米とイスラエルの新たな攻撃の目的は何か?

What is the objective of the new U.S.-Israeli assault?
2006.7.5 A.N.S.W.E.R.のHPより


 国際的な批判により48時間の空爆停止をしていたイスラエルが、8月2日、再びレバノンの空爆を再開しました。カナの空爆では37人の子供を殺して強い批判を浴びたばかりですが、再び病院を空爆したと報じられています。

 私たちはこうしたイスラエルの蛮行・戦争犯罪に強い憤りを覚えます。

 イスラエルによる今回のガザとレバノンに対する攻撃の発端は、パレスチナとヒズボラにより捕獲されたイスラエル兵の解放を要求する、ということが盛んに宣伝されました。しかし、その後の推移をみれば、これがイスラエルの攻撃を正当化する口実であったことは明らかです。

 この点について、「
反占領・平和レポート No.46, 47 ,48 (署名事務局)が大変参考になります。
 
 上記を補足するものとして、かなり早い時期にイスラエルの狙いを暴き、批判しているInternational A.N.S.W.E.R.からの論評を翻訳して紹介します。


 
米とイスラエルの新たな攻撃の目的は何か?
What is the objective of the new U.S.-Israeli assault?
July 5, 2006
By Richard Becker, West Coast coordinator of the ANSWER Coalition

  米に支援されたイスラエルによるガザと西岸のパレスチナ人に対する攻撃の激化は最近選出されたパレスチナ国民政府(PNA)の解体とイスラエルの決定による「和平調停」をパレスチナ人に受け入れさせることを目的としたものである。

 イスラエル政府はイスラエルの占領軍兵士一人の捕獲を、パレスチナ政府機関とパレスチナ住民全体に対する多面的な攻撃を実行するための口実として活用している。

 少なくともPNA内閣の3分の1と国会議員の多数、市長その他の高官がイスラエルによって拘留されている。全て合わせて9千人以上のパレスチナの政治囚が祖国から拉致されイスラエルの監獄の中に閉じ込められたままである。



イスラエルは空爆再開でレバノンの首都ベイルートを攻撃した
2006.8.4 アルジャジーラより


 現在進行中の作戦の前には数年にわたって経済的絞め殺し状態が続いた。それは2006年1月のパレスチナ選挙の後、ガザに押し付けられたほとんど全面的な封鎖に転化した。

 選挙でのハマスの勝利の後、即座にほとんどの貿易及びEUと米、カナダその他の国々からの国際的支援が中断された。国際的支援は、イスラエルによりパレスチナ経済が意図的に破壊されたことにより、決定的に重要なものとなったのである。

 悪名高い人種差別主義者のエフード・オルメルト首相(更に悪名高いシャロンの後継である)は数ヶ月に渡りガザのパレスチナ人に対しての締め付けを強めて来た。その結果、医薬品や食料その他の必需品が広範囲にわたって不足し、ガザへの物資供給や資金提供は妨害されることになった。イスラエルはパレスチナ人に支払う義務のある毎月55百万ドルの税金の支払いを中断している。

 6月中旬の9日間にわたり、ガザの14人の市民がイスラエルのミサイル攻撃により殺された。最近では、2人の子供の母親である37歳の妊婦のファティマ・アーメドと彼女の兄弟のザカリアが殺され、家族の13人が負傷し家は破壊された。

 6月27日に開始された新たなイスラエルによる攻撃はガザの唯一つの発電所と水道施設と南北につながる幹線道路の破壊で始まった。イスラエル空軍は多くの空爆を行い、人口密集地域には絶え間なく衝撃波が響き渡った。イスラエルの大砲による一斉射撃は昼夜連続で続いている。7月1日、パレスチナ首相のイスマイル・ハニヤのオフィスはイスラエルによる爆撃により破壊された。

 7月5日までに、11人のパレスチナ人が殺され、多くが負傷した。イスラエル軍と戦車とヘリコプターはガザに再度侵略を行い、北部のベイト・ハヌン、ベイト・ラヒヤ、南部のラファを包囲した。

 イスラエルにより行われた、計画的で大規模な破壊に直面してワシントンはイスラエルによる人道的な犯罪に対する完全な支持を示した。攻撃が米による完全な支持を得ていることを強調して、国務長官のコンドリーサ・ライスは今日、捕獲された兵士ギラド・シャリットのパレスチナ側からの解放の「潮時」だと述べた。北朝鮮のスカッドミサイルの海への実験発射に対して全世界的なヒステリーを起こそうと企てる一方で、ライスその他ワシントン高官の誰もが、パレスチナの人口密集地域に発射しているイスラエルの多数のハイテクミサイルに対してどんな批判の言葉も発しないでいる。

 パレスチナ人に対する米とイスラエルの戦略はイラクに対して用いられたものと同じものである:数年にわたる強制的な経済的困窮の後、大量の軍事的攻撃を行うというものである。

 パレスチナの首相が述べているように「この戦争全体はあらかじめ計画されたものであることを実証するものとなっている」。この攻撃が相当な期間の作業によるものであることは疑いがないだろう。そればかりか、この重大な作戦と予想される政治的結果はワシントンとの相談、更には承認なしにイスラエルが実行したに違いないことも疑いのないことであろう。

 パレスチナで次々に起こっていることは、より広範囲な地域戦争になるかもしれないという可能性がある。6月28日、ラタキアのアサドシリア大統領の住居の上空侵犯はシリアの対空射撃に迎えられた。米とイスラエルの支配階級はダマスカスの「政権転覆」を追及している。

  パレスチナ内部における米とイスラエルの戦略の主要な要素はパレスチナ人民の意気喪失を追求することである。イスラエル政府は、パレスチナの全ての住民に最大限の悲惨さを負わせることで、パレスチナ政府が抵抗の姿勢を示す限り、彼らの政府はパレスチナ人民の基本的ニーズを供給できないししようともしないということを示そうと公然と試みている。中心となるメッセージはこうである:全ての抵抗は無駄だ。お前ら(パレスチナ人)は自分達の状態を隷属した奴隷として受け入れるか、または(望ましくは)立ち去るかどちらかだ。

 テルアビブとワシントンは新たなイスラエルの攻撃がパレスチナ人の抵抗を粉砕することを望んでいる。それは米とイスラエルがほぼ40年近く主要な目標としてきたものである。

 しかしながら、植民地的占領により押し付けられた言語に絶する全ての苦難にもかかわらず、パレスチナ人民が今回1987年や1967年、1947年と比べて、より降伏しやすくなっているという兆しは何もない。

 しかし非常に長い間持ちこたえてきたパレスチナ人民は彼らだけの力では勝利することは出来ない。彼らに対抗している軍隊は彼らが単独で打ち勝つには強力すぎる。今、従来にも増して必要とされるものは国際的な連帯、特に彼らの主敵を本当の意味で構成しているここ帝国主義者の国(米国)の中での連帯である。

STOP THE U.S.-ISRAELI ASSAULT ON THE PALESTINIAN PEOPLE!
END ALL U.S. AID TO THE ISRAELI APARTHEID STATE!
SELF-DETERMINATION FOR THE PALESTINIAN PEOPLE INCLUDING THE RIGHT OF RETURN!

パレスチナ人民への米とイスラエルの攻撃を止めよ!
米のイスラエルアパルトヘイト国家に対する全ての援助を止めよ!
帰還の権利も含めパレスチナ人民の自決権を認めよ!