演劇紹介

宮森米軍機墜落事件を語り伝えよう〜「フクギの雫」東京公演を見て

2011.12.10 公演
 
 
 「フクギの雫」とは52年前に沖縄で起こった宮森米軍機墜落事件を題材とした沖縄の若者たちによる舞台公演である。


写真は「フクギの雫」実行委員会のブログより
 
 1959年6月30日10時36分、米軍の戦闘爆撃機がテスト飛行のため嘉手納基地を飛びたった。直後にエンジン火災の警告ランプが点灯、パイロットは搭載していた爆薬を東シナ海に投棄、嘉手納への帰還を試みたが叶わず機体は石川市(現うるま市)の住宅地に墜落炎上、バウンドした機体は宮森小学校の校舎をなぎ倒しまき散らされたジェット燃料が燃えあがる大惨事となった。死者17名(うち児童11名のちに後遺症で1名が亡くなる)負傷者212名(児童156名、職員2名、住民54名)教室・民家の全焼21棟、半焼10棟。操縦していたパイロットは直前に脱出し無事だった。この事故は日本「本土」でも米軍政下の沖縄でも十分報道されることもなく、被害者や遺族たちは心に傷を負ったまま耐えるしかなかった。


 1999年、琉球朝日放送が特集を組み事故原因が整備不良だったことを突き止めたが大きな声にはできなかった。沖縄ではその間も毎年のように米軍機の事故は続き、2004年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故では奇蹟的に死傷者が出なかったものの危険と紙一重の現実を改めて知らしめた。事件から50年目を迎えた地元では「石川・宮森630会」が作られ遺族や被害者からの聞き取り調査や遺品の収集・展示も行われた。


 このようななかで事故の記憶を語り継ごうと地元の若者たちを中心に「ハーフセンチュリー宮森」が結成され、証言集などをもとに舞台「フクギの雫」が創られた。はじめは1回だけの予定だったそうだが多くの声に押され沖縄各地や名古屋などで上演を重ねてきた。そして今回、12月3日に文京シビックホールでの東京公演が実現した。


 せつせつと流れる三線の音とたおやかな琉舞が劇の進行の随所に取り入れられ心を打つ。実写フィルムをバックに事故当時を語る言葉は激しく迫ってくる。そして愛しい人と共にいたいと願う歌声は平和な暮らしを求める心をつたえてくれる。50年前の事件と今の沖縄の問題、未来への希望と想いは膨らむ。琉球の地で育まれてきた文化と現在の感性を盛り込んだ舞台は、まだまだ深いものを秘めているように感じられた。

 この事件の証言集をもとにした映画「ひまわり」も準備中で、来年完成予定だそうだ。一枚千円の制作協力券を市民が広く負担し資金を捻出する計画ですでに募集も始まっている。舞台とはまた違った形でより多くの人びとに事実を伝え、沖縄の現実を知らせることができよう。上映の日が待たれる。

「ハーフセンチュリー宮森」のサイト

映画「ひまわり」を成功させる県民の会発足集会の記事琉球新報より

Y.A