第17回口頭審理

意 見 書

宮良 敦子

2000年12月13日(水)


(Web管理者記)
 文中最後の方に署名件数にふれた個所があります。
 「一万三千筆を超え」との記載ですが、口頭陳述では「14,188になり」と
 この13日に提出した分も含めた内容に変更されました。

               意見書                                  宮良 敦子  私は、代理人の宮良と申します。  二人の娘が所沢高校を卒業しました。また、1996年から3年間、PTAの役員 として、活動させていただきました。  私は、竹永先生が処分されたということを、自宅の電話で聞いた時の衝撃を今でも はっきりと覚えています。「なぜ」という思いと「やっぱり」という相反する思いが ありました。「なぜ」というのは、処分の事実関係がわかっていなかったからであり、 「やっぱり」というのは、内田前校長先生が赴任してこられてからの1年間、校長先 生がそして県の教育委員会が何をしてきたのか、何をしてこなかったのかをしっかり 見てきたからです。入学説明会で何があったのかを知るために、私はこれまでの審理 に全て参加してきました。一人の教員を処分したからには、しっかりと事実関係を調 べて、処分が下されたものと考えるのが当然でしょう。しかし、これまでの審理で明 らかになってきたことは、事実そのものの誤認であり、杜撰な手続きであったことに 大きな憤りを感じます。竹永先生の発言は、処分書にあるような信用失墜行為には全 くあたらないことと同時に、信用失墜行為を行なってきたのは、内田前校長先生であ り、県の教育委員会であったことを人事委員会の皆様に訴えたいと思います。   97年4月、赴任したばかりの内田校長先生は、前年度に決定されていた入学式の 内容を独断で変更し、管理職三人だけで入学式を強行しました。その時に入学した生 徒たちは、今年の3月卒業していきました。  ここに所沢高校2000年3月卒業生保護者有志の卒業文集「かけはし」がありま す。保護者の方々の思いのこもった文集です。この「かけはし」にこめられた保護者 の方々の思いを、人事委員会の皆様だけでなく、教育委員会の方々にもぜひ聞いてい ただきたく引用させてください。    『なぜ、どうして・・・』3年前の入学式は戸惑うばかりでした。主役である   子どもたちを 完全に無視した前校長の態度は憤りを超えて悲しいものでした。   15歳の子どもたちが初めて自分で選択した進路を、教育者である、それも校長   先生によって閉ざされたようなものでしたから。所沢高校は大丈夫かなと。    しかし、騒然となるなか、在校生たちが・・・今まで所沢高校で培ってきた大   切なことが、ないがしろにされてしまう・・・そんな危機感から、新入生のため   にも所沢高校を守りたいという気持ちを、一生懸命に自分たちの声で抗議してく   れました。そのような先輩の姿に勇気づけられたかのように新入生からも次々と   声が上がり、保護者からも出ました。その時すでに、子どもたちには一体感が芽   生えていました。これこそが所沢高校の姿だと納得させられた思いで、それまで   の不安でドキドキした気持ちが次第に感動へと変わっていきました。  混乱の入学式以後、先生方は何度も校長先生に、保護者に対しての謝罪と説明会の 開催を求めてくださいましたが、校長先生は応じてくださいませんでした。結局、P TA主催で説明会を開かざるを得ませんでした。しかし、説明を求める私たちに対し て校長先生は、「学校運営に関することはPTAのPに口を出してもらっては困る。」 と話されたのです。その後の校長先生のあまりの誠意のない対応に、保護者の多くは 次第に不信感を通り越して、教育者としての資質を疑わざるを得なくなりました。そ んな状況に危機感を感じた私たちは、最後の望みを教育委員会に託すために、7月に PTA臨時総会を開き、校長先生に対して県の指導をお願いする要請文を採択したの です。それ以降、何度、教育委員会に足を運んだことでしょう。  処分者側の責任者として証言された舩津氏は、当時、PTAとの窓口になってくだ さった方のひとりであり、私も何回かお会いしています。当時の保護者の思いは、た とえ理解していただけていなかったとしても、伝わってはいたはずです。それなのに、 当時の状況は良くわかっていなかったと証言されました。そして、たった一本の苦情 電話で、竹永先生は処分されました。校長先生を何とか指導していただきたいという PTA臨時総会で採択した要請文を持って、何度も何度もお願いにいった1年間は、 一体何だったのだろうと、くやしさでいっぱいです。  さらに、舩津氏は、処分に際して録音テープも聞かず、根拠は校長先生が作成した 事故報告書だけと証言されました。証拠の確認が必要だったのではという尋問にも、 「校長がうそをつくはずがないと思ったから」と述べられました。私たちは、何を頼 りにしていたのだろうと、悲しいばかりです。  17回にも及ぶ公開口頭審理に、常にたくさんの傍聴者があり、多くの保護者の方 が来られていることはおわかりのことと思います。また、所沢高校PTAは、3年間 続けて竹永先生の処分撤回の運動をPTAの活動方針として取り上げて来ました。こ のことが何を意味しているのか、考えていただきたいのです。  生徒も、保護者も、所沢高校が大好きなのです。どんなに校舎が古くて、きたなく ても、生き生きと高校生活をおくる我が子の姿を通して、保護者は所沢高校の教育に 信頼を寄せていくのです。その教育を支えてくださっているのが、竹永先生をはじめ 多くの先生方であることを知っているから、今回の処分の意味を考え続けているので す。その結果として、竹永先生の処分を個人的な処分ではなく、所沢高校の教育に対 する問題と捉えているからこそ、処分撤回の活動が、PTA全体の取り組みになり続 けているのです。  しかし、98年3月の入学説明会に出席された入学予定の生徒たちも保護者の方々 も、こんな所沢高校の教育をどれだけご存知だったでしょうか。所沢高校を選び、受 験されたのは、一連の卒業記念祭の報道の前です。私自身、入学前は制服のない自主・ 自立をうたった学校程度の認識しかありませんでした。合格の喜びも束の間、これか ら入学する高校が、全国的に大きなニュースになっているという事実にどんな不安を 感じられたか、想像するに難くありません。  そんな中で開かれた入学説明会だったのです。これまでの経過を、そして現在の状 況を率直に語られる竹永先生のお話は、処分に該当するようなものでなく、新入生・ 保護者の不安を解消してくれるものだったと第4回の審理で、説明会に出席した2人 の保護者の方が証言なさっています。また、入学後の1学年懇談会では、「98年度 入学行事に関する意見書」をまとめ、県に提出しています。さらには、多くの保護者 の方が同じ思いで意見書を提出しています。こんなにも多くの保護者が、竹永先生の 発言は、教育公務員として当然の発言であると訴えている事実をどう考えられるので しょうか。竹永先生の発言は、むしろ校長先生が説明すべき内容であったことは明ら かです。学校の最高責任者は校長だ言いながら、なんらその責任を果たすことのなか った校長先生こそ、問題にされるべきだったのです。  所沢高校は、待つということを、本当に大切にして生徒を育ててくださいました。 このことが、いかに根気のいることか、親としても多くのことを学ばせていただきま した。待つということの根底には、生徒たちに対する先生方の信頼があります。竹永 先生は、あきれるぐらい生徒たちを信じてくださる先生です。話し合いの手続を踏ん だかどうかは、厳しすぎると思うぐらい指導なさるけれど、後はじっと待っていらっ しゃるという先生だと感じています。私も何回か我が子のことをご相談したことがあ りました。いつも返ってくるのは、「子どもを信じなさい。揺れることは悪いことで はない。」という言葉でした。そんなことを言われても親としては心配でと思ったこ ともありましたが、今は本当に大切なことを教えていただいたと感謝しています。う まくいくこともあるし、失敗することもある・・・その全てを認めて、子どもたちを 包み込んでくださる先生です。先日、「子どもたちに助けられているとしみじみ感じ る。この仕事はやめられない。」とポツリとつぶやく竹永先生の声を聞きました。 「生徒は指導されるもの」「先に生まれたから先生なのだ」と言ってはばからなかっ た内田校長先生の姿を思い出します。  人事委員会の皆様、学校教育への不信が叫ばれる中で、多くの生徒たちが、多くの 保護者が信頼を寄せることのできる教育を実践してきた所沢高校のどこが問題なので しょうか。竹永先生はなぜ処分されなければならなかったのでしょうか。2年半にわ たる審理を経ても、処分の正当な理由はなにひとつ解かりませんでした。前回の審理 で、遠藤前教頭先生が、入学式の決定に際して、「管理職だけでは入学式はできな い。」と何度も証言なさっていました。(3年前、それをやられたのはあなた方です。 できないとわかってるのに、なぜ強行したのですか。そのために傷ついた多くの子ど もたち、すべてのことはそこから始まっているのに・・・)と叫びたい気持ちでいっ ぱいでした。  処分直後にPTAを母体として発足した「所沢高校教諭の不当処分撤回を支援する 会」は、これまでに2000人を超える方々からご支援をいただいて活動してきまし た。竹永先生の処分に対して、早急にかつ公正な判断をお願いするという主旨の署名 も、一万三千筆を超え、すでに人事委員会に提出いたしました。さらには、本日、現 3年生の保護者の皆さんが人事委員会に「竹永先生の処分に対して公正な判断をお願 いする」文書を提出しました。現3年生は、この問題の直接の経験者であり、竹永先 生と2年9カ月を共に過ごしてきた学年です。結審を前に、学年の総意としてどうし ても人事委員会の皆様に届けたい強い願い、聞いてください。    入学前には埼玉県教育委員会及び校長先生から手紙が届いたり、マスコミかに   所高生活を満喫し確実に成長しました。この問題を直接経験した私たち3学年保   護者は、半年後の卒業までには処分が撤回され、親子とも気持ち良く、心残りの   ない卒業を迎えたいと願っています。今年の文化祭では、そんな私たちの気持ち   をできるだけ多くの方に伝えようと「署名活動」と「ひと言メッセージ」をまと   めましたので、ぜひ、目を通していただきたいと考え提出いたします。    この中には、生徒、保護者をはじめ、支援してくださる方々の気持ちが、たく   さん詰まっています。    公正な判断をお願いいたします。                2000年11月18日                     埼玉県立所沢高校  3学年保護者一同  寄せられたひと言メッセージの中のいくつかを聞いて下さい。   ・入学説明会の時は、3年全PTAがしっかり聞いていますから、皆先生の応援    団ですよ。いつも誠実にがんばっていらっしゃる先生に声援を送り続けていま    す。   ・説明会でのお話は、所高ならではのすばらしいお話でした。どこにも問題とさ    れなくてはならないものはありません。このまちがいを皆の力で正したいと思    います。   ・何年経っても色あせず、鮮明に悲しい気持ちになります。早く、処分撤回され、    皆、明るく、すっきりと卒業記念祭をむかえられるよう、祈っています。  どうぞ、多くの方の思いを受けとめてください。そして、あの入学説明会の場にい た子どもたちが卒業する来年春までに、竹永先生の処分が撤回されることを願って止 みません。  早急に、公正な判断を下されることを信じています。
(Web管理者記)
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