TKOPEACENEWS
  2面 NO.13/00.12.1発行

平和のための東京行動10・20都民集会記念講演
 〜2000年10月最近の軍事情勢〜


・講 演 衆議院議員 今川正美氏                
・総評会館2F201会議室


◆自己紹介と決意
 私は、長崎県佐世保市の出身で、昨年11月に結成50周年をやりました。佐世保地区労に書記として入ってから、今年衆議院選挙で当選するまで、佐世保地区労の事務局長でありました。32年間地区労運動をやってきました。もともと政治家をめざす性格ではなかったが、私自身このような結果に驚いています。とまどいながら東京に単身でやってきました。
 せっかくあたえられたポストですから、私は九州では沖縄につぐ米海軍基地をかかえておりますので、何かの一つ覚えと言われますが、基地撤去、安保反対など30年闘ってきました。実はつい数日前、皆様もほとんどご存じの方も多いかと思いますが、軍事アナリストで東京国際大学教授の前田哲男さんとも30年の付き合いをしています。それから藤井治雄先生(軍事評論家)とか朝日新聞の元記者で石川ガンさんとか、安保問題のプロの方々とぜひ勉強をさせてほしいということで2ケ月に一回の頻度で勉強会を始めたばかりのところです。これからは国政の場で外務官僚や防衛官僚と渡り合っていくだけの力をなんとか付けたいと言う事で。こうした勉強会を通して21世紀は目の前に来ているわけですから、これから前向きに日本とアジアの関係において、平和の問題、安全を追及するとはどうあるべきなのかという事をぜひ専門家との共同作業の中で、社会に貢献したいことをふくめていま社民党でありますけど、これまでにない一つの大きな国民に訴えられるだけの平和政策の体系をどうにかして作ってみたいとという思いにかられています。

(1)憲法問題の核心
@制定過程と背景〜国連憲章と憲法前文

 今日は時間も限られていますのでお手元のレジメにもとずいて問題を提起していきたいと思います。
 衆議院議員になってから岩手県護憲連合、福岡県平和フォーラムとたてつづけて声がかかってきましたので、中身は同じレジメになっています。ご承知のように憲法問題は国会に調査会を設置をされてすでにいろんな議論がかわされています。憲法が制定されたて53年の歴史を刻んでいますけど、この間アメリカから押しつけられただとか、あるいは半世紀がたって古いだとか、あるいは首相の公選制がないとか、いろんな理由が付けられています。そこまで言うんだったら日本国憲法が当時戦争に負けた直後の歴史的な背景を今一度振り返ってみて、特に自民党などが狙い所とする憲法9条いわゆる戦争放棄、戦力の不保持、交戦権を否定する、こういう世界にたぐいまれな憲法というものが本当に古くなってしまったのかどうかと言う事を国内だけの議論ではなくて、世界とりわけアジアとの関係においてそれが死につつあるのか、あるいは光輝いているのかと言う事を見なければならないと思います。
 また、制定当時の戦争がおわった1945年、朝鮮戦争がはじまったのが5年後の1950年で、そういう意味では戦後の5年間というところをしっかり私たちは見つめ直していく必要があるのでははないかと思います。

A朝鮮戦争とサンフランシスコ講和・旧安保
 ご承知のとおり憲法は第1章で天皇制をうたっています(象徴天皇)、第2章に戦争放棄をうたっています、この第1章、2章というのは関係は非常に日米のかけひきではないが、歴史的な因縁があります。当時戦争責任は天皇だということで、中国を初めアジア諸国、オーストラリアをふくめてアジアの国々を蹂躙したんですから戦争責任をはっきりしろと、戦争の賠償をしろとほうふつとそういう声が上がってきました。当時アメリカは占領したばかりの日本に対する政策の基本というのは極貧政策、つまり当時のビルマ、フィリッピン並の自給自足のやっとの状態においていくということが基本だったわけです。二度とキバをむかないように非武装、ところが5年後に朝鮮戦争が始まる、その1年前の49年、中国では毛沢東がひきいる中国革命がおきるという歴史的出来事が続く中で、日本を貧乏国におとしめると革命がおきかけないという意識の中でアメリカは軍閥と財閥を解体するんだけど、いわゆる朝鮮戦争を契機に一転にして日本に30万人をこえる再軍備をしろと言う事を求めてくるわけです。

B新カイドラインと憲法9条
 この戦争がおわってからの45年、1950年の朝鮮戦争、翌年のサンフランシスコ条約と古い安保条約、この5年から6年の戦後の基礎をなすところは非常に大切だと思います。だからアメリカは戦後、天皇というのは利用したほうが日本の国民を統治しやすいと考えたわけです。そのことはアジアの求めには反するわけですから軍閥を解体し、憲法で戦争放棄と一切の戦力を持たせないから安心しろというやり方をする。今日まで当然問題を引きずってきているわけですけど、極貧政策ではなくて、アジア諸国が戦争責任、戦後賠償を求めることに対して、まてと少なくとも日本が経済的に十分自立するまでは控えてくれということをサンフランシスコ講和条約の中にうたいこむわけです。ですから今日これだけ、豊かな経済パワーを持っている日本に対してアジア諸国やオランダから戦争責任の声が出てる。従軍慰安婦の問題が出てくる、戦後補償を求めてくるというのはごく歴史的に見る限り必然の中だと僕は思います。その根拠はサンフランシスコ講和条約だと思うんですね。そのように非常にドラスティクな、あの敗戦直後の中で戦争がおわってから2年後に日本国憲法が誕生しています。
 ですから憲法9条の一項と二項だけをとらまえて国際紛争の解決の手段としては陸海空の戦力をもたないというのだから、自衛権はあるじゃないか、自衛権は自然権だとかということを自民党や小沢さん達はしきりにいうのですけど、それは限られた文字数の中では読み取ることのできない歴史的な背景というのをしっかりおさえて憲法議論していかないと大変な過ちをおかすのではないかと思います。
 話は飛びますけど、6月13日韓国と北朝鮮の首脳会談、これはこの戦後半世紀の流れを見てみますとまったく私たちの想像にしている以上にすごい意味をもつ画期的なことだと思います。私は8月25日土井党首と一緒に韓国に行きまして、青瓦台で金大中大統領とお会いすることができました。本当に感激でした。ちょうど20年前、金大中大統領が死刑判決を受けておそらく東京でもそうだったと思うのですが、私も佐世保市内の公園で金大中氏を殺すなということでハンガーストライキをやったりしたことがあったものですから、ちょうど20年目に今年の夏に民主化闘争のあこがれのシンボルであった金大中氏に今は大統領でありますから会うなどと言うことは夢だに思ったことはありませんでした。その夜、大統領を囲み女性の国会議員だとか、学者の皆さんと一緒に夕食をしたのですけど、そのときには大統領は公式の場ですからはっきりおっしゃらなかったのですけど、いわゆる新聞にも一度出ていたが、金大中大統領が金正日総書記に対して、南北はやはり統一するだろう、ぜひ統一しなければならない。南北統一後も在韓国米軍は居ていいんだと言ったのですね、いろんな意味が含まれていますが、そのことを土井党首もどういう意思があっておっしゃったのですかと言う事を尋ねていました。
 大統領は今の米軍というのは南の防衛のそのために居るという言い方をしました。統一後は朝鮮半島は中国やロシア、日本などの大国に囲まれているんでややもすれば政治的なヘゲモニー争いの場になりやすいんだ、だから統一した後は平和維持のために安定勢力としていいんじゃないかという言い方をしていました。
 一つはこの南北会談というのは通常アメリカがなんらかの手はずを整えてやるんですけど、この会談ばかりは自主的でアメリカもエッと驚くようなやり方をしたそこに凄い意味があります。それは一つには大国アメリカに対する凄い政治的な配慮が働いています。それと大統領の口から直接聞けませんでしたが、側近の国会議員の女性達は晩餐会のときにははっきり言っていました。もう一つの理由があるのですよそれは日本ですよと。日本に対する凄い警戒心です。いまごろになって憲法を変えようという動きが日本国内で出てくるのですか。周辺事態法とかという、盗聴法、国旗・国歌法とか全部もちろんほとんどの国会議員は日本の動きを知っています。非常に不気味だというのです。だからそういうことがあるから米軍は居たほうがいいのではないかと非常に皮肉な事です。韓国の国会議員だけでなく国民の中の半数はそういう日本に対しするなんともしれないという警戒心が出てきています。ですから今憲法9条をめぐった議論が出てきた、これは日本国内だけの問題ではなくて、韓国、中国を含めてアジアの国々が今の日本の政治的状況なり、とりわけ日米の軍事強化の問題なり、憲法のあり方を含めての議論なりを目を凝らしてみているだということなのです。
 私はこの南北首脳会談そして前々の話しにあったように今度は米朝会談、クリントン大統領もあとわずかなのですが間に合うかどうかわかりませんけど、とにかく米朝トップ会談、アメリカは北朝鮮の国交回復正常化というのはシナリオのなかに組み込んでいます。
 その後はどうするのかということを考えているのですね、そうすると米朝、南北、残るのは日朝だけです。皆さんもご存じのように今こそ国交正常化路線というんですね、過去のことも日韓条約は別にしても北朝鮮との間に国交がないわけですから、ところが必ず持ち出されるのが、拉致疑惑、であるとか、35年間植民地支配をして一体日本はなにをやったのかという、反省のかけらもない、そういうなかで本当に何か北朝鮮の間だけでなくて、アジア諸国から信頼されるような関係がでてくるのだろうかという気がするのです。
 私は、平和の問題だとか安全保障という表現のしかたもありますけど、これまでの在り方を検証しながら、では、今後どうするかとおおもとのところをいいますと、常に警戒されるあるいは必要以上に不信感を増長するような方向にもっていこうとするのか、そうでなくてやはり過去の反省も含めてこれから21世紀の中で、日本がなるほど日本は安心できる国だ、いろんな経済的な援助もしてくれる国だ、という方向にむかって行くのかと言う大きく二つの方向があって皆さんが実感されているように、いまその通り日本が進もうとしているのはこの一年くらいの動きをみますと周辺諸国からますます不審の目でみられ、警戒心を高めてしまうような必要以上に警戒心をもたれるような方向性に向かっているのではないかそのような気がします。

(2)冷戦後の安保〜敵なき時代の同盟体制〜
@安保の基本→「日本防衛」(5条)と「基地提供」(6条)

 ところで冷戦後の安保についてありますが、実はつい先日サンケイ新聞から抜いてきた記事なのですが、アメリカの民主党系、共和党系をとわずジョセフ・ナイとかキャンベル、アーミーテージなど大統領側近のいろんな人たちが共同で一つの超党派の報告書をだしています。これからの21世紀における日本とアメリカの関係、少し紹介してみますと総論、各論あるのですが日本の政治の中ということで次の事を書いています。日本の政権政党である自民党は過去十年党内分裂や伝統的な利権集団との衝突などを繰り返し、今は衰える力を維持することだけに勢力をつくしている。当たっていますよね。これに対して野党も十分に練った信頼たる政策提案が出ず、結果として自民党が政権にしがみつくという状況になっている。しかし、容赦ない国際経済のグローバル化によって経済の構造改革にせまられた日本の政治はいずれ変革をよぎなくされるだろう。それは鉄の三角関係といわれた政治家、企業家、官僚による支配構造を破壊し、権力の格差を生み出すことになると書き上げています。実によく現実をとらえ分析していると思います。
 次に日米安保条約の話になります。よく新しいガイドラインとかいわれますが先程も申し上げましたとうり、古い安保条約をとりむすぶとき当時のアメリカの政策担当者は、古い安保条約の中にようするにただで基地を貸せということなんですよ。ところがそれだけではいけないから日本を守ってやるという事を口ではいうけれど、この条文の中でうたい込むことにすごく抵抗したんです。日本を防衛する義務があるということをうたいこまなかったのですね、ですから、1960年に安保条約を改定するときに余りにも当時の自民党だって岸信介首相のもとで今少しは平等にしてほしいというかたちで60年安保が改定される。いまの安保条約というのは当然60年の安保で改定されたものです。
 これは経済協力とかいろんな項目のものがあります。けれど10項目からなっていますが、その根本をしめすのは第5条と第6条です。第5条に日本を防衛する義務ということをうたいこんで第6条でいわゆる基地を提供する。基地を貸してもらうことが許されるという書き方をしているのですけれど、ようするに第5条と第6条ですよね、ですから、60年代、70年代とうしてもっぱら当時の55年体制といわれたもとでの国会論争というのは、いわゆる核兵器の持ち込みがあったかどうか事前協議の問題、最近ある新聞などではその密約の存在がはっきりしたということで大きな問題になっています。
 もう一つは、周辺事態法でも周辺とはどこまでか、盛んに問われていましたがこの安保条約の中でもものすごい論争になったのですね、守備範囲はどこまでかというので、いやフィリッピンより北で朝鮮半島を含まずという、一定の範囲がつくられるわけです。ですから、新しいガイドラインの周辺事態法でしきりに比較対象として持ち出されたのが極東条項、極東の範囲をはるかに越えるのではないか、記憶に新しいと思うけど周辺事態法の周辺とは地理的概念ではありませんと、およそ信じられないことをいって言い逃れています。
 こうゆう安保条約は1960年ですから40年たっています。非常に不思議なのは自民党や保守系の政治家は、ことあるごとに憲法は古いアメリカから押しつけられたといいます。たしかに押しつけられた面もありますが、ただ中身がいいわけだからおしつけであろうが何だろうがと思うんだけれど、片や一方で古い安保条約で50年たっているのに、それと同じように安保も古いといわなければならないのに、安保条約はありがたがってますます強化しようとして、一方では憲法がじゃまになるというこんなおかしな話は無いと思います。憲法のことは重箱の隅をつつくようにほじくり返すけど、安保条約のことは全然検証しようとはしない。こういうとろに一番大きな問題が潜んでいると思います。

A冷戦終結と米国戦略
 実は、冷戦が終わってから10年が経ったわけですけど、アメリカは皆様もご存じのように国際情勢の変化に応じて、非常にたくみに戦略を切り替えています。おおくくりにいうと冷戦時代の間は対ソ戦略ですよね、ソ連を閉じ込めてるという戦略でした、そのソ連が崩壊したわけですから、この10年間日米両国は戦うべき敵を失って10年漂流した、このままではまずい、もう一度日米同盟を築き直さなければならないというふうに書き上げているわけです。つまり、日米双方にとって少なくとも政治の主導者達にとってはソ連が最大の脅威であるというふうにやってきたわけですから、ところが最大の脅威がなくなったわけですから、どこに向かって日米同盟を組むかとというのがないんですね、今、アメリカはどいう戦略を組み立てているかというと、世界各地で起こる地域紛争に介入していくけど無原則には介入していない。アメリカの国益に関係ない国の紛争には介入しない。選択的介入といったアメリカの国益に関する限り、どんな小さな島であろうと、どんな小さな国であろうが軍事力をもって介入していく、たとえば、アメリカの議会では一隻作るのに一兆円をこえるような超大型の原子力空母はもういらない、どこと戦うのか、地域紛争に介入するのにたしかにいらない。私のいる佐世保に4隻の揚陸艦艇があります。ベローウッドからSXというもっと大きな艦艇にかわったのですが、こういうふうに地域紛争に介入していくための兵器、軍備にはキチント対応しています。
 非常にアメリカはある面、合理的なところがあって、私は昨年11月カリフォルニア州に行ってきました。3大軍港があるアラメダ、ロングビーチ、サンディエゴ、サンディエゴというのは佐世保と姉妹都市を結んでいるが、アラメダ、ロングビーチは完全に基地は閉鎖されています。どうしてこんなことをするのかというと、もう戦う相手はいないんだからお金が余分にかかることはしないとしてどんどん閉鎖しています。12年前に1988年基地閉鎖再編法というのを制定してその法にもとずいて、たとえば、アラメダ基地を閉鎖するには、閉鎖を決めたら6年間で雇用対策とか跡地の利用計画だとか基地というのはすごく汚染されています。この横須賀なんかもそうなんですが自分の国ですからキチンとやっています。ですから米国内の基地、アメリカの兵隊の数、国防費はおおざっぱにいうと25%10年間でカットしています。だから、アメリカが非常に経済が豊かだと、いまちょっと株が暴落したといっているけど、この繁栄するアメリカの大きな一つの理由は国防費の少なくとも80年代レーガン政権は日本円でいうと37兆円から38兆円で当時の日本の国家予算の半分ぐらい、いまいくらかというと25.6兆円ですが、それでもだいたい10兆円位削っているわけですからほかのものにいろいろ予算をまわすことができます。
 日本を例外にすると例えばドイツをみますと冷戦時代に890ケ所基地が当時は西ドイツですが、東ドイツの基地はソ連崩壊とベルリンの壁の崩壊でいなくなりましたから、630ケ所が閉鎖されているから何と70%基地が削減されました。米軍がいま何人いるかというと同じ10年前に24万人、いたのが今は68,000人という具合です。
 このアジア方面でもフィリッピンには兵隊一人もいません。スービック海軍基地、クラーク空軍基地あるいはグアムでもそうです閉鎖寸前です。ですから沖縄でも5年前少女暴行事件が起きてから海兵隊こそ問題であるとやったら、グアムの州知事はほとんど基地がなくなっていますから、なんだったら引き受けてもいいよみたいなことをいい始めています。ですから、地球規模で見ると米軍の海外基地はどんどん閉鎖したり縮小したりして流れの中にすーとはまり込んでいるのは間違いないのです。

B日本の対応
 だから、日本だけが例外的になっている、この件に対してですね外務委員会で河野外務大臣にこういうことをきいたのです。冷戦が終わった10年間アメリカ本国でもそうだし、今申し上げたように世界各地の米軍基地というのは縮小することはあっても強化されていないよ、そうすると日米安保条約のもとに地位協定というのがあって、いろんな基地をこうするああするというのは日米合同委員会で決めているわけですね、何を議論しているのか分からないし、どういう結論が得られたかも国民には知らされていない。完全な密室の中で行なわれているのですけど、問題は北は三沢から沖縄に至る在日米軍基地がこの10年間でいいから、どのように変化したのか、例えば三沢のF16という核ミサイルも積むこともできる戦闘機はかっては十数年前では極東ソ連軍のバックファイアという戦略爆撃機と向き合って、それなりに意味をもっていましたが、極東ソ連軍は崩壊寸前になっているわけですから、何のために三沢に居座り続けているのかということがありますね、あるいは、石原知事は横田基地返せといっている、遊休化しているのではないか、そうなんです。日本政府として外務省でも、防衛庁、防衛施設庁あたりがこの10年間在日米軍基地の実態がどうあるのか、部隊編成がどうなのか、ということを個別具体的に検証したり、分析したり、実態を把握したりしたことがありますかと、私は問い質したら、一切そういう事はしていませんと、つまり基地を只で貸しているわけだからあと中で何をやろうが、いろいろと運用とかいうことに口を出すとアメリカの機嫌を損ねそうだということなんですよね。しょせん対等なパートナシップというのは、口先だけのことであって、合同委員会のなかでは今度は普天間基地では老朽化したのが本音なので、だったらリアルにしてもっと近代的なもっといい物を名護市沖あたりに作ってくれ作ってくれたら普天間基地は返してもいいぞと言うかたちです。
 岩国もそうなんですね、沖合1キロ先にうるさいうるさいと岩国の市民が言うんだったら日本政府の責任でよりよい滑走路をつくってくれよ、そうしたら古い滑走路を返すのかと思ったら返さない。あれは2005年5年先に完成します。1,600億円の公共事業に批判が非常に厳しいなかで、米軍基地だけは聖域扱いで超大型公共事業で進んでいます。
 沖縄の場合だとおそらく工事の仕方によっては約1兆円だといわれています。ここにおいても自民党の野中幹事長は利権をめがけて沖縄から目をはなさない。すごい構図ですよ、佐世保だって、水陸両用で水上を時速80キロで走り敵前上陸する揚陸艇があります。それの音がうるさいと佐世保市民が言い出したら、では隣町の閑散とした西海町の海面を7ヘクタール埋め立てて新しい基地をつくれ15年かけて100億円、日本政府はかんじんの米軍基地の実情すら把握していないものですから、アメリカのいいなりになっているのです。そこであてがわれるのが皆さんもご存じの「思いやり予算」ということです。                               

(3)在日米軍基地、自衛隊の検証
@閉鎖・縮小される米軍基地

 じつは、私は米軍基地に関心があるのでちょうど10年前の1990年にアメリカの当時のセービン国防長官の時に東アジア戦略報告というのを出しましたが、このレポートはじつは10年がかりで大きく三段階に刻んで、当時13万8千人いた日本、韓国を中心に、アジアにいる米軍を基本的に本国に撤収するという計画をだしたのです。第一ラウンドはクリアしたんです。第二ラウンドは在韓国米軍が撤収がうたわれていた。このときに93年〜94年にかけて北朝鮮の核疑惑がでてきてこのチェイニーレポートはふんづまってしまうのです。
 ですから、それから5年後の1995年に国防次官補をやっていたジョセフ・ナイ今は大学の先生をやっていますが、彼がナイリポートを出すわけです。アジアに10万人の米軍を維持する、ヨーロッパに10万人となっています。実はこの新しいガイドラインだとか、周辺事態法だとかいろんな形で私たちは反対運動をしましたけど、一番の根っこになっているのは5年前のジョセフ・ナイが書いたレポートなのです。
 ここでどいうことかと詳しくは説明しませんが、日米安保というのは先程申し上げましたように、基地を只で提供する。その代わりにいざというときには日本を守ってもらおうと、分かりやすくいえば安保条約というのはこうなっています。
 ところが守るにもなにも攻めてくる国がいなくなったわけですから、大変なことになったと、だからジョセフ・ナイはこれでは日米安保の根幹が揺らいでしまう、日米同盟がふっ飛んでしまいかねないという、危機意識にかられてこれからはどこが攻めてくるのではない、広くアジア・太平洋地域の平和と繁栄の要めとなすという位置付けにしなおすわけです。日米安保の性格を根本的に変えますという宣言なのです。翌年に日米共同宣言だとか、安保再定義となり、日本政府も再定義とは口が避けてもいいません。再確認としかいいません。定義をしなおすといったらですね、やっぱりソ連が驚異でもなんでもなくなったわけですから、極言すると日米安保なんかいらないじゃないかと、当時アメリカの中からも、日本の中からも出てきたわけですから、再確認の性格がコロッと変わったわけです。
 2年前に日米協会の全国総会が福岡市であって、そのとき自民党の当時の政調会長の山崎拓さんは、私は興味深いので聞きに行きましたが、その時彼ははっきり言ったのは「皆さん冷戦が終わって8年も経った、今や日本を侵略しようとか、何かで攻撃しようとかそいうことは考えられない時代に入ったんですよ」正しいですよね、まさしくその通りです。そういいながらどうして日米同盟をなぜ強化するのか、周辺事態法という法律まで作って、一体何をやらかそうとしているのか、そこにはやはりアジア諸国が日本は一体何を考えているのかという懸念と警戒心がでてくるわけです。
 だから今言われているのは、このガイドライン周辺事態法というのは、ご存じのように2年前にテポドンが飛んできた、去年の3月ごろ怪しげな工作船、不信船がやってきたとてなことを理由にして、やっぱり北朝鮮は怪しいと言う事でもっぱら第二次朝鮮戦争といわんばかりにのシナリオをアメリカは本当にもっていた、そういうシナリオを5027計画というのですね、ピヨンヤンに攻め入り何日かけて制圧するという戦争シナリオを持っていたのです。
 韓国の国会ではキチンと説明されているのです。日本の自民党をはじめ保守系の議員達は待っていましたと言わんばかりにトントンと法律を作りました。ところが冒頭申し上げましたように、その北朝鮮のトップと韓国のトップが55年ぶりに握手をしたわけですから、これは金大中大統領がその会談の直後に言いましたように、この朝鮮半島でこんりんざい戦争はありません、と言うことをはっきり言っているのです。
 そうするとガイドラインなり周辺事態法なり日米両軍はどこに向かうのかですかといえば、いやいや今度は台湾海峡が危ないと言い出すんですね、ところがテポドンと違って良くも悪くも中国というのはICBM、SMBMというアメリカまで届くような長距離ミサイルを持っています。北朝鮮を相手に火遊びをするような議論では済まないわけです。ですからアメリカも賢いもので、かってのソ連を封じ込めるような考えをしていません。
中国、日本、アメリカこの三角関係をどのようにきちんとやっていくか冷静に考えているのですね。

A“全土基地化”される在日米軍基地
 ですから、私たちはここからが大切なのですけど、いま10年単位で区切ってみてこの10年間何だったのか、ではこれから21世紀の2010年までにどう大きな流れになっていくのだろうか、ということをみながら日本の政治のありかたをきちっと議論していかなければならないと思います。
 話がとびとびになって恐縮ですが、私も国会にきて3ケ月なんですが、いろんな人、民主党の人とか話をしています。そうするとある民主党の議員秘書さんがですね、今年8月沖縄の稲嶺知事が地位協定を変えたいという要望書を政府に出したんですね、これは民主党の力だけでは足りないし、一つこれは今川先生どうにかならないかとくるわけですよ、あんた、あんたの親分代議士は大丈夫かいといえば大丈夫だというのです、超党派でやりたい。ところが民主党の中にはそういう安保とか基地や外交に詳しい人が本当に数えるほどしかいないんですよ、超党派になる以上は自民党をつき動かさなければいけませんから、軍事アナリストで小川勝久さんという自衛隊出身の方なんですが4、5日前に電話をしてみました、小川さんというのは言ってみれば米軍は早く出て行け後は自衛隊で守るぞという自主防衛派ですから、石原知事と一緒に「続NOと言える日本」という本を書いた人です。いわゆる屈辱的な不平等な地位協定でいいのかと思っている政治家が自民党の中にいるはずなので、それを教えてほしいと電話したのです。なんという答えが返ってきたかというと、そんな議論するような気のきいた議員は自民党の中にはおらん、一人もいないことはないでしょうと言うと、あえていうと山崎拓さんくらいかなという、山崎拓さんとは非常に親しいんですが自主防衛派です。ですから内心今のように米軍が居直って、思いやり予算をもっと出せだせといって、いろんな公共事業をやってしまうというのは本当は心よく思っていないだろう、だから社民党衆・参院合わせて32名ですけどやり用によってはやれると考えています。
 これは皆さんも選挙でおそらく経験があろうかと思いますが、私もその通りです。今川、歴史だとか安保は票にならんというのですね、私はここにきて当然32年間平和問題一本でやってきたから安全保障委員会に入っているわけですけど、今川、それでは2期目はなかばい、という人もいるんですね。たしかに議員としてはどれをやったほうがいいか、どこに所属したほうが票になるか、次につながるだろうか、と驚くほど否定はしていませんけど、私は本当に思いもしない形で出てきた以上はやはり天下国家のためになんて大袈裟なことはいいませんが、これまで蓄積してきたものがよりいきることが出来ることなのかどうか天気と同じように景気は良くなったり悪くなったり、繰り返すわけですから、そういった意味で平和であって初めていろんな意味で議論も出来るわけですから、票になるなら無いは別の問題としてやはりこれからは本当にアジア諸国から信頼される国を作りたい。いつまでたってもだらしなくアメリカの後ばかりしかついていけない、アメリカの影から顔、姿をみせずに何を考えているのか分からないという国になってしまうのかというのは非常に大きなことだと思いますから、やはり私は票にならなくともそこのことをこの道の専門家が少ないのですけど前田さんや藤井さんとやりたいと考えています。
 先程申し上げましたように日本を除いて、ドンドン基地が閉鎖されている。思いやり予算これも皆さんご存じのように来年3月で特別協定が切れますからこれまた国会にかかっていませんけど、第四次特別協定を日米トップは合意したとなっていますが、どういう意味かというともともと地位協定の24条には、お互い取り決めた以外の財政的負担、基地を維持するための負担は全部アメリカがするとなっている。ですから当時社会党や共産党はそんな思いやり予算はおかしいじゃないかといったんですけど、つまり地位協定に違反する金が5年刻みで特別手当で刻みながらやってきているのです。
 亡くなった金丸が、違反なんだけど「思いやりみたいなものだから、いいんじゃないか」、といってはじめて62億円からはじめたのがいまは2,755億円44倍ですよ、この20年間を累計すると3兆円をこえます。
 今度の日米交渉でそのうち35億円程度、いわゆる米軍家族が使う光熱水費はカットしますよと初めて減額した。ですから在日米軍の駐留総経費の70%以上日本が負担していて、これをおおくくりの数字でみますと地位協定にもとずく金が毎年約2,000億円、推定地代が低く見積もっても1,600億円くらい、これにプラスの本来協定違反のまさに闇金といっているのが2,700億円をくっけるとだいたい今6,700億円くらいになります。いま日本にいるアメリカの兵隊が約4万1千人程度ですから頭数で割ると米軍一人当たり1,500万円くらいになります。
 そういう兵隊が沖縄でも佐世保でも横須賀でも悪さばっかりする、まさに泥棒にお金をやっていることになっています。私は日米関係は非常に大事だと思いますが常識をこえてゆがんだ形で、日本側から何も言わないということが一番の問題だと思います。
 この前、岩手県にいったときも米軍基地の無いなかで反基地運動なんてしにくいですよ、だから私はあえていった、岩手県の空をみてごらん、空に基地があるよ低空飛行訓練ですよ、ブルールートだとかオレンジルートだとかの名称を付けた超低空飛行訓練があります。これは岩国の田村議員がずっと何年もかかって調査したんですが、アメリカも認めているのそれはオレンジルートだとか、日本政府はそういうものは存在しないと言っています、こんなバカな話しはないよと追及したら、それは基地間の移動だと言っている。
 だから岩手県に基地は地上に無いかもしれないが、頭の上ではいろんな墜落事故をおこしてみたり、超低空で飛んでみたりしているのではないですか、
 地位協定の問題のかかわりあいでいくと、これも安保特例法といって日本の航空法にあてはめると、このような低空飛行訓練はできないですが、米軍だけは例外だということで港、空いろんな形で安保条約にもとずく特例法が20項目もあるのです。
 ドイツの場合どうしたかというと、実に粘り強くアメリカと日本と同じ同盟国ですよ、交渉に交渉を重ねてドイツの国内法が優先するということを勝ち取ったのですよ、そうすると日本でおけるように野放図ないろんな訓練だとかという非常しずらくなっています。それはあたりまえの事ですよ、
 だから私は、米軍基地問題で、衆議院の場合は21人の国会議員がいないと議案を提案する権利がないので非常に残念で切ないのですが、しかし、これには超党派と言うやり方もあるわけですから、今私が考えているのは基地基本法をつくろうと思っています。いま作業に取り掛かっています。これはどいうことかというとかって沖縄の太田知事がいったように、15年〜20年のスパーンで15年20年先には基地のない日本をえがいて基地がなくなる間けっこう時間がかかりますから、アメリカがやっているように、6年で閉鎖をしていくというお手本がありますから、アメリカ基地閉鎖再編法というみたいなものをベースにして日本なりに15年から20年かければ雇用対策だとか、跡地をどうするか、土地の汚染はどのようにクリーンナップしていくのかというように基地がなくなる前にいっぱいやることがあります。超低空飛行をやらせないとか、基地の汚染は米軍の経費でやりなさいとか、日本も負担することは負担してもいいけど、理不尽な負担はいけませんとか。
 日米合同委員会のなかで今沖縄が求めているのは、日米の局長クラスでやっているので何を議論しているのかわからない、すくなくとも沖縄の普天間基地をどこに移転をするのかという問題の場合には沖縄の知事、名護市の市長こういう首長が合同委員会のなかに参加させてくれと言うわけですよ、つつましやかな要求ですよ、これをもっとオープンにする。情報公開、こういう議題で今度の合同委員会を開きます。結論はこうなりました。どこをどう改善していくのかという事を具体的に私はぜひ具体的な基本法みたいな形でたち上げが出来ないかということを思っているわけです。

B「専守防衛」を脱し組織腐敗の自衛隊
 B「専守防衛」を脱し組織腐敗の自衛隊
 そこで自衛隊の問題も触れておかなければなりません。つい先日、東京では防災訓練に名をかりて、びっくりするような陸海空自衛隊が出てきて、もう治安出動ですよ、石原知事は3軍といいましたね、そういう流れが確かにあります。あれは大問題です。しかも市ヶ谷の真新しい防衛庁で緊急閣僚会議までやっているのです。政府の主催ではないでしょう、これは東京都が主催したのでしょう。それでなんで緊急閣僚会議までやったのか、大挙して自衛隊がやってくるのですか、およそ21世紀にむけて世界のなかでこう流れていこうとする流れにまったく逆方向のことを自治体レベルでもやりはじめた。みとって下さい。必ず東京だけでなく大都市を中心にこれに類似したものが必ず出てきます。
 自衛隊についてこれまでの歴代政府がずっと言ってきたのは専守防衛、非核3原則から世界に類をみない武器輸出3原則と言うのがあります。これは大事なことですね、ところがイージス艦という軍艦があります。佐世保に2隻配属されています。もともとアメリカの空母を護衛するために作った軍艦です。テポドンが飛んできたどうのこうのといいますがこのイージス艦が持っているミサイルの方がよっぽど脅威です。
 それから8,900トンの大型輸送艦がいま広島県呉市の基地にいます。もう2隻3隻目がつくられています。これの建造計画がでた段階でイギリスのある有力な会社からクレームが出てきたんですね、ああ日本はやはりイギリス、イタリアなみの軽空母をもとうとしているとメディアにバーンと出たんです、防衛庁はやっきになって否定しました。そのエアロスペース社というのは垂直に離発着することのできる、いま岩国にいます。米軍の戦闘機ハリア2という戦闘機を売りこんでいる会社なんですが、ですから日本の約9,000トンの大型輸送艦は甲板が弱いから空母ではありませんというのであれば、わが社は48時間でフライトデッキを作りましょうと言うのです。
 それ以外にこれは少なくとも7,000キロから場合によっては10,000キロ飛ぶような長距離輸送機をやはり国際貢献、いざというときの在来邦人を救出するためにと持っています。
 それとエーワックスというこれは静岡県の浜松基地にいます。湾岸戦争のときに活躍した空飛ぶ司令塔といわれています。次の通常国会に出てきそうですが、空中給油機、こんなのは全部専守防衛というならいらないものです。空中給油機あればでどこでも飛んで行くことができる。これはスクランブルを発進したときに長い時間空中で待機するために必要だとかいろんな事をいっています。
 少なくとも国内だけの議論だけでなくアジア諸国がそれらを見てどのように感ずるのか、もう一つあります、TND戦域ミサイル防衛わかりやすくいうとどこからか弾道ミサイルとかテポドンみたいなミサイルが飛んできた場合それを迎えてミサイルで討ち落とすというものです。秒速何十キロで飛んでくるものをバーンと打てるかという話しなんですけど、アメリカ本国のNMDという本土防衛ミサイル計画というのがあって、何度もしくじっていますが、レーガン大統領の80年代にはスターウォーズ計画という宇宙防衛計画だったのですね、これはSDIがあまりにも天文学的な予算がいるというので完全にだめにならなくて、これをちょつと規模を小さくしてNMD、DMDそしてアメリカが海外で同盟国を守り、アメリカの米軍基地を守るためにTMDというミサイル防衛計画をたてようとしています。
 これはもう時間がないのではっきり言っておきますが兵器ビジネスということです、さっき申し上げましたように10兆円国防費をへらして一番わりをくうのは軍需産業なんですね、だから成功しようが、失敗しようが関係ない国が全部計画をたてて全部金をだすわけですから、いまこれに日本は共同研究だから何十億円だからいいかなと言っています。これを開発の段階に入ると数百億円、配備ということになれば専門家の話しだと早くて数十年先あるいは20年先になりますが、配備段階では2兆円から3兆円かかると言われています。いまの日本の年間防衛予算は約5兆円です。だから防衛庁は以外と慎重になっています。つまり年間5兆円なのに1兆円も2兆円も予算をくわれたら大変だとおもっています。およそ無駄だと思っているけどそこは兵器ビジネスという側面を絶対忘れないでほしいと思います。
 たとえば福岡の基地もそうですが、日本全国の自衛隊の基地にパトリオットという迎撃ミサイルが配備されています。低空用のこれは初世代の機で使い物にならないからバックスリーという3世代のものを持ち込もうとしている、ところがアメリカ本国ではこれも古くなっている、もう一つ新しいのを開発使用としている。だからつまりP3Cを100機売りつけたように、少々あらっぽくいうと、アメリカで少々古くなった中古品ではないが、そういうものを日本とか台湾とか金を持っている国に買わないかといってどんどん押しつけてくる。という構図になっているのです。
 だから日本の新聞に大きな記事にはならないけれど、三菱を初め日本の防衛産業にかかわっている各大手企業はアメリカとかイギリスとかフランスとか先進各国は全部兵器を輸出しているのに、なんで日本だけがいつまでも輸出をできないのかとものすごく経済連は自民党などに圧力をかけています。
 へんな話しですけど、かっての社会党が今はこんなに小さくなっている今のうちだといっているのです。このことはアメリカにはさまざまな、いろんなシンクタンクがありますが、外交問題評議会という凄い大きな80年くら歴史をもっているシンクタンクがあります。このくわしいレポートを私は2年前に見たのですけど、その中に長期の兵器調達計画に日本をどう組み込むかということが書かれています。
 本当にイージス艦、TMD、パトリオットいろんなものがありますけど、それが本当に専守防衛ということを国是とした日本にとって軍事面から見て、合理的に必要なのかということはおよそ次元が違う話なのです。
 ですからそのことに関しては藤井先生が10年前から5年前に改訂版が出ていますが、自衛隊を本当は非武装という崇高な理論をお互いにもっていると思うののだけれど、目の前に23万人をこえる自衛隊がいる。これを10年刻みでどのようにリストラしていくのか、軍縮していくのか非常に検討に価するパンフレットが出ているのです。このモデルがこれが残念なことに社会党時代に生かされなかっただけの話ですけど、私はもう一回藤井先生にやれよといっています。
 先進各国のなかで軍縮をしたことがない軍事組織は自衛隊だけです。フランスにしてもイギリスにしても核兵器をも含めて削減しています。戦う相手がいないからですね。
 そういう形で自衛隊そのものをもっと根本的にみつめなおすべきではないか、だから明日から非武装中立23万人をこえる組織をなくするということはやはり大変な労力がいると思うけどやはり現実的にやれるところはやろうじゃないかと考えています。そんな意味をなさない兵器は買わないこと、年間5兆円といいましたが本当は4兆9,000億円が防衛予算になっています。これとは別に2兆円をこえる後年度負担というものがあります。高額の兵器をいっぱい買っているため一度に支払いが出来ないものをこの後年度負担としてくっつけています。日本は合計7兆円をこえる防衛費という名のつくものがあります。
 このところにうんと手をかけていきたいと思っています。これは皆さんから批判があることを覚悟でいいますが、陸海空23万人の自衛隊の中で若い隊員を中心に、年間60人が自殺しているのです。理由はいろいろですが一番深刻で見逃すことのできないのが上司によるいじめとしごきです。選挙本番直前に、佐世保に「さわぎり」という護衛艦があるのですけど、その乗組員が21才の誕生日に船底の油くさいところで首をくくって死にました。彼には赤ちゃんも生まれていましたが彼が亡くなったので奥さんは赤ちゃんを連れて大分の実家にかえっていますけど、そのことに端を発して二つあったのです。一つは明らかにいじめ、しごきで、もう一つは教育隊時代に全部上司に若い隊員達は貯金通帳を預けるのですね郵便局の、ゴム印からなんか全部上司が管理していてそれを上司がごまかして、彼だけで63万円もやられている。調べてみたら私も私もといっぱい出てきた。だから若い教育隊員たちは、班長さんを3年もやれば外車が買えるのだろうと話しがあるくらいの噂があるのです。だから佐世保の特殊な事件ではないと私は直感したのです。
 自衛隊員だって人の子である、非武装ということを私は一環して唱えていますが、しかし目の前になまみの人間が首をくくっていることは許されない、自衛隊員の基本的人権というのは誰が守っているのだろう、それは国のシステムとしては「0」です。これは同じアメリカの同盟国であるドイツでも、実は日本の場合はご存じのように、朝鮮戦争がおこってから朝鮮戦争のおとしごのようにして警察の予備隊として自衛隊の前身が生まれた。このようにして日本には再軍備という論争はありませんでした。ドイツでは激しい再軍備の論争があったのです。当時野党だった社民党のある議員さんがスウェーデンに亡命していて、戦争が終わったので帰ってきてどうしても再軍備しなければならないというなら、国会のもとに軍事オブズマン法という制度をつくった。それは兵隊といえども一市民であるという理念にたってこれは非武装中立と相矛盾する気がしますがこれはぜひつくらなければならないと思います。
 この近くに朝霞駐屯地がありますが、自民党の老県会議員が自衛隊なんか頭の悪い奴がいくんだ、ビンボウ人の子せがれがいくんだ、発言していましたがこのような意識がたぶんにあります。社会党時代を含めて人権を大切にするというのは自衛隊は別だというのかなと思って、おそらく本格的にこれをやりはじめれば、共産党を含めてこの問題をやるのはおそらく私は社民党に認知してほしいと思っているのですけどやらなければならないと考えています。妙なことに選挙期間中に若い隊員が制服のまま私の事務所に二度きて、Eメールだとか、ホームページを開いているものですから、ガンバッテ下さいというのです。これは初めてではないのです、湾岸戦争の時、PKOの論議の時自衛隊の奥さん達は、社会党ガンバッテクレと、私はそんなつもりで亭主と結婚したのではないのだ、死んで花見はできるかというのです。
 そういった意味では自衛隊が目の前にある以上はどの様にしていくのか、さっき申し上げたように、軍縮計画を含めてそこに私たちの子供達がいっているケースが多いのではないですか、大体基本的人権はやはり政治が責任をもって、少なくともドイツなみの制度をつくっていく。一番自衛隊が必要だといっている政権政党の自民党がやらなければいけないことではないかと、自民党にけしかけようと思っています。
 そういうまったく違った角度から自衛隊も問題を扱いはじめると、いわゆるこれまで違憲か合憲かという論争がありました。村山内閣以降は安保は堅持するだとか、自衛隊は合憲だとかなんだかんだと思いはあろうとおもいますが、しかしどうでもいいとはいえません。
 これからは自衛隊の具体的なあり方に関してメスを入れれば入れるほど非常に具体的なものが出てくる。その結論として結果として自衛隊というのを憲法の許容する範囲でおさめることができるのか、できないのかという意味のある議論に切り換えていかなければならないと私は思います。そういう具体的なものの作業に着手してみたいと思います。

(4)これからの安全保障ビジョン
@「軍事同盟」から「協調型安保」への転換

 その点で、私は国会に出てきた以上は基地基本法(仮称)、米軍基地を具体的になくしていくための手立て、プログラムをつくろう、自衛隊を10年刻みでどう小さく小さく、戦う相手はいないわけですから、やっていくのは少なくとも国鉄のように民営化で多量の失業者を生み出さないように、自衛隊だって人の子なんですから、再就職はどこがいいのか、例えば、阪神淡路とか、雲仙普賢岳などで自衛隊が活躍したとかさかんにピアールされていますが、本当に災害救助に必要な装備を持っていません、スコップとバケツだけでは何もできない、そのための訓練は圧倒的に不足しています。だから災害救助隊という組織そのものに切りはなすことができないか、災害救助隊に憲法9条違反だというバカな人はいないと思います。いまどこの国も攻めてくる国はいない。
 国際的にはテロとかマラッカ海峡あたりに海賊がうろちょろしているんだったら、日本だけが頑張るのではなく東南アジア諸国と共同海上パトロール隊とか、海上警察隊みたいなものを諸国で協力してやる発想に切り換えてみると、それは自衛隊は制服を脱いで行きなさい行くときはこのようにしないと、とりわけアジアの問題ですからアジア諸国が承認するという前提にして、そういうことを構想してみる、すでに防衛庁が今年で5回目だけどそれに近いセミナーをやっているけど防衛庁だけではなくやはり政治家であり、平和運動団体などが積極的に別の切り口から自衛隊をどのように改造していくのか、組織を改変していくのか、という事をやりながら縮小していくのが一番いいわけです。
 ついでに土井党首から、いろんな事をいわれまして、今川さんはいろんな構想をするのはいいのだけど、小沢一郎さんとの違いだけははっきりしてほしいと言うのです。
 この間テレビで小沢さんと不破さんの対談がありました。共産党も方針をかえましたが、あれは残念ながら不破さんの負けですね、自衛隊、軍縮というのはいいけど、いきなりどこか攻めてきたらどうするのかといわれて、自衛隊を活用するのだと言って、そんな中途半端なことではどうしょうもない、小沢さんを国連中心主義と言っています。多国籍軍を憲法前文に照らしてOKと言っています。
AASEAN地域フォーラムと北東アジア非核地帯構想→日朝国交正常化
 つまり私が言いたいのは、国連中心主義と言う事を本当に考えるのだったら、各国の軍隊をどんどん減らしていく事、最終的には大きな国も、小さな国も軍備を持たない。唯一軍備を持つのは国連、国連軍というのは、できたことがないのですごくお金がかかる。各国の軍備費をいま世界の軍備費は年間70兆円をこえています。半分に減らしても30兆円のお金があれば国連は強化できます。だから世界に唯一国連軍というお巡りさんがいて各国は軍備をもたない。国連軍と戦うのとんでもないという形にして、国際的なルールを破ることを防ぐ、これをいきなりジャンプしてできませんから、たとえばヨーロッパにはNATO軍という多国籍軍がいます。ところがそれとは別に対話の枠組みとしてOSCというのが25年の歴史を刻んでいます。アジアにはそういうものはありません。日米同盟とか、米韓同盟とか2国間軍事同盟しかない、これに変えて、アジアなりの対話の枠組みをどう作っていくのか、東南アジアには6年前に出来上がりましたASEAN地域域フォーラムというのがあります。これが結構な安全保障の議論の場になっています。当初は6年前まではアメリカは猛反対していたのです。それはなぜならばそういうものが出来上がったらアメリカ軍はいりません。というものがこわいものだから、ASEAN地域フォーラムみたいなものが、ヨーロッパにできてもアジアにはさまざまな宗教文化の違いがあってできないと言い切ったのです。
 問題なのは北東アジアなのです。なんどもいいますが、朝鮮半島がですね、この半世紀の今日劇的な変化をみせはじめた。この流れは変わらない。アメリカも変えようとはしない。そうすると北東アジアに対話と協調型の枠組みが出来る。南北ドッキングされればいい訳ですから、そのために今、土井党首がこの間に韓国に行ったように、モンゴル、11月には北朝鮮にいってまず核兵器をもたない国の党と党の関係で北東非核地帯をつくろうではないか、と呼び掛けています。中国もいいことだとこのあいだ訪日した首相がいっていました。
 そうするとたとえ野党であっても、自民党がやろうとしないことを先取りしてやる。それは何も日本の平和のためではなくて東南アジアも北東アジアもふくめて、このアジア全域がいまこれまでに見たこともないような、軍事力を突き合わせる軍事ブロックではなくて、ほんとうにお互いの信頼関係を基礎にした対話の枠組みがテーブルが出来るのではないか、夢ではないと思うのです。時間がかかりますよ、そのほうがはるかにコストが安くて済む、たしかにアメリカや日本の軍需産業は困るでしょう。かならず何んてことをするだという勢力は片方にいるから、そういう戦争をしたがる勢力、何か必らず常に脅威を新たにもうけて、軍事協力だとそこで新しい兵器を買ってくれという勢力と我々平和勢力との新たな戦いはすでに始まっていると思います。
 そういう意味では日本国憲法はもちろんですけど、アメリカをはじめ先進各国にはない武器はどの国にも輸出しないという凄い3原則が日本にはあるではないですか、これは大きいと思います。だから日本の財界、特に防衛産業はこれを突き破ろうとしています。
 これはやらしてはいけない、片方で軍縮とかケンカするなと平気で紛争があればまてまてといいながらミサイルをぶち込みながらやっている、自分のところの軍需産業がドンドン輸出しているわけですから、そういったことをやめようということは非核3原則の事だけではなくて、武器輸出禁止3原則もあるわけだから、それよりも意義のあるものをもっぱら国際社会の中で勇気を持ってやっていくならば出来ると思います。
 しかしお分かりの通り、自民党はやるはずがありません。バックに軍事産業のとてつもない金が付いているわけですから、ですからやるには政治をかえないとなかなかそうはいかないと思います。だから憲法にぶら下がればいいとは申しません。もとより何のためにできた憲法であるのか、これから古臭くなって役にたつのかないのか、我々も受け身でなくもっと具体的な視点でそれぞれ地域のなかで話し込んで議論をふっかけていこうということが必要だと思います。それが結果として憲法をよりいきいきとさせ、国際社会からせっかくなんてすばらいし憲法だという声があっちこっちから出てきているわけですから、まだまだ私たちは悲観せずこれまでの運動にも自信をもちながら、この憲法論争にも挑んで行きたいということを申し上げまして今日の話しとしますどうもありがとうございました。

●10月20日総評会館においての記念講演を録音し文章化したものです、よって文章の責任は東京平和運動センター事務局であることをご理解下さいますようお願いします。

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