「男が見えてくる自分探しの100冊」
はじめに

 「男」って何だろう−。女性にとって、自分とは異なる得体の知れないもの、摩詞不思議な存在であるだけでなく、当の男性にとっても、わからないことだらけというのが、正直なところではないだろうか。

 男たちは、”自分自身を知る”ということを避け続けてきた。「男らしくあれ」というメッセージを受けて自己改造を繰り返してきた結果、自分たちの本性、本当の姿を忘れてしまったのである。強く、たくましく、競争に競り勝つことを求められた男たちは、弱い自分をさらすことを恥と考え、あるがままの自分を問い直す試みを拒否してきた。

 会社、地域、家庭のなかで、いま男性のあり方が問われている。この本は、見失ってしまった「男の本性」を取り戻すための本である。生々しいルポルタージュから学術書まで、幅広い分野の男性問題の書をあつめた。これらの本をとおして、男たちのいまをみつめ、これからを模索してほしい。男たちが喜びや悲しみをあるがままに受け止めて、我慢するのではなく、感じたままを自己表現しあえる。そんなあたりまえの人間に立ち戻るための思索の機会にしてほしい。

 どのページから読んでいただいてもいい。興味のおもむくままに読みすすめてほしい。あちこちに、男たちの自分探しのためのヒントがかくされている。どんな宝物を掘り起こせるか、あなたしだいである。

 本書はメンズ・スタディーズ・グループという男性問題研究のメンバーによってまとめられた。関西で男性解放の市民運動を続けてきた男たちが、昨年秋、大阪市中央区にメンズセンターを開設したが、私たちメンズ・スタディーズ・グループも、そのワークショップの1つとして活動している。私たちも、あなたとともに“自分自身を知る旅”を、これからも続けていく同じ旅路の同行者である。

          1996年2月 中村 彰