住宅金融公庫の改革について
1.これまで住宅金融公庫(以下=公庫)は、郵貯などの財政投融資資金による「長期・固定・低金利」の融資で、高度成長期の住宅難の時代、民間の住宅融資制度が整備されていない時代を中心に労働者などの持ち家取得に貢献してきた。いま現在、年間で50万戸、約10兆円台の新規融資があり、住宅ローン全体では37・1%のシェアを占めている。
2.公庫には次のようなメリットがある。
(1)差別ない融資…民間は、「自営業」「担保不足」「勤続年数の不足や転職しているため」「勤め先が中小企業」などがランクされており、融資が断られる理由となっている。公庫融資は,長期・固定・低金利が特徴であり,融資上の差別がなく誰でも借りることができる。また、公庫の場合、災害やリストラなどで返済に困った場合は、返済期間の延長や金利軽減がある。
(2)質の向上…公庫融資は、一定の面積基準を設けたり、優遇金利にバリアフリーや省エネなどの基準を折り込み、住宅性能の向上を誘導、良質の住宅供給に大きな役割を果たしてきている。民間融資にはこうした基準はなく、質の向上は二の次。
(3)「民間でもできる」のか…信金が公庫より金利の低い商品を売り出したが、年間50万戸台、10兆円規模の融資には対応できない。
(4)国民は公庫の廃止を求めていない。
3.これに対し、小泉内閣は、国民の要求に背を向け、公団・公庫の廃止とともに、住宅供給公社を民営化し、公営住宅の新規建設を取り止め、地域経済や住宅建設の担い手である中小建設業の仕事を奪い、さらに、「都市再生」の名のもとに、解約の「正当事由」の拡大を始めとする借地借家法の全面的な見直しを検討し、居住者の追い出し策を強めるなど、国民の居住の安定をも奪おうとしている。小泉内閣の住宅政策は、これまでの公的住宅制度を破壊し、国民には自らの努力と責任で住まいを確保するよう求め、民間の営利事業に委ねようとするものである。現時点での公庫の廃止や民営化の動きは、一面では融資先が狭まっている民間金融機関へのテコ入れ策であり、同時に財政による「補給金」の廃止は行政サービスの削減である。
4.たしかに、公庫による融資は、建設・不動産・家電業界などの需要の下支えとして景気対策としても運用され、都市部の地価高騰を招いてもきた。また人々による「持ち家信仰」を蔓延させ、ローン地獄を生み、最近ではリストラ等で返済金を返せなくなった人も急増している。そのうえ今では「繰り上げ返済」や「ゆとり返済」制度による慢性的な赤字体質となっている面もある。
5.大事なことは、国民の住まいを守り、地域に根ざした「住み手本位」の住宅建設を求めるということである。公庫を利用している人の約半分は、市中の金融機関からの融資を受けられなかった人であるという実態があるのに、公庫を廃止・民営化すれば、一般庶民は家を建てられなくなる。とくに、若者や低所得者への打撃は大きく、完全に民間に住宅ローンを委ねた場合、中・低所得者向けの住宅ローンの切り捨てになる恐れがある。長期・固定・低利の公平で選別のない融資を確保するとともに、公庫融資が住宅の水準向上に先導的に果たした役割も評価されるべきであり、セカンドハウス融資のような問題は是正しつつ、返済困難者対策、都市再生、高齢化対応、中古・リフォームなど重点政策分野への的確な支援を図るべきであると考える。