ブッシュ政権のイラク攻撃と世界への戦争拡大を止めさせよう!
ピース・ニュースNo.23より

■イラク攻撃には何の正当性もない!
 米のイラク攻撃には何の正当性もありません。
イラクが大量破壊兵器や生物化学兵器をもち、核兵器開発をしている、テロ組織アルカイダを支援している、フセインが独裁者で反政府勢力に化学兵器を使った等等いろいろ理由を挙げていますが、それだからイラクを先制攻撃して良いというのは国連憲章をはじめとする国際法違反です。
そうした論理を認めてしまえば、世界中のあらゆる国が自国に都合が良い論理で他国を攻撃することが可能になってしまうからです。国際法では明白に自国が攻撃を受け反撃をする時以外に武力行使の正当性を認めていません。
 しかも、イラクが大量破壊兵器を持っている、アルカイダを支援しているという具体的証拠は何も示されていないのが現実です。
 中東での石油・エネルギー資源の支配のために、フセイン政権を転覆して親米政権を作りたいというのが米ブッシュ政権の本当の狙いです。

■イラク戦争が始まってしまえば、深刻な犠牲が一般民衆に

 イラク戦争が始まってしまえば、アフガンの比ではありあません。フセイン政権転覆が狙いですから人口密集地のバクダッドへの空爆や地上戦で子供、女性、老人を含む数万~数十万、更にはもっと多くの一般人が犠牲になる可能性があります。
 米は湾岸戦争で劣化ウラン弾を使いました。この放射線被害により湾岸戦争後イラクでは子供の白血病が増えています。今回もまた米軍は劣化ウラン弾を使うでしょう。その結果は直接の死傷者だけでなく数十年と続く白血病、ガンなどの放射線被害をもたらすのです。
 こうした人類への犯罪とも言える戦争を何としてでもくい止めねばなりません。

■ 何が何でも戦争を始めたいブッシュ政権
 ブッシュ政権はしゃにむにイラクへの先制攻撃に突っ走っています。既に、アメリカ上下院は国連決議がどうあろうと米単独でもイラク攻撃を開始する権限をブッシュ大統領に与えてしまいました。
 中東の湾岸諸国には既に少なくとも通常の3倍程度、6万人の米兵が送られ、空母機動部隊3個が派遣されています。更に横須賀を母港とする空母キティホークが10月末ペルシャ湾に向け出港しました。米中央軍司令部は12月始めには、カタールに戦術作戦センターを設置し1千人程度の要員を送り込み演習を開始すると発表しました。

 10月23日に米が国連安保理に提案した決議案は、査察にたいしてイラク側の「虚偽や省略」があれば「重大な結果を招く」として自動的に軍事攻撃を可能とするものです。これまでのイラク査察の経過を見ても米軍諜報員や米CIA要員(フセイン暗殺指令を受けている)などを含む査察団は挑発的にイラク側の反発や「虚偽や省略」行為を演出して攻撃の口実を作り出すことは明らかです。
 こうしたあからさまイラク先制攻撃、戦争拡大に対して国際的批判が強まっています。10月16日の国連安保理の公開討論会では南ア、チュニジア、キューバ、タイ、エジプト、アラブ首長国連邦、パキスタン、インドネシア等々、イラク侵攻を受けたクエートでさえ反対の声を上げています。
 安保理常任理事国の中でもロシア、フランス、中国は米の一方的な攻撃に反対の立場を明らかにしています。

■ブッシュ政権とイラク攻撃を支持し有事立法制定を画策する小泉政権
 世界中でブッシュ政権のイラク攻撃に対する批判があがる中で小泉首相はブッシュ政権の戦争推進に英、豪、イスラエルと並んでべったりと付いて行こうとしています。「悪の枢軸」ならぬ「戦争の枢軸」の一員に日本は入ろうとしているのです。
10月30日の党首討論会でも小泉は「イラクがはっきりした態度をとるべきだ」(イラクは既に国連との無条件査察際受け入れに合意している)、「米国は国連決議履行に全力を尽くしていると思う。国際法に違反するような戦争は毛頭考えていないだろう」としてイラク攻撃に反対の態度は示さず米に追随し支持する態度を示しました。
米のイラク攻撃開始後の支援策として政府内では「テロ特措法」を修正してアフガン駐留の米軍の肩代わりをすることで間接的にイラク攻撃支援をすることまで考えていると報じられています。
ブッシュの戦争拡大に対応するため有事立法制定の動きもあきらめたわけではありません。9月30日の内閣改造で小泉首相は防衛庁長官に石破茂を起用しました。石破は現憲法下でも集団自衛権が認められる、有事法制にテロ・不審船対策を盛り込むべき等の見解を持つタカ派的人物です。

■「テロ特措法」派遣延長、機能拡大によるイラク戦支援の危険性
 アフガン戦争への米軍支援のためインド洋・アラビア海へ自衛隊を派遣している政府は11月19日で期限切れとなる「テロ特措法」による派遣期間を更に6ヶ月延長しようとしています。それだけではありません。これを機に極めて高度な警戒管制機能をもつイージス艦や対潜哨戒機P3Cの派遣までをも検討しています。これはアフガン戦争支援、「テロ特措法」を隠れ蓑にして、なし崩し的に次の対イラク戦争への加担の準備を始めることを狙ったものです。

■世界で巻き上がる「イラク戦争反対」の声
 世界中で、ブッシュ政権のイラク戦争に対して反対の強力な声がまきおこりつつあります。
 9月末にはロンドンで40万人が集会とデモに立ち上がりました。10月26日には全米で30万人近くの人が、「石油のために血を流すな」、「攻撃が始まる前に止めよう」を合言葉にデモと集会を行いました。ベルリン、ストックホルム、マドリード、バルセロナ、ロッテルダム、フィリピン、コロンビアなど、世界各地で連帯行動が行われました。

■世界の声に連帯して日本でも「イラク戦争反対」の大きなうねりを
 日本の運動はこうした世界の動きに比べるとまだまだ遅れています。ブッシュの戦争拡大と小泉政権の戦争加担、有事立法制定に反対するために私たちも声を挙げてゆきましょう。


ワシントンD.C.での反戦集会(2002.10.26)

日本政府・自衛隊はブッシュの戦争政策への協力を直ちにやめろ!
有事法制諸法案は廃案へ!

有事法制反対の署名活動へも引き続きご協力を!

 小泉政権は、インド洋・アラビア海に展開中の自衛隊派兵を引き延ばし、国交正常化・「経済支援」をてこに更には拉致問題でマスコミと一体となって反北朝鮮感情を煽り、「悪の枢軸として敵視・戦争政策を推し進めるブッシュ政権の重要な一翼を担っています。
 そういう意味では、日本政府に対イラク攻撃反対を表明させることができれば、ブッシュの戦争政策に大きな痛手を負わせることが出来ます。
 日本政府に、戦争反対・ブッシュの政策への反対を言わせることが、私たち日本の反戦・平和運動の役割です。私たちの責任は重大なものと言えます。

 現在の政局は深刻なデフレ対策・金融危機対策、「拉致」問題などが前面に出ており、有事法制の論議が見えにくくなっていますが、水面下では着々と準備が進められています。今年の通常国会では継続審議とされましたが、通常国会閉幕段階では、与党三党の党首会談で現在会期中の臨時国会で成立を図ることが申し合わされています。目下の最大のテーマはデフレ対策という状況なのですが、油断は許されません。10月29日には、与党三党が、安全保障に関するプロジェクトチームの会合を開き、有事関連3法案の修正案を決めています。民主党に修正協議を呼びかけ、今国会で成立を図りたい考えだと報道されています。

 修正内容は、現行法案が「武力攻撃事態」(有事)を「発生した事態」「おそれがある事態」「予測される事態」の3段階に分類しているのに対し、「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」の2段階にして定義を明確化するというものです。「武力攻撃のおそれ」もないのに「予測」だけで戦争開始の準備を整えることが出来るという事の本質は何も変わっていません。アフガン戦争やイラク戦争、ブッシュの戦争に大手を振って自衛隊を参戦させたいという、有事法制のそもそもの目的は何も変わっていないのです。

 そればかりか、「不審船」やテロへの対処を盛り込むことが確認されています。自衛隊と警察の連携強化、情報集約・分析・評価と対処などが明示されています。これは、自衛隊の「軍事警察」化、国民に対する治安・弾圧の強化への道を開こうとするものと言えます。10月には防衛庁と警察庁が、両庁創設以来初めて、「治安出動」を想定した陸上自衛隊と警察による合同演習が実施されました。

 「国民保護法制」は、武力攻撃事態法案に「2年以内を目標に整備する」とされたもので、その素案がまとまっています。そのなかで、有事(戦争)の際の国や地方公共団体などの責任の範囲を定めています。都道府県知事には、民間の物資の保管や収容、土地や家屋の使用の権限が与えられています。私権は制限され、従わぬ者には、罰則が設けられる方向性です。また、民間防衛組織の設置を念頭に、「国民の協力」が明記されています。「国民保護法制」というネーミングに惑わされ勝ちですが、これは、いかにして国民全体を戦争に巻き込むか、動員するかを狙い目にした大変危険な法案なのです。

 ブッシュのイラク戦争を止めるためにも、私たちは、なんとしてもこれらの有事関連諸法案の廃案を勝ち取らなければなりません。  イラク攻撃反対・有事法制反対の署名活動を進めて行きましょう。
世界と日本全国の反戦・平和の運動と連帯して、イラク攻撃阻止、日本の有事法制廃案を目指して様々な活動を強化していきましょう。


ワシントンD.C.での反戦集会(2002.10.26)