そもそも私とインターネットとのかかわりは、8年ほど前に仕事で使うように なったことに始まります。当時 JUNET というコミュニティのネットニュース で、私が出した質問に対して初めて見知らぬ方から返事をいただき、とても興 奮したときの思いは忘れられません。その頃ピーター・ラッセルの「グローバ ル・ブレイン」を読み、コンピュータ・ネットワークによって人類の英知を結 集し、人類が直面しているさまざまな問題を解決する足がかりにできるのでは ないかと夢見ていました。
しかし、現実のネットワーク上の電子会議では、相互理解の形成は大変難しく、 多くの場所で、真剣な議論というよりも他人の挙げ足取りや大人げない中傷合 戦が繰り返されているのを目のあたりにし、どうすればもっと生産的な議論が できるのか、ずっと悩んでいました。
APC は、正式名称は「Association for Progressive Communications (進歩的 コミュニケーション協会)」といい、「平和、戦争の防止、軍国主義の排除、 社会的経済的正義の擁護、貧困の除去、持続可能で公平な発展、直接参加民主 主義の進歩、そして非暴力による解決などの目的に向かって活動する人々に貢 献する」ことを目的とした世界で唯一の国際電子ネットワーク組織です。
16ヶ国(95年末現在、22ヶ国)にある APC ノードの一つに加入すれば、 世界中の人々や市民運動団体と語りあい、計画を交わし、学びあい、ともに活 動することができます。たとえば、電子会議に参加し、運動団体を網羅したリ スト、軍事企業、環境破壊を行なう企業についての膨大なデータベースにアク セスできます。イベント日程情報をリアルタイムで読み取り、その日程表に自 分たちのグループの予定を書き込んで公表することもできます。また、電子メー ルにより、立法運動、手紙や FAX によるキャンペーン、抗議行動、集会のた めの緊急アピールを発信し、また受け取ることができます。
また、APC は情報格差の是正にも取り組んでおり、特に産業社会の中で弱い立 場にある個人や発展途上国からの情報発信への協力に力を入れています。残念 ながら、日本にはまだこのような電子ネットワークはないのです。
この APC というネットワークの中でなら、よりよい世界を作っていくための 生産的な議論ができるのではないかと感じ、なんとか日本ノードの実現に向け て行動していきたいと思いましたが、当時の私にはどこから手をつけていいか わからず、何もできないまま時が過ぎました。
このことを聞いて、私もいよいよ本気で取り組む必要を感じ、JUNET で APC 日本ノード設立に向けての議論を呼びかけると同時に、その時すでに PC-VAN や NIFTY-Serve などの BBS で議論をしていた方々に連絡を取り始めました。
これらの呼びかけに応じてくれた人達と議論を重ね、93年4月、「市民コン ピュータコミュニケーション研究会(Japan Computer Access、略称: JCA)」 が有志の会としてスタートし、さらに95年7月、正式発足しました。
現在 JCA は、市民団体や個人へのコンピュータ通信利用の普及や、APC の日 本ノード設立を日本のNGO、市民団体とともに実現するために、技術的なノウ ハウの蓄積やホストの実験的運用、学習会の開催などの活動を行なっています。 また、いくつかのメーリング・リストや BBS を運営する他、希望する市民団 体には専用のメーリング・リストを作成したり、ホームページサービスも開放 しています。
APCの日本ノードを作ることは、日本の NGO、市民団体をコンピュータ通信を 使ってネットワークしていく、そしてそれを国際的なネットワークとつなげて いくというとても大きな事業です。JCAはこの事業を実際に活動されている NGO、市民団体の方々とともに共同事業として始めたいと考えています。この 大きな事業を具体化していく上で、より多くの人々にこの事業の意義を理解し ていただき、このメディアを使った市民活動のアイデアを出し合い、共有して いきたいものです。
コンピュータやネットワークに詳しい方はもちろん、あらゆる意味の専門家、 非専門家を必要としています。多様性の中で、すべての人の個性が光り輝く社 会を、私たちは夢見、実際の活動の中で実現していきたいと考えています。私 たちの活動に興味のある方は、ぜひご連絡をくださるようお願いします。