「男らしさ」から「自分らしさ」へ

 

 男たちが変わりつつあります。性別役割意識が強い固の男たちです。「男は仕事、女は家庭」という意識に「そう思う」と答える男たちがなお多く存在するからです。でも、昨年に行われた総理府の意識調査では、「そう思わない」と答えた男性は34%もいるのです。「そう思わない」女性の54.9%に比べれば、なお意識が「古い」ことは否めません。しかしです。87年の同じ調査で「そう思わない」と答えた男性は20.2%だったのです。そう、変わっているのです。

 では、「そう思わない」と答えた男たちはいったいどんな暮らし方をしているのでしょうか。ここに集めたのは、そんな男たちの肉声と暮らしのひとこまです。もちろん、「そう思わない」ということの中身はいろいろです。平等といっても、男と女の間の平等だけではなくて、男と男の間の平等も意識しています。また、単純に男も家に帰ろうというのでもありません。たしかに、家事、育児、介護などは家族というフィールドに属する事柄ですから、とりあえずは、一通過点として、男の問題を語るときにはこうしたことに注目されがちですが、「家に帰ろう」が唯一の着地点ではありません。会社と家族のほかの「第三の空間」が必要です。一言で言えば「社会」ですが、具体的には「井戸端会議」ができる場所のことです。「コミュニティ」といってもいいかもしれません。

 五年前に「メンズリブ研究会」が誕生しました。小さな小さな「コミュニティ」でした。そして、95年、「メンズセンター・ジャパン」がオフィスを開設しました。居場所が増えました。

 ここに集まり、おしゃべりしてきたことを文字にしてみました。しばらく立ち止まって耳を傾けてみませんか。飲み屋の止まり木とはちょっと違ったところへ寄り道してみませんか。

(中村 正)