[映画紹介]

映画を紹介する投稿がありました。多くの方に薦めたい映画だと思います。

上映場所、日時などは下記公式サイトなどで確認してください。



イノセント・ボイス 12歳の戦場


 激しい雨の中4人の少年が銃を持った兵士たちに囲まれてジャングルを歩いていく。どこへ連れて行かれるのだろう?なぜ? 始まりからぐんぐんと引き込まれていく。

 

この映画は1980年代、内戦下のエルサルバドル、政府軍と反政府勢力が戦闘を繰り返す町が舞台である。

12歳になると少年たちは政府軍兵士とされる。学校へトラックで乗りつけ、該当者とみなされる子供たちの名を読み上げ、その場から連行していく。逃げるものはその場で撃たれる、友人たちの目の前で。

主人公チャバは11歳の男の子。父は内戦が始まるとアメリカへ渡った。母は生活のため夜働きに行く。姉と幼い弟と3人で過ごす夜も銃弾は容赦なくとびこんでくる。ベッドの下で必死に弟をなだめながら震える子どもたち。

米兵が町にやってくる。子供たちはガムをせびる。それを見つめる大人たちの目は冷たい。住民たちは反政府勢力へ心を寄せている。子供たちを連れ去り家族や友人を殺す政府軍を支持はできないだろう。それを支援している米軍にも敵意を持つのは当然だ。この映画の政府軍兵士はみなロボットのように無表情に住民たちを扱っている。

こんな「悲惨な」日々を送るチャバたちだが、決して暗くはない。子供らしいいたずらやアルバイトや初恋やら、ほのぼのとした「ふだんの生活」がちりばめられている。思わず笑いが起こる場面もある。それがなおさら切ない。

友人たちを殺され家を焼かれたチャバは、弟が12歳になる前に迎えに来ることを誓ってたった一人で米国に逃れていく。息子を救うために母が必死で旅費を作ったのだ。

 

米国に渡ったオスカー・トレスは自分の体験を下にこの脚本を書き監督に認められた。映画はメキシコで撮影され2005年ベルリン国際映画祭はじめさまざまな映画祭でも高く評価されている。

 

政府軍が村に子供狩りにやってくると屋根に逃げる。この映像はけっさくだ。平屋のトタン屋根に寝そべっている子供たち。ここには自由がある。下では政府軍が右往左往している。村の木の上で遊ぶ姿ものびのびとしている。

 

随所に流れる音楽もすばらしい。エンディングもぜひ最後まで聴いていただきたい。

 

世界には30万人以上の子供兵士がいるという。戦闘に巻き込まれている子供たちの数はその何倍だろうか。今も多くのチャバが現実に存在し、必死で生きていることを強く訴える作品である。

[神奈川県 Aさん]

シネスイッチ銀座等で好評上映中、全国各地でも公開予定 詳しくは下記HPで

 

「イノセント・ボイス 12歳の戦場」 公式HP  http://www.innocent-voice.com/

 

 

−劇場上映日程−

■東京

 

1月21日〜3月10日

シネスイッチ銀座  TEL03-3561-0707

■大阪

 

2月25日〜3月17日

梅田ガーデンシネマ TEL06-6440-5977

■名古屋

 

2月18日〜3月10日

伏見ミリオン座 TEL052-212-2437

〜札幌、仙台、京都、福岡他全国各地