TKOPEACENEWS
 1面 NO.123 2013.8.26

被爆68周年原水禁世界大会開催

ノーモア 福島
   ノーモア 広島
     ノーモア 長崎
       ノーモア ヒバクシャ

 被爆68周年原水禁世界大会が7月28日の福島大会を皮切りに、8月4日から9日にかけて広島、長崎で開催されました。
 今年の、原水禁広島大会・長崎大会は、意見の相違から「連合・核禁会議」とは共同開催が出来ませんでした。
原水禁の藤本事務局長は基調の中で「労働運動と市民運動を結んでの社会変革をめざす私たちは、極めて残念に思います。しかし、私たちは意見の相違を非難することなく、私たちがめざす目的のために『脱原発』『核兵器廃絶』『ヒバクシャ支援』の運動の拡大を図らなくてはなりません。三団体は『意見が異なることを理解し合いながら、しかし、被爆国日本の国民的願いである核兵器廃絶とヒバクシャ支援に三団体で積極的にとりくんでいくこと』を確認しています。」と提起しました。

福島大会
 7月28日開催された福島大会には1200名が参加しました。主催者を代表して、川野浩一大会実行委員長(原水禁議長)は、「福島原発事故で、長崎を核被害の最後にとの願いが叶わなかった。しかし、安倍政権は原発再稼働の方針を示し、原発を世界に売り込んでいる。核に良いも悪いも無い。断固として脱原発運動を進めよう」と訴えました。
 福島の現地報告を、福島県平和フォーラムの五十嵐敬事務局次長が行い「最近、汚染水が垂れ流されていることがわかったように、事故の収束作業は進んでいない。安倍政権のもとで福島の問題を風化させてはならない」と呼びかけました。
 東京大学教授の高橋哲哉さん、「核廃絶をめざすヒロシマの会」共同代表の森瀧春子さんが、「核絶対否定に向け、さらに前進しよう」と呼びかけました。
 大会後、参加者は福島駅前まで、デモ行進を行いました。

広島大会
 8月4日、広島原爆資料館前には3500人が集まり、「折鶴平和行進」で、広島大会の開会総会会場まで行進しました。
 広島県立体育館で拓かれた開会総会では、最初に原爆や原発など核の犠牲になった多くの方々への黙とうから始まり、川野浩一・大会実行委員長(原水禁議長)が開会の挨拶。被爆者の訴えでは、広島県被団協の柳川良子さんが女学生の時に被爆をした、その惨状を生々しく語りました。また、原発事故を受けた福島から、渡辺英明・福島県平和フォーラム事務局長が現状報告。 
 毎年、全国各地の高校生が国連欧州本部を訪ね、核廃絶を求める署名提出と国連大使のアピールを行っていますが、その第16代高校生平和大使に広島から選ばれた小櫻智穂さん、松岡朱音さんが抱負を語りました。
 海外ゲストとして、大人14人、子ども4人が紹介され、代表してドイツの緑の党のイェンス・ケンツィアさんが「ドイツは2022年に原発の全廃を決めた。日本も早く転換すべきだ」と訴えました。
 二日目は分科会、フィールドワークなど、8月6日には追悼式の後、まとめ集会を行ない終了しました。

長崎大会
 8月7日に長崎大会開会総会が開かれ、1600人が参加しました。長崎県内を回る「反核平和の火リレー」によるオープニング、被爆者など核の犠牲者への黙とうを捧げた後、川原重信・長崎実行委員長が開会あいさつを行いました。来賓の長崎市長の田上富久さんは「核兵器の非人道性を指摘する多くの国の決議に日本が賛成しなかったことは遺憾だ。各地域から非核宣言を具体化する活動をすすめよう」と強調しました。
 二日目は、分科会・フィールドワークなど。
8月9日には、まとめ集会後、爆心地公園まで平和行進、11時02分に黙祷をささげ解散しました。
 東京平和運動センターは、8月9日8時に惠平公民館前の慰霊碑を訪れ、参加者全員で献花と犠牲者にお祈りをささげました。

 特別ゲストとして、来日しているアメリカの著名な映画監督のオリバー・ストーンさんと、アメリカン大学歴史学教授のピーター・カズミックさんが参加。二人はアメリカによる日本への原爆投下について「すでにソ連の参戦が決まった段階で日本は降伏することがわかっていたので、原爆を使う必要は無かった。それでも使ったのはソ連への対抗のためだ」と述べました。「アメリカは核兵器の廃絶はできるのか」という質問に、オリバー・ストーンさんは「アメリカは冷戦終了後も核兵器を増大し続けてきた。それをただしていける国はどこにもない」と、悲観的な見方をしました。これに対しピーター・カズミックさんは「私は市民の力に希望を持っている。それには核や戦争にもっと怒る必要がある。特に日本人は今の反動的な政治にもっと怒るべきだ」と訴えかけました。


被爆68周年原水爆禁止世界大会大会宣言
 

 嘆き・悲しみ・苦しむ人々、呆然と空間を漂う瞳、なすすべもない怒り、そこには、キノコ雲も、原爆ドームも、廃墟と化した町並みも、何もない。ただ、さまよい、傷つき、亡くなっていく人らしき人の群れ。丸木位里・俊さんの「原爆の図」です。
 非人道的兵器・原子爆弾による惨劇は、言葉で表すことができないほど人間の尊厳を奪い尽くした世界なのです。ヒバクシャは、生涯にわたって肉体的に、精神的に、社会的に塗炭の苦しみを強いられています。そして、その苦悩と不安は、次世代へとつながっています。
 「ピカも、人が落とさにゃ、落ちん」という、位里さんの母親の言葉。人間の尊厳の基本にある「命」、そして人間の手で奪われる「命」。人間が繰り返してきた愚行。私たちは、ヒロシマ・ナガサキの実相を伝え、その風化を決して許してはなりません。「一人ひとりの『命』に寄り添う社会」を求め続けてきた私たちは、すべてのヒバクシャの願いと想いを受け止めて、新しい世界の創造に邁進します。 
 2011年3月11日、東京電力・福島第一原発事故は、15万人とも言われる多くの人々の故郷を奪い、避難生活を強いています。2年5ヶ月を経過してもなお、放射能がこれまでの生活を拒み、明日の展望を見いだせずにいます。事故は、過去のものではありません。現在も進行中であり、新たな不安を生み出しています。原発事故は、健康を奪い、生活を奪い、地域の文化と歴史を奪い、家族と多くの人のつながりを奪いました。また事故の収束に携わる労働者の被曝も深刻です。私たちは、原発事故被災者と被曝労働者の健康と命と生活を守るよう、政府に強く求めます。
 ヒロシマ・ナガサキの実相とフクシマの実相は、多くの部分で重なり、多くの部分で異なるものです。しかし、それは「命」の尊厳を奪う人間の愚かな行為の結果であり、国策がもたらしたということで根本でつながるものです。国の責任を明らかにし、国の手による補償を確固としたものにする努力を続けます。

 安倍政権は、今、数の力でもって、集団的自衛権の行使を容認し、憲法を全面的に改悪し、国民の権利を奪い戦争への道を歩もうとしています。第二次大戦後の覇権を握ろうとして原爆を投下した米国に追随して、再び戦争国家の道を歩もうとしているのです。戦争のための米軍基地が集中する沖縄で、今大会期間中の8月5日に軍用ヘリコプターの墜落事故が起こりました。沖縄での「命」の軽視は、米国が、日本が、戦争国家であることを象徴するものです。私たちは「戦争国家」を絶対に許しません。
 安心して暮らせる福島を取り戻し、子どもたちに核のない未来を贈りましょう。再稼働を許さず、再処理を止め、脱原発社会をめざしましょう。持続可能なエネルギー社会をつくりましょう。平和憲法を守りましょう。非核三原則の法制化と東北アジア非核地帯の実現をめざしましょう。オスプレイの配備撤回、米軍基地の撤去を実現しましょう。核兵器禁止条約をつくりましょう。すべてのヒバクシャの権利を拡大しましょう。
 「人類は生きねばなりません」
 ノーモア ヒロシマ! ノーモア ナガサキ! ノーモア フクシマ! ノーモア ヒバクシャ!ノーモア ウォー!

2013年8月9日
被爆68周年原水爆禁止世界大会


特別寄稿 
戦争絶対反対という大きな世論をつくろう
―今年で20回目の沖縄平和行進に参加して―(その2)

東京平和運動センター
個人会員  森本 一雄

 ■橋下大阪市長への怒り
 5.15沖縄平和行進の中でも、豪雨の県民集会の中でも、米軍司令官に対する、橋下大阪市長の「『風俗』を活用すべきだ」との発言に、県内女性はもとより、沖縄全体が怒りの渦の真只中ににあった。まさに、女性の人権を侵害するとともに侮辱し尊厳を傷つけたことは許せない。
 米軍兵士のためなら、江戸時代の吉原を復活させるつもりなのか。これが500万市民の市長の発言なのか。弁護士出身の市長なのか。直ちに市長を辞任し、弁護士資格を返上すべきである。しかも彼は、政党の代表者であり、日本の政治家は恐ろしい考えをもっているものだと、世界もびっくりだろう。

■2013年1月27日は歴史的な日となった!
 オスプレイの沖縄配備については、90年代から配備計画の動きがあったにもかかわらず、政府は国会答弁で一貫して否定してきた。にもかかわらず、いきなり2012年10月に配備を強行した。この間、政府は米国に対し配備について全く働きかけを行わず、ただ米軍の言うがままの、占領時代とまるで変わらない対応に終始した。2013年7月には12機が追加され計24機になろうとしている。沖縄はもとより、全国で実施される危険な低空飛行訓練すら容認してしまい、国民の生命すら守れない政府に強く抗議しなければならない。
 このような政府の対応に堪忍袋の緒も切れたとばかりに、昨年9月7日には10万3千人の沖縄県民集会、1月27日には沖縄全41首長と県会議長ら141人が「オール沖縄の民意が無視された」として東京行動に立ち上がった。あの少女レイプ事件の時ですら、このような全首長、県議会での東京行動はなかったことを考えると、まさに歴史的な日となったといえる。
 歴史的な日に対して、われわれ東京側も4千人が日比谷野外音楽堂を埋め尽くし、ともに闘ってきた。集会後、野音から銀座、数寄屋橋、東京駅までデモ行進し都民に訴えた。
 許せないのは、デモコース途中の数寄屋橋交差点において、日の丸を持った右翼と思われる団体が、「韓国・中国のまわし者」「スパイだ」
「殺すぞ」などと聞くに堪えない罵声を、沖縄の首長たちに浴びせた行為であった。

■日本の平和のため、世界の平和のために、沖縄県民と連帯して闘おう!
 今、沖縄北部やんばるの森・高江において集落を取り囲むように6か所のオスプレイ用のヘリパットの建設が強行されている。高江の村民が連日闘っている。7月にも機が追加される予定で、計24機が戦闘機が飛び交う沖縄上空を訓練飛行することを思うと、大きな不安がつきまとう。
 ともかく、何が何でもオスプレイの沖縄への、日本全国への配備、訓練を撤回させるための闘いに参加しよう。
 この闘いは、普天間基地閉鎖につながるだろうし、辺野古への新基地建設を断念させる闘いの勝利に欠かすことができない。沖縄の平和に向けての闘いに連帯連帯するということは、何よりも日本の安全につながるものである。
 また、殺しのための基地建設、殺しのための武器訓練をストップさせる行動はどんな法律よりも優先されるはずである。
 沖縄現地での戦いに参加しよう!一人でも多くの沖縄ファンを!2014年の平和行進に参加しよう!
 
 終わりまでお付き合い、ありがとうございました。
「森(本)ちゃんは文章を書かせてもアジ演説してるよ。」「いや、シュプレヒコールを文章にしたのだよと」と思われる仲間たちを大切にするのが、森ちゃんの真骨頂だよ。
もう一度、2014年平和行進で会おう。
 東京平和運動センター元事務局長の森本さんにお願いし、平和への思い、沖縄への思いを2回連載で掲載しました。ありがとうございました。<編集部>

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