■教科書執筆者と教科書出版社にたいする脅迫に抗議する■


                        1996年 12月 24日
                        歴 史 教 育 者 協 議 会

 今年6月の「明るい日本」国会議員連盟の発足以来、一部教育学者や一部マス
コミ、さらに右翼団体も合流した教科書記述にたいする攻撃が、ますます激しさ
を加えている。かれらは、来年度から使用される中学校教科書に登場した「従軍
慰安婦」に関する記述を最大の標的とし、根拠のない非難を繰り返している。
 とくに10月以来、右翼団体は教科書出版社にたいして連日のように街頭宣伝
車でおしかけ、抗議を繰り返すという常軌を逸した行動に出ていたが、最近にい
たってさらにエスカレートし、教科書執筆者に対しても、直接脅迫状を送りつけ
るにいたっている。このような事態は、学問・思想・言論・出版の自由、ならび
に真理・真実にもとづいて行われるべき教育にたいする、まさに暴力的な攻撃で
あり、民主主義社会において絶対に許すことはできない。
 私たちは、このような暴力と脅迫に強く抗議し、ただちにこのような行動を中
止することを要求する。司法当局には、法にもとづき、厳正なる処置をとること
が当然求められている。
 また、このような右翼の行動を激励しつづけている一部の政治家、学者、評論
家、マスコミに対して強く抗議する。そして、暴力と脅迫を容認しない態度を明
確にすることを要求する。
 私たちは、暴力的脅迫を受けている教科書執筆者や出版社を励まし、断じて暴
力を許さない大きな世論をおこすことをよびかけるものである。