キャンプ座間の米軍再編反対運動は新段階へ!
「自治体ぐるみ」の運動は終わっても、更に力強く運動を続けよう!
 
 全国で唯一在日米軍再編計画に自治体として反対の立場を貫いてきた、座間市が7月28日、方針転換をしてしまいました。
 この問題のいきさつについての解説と、地元で粘り強く闘っている「歓迎しない会」他3団体共同のの抗議声明を紹介します。
 
解説についての文責はピース・ニュースにあります

 全国で唯一反対していた座間市が方針転換

 7月28日、全国で唯一、米軍再編反対の旗を降ろさずに来た座間市が、その旗を降ろすことを決定してしまいました。事実上の米軍再編の容認・受け入れ表明であり、4年に渡った「自治体ぐるみ」の米軍再編反対運動・第1軍団司令部移駐反対運動は、あらたな局面となります。

 国は、今年2月の岩国市長選で米軍再編に反対した井原市政を敗北に追いやったのに続いて、最後まで反対を掲げてきた座間市の運動をひねりつぶしたことになります。

 私たちは、国の米軍再編のためなら問答無用に国民・市民に負担を押し付けるやり方、「米軍再編特措法」による「アメとムチ」の政策、市民の民主的要求に応える自治体行政に対し恫喝し牛耳るやり方に断固抗議します。


市民の運動の一翼を担った「連絡協」の解体は国の暴挙

 7月28日、防衛省の南関東防衛局長は座間市を訪れ、座間市と国との間の常設の協議機関を設置する旨の提案を文書で行いました。

 これが、座間市がかねてから要求してきたキャンプ座間の「恒久化解消策」なのだということです。

 これとともに、防衛省は口頭で、「『反対』の横断幕など従前の活動をするなら今後の交渉はしかねる」等と、座間市の米軍再編反対運動の一翼を担ってきた座間市連絡協(市と市議会と自治会連合会で構成)の解散と連絡協が掲げる第1軍団移駐反対の懸垂幕、横断幕などを撤去を条件とすることを示し、この提案を「最大かつ最終的な回答」として提示しました。

 現実に米軍再編計画が日米政府により強行に推し進められていく一方で、米軍再編による負担増を押し付けられる全国の自治体のうち座間市のみが再編交付金の交付を受けられないという不利益(嫌がらせ)を受けつづけ、星野市長にとっては9月に迫る市長選での後継陣営への不利益が生じるおそれ(岩国での出来事を考えれば簡単に想像できるでしょう)を感じているのでしょうから、国によるこの時期の上記提示は、極めて卑劣な恫喝といえます。

 これで結局、星野市長は米軍再編反対の矛を収めてしまったのです。(これにより、30日に防衛省は再編交付金の座間市への交付を決定しました。)

 国の政策のために、米軍の行う戦争のために、市民の民主的要求を反映し多くの市民により受け入れられてきた、自治体による自発的な運動を解体させるとは、非民主主義的なまったくの暴挙です。許すことは出来ません。

 また、常設の協議機関の設置が、沖縄県を除けばはじめてのことであるとされていますが、政府がまじめに基地の恒久化解消を目指しているとは決していえません。

 沖縄の協議会が沖縄の基地問題を決して解決していない、地元自治体の声に耳を貸さない(辺野古の新基地建設の事例など)という実態からみても明らかです。

 また、協議機関は1971年の横浜防衛施設局長と座間町長が交わした覚書の「基地の縮小に最大限努力する」との趣旨に基づくとされますが、まったくデタラメも甚だしいといわざるを得ません。覚書を尊重するのであれば、なぜそれから今まで37年に渡って基地をそのままにしてきたのでしょうか?

 なぜ米軍再編の計画を自治体・市民の頭越しに勝手に決めてしかも推し進めているのでしょうか?このような協議機関の設置によって市民の運動をつぶそうという考え方を断固批判しなければなりません。

 市長選が迫る中での「決着」については、下記のWeb Page参考になります。

 http://www.kanaloco.jp/serial/entry/entryxiiiaug08082/(神奈川新聞ニュース カナロコ)


 星野市長の姿勢転換を認めることは出来ない!出来レースの連絡協

 米軍再編反対、第1軍団移駐反対の市民の期待と信頼を受けてきた星野市長は、最後に市民を裏切ったことになります。

 星野市長が先頭に立って集めた、有権者の約半数にも上った6万人以上の第1軍団司令部の移駐に反対する署名に背を向けたことになり、認めることが出来ません。

 市と国の協議は市民不在の密室で進められてきたようです。28日の国の「提案」をうけて同日夜の7時から開催された連絡協の臨時総会ではわずか2時間の審議で、星野市長(議長)主導で、審議打切り、連絡協の解散、懸垂幕の取り下げの採決が強行され、可決されてしまいました。

 市民への周知のための集会開催の否決もしています。連絡協の解散などの提案は文書を読み上げがされる形で行われました。直前の政府側「提案」に応じる形の連絡協でどうして解散の提案が文書化されて準備されているのか。この最後の連絡協は、広く市民の意見も聞かないままの幕引きが強引になされるという茶番となってしまいました。

 最後の連絡協の茶番は、以下のサイトが参考になります。に紹介されています。

 http://okinaga.way-nifty.com/weblog/cat4644131/index.html(沖永議員のブログ)
 http://www.kanaloco.jp/serial/entry/entryxiiiaug0808/(神奈川新聞ニュース カナロコ)


 運動の持続と更なる強化を

  座間市が運動の矛を収めたからといって、キャンプ座間における米軍再編反対、第1軍団司令部の移駐に反対する運動は終わったわけではありません。自治体の運動の形態は終わりを迎えたといわざるをいませんが、まだまだ運動は続きます。

 自治体の運動が限界を持つことは、ある程度予想されたことでした。市民の運動が再び自治体を突き動かすぐらいに運動を持続させて発展させていかなければなりません。

 キャンプ座間への第1軍団の移駐はこれからが本番になります。12年には陸上自衛隊の海外派兵部隊の司令部がやってくる計画です。このような動き一つ一つに待ったをかける運動を繰り広げていきましょう。

 キャンプ座間による基地被害も続いています。ヘリコプターのタッチアンドゴー訓練による爆音、ゴルフボールの飛び出し事件の続発、ヘリコプターの不時着事故、市民の生活の目の前での銃器を携行した物々しい訓練、などなど。

 これらの基地被害もひとつひとつ告発し、私たちが基地や米軍を歓迎していないことを訴えていきましょう。米軍にとって居座りづらい土地にすること、これでキャンプ座間の基地撤去を勝ち取り市民のものにするまで頑張ろう!


(2008.8.7)

 国・南関東防衛局の座間市宛て提案に抗議する声明


2008年7月30日

神奈川平和運動センター   代表 宇野 峰雪
原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議   代表 大波 修二
キャンプ座間への米陸軍第一軍団の移駐を歓迎しない会   代表 伊澤多喜男
                                若林 恵子

 7月28日、防衛省・南関東防衛局は座間市を訪れ、星野勝司市長に概ね、次のような提案を示した。@負担の軽減を図るため、国との間で常設の協議機関を設置する(文書)、Aついては市長が会長を務める「基地強化に反対する座間市連絡協議会」の解散と、同協議会の掲げる第1軍団移駐反対の懸垂幕、横断幕などを撤去する(口頭)というものである。同日、「座間市連絡協議会」は臨時総会を開き、この提案を受け入れる旨を賛成多数で決定した。

 座間市は基地の整理・縮小・返還を市是とし、日米政府が合意した米軍再編による第一軍団司令部の移駐計画は基地負担の軽減にはつながらず、かえって基地の強化・恒久化をもたらすとして、市民ぐるみの反対運動を進めてきた。市役所、学校、公共施設には懸垂幕、横断幕を、自治会の掲示板にはポスターをという具合に、町の隅々にまで、基地強化反対の主張が浸透させた。第1軍団司令部の移駐に反対する署名は、有権者の半分を占める6万人以上にも及んだ。

 しかし、国・防衛当局は情報提供・通告もなしに、米軍再編計画のすべてを自治体の頭越しに決め、それら基地を抱える自治体に押しつけてきた。当然のこと、関係自治体はこぞって反対、各地で市民ぐるみの運動が繰り広げられた。

 こうした動きに対し、国は「米軍再編法」という特別法を制定し、「アメとムチ」の策に出た。すなわち、国の言うことを聞く自治体には再編交付金を、聞かぬ自治体には不交付という挙に出たのだ。座間市も不交付という嫌がらせを受けた。また、山口県岩国市に対しては、市庁舎建設の補助金までカットするという仕打ち出たのである。

 国が提案した座間市との協議会の設置では、基地問題の解決につながらない。

 国自らが「司令部機能が強化され座間市及び同市市民に対する新たな負担となる」とし、その上で協議をするとしている。人の襟首を締め上げておいて、頭をなでるやり方というべきである。沖縄・辺野古への海上基地建設問題に関わる協議会で、国が自治体の声に全く耳を貸していない先例からも、座間市との協議会が基地の恒久化解消につながる見込みをない、と言わざるを得ない。

 私たちは、米軍の言い分を鵜呑みにして、米軍基地の再編強化を進める日本政府の姿勢を告発、追及してきた。第1軍団司令部が移駐することで、キャンプ座間が東北アジアから中東に至る範囲を対象とする米軍の指令基地となることに反対する行動を重ねてきた。

 昨年12月19日、第一軍団前方司令部が発足、本年9月にもその規模が拡大される計画である。一方、キャンプ座間のでは最近、米兵が銃器を携行した訓練を行ったり、陸海空の3軍がそれぞれ訓練を行うなどヘリコプターによる騒音も恒常化している。また、ゴルフボールの基地外への飛び出し事故も続出している。市民のいのちとくらしは、基地によって脅かされ続けているのである。

 この度の座間市の方針転換は市民6万人の声に背を向けるもので、決して認めることはできない。

 私たちは引き続き、第1軍団司令部の拡大と陸上自衛隊中央即応集団司令部の移駐に反対し、キャンプ座間の基地強化を阻止、基地の返還を実現すべく、粘り強く主張、行動を重ねていくことを表明する。
 以上