今日の力をもう一度全国に持って帰って
世論を大きく変え

16日は国会を包囲して、
この教育基本法改悪を絶対にとめよう!!
   
教育基本法の改悪をとめよう!11・12全国集会
8000人以上の参加で闘う意思を確認

  ステージからの教基法改悪阻止の訴え、ぎっしり詰まった会場からそれに応える大コール。11月12日の日比谷野外音楽堂とその周りは、8000の人々の改悪阻止の熱気に包まれた。主催者からの「いまだに特別委で採決をさせず、山場の中で12日の全国集会を迎えられたのは運動の力です」「あと1週間採決を阻止できれば、つぎの展望が開けます」という力強い開会の挨拶が大きな拍手で迎えられ、2時間にわたる全国集会が始まった。

集会の様子

大内裕和さん(呼びかけ人)


 教育基本法改悪は教育への市場原理の導入


  最初に、「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」の呼びかけ人の1人目の大内さんから、「教育基本法改悪と格差社会の関係」について訴えがあった。政府の改悪案では、教育への市場原理の導入=新自由主義を強化する方向が打ち出されていること、安倍政権は、バウチャー制度や教員免許更新制によって学校序列化と教員の国家統制を強化しようとしていること、これら教育における格差拡大は、とくに深刻な若者の労働現場における格差拡大を助長させるであろうこと、これら格差拡大の裏には利益をむさぼっている人々がいること、格差社会を是正していくためには日教組や自治労など労働組合の闘いが重要であることなどが主張された。そして最後の「この集会に来れない人々に私たちの声を伝え、彼らとつながることができたとき、この運動は必ず勝利するでしょう」という言葉に会場から万雷の拍手があった。

 そのあと「若い世代の発言」として、格差社会の中で苦しみながら立ち上がろうとしている若者たち4グループから発言があった。首都圏青年ユニオンの若者は「若者が安心して人間らしく生活できる社会、それを中心になって担えるよう大きな役割を果たしていきたい」と。京都のユニオンぼちぼちの若者は「学校は反応しない従順な労働力を生み出す場に姿を変えている」「教育が一人一人の権利を教えてこなかったことが自己責任というすり替えの下地になっている」と。埼玉の高校生は「埼玉では、高校生が教育基本法改正に反対するさまざまな活動をしている」「知らないということはとても怖いということ」と。改悪反対の運動を全国でやってきた「あんころ」チームは「言いたいことは、教育基本法改正に反対しているのは絶対に一人じゃない」と。

あんころチームの若者たち

反対しているのは一人じゃない


 愛国心教育の危険性に警鐘 「歴史の流れは私たちにある」

 「座り込み」「ハンスト」などで緊迫しながらも盛り上がっている国会前の雰囲気を伝える演奏のあと、呼びかけ人2人目の高橋さんからは「教基法改悪の本当の狙いは格差社会の固定化であって、愛国心問題は目くらましに過ぎない」という議論の誤りについて指摘して、あらためて愛国心教育の危険性への警鐘が鳴らされた。安倍首相の任期中改憲方針、集団的自衛権行使容認、海外派兵恒久化、防衛庁の省昇格、閣僚や自民政策責任者の核武装論議の放置などなど、このような中で教育基本法を変えて公教育において愛国心が目標とされるに至っていることの危険性が強調された。最後に、日の丸・君が代予防訴訟の東京地裁勝利判決と教基法誕生に大きな役割を果たした南原繁の言葉を引用しながら、「歴史の流れは私たちにあることを信じて、頑張っていこう」という言葉で閉めくくられた。

  続いて、ステージ一杯に横断幕を掲げて並んだ予防訴訟原告団に大きな拍手が送られた。その弁護士から「私たちの闘いは戦争のない未来に生きるために絶対に必要な闘いだ」との発言があり、さらに被処分者の会事務局長からの「この判決は全国で教育基本法改悪阻止で戦っている仲間の皆さんを大きく励まし、勇気と確信を与えた」「教育基本法改正の世論誘導をし、タウンミーティングでやらせをしてきた政府・文科省こそ規範意識がない」との発言があった。そのあと、200名で集会に参加した北海道教組から「10・23北海道人事委員会による日の丸・君が代懲戒処分取り消し採決」の報告があった。東京や北海道での闘いの勝利は集会参加者に大きな勇気を与えるものとなり、集会はいやがうえにも盛り上がりを見せてきた。

高橋哲哉氏(呼びかけ人)

予防訴訟原告団


 タウンミーティングのやらせは子供たちを国家権力の言うとおりにさせようとする社会と同じ

 つぎの教育基本法の前文を歌にした演奏のあと、国会議員からの報告と連帯の挨拶があった。共産党の石井さんは、タウンミーティングのやらせによる世論誘導を糾弾し、「いま一日一日国会での闘いが続いている、安倍内閣を追い詰めているのは皆さんの力」と発言、また社民党の福島さんは「タウンミーティングのやらせ問題は、教基法改悪によって子供たちに国家権力の言うとおりに言わせようとする社会と同じものだ」「12月15日まで採決させない、これで頑張っていこう」と発言し、会場から割れんばかりの拍手が起こった。
 ここで、沖縄の糸数慶子候補からの連帯のメッセージが紹介されたのち、労働組合からの発言が続いた。島根県教組からは県内での粘り強い闘いの紹介が、韓国の教職員労組からは連帯のメッセージ紹介が、民法労連からは、教基法改正関連のニュースがほとんどない現状の裏に視聴率という数値目標で管理されている息苦しい報道現場の実態があることの報告が、平和フォーラムからは、市民団体・平和団体・労働団体・野党が結束を固めて力を国会に集中していくこと決意の表明があった。

詩の朗読とパフォーマンス

三宅晶子さん(呼びかけ人)


 いまこそ教育を平和の砦にしなければならない

 京都から参加の女性からのパーフォーマンスのあと、呼びかけ人3人目の三宅さんからは、教育基本法改悪を阻止することと基本的人権を守ることの大切さについて訴えがあった。いま学校は人の命を奪い始めている、人間の価値を数値で評価し選択し追い詰め見えないところで攻撃を充満させていること、やらせ質問が示していることは、政府の与えた規範が上意下達で地方の議論まで貫徹し、教育の崇高な目的にまでされてしまうこと、憲法25条の生存権がすでに奪われつつあり、いま26条〜28条の社会権が脅かされている、だからいまこそ教育を平和の砦にしなければならないこと、などなど。
 続いて、日弁連副会長から、今年9月の全国の弁護士会の代表が集まる理事会で改正案に反対し、改正の当否も含めて徹底した審議を求める意見書を採択したこと、反対の第1の理由は、教育内容への行政・権力の介入を戒める10条を変えて、法律によりさえすれば、いかようにも教育内容に行政・権力が介入できるとしていること、10条は戦前の反省であると同時に、近代の教育原則となったものでこれを変えることは許されないこと、さらに全国52の弁護士会のうち32の弁護士会で反対の会長声明が出ているとの報告があった。

小森陽一さん(呼びかけ人)

銀座通りをデモ行進


 私たちの運動は世論を変えつつある


 このあと札幌の学生から、明日のアリバイ作りの地方公聴会への抗議行動と1万人規模の集会の予定の紹介があり、やらせのタウンミーティングのあった大分からは糾弾のメッセージがあった。
 本日最後の発言として、呼びかけ人4人目の小森さんからは、さらなる闘いへの力強い呼びかけがなされた。教基法の一からの慎重審議などを求める新聞主張を紹介しながら、「私たちのこの間の運動が大きくマスメディアの方向を変え、世論を変えつつある、これを本当の勝利に変えるときである」「いま大事なことは、誤った数値目標で学校を評価する新自由主義的な政策をおこなってきた文科省がすべての問題の責任を明らかにし、その責任を取ることが国民に対する信を問う唯一の道である」「今日の力をもう一度全国に持って帰って世論を大きく変え、16日は国会を包囲して、この教育基本法改悪を絶対にとめよう」と。
 集会最後に「集会アピール」が読み上げられ、嵐のような拍手で採択された。集会後、日比谷公園から銀座、東京駅前を通って常盤橋まで「教育基本法改悪反対!」「国家は教育内容に介入するな!」「愛国心の押しつけ反対!」などをシュプレヒ・コールし、沿道の人々にビラを手渡しながらデモ行進した。

ピース・ニュースの仲間も横断幕を持って行進

プラカードでアピール