「歓迎しない会」学習会

前田哲男さんを招き
米軍再編と再編交付金・思いやり予算を批判する学習会
開催しました!


この記事はピース・ニュースの責任でまとめたものです


 基地財政問題学習会
米軍再編と財政負担
-自治体への交付金と思いやり予算-

 4月27日、前田哲男さん(沖縄大学客員教授)を講師にお招きし、基地財政問題学習会「米軍再編と財政負担―自治体への交付金と思いやり予算―」を開催したしました。30名以上の参加で大変盛況でした。
2008年4月27日(日)午後6時〜
おださがプラザ多目的ホール
主催:キャンプ座間への米陸軍第1軍団の移駐を歓迎しない会


「もはや日本は法治国家ではない!」―日米安保の枠組みさえも超える米軍再編

 講師の前田さんからは、冷戦後の米軍再編に至る歴史的経過についての解説がありました。米軍再編により進められている米軍と自衛隊の統合運用体制の構築や基地運用の新形態(新基地建設、相互乗り入れ、民間利用)は、10年以上も前の97年の新ガイドラインに既に描かれていたことであり、それが今現実のものになっていっている過程だということ、米軍再編に伴う日本の負担増は96年の橋本―クリントンによる日米安保共同宣言に既にうたわれていることが解説されました。そして、周辺事態法(99年)、テロ特措法(01年)、イラク特措法(03年)と現在の「テロとの闘い」へと自衛隊が米軍の戦争に組み込まれる過程が、憲法に違反するものであり日米安保の枠組みさえも乗り越えるものであるのに、日米安保の改訂もなしにどんどんやっている、もはや日本は法治国家ではないと痛烈な批判を展開されました。

「安保特定財源」=思いやり予算の肥大化

 講演の中で、もうひとつ、思いやり予算という「安保特定財源」の肥大化の批判が展開されました。今年で30年になる思いやり予算は、当初「暫定的・限定的・一時的措置」として登場し、およそ5年ごとに延長されてきたものであること、累計で5兆3700億円に達していること、これが条約上・法律上に明確な根拠を持っていない「日米同盟の献上金」であることが解説されました。
講演を聴いていると、年金や高齢者医療などでの国民への負担押し付けが進められる中で、米軍へは湯水のようにお金を供出する政府のこのような姿が、道路特定財源の問題と重なって、とても腹立たしいことであるという思いが強くなりました。

米軍基地のために市財政は損をしている!

 続いて、歓迎しない会事務局長の金子ときお相模原市議からは、相模原・座間の財政が基地のためにどれだけ損をしているかという実情について、基地交付金と想定固定資産税の対比により解説がなされました。
 例えば、平成19年度の相模原市の基地交付金が約12億円なのに対して、米軍基地が基地でなければ入るはずの想定固定資産税(対象資産価格からの単純計算)が約48億円であり、その差額が約36億円にもなること、10年間に交付される米軍再編交付金は市の推計で37億円であり、固定資産税額と基地交付金額の差額の1年分に過ぎないことが解説されました。
 基地交付金や再編交付金で、地域が潤っているかのような論調は全くのまやかしであることがわかりました。また、再編交付を受けたとしても、基地の再編・恒久化にたいして黙って我慢する必要などないという思いが強くなりました。

 会場からも、「お年寄りの医療負担増の中で2000億円の思いやり予算は維持される。一体何なのか」「思いやり予算の2000億円は、70万人相模原市の予算規模と同じ規模である」「なんで日本はこんなに米軍に気前が良いのか?」「与党はこんな中で、宇宙基本法を企てているようだ、怖い」などの質疑が出てきて、活発な討論となりました。
学習会の資料をご希望の方は「歓迎しない会」事務局 またはピース・ニュースまで