集会報告

講演会
米軍再編の見直しと、沖縄の民意…。
松元剛さんに聞く。


 5月19日、相模原市内で、相模補給廠監視団・米第1軍団の移駐を歓迎しない会主催により琉球新報政治部長の松元剛さんの講演会が開催され、約50名が参加しました。米軍再編の見直しが日米両政府により発表され、また、オスプレイ配備が問題となる現在の局面で、沖縄の声をあらためて聞き学ぶ場となりました。




ことの重大さからオフレコ発言をあえて報道
   - 「犯す前に『犯しますよ』と言いますか」

 
 昨年11月に、沖縄県名護市辺野古への新基地建設をめぐる環境アセスの評価書を年内に沖縄県に提出するのかどうか、田中聡沖縄防衛局長に記者が問うた時に飛び出した暴言です。これが明るみに出て、防衛局長は更迭、一川防衛相も問責決議可決へと事態が進行したので、ご記憶の方も多いと思います。松元さんは、このことから話を始めました。

 この発言は、琉球新報の暴露によって世に知られることとなったものです。夜のオフレコ懇談会の場で出た発言だったのですが、これを報道していいか、しかも、翌朝すぐに報道していいか、悩んだ末に、ことの重大さを考え報道することを選択したそうです。「書かないという選択もあったが、あるいは、1日おいて裏をとるという選択もあったが、それは、読者に対する背信とみた。事の重大さを考えないわけにいかなかった。」と。

 この発言は、新基地建設をめぐる環境アセスを、不法な行為になぞらえているという点、しかも性的暴行になぞらえているという点で、それだけで県民の尊厳を踏みにじる大問題発言なわけです。しかしそれは、その年、相次ぎ明るみに出た沖縄蔑視発言の延長上にありました。

 鳩山前首相による「抑止力は方便」発言、ケビン・メア米国務省日本部長による「沖縄はゆすりの名人」発言、高見沢防衛政策局長による「米政府はあまり早計に柔軟さを見せるべきではない」発言、玄葉外相による「踏まれても蹴られても、県民の理解を得る」発言(攻撃されているのは沖縄県民なのに、攻撃される側に自らをおいて発言)など。

 「事の重大さ」から報道しないわけにいかなかった、ということが話を聞いて理解できました。しかし、一連の事態を改めて説明されてはじめて、ハッとさせられてしまう自分に恥ずかしさも覚えました。本土の一部の大手紙は「オフレコ破り」と批判をしているようですが、そのような本土の反応こそが批判されるべきと感じました。この報道は当然ながら、沖縄県民には圧倒的支持がなされているということです。

 

夜陰に紛れて環境影響評価書を沖縄県庁に運び込む
沖縄防衛局の姑息な行動の映像を見る。



本土からの差別を意識して迎えた復帰60周年

 5月15日の復帰40年が報道されていますが、「沖縄の人たちにとっては、5・15よりも重い日とも言われる」4・28があるということが話されました。この日はサンフランシスコ講和条約発効の日(正式に沖縄が米国の統治下に入った)で「屈辱の日」とされている。それから数えて60周年であると。このような「40周年・60周年」を、沖縄は、本土からの「差別」を意識して迎えているという話がされました。

 仲井眞知事も9万人の大集会で「差別」だと発言した。それ以来、沖縄県民の間で「差別だよね」という雰囲気が出てきているようです。「『差別』を感じる沖縄の人々がある中で、今度はオスプレイだ!」「オスプレイは沖縄の9割が『反対』」ということです。オスプレイの岩国への先行配備、試験飛行の話があって、これが、山口・岩国の猛反発にあって撤回する政府が、沖縄に対しては、民意を無視して無理やり押し付けようとしている。これは、どう考えても差別としか考えられません。

 どうしてこんなことが許されるのか?本土の私たちが、これを見過ごしてはいけないと思いました。松元さんも、「オスプレイは、那覇軍港で組立てて・・・と報道があるが、狂気の沙汰だ。反発を増やすだけ。モロッコの事故もどうして墜落したか何も報告がない中である。」と批判されていました。

 沖縄差別の問題について、どうしても忘れがちになる本土人の私なのですが、改めてその実態・沖縄の雰囲気を伝え聞くことができて身に染みました。松元さんは、神奈川にも共通する基地問題についても言及されていました。基地問題解決にため沖縄と連帯すること、学ぶべきこと、まだまだ沢山あるなと思いました。ピース・ニュースの活動の中でも沖縄の問題これからも取り上げていきたいと思います!

オスプレイの普天間配備反対!
普天間基地の即時返還!
辺野古新基地建設反対!
高江へのヘリパッド建設中止を!




松元剛さんプロフィール
1965年那覇市生まれ。89年琉球新報社入社。沖縄にとどまらず、広く海外、本土の基地も取材。基地問題に関する編著書も多数。特に日米地位協定問題では、抜本的改訂の論陣を張る。「琉球新報」は「沖縄タイムス」とともに、沖縄県民の立場に地元紙。


T.S