● 第20回春季深泥池観察会(魚観察会)の報告 ●
はじめに
1999年4月18日(日)に 第20回春季深泥池観察会が行われました。 プログラムはこれです。 ここではその様子をご報告します。 当日はあいにくの雨でしたが、建設省のひとまできて参加者は35名でした。 目的のオオクチバスの産卵床はいくつか見ることができましたが、 雨で見えにくかったようですし、魚影を見た人も少なかったようです。 しかし、産卵床のひとつからオオクチバスの卵がびっしりついた石を見つけることができたようです。
オオクチバスの卵。これは産卵床の下見のときのもの。
撮影日: 1999.4.4
撮影者: 西村弘子浄福寺にて
こちらを向いているのが西村さん
まず、はじめに浄福寺において、伴さんのあいさつのあと、 深泥池観察会の代表の西村さんが今回の観察会の意味について話されました。 次に、滋賀県立琵琶湖博物館の桑村さんが、 琵琶湖におけるオオクチバスの繁殖の様子や資源抑制の試みについてスライドを 用いて話されました。内容は以下のとおりです。この要約の文責は高井利憲です。
- まず、オオクチバスの繁殖活動についてです。産卵場所の条件は、
- 水深20cm〜1.5mぐらい。
- 底が平らなところ。
- 底が砂場か礫のようなところ、ただし、ヨシの根のからみあってるとこなども たまに産卵しているそうです。
- 波がたたないところ。
で、水温が15度を越えるころになると産卵活動が始まるそうです。 したがって、当然の事ながら、場所によって産卵時期はことなることになり、 深泥池ではだいたい今ごろ、つまり4月中旬ぐらいからだそうです。 産卵活動は以下の順です。
- まず、オスが上記の産卵に適した場所になわばりをもつ。なわばりの 大きさは、左右5mくらい、つまり10m間隔だそうです。
- そこにオスは尾びれをつかって80cmくらいのすり鉢状の穴を掘ります。 これは、よくテレビなどで見るサケの産卵のような感じだそうです。 卵はこのうち直径30cmぐらいの範囲につきます。
- で、メスはそのへんをうろうろしているので、オスはメスに対し、 体を大きく見せたりしてディスプレイします。
- で、おしりを寄せ合って卵を生みます。 オスは産卵床がいっぱいになるまでメスを呼び込みます。
- その後、オスは卵を守ります。
守ってる間のオスの胃の中にはなにもないそうです。また、 保護親魚を巣から離してまた巣に戻ってくるか、という実験では、 11回中10回の実験で、親は巣に戻ってきたそうです。 オオクチバスのような肉食魚で、万単位の卵や稚魚を親が守るという性質をもつものは日本の在来の淡水魚にはいないので、日本の生態系になじまないそうです。
- 次に、このような産卵行動を踏まえた上での、資源抑制についてです。
まず試したのは、産卵床に砂をかける方法で、これは、1.5cmぐらいの砂を かければ、卵は窒息死してしまうそうです。卵が見えなくなれば、 親もその産卵床を破棄してしまうそうです。 次の方法は、親魚を、捕獲してしまう方法です。卵を守ってるときは、 親は人間が近づいても逃げないので、引っ掛けなどで簡単に捕獲できるそうです。 で、守る者がいなくなった卵は、30分ぐらいで、ヨシノボリやオイカワ、ブルーギル などに、全部食べられてしまうそうです。12回の実験中11回の産卵床で 全部なくなって、生き残った一回は、たまたま他の親魚のなわばりと 重なっていたからだそうです。- 生まれたての稚魚は火の玉のようにかたまってるので、小さなたも網で簡単に 全部すくえるそうです。
- あと、産卵床をまもっているようなオスは少数の大きな強いオスで、 そのような大きなオスは、たくさんの卵を守ることができる というようなことを言ってました。つまり、そのような大きな個体を 捕獲するのが、効果的だそうです。
- 桑村さんのお話について次のような質問があり、桑村さんは次のように 答えてました。
- Q. オオクチバスはいつでもなわばりをもってるのですか?
A. いいえ。繁殖するときだけなわばりを持ちます。- Q. 親魚を捕獲してかつ卵が生き残った産卵床の、その後の卵は どうなったのですか? 卵はすぐかびてしまうと思うのですが。
A. 観察していないが、たぶん孵化したと思う。 水槽内ではすぐカビが生えるが、自然界では、そんなにカビははえないように思える。- Q. スニーキング(*1)のような行動は見られますか?
A. みられません。- Q. 琵琶湖のバスは減ってますか?
A. 減っています。しかし理由ははっきりしません。資源抑制事業は行ってるので、 滋賀県は、その影響だと宣伝しています。- Q.バスが増えすぎると、バスそのものが生きることが出来ないような 生態系になってしまうとおもうんですが、そのような例はあるのですか? 在来魚を食いつくせばバスも生きていけないと思うのですが・・・。
A. そのような例はみたことはありません。 琵琶湖などの大きなところはまだ安定していないかもしれないし、 小さな池などのようなところでも、大きなバスが小さなバスを食って生態系 が成り立ってしまう場合もあります。- Q. 琵琶湖でオオクチバスの影響をうけた魚と受けなかった魚は?
A. 一番大きな影響を受けたのは、一生を沿岸部で過ごす魚です。 アユは影響を受けなかった魚の例です。秋に産卵してすぐに沖にでるので、 あまり影響を受けませんでしたが、ボテジャコとよばれるタナゴなどは、一生沿岸で すごすので、激減しました。班分け
お話が終わった後、外に出て班分けをしました。雨は相変わらず降ってました。 私は5班で森川君と二人だけでした。 守る会の人が班長をやってくれました。
観察会
- まずはじめに、一番北の、ミヤマウメモドキのところまで行きました。
雨が降り続いているので足場が悪くて大変でした。 で、藤崎さんと宮本さん(?)から ミヤマウメモドキの説明を聞きました。今回はオオクチバスの産卵床の観察会ですが、 もちろんその他の深泥池の自然についても観察の対象です。深泥池の周りの里山には 130種類の木があるそうですが、そのなかでも珍しいのはこのミヤマウメモドキ とニシゴリ(?)だそうですが、もちろん他の木々も大切だということだそうです。 ミヤマウメモドキは雌雄異株で、 雌株はここには一株しかなく、しかも それが弱ってきているそうです。おもな原因は、根を人間に踏まれるからだそうです。 しかし、昔から人間はこの木の下を歩いていたのでは、と質問したら、 昔も確かに釣りなどでここまで来ていたが、釣りのスタイルが違うというような ことを言ってました。昔は深泥池はフナ釣りの名所で、フナ釣りというのは 座って待ってるだけだが、今のルアー釣りは、あっちにいったっりこっちにきたり 歩き回って釣る釣りなので、ミヤマウメモドキのような木々にダメージを あたえるそうです。
- 次に南の堰堤のところまできて田末さんから、ミツガシワの話を聞きました。 ミツガシワの花には2種類あって、雌しべのながさが長いやつと 短いやつがあって、2種類あることによって、種の生産量がおおくなるそうです。 受粉する確率があがるのかな?
- 次に、西村さんに、浮島の説明をしてもらいました。 ハリミズゴケとオオミズゴケという2種類のミズゴケから成っているというような ことを話されていました。
- で、時間がなくなって、私達の班は、結局これで終わってしまいました。 まあ、深泥池のオオクチバスの産卵床は、今年になって2回ぐらい 観察してるのでよかったです。でも、他の班の人は、産卵床や、卵のびっしりついた 石や、魚影などをみれたようです。
総括
最後に南岸の堰堤に集まって総括をしました。
まとめ
今回は、雨がずっと降り続くあいにくの天気でしたが、実際に産卵床や卵がみれて よかったと思います。3日前に来たときは、産卵床はいくつか見れましたが、 卵は確認できてませんでした。
用語
(*1) スニーキング(sneaking): なわばり防衛や求愛などを行わず、他の雄の繁殖努力 に便乗して、あるいはその隙をついて繁殖を行う雄個体をサテライト(satellite) あるいはスニーカー(sneaker)と呼び、そのような行動をスニーキングとよぶ そうですが、用語の混乱があるようです。(『岩波生物学辞典第4版』を参照)。