英、仏、EU、ロシア首脳も批判したブッシュの中東和平構想
それでも小泉首相は、「演説を評価」
シャロンとともにどこまでも、ブッシュの戦争拡大について行く
このまま小泉にこの国を託すのは大変危険です!!


ブッシュの和平案は平和への望みを「暗殺する」
イスラエルの立場を取るブッシュ大統領は痛烈に批判された
レバノン「デイリー・スター」紙 レバノンニュースより


パレスチナの救急車が再びイスラエルにより狙われた
イスラエル兵士がパレスチナ赤新月社(赤十字)の医療従業者を殴り、銃で脅迫
WAFA(パレスチナ公式報道機関)6.26より


 6月24日、ブッシュ大統領が新たな中東和平構想を発表しました。「パレスチナ指導部はテロに反対するどころか、テロを助長している」と決めつけ、「和平にはこれまでと違う新しいパレスチナ指導部が必要だ。パレスチナ国家はその結果樹立できる」として事実上アラファト退陣を要求し、イスラエル・アメリカの意にそう指導体制でなければ「パレスチナ国家」を認めないという傲慢な帝国主義そのものの「和平案」です。

 パレスチナに侵略を繰り返しパレスチナを占領状態において、自暴自棄的なパレスチナ人のテロを引き起こし、挙句の果てはジェニン虐殺のような残虐な戦争犯罪を引き起こしているイスラエルへの批判は一言もありません。イスラエル国内から「リクード党員(シャロンが率いる右翼党。パレスチナ国家を認めない立場を取る)が書いたような演説」と評価されています。

 アラファト追放と自国の意に添うパレスチナ指導部改革要求というブッシュのこの新提案に対しては、カナナスキスサミット列席の各国首脳も、さすがに同意できず、ブレア英首相、シラク仏大統領、プロディEU委員長、プーチンロシア大統領らが批判を行っています。(もちろん各国首脳が米の先制攻撃をも辞さない対テロ戦争拡大に賛意を示したことはゆるされないことですが。)

 しかしそんな中で、我が日本の小泉首相は、「演説を評価する」としてブッシュに賛意を表しました。いまや小泉首相はシャロン首相とともにどこまでも、ブッシュの世界での戦争拡大について行くつもりです。大変危険です。ブラジルに黒人がいるかどうかも知らない無知な戦争好きブッシュ大統領と国際感覚ゼロの右翼国粋主義小泉首相、パレスチナ人を根絶やしにしてイスラエル国家の安泰を図ろうという侵略主義シャロン首相のリードで世界を戦争状態に巻き込んではなりません。

 ここに挙げた翻訳は、アラブでのブッシュ提案の反応の一例としてレバノンのデイリー・スター紙からの記事です。日本ではあまり報道されませんがアラブ諸国の批判を知る上で参考になると思います。
 また、WAFA(パレスチナ公式報道機関)からの最新のイスラエルの侵攻・占領地での非人道的犯罪暴露するものです。このような、占領地における非人道的な(戦争)犯罪は今始まったものではありません。今回のイスラエル侵攻が始まるずっと以前からあったものです。

 日本のマスコミが意図的に伏せている、パレスチナでのイスラエルの蛮行の実態を知り、世界の平和運動と連携して、ブッシュ・シャロン・小泉の戦争拡大路線を阻止して行きましょう。


アラブ指導者たちはアメリカの和平案が平和への望みを「暗殺する」ものだと語った
イスラエルの立場を取るブッシュ大統領は痛烈に批判された

レバノン「デイリー・スター」 レバノンニュースより


 この火曜日(6・25)、アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュが演説した中東和平案は、「平和に対するアラブのイニシアティブ」を無視し、暗殺するものであるとして、痛烈に批判された。大臣の一人はアメリカの計画に対してアラブは「厳しい立場」をとるべきであると強く主張した。

 議長のナビ・ベリは、アメリカの和平案はイスラエルの「平和のための安全保障」という考え方を採用して、マドリードにおける「平和と土地の交換」方式や国連決議を無視していると語った。彼は付け加えて、ブッシュは3月のアラブ連盟首脳会談で合意された「平和に対するアラブのイニシアティブ」を無視して、それをなかったことにしてしまった、その上さらにアメリカ大統領の計画はアラブを二つに、穏健派と過激派に分裂させようとしていると語った。

 エネルギー水源省大臣のモハメッド・アブデルハミッド・ベイドウムは、パレスチナ指導部の変革をせよというブッシュの要求について、これはヤセル・アラファト議長の政治的な暗殺であり、平和イニシアティブの暗殺に等しい、と語った。

 彼はさらに、アラブはブッシュの和平案に対して「厳しい立場」をとって、「平和に対するアラブのイニシアティブ」を回復するために行動すべきであると語った。

 ベイドウムはまた、ブッシュの和平案は「イスラエルのパレスチナ占領についてのただ一つの非難」はおろかパレスチナ人に対して犯した「戦争犯罪」について一切なにも非難もしていないと厳しく非難した

 ブッシュは、テロリズムに身を投じているパレスチナ人たちの苦しみを黙殺して、彼が望むような[パレスチナ自治政府の※訳者]指導体制を強制するための正当性を勝手に主張しているとベイドウムは語った。

 前首相のサリム・ホスは、ブッシュの和平案はアラブの期待を裏切り、イスラエルに対して媚びを売るものであると語った。ブッシュが望んでいるイスラエル占領下での指導部の再選挙やパレスチナ暫定政府の改革の強要は、選挙の結果にイスラエルの意向を反映させ、政府改革をイスラエルの意向に沿って行うことを意図しているものだと語った。

 一方で、ある政府筋は、ブッシュが演説で「平和に対するアラブのイニシアティブ」に言及しなかったことは、「平和に対するアラブのイニシアティブ」とそれを支持した国々を無視することであり、彼はシャロンの考え方を採用することで、結局はシャロンの考え方をアメリカの考え方に変えていこうというアメリカの政策を押しつけようとしていると語った。

 ブッシュが暗にレバノンを指して、「すべての平和を追求するすべの国民」に「イスラエルの破壊を目論むテロリストグループ―――ハマス、イスラミック・ジハード、ヒズボラを含む―――への資金、装備、人員の流れを阻止するよう」迫っていることに対して、この政府筋は驚きを隠さない。

 イスラエルとの国交正常化を含むパレスチナ国家建設に関するブッシュの条件は、甚だしくイスラエルよりであり、レバノン人やアラブ人にはとても受け入れられないとこの政府筋は語った。

 「シャロン主義的考え方」を採用して、アラブ人たちに不満の呼び起こすようなブッシュの和平案では、和平交渉を再開するための「堅固な基礎」にはなり得ないだろうとこの政府筋は語っている。


パレスチナの救急車が再びイスラエルにより狙われた
テルアビブ、6月26日、2002年、WAFA(パレスチナ公式報道機関)


テルアビブ、6月26日、2002年、WAFA(パレスチナ公式報道機関)−イスラエルは西岸の占領地域へのまた再び侵攻を開始した。今回のイスラエルによる軍事侵攻は西岸のパレスチナ住民センターの再占領を含むものである。イスラエルはパレスチナ人一般住民の食料供給やその他の形の人道的な援助などの責任はもつと主張しているが、地面に塗られたペンキの証拠は異なった様相を描いていると「イスラエルの人権のための医師団」は宣言した。

 先週、救急車への攻撃と医療スタッフへの攻撃、そして医療処置の遅れという事態が再開された。西岸地区を通じての比較的大きな町での医療ケアを受けることの可能性は惨めなものとなっている。そして多くのパレスチナ人が住む村々ともなれば、それは墓と言うべきものとなっている。

 現在までの状況は「防衛の盾(ディフェンスシールド)」と呼ばれる作戦の厳しさと強烈さには達していないが、それでも「イスラエルの人権のための医師団」は医療の局外中立性が妨害され人命が軽視されるケースの増加と警報の増大を注視している。

 これらのケースはイスラエル占領郡と自市政府の間の最高裁での合意を否定するものである。その合意ではパレスチナの救急隊は邪魔されずに通行することを許可され、兵士は国際法(それは占領区域でも医療関係者の移動の自由にも適用される)を尊重するよう指示されることが決められている。


イスラエル兵士がパレスチナ赤新月社(赤十字)の医療従業者を殴り、銃で脅迫
ナブレス、6月26日、2002年、WAFA(パレスチナ公式報道機関)


ナブレス、6月26日、2002年、WAFA(パレスチナ公式報道機関)−
 パレスチナ赤新月社(赤十字)のナブレス出張所の救急医療サービスステーションはクフル・カリル村からナブレスのラフィディア病院に陣痛の女性の輸送依頼を受け出動した。

 病院への途上、医師のサミ・アサファリとドライバーのカリド・アルカリリはアルカンディ学校交差点において、イスラエル国境警備のジープに停止するよう指示を受けた。そのジープには武装タンクが随行していた。

 兵士の一人が(拡声器を通して)救急車のクルーに対し車から降りるように命じた。それから彼らは国境警察とタンクに向かって歩くよう命じられた。いったんサミとカリドが兵士達が立っている場所のすぐそばに来ると、兵士はカリドの顔面と頭を殴り始めた。「外出禁止令が出ている、歩くことは禁止されている、病院へ行くことも禁止されている。どうしてもそれをするならおまえを撃つ」とその兵士は言った。

 サミとカリドは15分後に苦難から解放された。しかしイスラエル国境警察は、救急車クルーに他の救急車で妊婦を輸送するため、赤新月社の救急サービスステーションへ戻りよう命じ、はラフィダ病院への救急車のアクセスを禁止したことを否定している。

 パレスチナ赤新月社本部への事件詳細報告の中で、カリドは赤新月社本部に対し彼に襲いかかり銃撃の脅迫を行った兵士に対して告訴を請求するよう要求した。

 最初のジェノバ会議では以下のことが明確に宣言されている。負傷者あるいは病人は、どの部隊に属していようと集められ治療されなければならない。救急車と医療サービス従業者は保護され敬意が払われなければならない。彼らは人道的な義務を果たすために危害を加えられてはならず邪魔されてはならない。

 関連する条文:12条:(負傷者と病人の保護)、19条:(医療部隊と施設の保護)、24条:(職員の不変の保護)、26条(個人支援団体)、35条:(医療輸送の保護)

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