[映画紹介]



ドキュメンタリー映画
「Little Birds−イラク戦火の家族たち−」

  激しい空爆が始まり、惨禍が人々を襲います。老人や女性、そして子供たち・・・次々と弱いものが大きな犠牲となっていきました。バグダッドへの米軍入城の瞬間をとらえた綿井健陽は、米軍の戦車の前に立ちはだかる一人の女性の叫びにキャメラを向けました。「How many children have you killed? Go to the hospital and see the people dying!」(お前たち何人の子供を殺したんだ? 病院に行って、死んでいく人たちを見てこい) その言葉に突き動かされた綿井は、翌日バグダッド市内のサウラ病院で凄惨な状況を目撃します。・・・・・(Little Birds HPより)

BGMもナレーションも無く、次々と映像が語りかけます。
2003年3月開戦前夜から2004年6月まで、イラクに生きる人々(米兵も含めて)の言葉と行動がつづられています。放映されたものや講演会で使われた映像もありますが、ドキュメンタリー映画として改めて編集された映像は、戦争が何だったかを突きつけます。
3人の子を一度に失った父。彼は今も亡くなった子供たちに語りかけます。
俺たちはイラクを開放したと語る米兵。大量破壊兵器はどこだと問う綿井氏に「なぜ俺にそんなことを問う?」と怒り立ち去ります。
クラスター爆弾で右腕を失った少年。彼が怪我した空き地には今もあちこちに「不発弾」が放置されたままです。
アブグレイブで家族の釈放を訴える市民たち。鉄条網に指をかけ「アメリカは人権を守れ」と叫び祈る姿。
必死の人々の映像の中で唯一異質なのがサマワでの自衛隊取材。あの何度も流れた「持込のメニューを試食する隊員」に、多くのカメラが集まる異常さ。彼らマスコミのジャーナリストは何をイラクで取材したのかわかっているんでしょうか。わかっているからいっそう腹が立つんですが。

新宿駅東南口(ルミネ口)から2分の小劇場K's Cinemaで上映中です。28日からは渋谷 UPLINK FACTORYでも上映されます。ぜひぜひご鑑賞ください。[神奈川県Aさん]

5月23日、大阪・福島区民センターで、「Little Birds リトルバーズ ーイラク 戦火の家族たちー」を見た。映像は、イラク開戦直前の10日前のバクダット市内の人々の様子から始まる。「なぜ日本はアメリカを支持するんだ」「日本は我々の敵だ」人々の口から声が叫ばれている。そして開戦、老人が新聞を読んでいる「イラク戦争開戦」と1面のつぶし文字で。とにかく、米軍の空爆の映像がすごい。無差別に爆撃しているかが分かる。
 そして、イラク市民に犠牲者が無数に出ている様子も映し出されている。母と子供の靴、血糊がべっとり地面に落ちている。母と子がここで犠牲になったのだ。そこここで市民が犠牲になっている。母親が嘆く「神様はなんという試練を与えるのか」と。米のイラク侵略は市民の生き方を全て一変させた。
 アリ・サクバンさんは、自宅を空爆され、3人の子供を殺された。病院に運び込まれた瀕死の娘の手を取り泣き叫ぶサリバンさんの姿は、どんなに無念なのか、やりきれない気持ちで胸が痛んだ。一体、米の空爆がどんなに酷いものなのか、思い知らされ、怒りが込み上げてきた。
 小学6年生のハディール・カデムさんは米のクラスター爆弾の破片で、右目に突き刺さり、負傷した。爆撃で、吹き飛ばされた破片で、どれほどの人が殺され、負傷しているのか、痛いたしさが伝わってきた。
 サクバンの殺された子供たちは、リトル・バードとなって、大空を飛び回っていることで、この戦争の無常さを告発しつづけていると思った。もっとこの映画を多くの人に見てほしいと思う。[大阪府Kさん]

http://www.littlebirds.net/

日本/2005/アラビア語ほか(日本語字幕)/35mm/102分
撮影・監督:綿井健陽 製作・編集:安岡卓治
翻訳:ユセフ・アブ・タリフ、重信メイ、勝元サラー 編集助手:辻井潔 
製作:安岡フィルムズ 配給:Project Little Birds 配給宣伝協力:バイオタイド

 


−劇場上映日程−
■東京
5月28日〜6月24日 新宿 K's Cinema (地図)
5月28日〜 渋谷 UPLINK FACTORY (地図)
■大阪
6月4日〜 大阪 シネ・ヌーヴォ (地図)
■名古屋
6月4日〜 名古屋シネマテーク (地図)
■広島
5月30日  広島 横川シネマ (地図)
7月〜  広島 横川シネマ (地図)


「ベアテの贈りもの」(岩波ホール)

ベアテ・シロタ・ゴードンというアメリカの女性が、日本の敗戦後新しい憲法の草案作成の時「男女平等」の文言を加えた事実は、10年程まえに公にされすでに多くの日本女性たちの知るところです。
しかし、ベアテさんが書いたこの「第24条」が戦後の日本女性の地位向上と権利にとってどれだけ強い後ろ楯になったか。この映画はベアテさんが書いた「24条」を起点にして、戦後日本の女性たちが今日までどのような地道な歩みと活発な運動を展開してきたかを検証する、いわば、映像による戦後女性史の一断面です。(岩波ホールHP「解説」より)

http://www.iwanami-hall.com/

藤原智子監督2004年/日本映画/ドキュメンタリー
カラー/35mm/ヴィスタサイズ
上映時間1時間32分
製作:「ベアテの贈りもの」製作委員会
鞄本映画新社
企画:赤松良子/岩田喜美枝/落合良
製作:大和史明