TKOPEACENEWS
  2面 NO.7/01.5.1発行

プルサーマル計画凍結を求めるにいがた大集会

・2001年3月17日
・新潟県柏崎市・柏崎市民会館


 3月24日、早朝5時フランスから輸送されてきた「MOX燃料」が柏崎市大湊海岸に到着し東京電力柏崎刈羽原子力発電所の専用港に入港した。
 この「MOX燃料」は原爆30個を1〜2週間で製造ができるレベルの高いプルトニウムを使用している世界でもっとも危険であり、フランスからの輸送に対しては軍艦2隻が護衛し、輸送途中のヨーロッパ、オーストラリア、ニュージランド、南太平洋諸国などは自国の軍艦をだして警戒し自国の領海内には絶対に入れさせないなど世界中が緊張していた「MOX燃料」である。中でもお隣りの韓国は対馬海峡の通過を認めないとして釜山市内で反対集会をひらくなど抗議行動を展開しています。
 世界の人々がもっとも恐れる「MOX燃料」がもし韓国や台湾政府が導入を決定したなら、核兵器の拡散がはじまり日本政府もそれに対抗して「核兵器の製造」に踏み切るかも知れない非常に重要な問題を抱え込むことになると考えられています。
 もし、「MOX燃料」を使用中に重大事故が発生すればウラン燃料だけでも、大被害のチェルノブイリ原発事故どころか、被爆した人の半数以上が急生死ないしは致死性のガンを発症すると予測され、その被災する地域も倍以上に拡大しその地域は壊滅的な被害をうける事になる。
 このように非常に危険な「MOX燃料」導入に反対するため、3月17日、柏崎市民会館には、全国からプルサーマル計画に反対する市民や労働組合員や農民や商店街の店主などさまざまな人々が集結しました。集会が始まる頃には1200人を収容する会場がほぼ満員になるほどの参加者となりました。会場内では主催者やグリーンピースの代表などの話を本当に真剣になって聞き入るという、ざわつきがつきものの集会とは違う緊張した雰囲気の集会となりました。
 主催者あいさつで、新潟平和運動センターの道見議長は「私たちの主張は計画実施の順番ではなく、計画自体がいらないということだ」と断言し、脱原発の決意をのべた。続いて、グリーンピースのバーニー氏がMOX燃料についてイギリス、フランス、ベルギーなど製造国の実情について報告、さらに原水禁、地元の市民団体、MOX燃料の導入を最初に考えているといわれる福島、福井、青森の各県からそれぞれ闘いの報告をうけた。この中では、3月16日に新潟平山知事、西川柏崎市長、品田刈羽村長の3者が国内初の実施容認を示唆したと言われることに対して批判が集中しました。
 集会は90分で終了し、その後、市内本町通りから駅通りを通り柏崎駅前までデモ行進を行いました。


「プルサーマル」実施3県の状況

 福島県の佐藤栄佐久知事は2月、プルサーマル計画実施を当面認めない考えを示した。このため、東京電力も福島第1原発3号機での今春の実施断念を発表せざるをえないことになった。柏崎刈羽原発には3月24日MOX燃料が搬入されたが、新潟も私たちの運動と全国からの要請行動もあり、実施できる状況ではなくなった。福井県の高浜原発でもMOX燃料の検査データねつ造が発覚し実施のめどは立っていない。地元の抵抗はどこも強い。各県の状況について報告します。

◆福島県
 東京電力は99年9月、福島第1原発3号機にMOX燃料を搬入し、国内初の計画実施を目指した。しかし、東電は今年2月、県が誘致した広野火力発電所の増設を凍結する方針を発表。知事は、プルサーマル計画への態度を硬化させ、「実施することは当面ありえない」と県議会で表明した。東電は、広野火力の凍結を解除することを決めたが、原子力政策の見直しと核燃サイクルの断念が背景にあり、県の姿勢は変わっていない。

◆新潟県                        
 平山知事、西川柏崎市長、品田刈羽村長らは3月16日、3者会談をもち、東電の「納得できる説明」がないかぎり、福島第1原発より先行して同原発で計画実施を受け入れないことを示唆した。西川市長は「(国内初)常識的には自然でない話しで、実施したい当事者(東電)が分かりやすい説明をする必要がある」と述べ、「全国初の実施」に対しては抵抗感を示した。一方、刈羽村の住民グループは有権者の約37%に当たる1,540人の署名を集め、29日に品田村長に対してプルサーマル計画実施の是非を問う住民投票条例の制定を直接請求した。同村でプルサーマル計画についての直接請求が行われたのは99年3月に次いで2回目。前回は反対多数で否決され、昨年12月には議員提案で同様の条例案が可決されたが、品田村長が再議にかけ廃案となった。今回の直接請求では、品田村長が再議権を使うかどうか注目されていたが、村民の直接投票を行うことを過日表明した。

◆福井県
 関西電力高浜原発で使われる予定であったMOX燃料をめぐっては、99年に検査データのねつ造が発覚した。同燃料は現在も同原発内で保管されているが、返還することで合意済みで、関電と燃料製造会社が時期や方法を協議している。同県は、同原発でのプルサーマル実施を完全に白紙に戻したわけではないが、燃料の品質管理体制の確立に加え県民の信頼回復が実施の条件と位置づけている。

 3・17にいがた大集会で福島県の闘いの報告をする遠藤福島平和運動センター議長


集会アピール

 景気の停滞、電力需要の減少、電力の自由化が進むなかでエネルギー政策の根本的な見直しが求められています。
 こうしたなかで原子力発電は、一昨年のJCO事故以来、事故や原発震災の危険性が懸念され、さらに使用済み燃料や核廃棄物の処分問題を後回しにしてきたツケが深刻な事態となっています。その上、政府が原子力政策の重要な柱に位置付けてきた核燃料サイクル路線は、高速増殖炉もんじゅの事故で既に破綻しています。
 こうした客観的状況を無視して、使用済み燃料の再処理を海外委託した結果、取り出したプルトニウムは30トンにも上り、日本が潜在的核保有国だとの国際的非難をかわすために考えられたのがプルサーマル計画です。この計画は、ウラン燃料を専用とすることで設計された原子炉に、プルトニウムとウランの混合酸化物燃料(MOX燃料)を装荷し燃焼させるものです。これを実施すると安全性に深刻な問題を生じ、プルトニウムが超猛毒の核物質であるため周辺住民に重大な影響を及ぼすことが心配されます。
 一方、電気事業者は、プルサーマルはリサイクルできる唯一のエネルギーであるとか、CO2を出さず地球温暖化防止に役立つとか、巧みに宣伝しています。しかし、実際にはリサイクル可能率は1%にもならず、排水などで海水温度が上昇しています。私たちは真実を見抜く必要があります。しかも、MOX燃料の製造と検査をめぐって、一昨年9月福井・高浜原発用、英BNFL社の製造検査データ捏造事件が発覚以来、プルサーマルの実施が足踏み状態になっています。この問題は高浜原発用MOX燃料にとどまらず、現在は東京電力福島第一・3号用、柏崎刈羽・3号用にも検査データ改ざんの疑いが強まっています。東京電力が製造を委託した会社はベルギーのベルゴニュークリア社で、福島・柏崎両現地住民と柏崎市議会から検査データの公開が求められているにもかかわらず現在も拒否し続けています。それを東京電力と経済産業省がかたくなに擁護しています。高浜原発用MOXのデータ隠しの時と同じ構造が進行しているのです。
 県民のプルサーマルに対する不安と、原子力政策への不信が強まっているなかで、プルサーマルを強行実施することは絶対認めることはできません。本集会の名のもとに、ベルゴニュークリア社、東京電力並びに経済産業省に、すべての検査データを公開するよう要求します。また、東京電力に対して、24日に柏崎原発に到着するMOX燃料の不使用と、新潟県知事に対して、プルサーマル計画凍結を表明するよう強く要求します。
 2001年3月17日
プルサーマル計画凍結を求めるにいがた大集会参加者一同


「プルサーマル凍結」全国要請行動

「プルサーマル計画の凍結・中止」を求めて、4月2日から13日にかけて、全国から平山知事、西川柏崎市長、品田刈羽村長、出沢東電柏崎刈羽原子力発電所長に対して要請行動を行った。東京は関東の仲間と4月12日要請行動に参加しました。

平山知事は一度も応対に現れず、原子力安全・資源対策課長が対応した。県は高浜でのデータねつ造に不快感を示しながらも、「必要性、安全性、バックエンド対策の面で事前了解は変わっていない。東電は福島との信頼関係を回復すべきで、その動向を注目している。東電から説明があるまで待つ。説明なくして装荷することはない」と説明。さらに要請団が「カギを握るのは知事、新潟がやれば全国に広がる。ウランと比べてさらに危険が高いのになぜ急ぐのか」に対し、「必要性、安全性、バックエンド対策については2年前の事前了解の時に総合的に判断した」JCO事故は原子力の安全性とは直接結び付かない」と回答した。
西川市長は「市民感情として『一番はいや』という気持ちはあるが、事前了解は生きている。東電が合理的で誰もが納得できる説明をすれば、たとえ一番でもプルサーマル実施に同意する」と答えた。また、「東電が今夏のプルサーマル断念」のニュースの後では「なんだと思った。計画書の中身は『判断先のばし』だ」と当惑の発言をした。

品田村長は「県・市と歩調をあわせてやる。国策と公共の福祉にどれだけ関与できるかだ。原発は被害者が出ていない」との発言。また村からは、住民投票条例に関する意見書を村長が出していない現状が報告される。

東電に対し要請団は、安全性、必要性、データ非公開についての不安などの観点で「プルサーマル白紙撤回」を強く迫ったが「県・市・村から協力をえており、今は燃料検査と住民の理解を進めることだ」とかわし、核廃棄物の危険性指摘やエネルギー事情、データ公開の要求に対しては「原発はガスタービンや燃料電池と違って二酸化炭素をださないクリーンなエネルギーだ。また、データは製造者の財産で請求には限界がある」とすれ違いの回答に終始した。
NHKニュースについては「誤報で抗議した。MOX装荷は6月中旬までなら間に合う」と強気の発言を繰り返した。

▲柏崎市長にプルサーマル凍結をせまる全国からの要請団


「プルサーマル凍結」全国要請行動
1.趣旨

 全国各地から、プルサーマル計画の凍結、中止の要請を関係自治体首長並びに事業者に直接行ない、プルサーマル実施を断念させる。
2.要請先(直接要請と交渉)
 @ 平山征夫 新潟県知事
 A 西川正純 柏崎市長
 B 品田宏夫 刈羽村長
 C 出沢正人 東京電力柏崎刈羽原子力発電所所長
3.期日と要請団
4/ 2 (月) 原水禁(1名)、平和フォーラム(1名)
4/ 3 (火) 福島県(6名)、四国ブロック(6名)
4/ 4 (水) 北信越ブロック(9名)
4/ 5 (木) 北海道(3名)、青森(2名)、宮城(1名)
4/10(火) 九州ブロック(4名)
4/12(木) 関東ブロック(5名)
4/13(金) 原子力資料室(3名)、山口(1名)、広島(1名)


各 位
2001年4月20日

新潟県平和運動センター
議 長 道 見 忠 弘

「プルサーマル」計画凍結を求める
新潟要請行動に対する御礼と若干の報告

 「平和・人権・環境」確立のため、連日ご奮闘されていることに敬意を表します。
 さて、このたびは大変ご多用のなか、標記行動にご参加いただきまして誠にありがとうございました。要請行動は、2日の平和フォーラム・原水禁国民会議を皮切りに13日の原子力情報室・山口・広島まで7波にわたり、3団体・22都道県から計41人の参加となりました。
 柏崎刈羽原発3号機の定期検査は17日から始まりましたが、東電は現在のところ、MOX燃料の装荷については保留しており、最終判断は燃料の入れ替え作業が行われる6月中旬ころまで持ち越しとなっています。新潟で強行されれば全国に広がる、何としても「凍結」させねばと、この間、県・柏崎市・刈羽村・東電に訴えられた全国の皆さんの思いも抱いて、さらに運動を強化していく決意です。
 定検に入り、東電は「今後も住民への理解を求めたい」、県は「事前に相談や連絡もなく導入するとは思っていない。東電と福島県との協議がまとまったうえで説明があるだろう」、柏崎市は「福島より先の可能性があるとすれば、よほどの合理的説明が必要で、そのハードルは高い」と、いずれも判断を先送りしています。一方、刈羽村では、村議会で「住民投票条例案」が賛成9、反対6、退席1、欠席1で可決されました。今後の焦点は、品田村長が再び拒否権である再議権を行使するかどうかで、その判断は24日までとなっています。が、村長は依然「プルサーマル計画は国策であり、住民投票はなじまない」との主張を繰り返しています。
 いずれにしろ、当面6月半ばころまで手綱を緩めることなく追い込み、プルサーマル計画の返上と中止を求めて闘い抜きます。
 まずは、御礼方々若干のご報告まで。
以 上

MOX燃料輸送船入港に対し抗議

 3月24日、早朝5時の柏崎市大湊海岸はプルサーマル計画に反対する市民、県民300人以上の抗議の声で騒然となった。
 東電は柏崎刈羽原発の3号機で使用するとして、フランス『ベルゴニュークリア社』でMOX燃料集合体を製造したが、その燃料28体を積載した武装輸送船が入港したからだ。
 東電はあまりの反対の声の大きさに鉄柵の中で恐れおののき、大量の官憲を導入して抗議の声から身を隠した。
 夜が明けたころMOX燃料を積み込んだ輸送船『パシフィック・ピンテール』が姿をあらわし、「輸送船は帰れ」、「プルサーマルを凍結せよ」との抗議の声は最高潮に達した。
 集会後、連絡会ではデータ公開とプルサーマル計画の凍結を求める申し入れ書を渡すべく柏崎原発に赴いたが、東電は正門を閉じ、こわばった表情で受け取るのみであった。

▲右上沖合のMOX輸送船と、抗議のシュプレヒコールをくりかえす参加者
(東電柏崎刈羽原発専用港近くの海岸にて)

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