所沢高校への

埼玉県議会文教委員会の

視察

1998年7月13日(月)

     所沢高校への埼玉県議会文教委員会の視察

  この『視察』に立ちあった知人のメモを、本人の了解を得て掲載いたします。
 7月13日午後、埼玉県議会文教委員会のメンバーが、所沢高校に「視察」にきま
した。
 私はPTA役員として参加しましたので、そのあらましをご報告します。

 今回の視察は、「高校教育の充実について」という目的で幅広く関係者の意見を聞
きたいという、まことに漠然とした建前のもとに行なわれましたが、焦点が「卒業・
入学」行事をめぐる一連の事態の調査にあったことは言うまでもありません。4月の
県議会で、視察の話が持ち上がり、5月中にも実施という予定がたてられていたので
すが、選挙等の事情で実施が延びていたものでした。

 「視察」の内容は、校長、教員、PTAの三者からそれぞれ見解を聞くということ
がメインでした。午後1時頃から来校し、4時40分過ぎまでかかりました。PTA
には、最後の約1時間が充てられました(当初の予定は40分)。

 議員の参加者は11名、うち文教委員は9名(定員は12名)、それに所沢選出の
地元議員2名が付け加わりました。

  ・石渡  勲(自民)・・・・文教委員会委員長
  ・熊野  巌(公明)・・・・同副委員長
  ・岡 真智子(社民)
  ・田中 千裕(自民)
  ・近藤 善則(フロンティア)
  ・長峯 宏芳(自民)
  ・山根 隆治(歩みの会)
  ・秋山  清(自民)
  ・河村 勝子(共産)
  ・柳下 礼子(共産)・・・・地元議員
  ・大石 忠之(自民)・・・・地元議員

 PTA側の出席者は、会長以下、6人の副委員長、合計7名です。

 お互いの挨拶、自己紹介の後、まずはPTA副会長の6名から、短時間の意見表明
が行なわれました。主なポイントは次の通りです。
 ・3年生の母親・・・・子どもが所高に進学した理由、その後の高校生活の様子。
 ・2年生の母親・・・・昨年の混乱した入学式の様子と、その後の校長の対応に対
            する批判。
 ・1年生の父親・・・・新入生の親として、この3〜4月の事態をどのように受け
            止めたか。
 ・3年生の母親・・・・子どもがHR委員として活動してきた様子。
 ・3年生の母親・・・・子どもが文化祭実行委員として活動してきた様子。
 ・1&3年生の母親・・卒業生の話から、彼らが所高生活をどのように評価してい
            るかの紹介。

 次に、会長から配付物の説明が行なわれました。
 ・「所沢高校PTAの活動経過(1997.4〜1998.6)」(B4・1枚)
 ・資料(PTAの要請文、等。B4・1枚)
 ・『埼玉県立所沢高校における「入学・卒業」に関するPTAの立場』
  (会長名、B5・13ページの冊子)

 特に、最後の冊子については、20数分を費やして詳しく説明しました。

 これに対し、議員から次のような質問がだされました。

 ・PTAの決議はどのように決められたのか。総会の定足数はどうなっているか、
  委任状は?
 ・皆さんのお子さんは、生徒会役員をやっているのか?
 ・この文書は、会長個人の意見か、PTAとしてのまとまった意見か。
 ・この文書は、相当手慣れた人でないと書けない。学者の文章とも違う印象だ。
 ・PTAとしては「日の丸・君が代」に対してどのような態度をとっているのか?
 ・一方的に、校長・教育委員会が悪いという論理は通用しない。

 はじめからの約束で、「質問はするが討論はしない」という前提があったのですが、
上のように、勝手に意見を言い出す議員もいて、同僚からたしなめられるという一幕
もありました。

 この質問(意見?)からもわかるように、保守系議員の意図は見え見えでした。
 たとえば、「皆さんのお子さんは、生徒会役員をやっているのか?」という質問は、
親子そろって所沢高校を牛耳っているのではないかとの“勘ぐり”からきたものと思
われますが、残念ながら我々7人の子どもは、いずれも生徒会役員ではありませんの
で、「いいえ」と答えておきました。

 また、「この文書は、相当手慣れた人でないと書けない」云々は、まさに我々の中
に“扇動者”を見つけたがっていることを伺わせますが、実はこの文書を書いた会長
は大学教授で、文章を書くことではプロなのです。そう説明すると、「いや、学者の
文章とも違う」などと言いだし、あくまで“疑い”の姿勢を崩しませんでした。終了
後、別の自民党議員は、母親の役員をつかまえて、「あんたたちはわかっていないか
も知れないが、これはイデオロギーの問題なのだ」などとまくしたてていました。ま
るで「何もわからない母親たちが利用されているのだ」と言いたいようです。これな
ど滑稽の極みです。「活動経過」や「資料」の作成は母親たちの手によるものでした
し、会長の文書も、実は前日に数時間もかけて全員で検討し、手直ししたものだった
のですから。PTAの「実力」を全く見くびっています。
 というか、“扇動されている”という以外に、これだけの資料を準備できる理由が
理解できないのかも知れません。

 終了後、ある議員が耳打ちしてくれました。
「自民党の人たちは、所高を脅すつもりで今回の視察を計画したが、来てみると先生
方もPTAの人たちも実に整然と対応していたので困ったのではないか。」

 そう受けとってくれるならありがたいのですが、実際のところはどうなのかわかり
ません。


 ちなみに、先生方は約40分間にわたって、6人が意見を述べたそうです。
 ・生徒に自主活動を保障する意味
 ・卒業記念祭がどのような手続きを経て作られたのか
 ・それらを教師はどう支えてきたか
 ・「生徒を尊重する教育」は“県民本位の政治”と同じであること
 ・校長の姿勢の問題
 ・管理職候補者6人が配属された人事政策について

 校長がどんな話をしたかは、不明です。

 いずれにしても、まもなく県議会が再開されるそうですので、その動向に注目する
必要があります。
                                   以上。

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