7月20日 ピース・ニュース学習会 アピール

自衛隊イラク派兵のための「イラク特措法」にあくまでも反対!
「恒久法」制定にも反対する!


 イラクへ自衛隊を派兵するための「イラク復興支援特別措置法案」が7月4日の衆議院本会議で、与党3党の賛成多数で可決された。参議院でも22日に委員会、23日に本会議の採決強行が予定され、法案成立が必至の情勢となっている。私たちは、自衛隊イラク派遣ありきで国会会期を延長し、十分な審議時間もとらずに法案を成立させようとする政府・与党に強く抗議する。また、野党第一党で、法案に反対を表明しながら、廃案を要求せず、むしろ審議に協力的な民主党の姿勢にも抗議する。
 この法律の中身は、「イラク復興支援」という看板とは全く無関係で、自衛隊を派兵して米英の軍事占領を支援しようとするものである。米英軍は「復興」などには関心はなく、生存と生活を脅かされたイラク民衆の抗議行動やゲリラ戦による抵抗を、武力で抑えつけている。自衛隊はその米英占領軍を支援するために派遣されるのである。

 米英は、「大量破壊兵器保有」のウソを口実に、国連と国際世論の反対を押し切ってイラクに先制攻撃を仕掛けた。このイラク戦争は紛れもなく「不法な侵略戦争」であったし、その後の米英の軍事占領も国際法違反の不法なものである。ブッシュ、ブレア両政権は現在、「イラクのウラン購入」偽情報をはじめとする数々の情報操作でイラク攻撃への世論誘導を行ったことを追及され、窮地に陥っている。

 米英軍に対するイラク民衆の抗議行動・ゲリラ戦は、日増しに激化している。米英軍の死者は毎日のように報道され、その地域もイラク全土に及んでいる。今やイラクは全土が戦闘状態になりつつある。駐留米兵やその家族からは不平、不満、軍指導部への批判があからさまに出ている。

 このようなイラクへ自衛隊を派兵すれば、イラク民衆と戦闘状態におちいる可能性は極めて高い。憲法の「交戦権禁止」を踏みにじり、イラク民衆を武力攻撃することとなる。日本政府の派遣計画に対し、米からはより危険な地域への自衛隊派兵要求がでるなど、両政府間の確執がすでに顕在化している。また、バクダッドでの米軍C130輸送機に対するミサイル攻撃の事実は、日本政府が強調する「安全地域」が存在しないことも証明された。

 自衛隊が他国民に対して地上戦・民衆弾圧をやる−−これは戦後はじめてのことである。日本の軍国主義化の全く新しい段階である。「イラク特措法」はそれほどとんでもない法律なのである。

 これほど重大な法案が、衆院で審議開始されたのが6月24日であり、このまま今国会で成立すれば、わずか1か月での法案成立となる。その間の審議過程では、野党の質問にたいして、逃げ・はぐらかし・先送りで全くまともな議論になっていない。まさに「自衛隊派遣が先にありき」のあまりにも国民を愚弄した国会審議である。

 10月以降に予定されている本隊派遣までには、イラクの戦闘はさらに激化し泥沼化していくであろう。たとえ法案が成立したとしても、この「イラク派兵」にはいくつものハードルがあるに違いない。そして派兵を阻止できるチャンスもまた生まれてくるに違いない。イラク特措法を発動させない闘い、イラク派兵反対の闘いをこれからも続けよう。

 さらに政府は7月10日、自衛隊の多国籍軍支援を可能にする「恒久法」を制定する方針を決めた。これは自衛隊に限らず、公務員や民間人の活動も含めた包括的な国際貢献のための法律で、政府は早ければ来年の通常国会へ法案を提出すると伝えられている。

 恒久法は、いつでも、世界のどこでも、国民と国会にしばられず、自衛隊=日本軍を派兵できる法律である。これまでの、国連平和維持活動(PKO)協力法、テロ特措法、今回のイラク復興支援特措法案などの時限立法の制約を一挙に投げ捨てようとするものであり、非常に危険な法律である。

イラクへの自衛隊派兵反対! イラク特措法を廃案に! 「恒久法」制定反対! 共に闘っていこう!

2003年7月20日
ピース・ニュース学習会参加者一同