何もいっていない。日本政府は基本的には喜んでいるわけで、日本政府の政策としては来て欲しいといっているわけです。それは北朝鮮の脅威から日本を守るためにアメリカを引き止めなければならない、そのためにはイラクにアメリカのお手伝にいくというような日米の同盟を深めていったんことがあればアメリカがやってくれる。ということを本気で考えているわけですから、そういう人達がアメリカに住民の声を伝えるはずがないし、沖縄にたくさん負担をかけているのですが去年11月ラムズフェルドがきたときに沖縄の人達はいやな顔をされながら基地はいらないと直訴もした。そういう関係を日本政府は絶対にアメリカに対して住民の声を伝えないと思う。まず自治体の力も大事ですし同時に自治体の声をふくめてアメリカに住民の声を届けるとそのときにやっぱり必要なのは自分たちの町づくりのビジョンを生活上、市民の地域である話しなどを全面に打ち出して多く直訴するという形を何度も何度もやるような事を含めて新しい大きなことができていけばいいなと思います。


■録音テープを文章化しました。責任は東京平和運動センターです

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