衆院憲法調査会(2・17) 平成十二年二月十七日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    会長 中山 太郎君    幹事 愛知 和男君 幹事 杉浦 正健君    幹事 中川 昭一君 幹事 葉梨 信行君    幹事 保岡 興治君 幹事 鹿野 道彦君    幹事 仙谷 由人君 幹事 平田 米男君    幹事 野田  毅君       石川 要三君    石破  茂君       衛藤 晟一君    奥田 幹生君       奥野 誠亮君    久間 章生君       小泉純一郎君    左藤  恵君       白川 勝彦君    田中眞紀子君       中曽根康弘君    平沼 赳夫君       船田  元君    穂積 良行君       三塚  博君    森山 眞弓君       山崎  拓君    横内 正明君       石毛えい子君    枝野 幸男君       島   聡君    中野 寛成君       畑 英次郎君    藤村  修君       横路 孝弘君    石田 勝之君       太田 昭宏君    倉田 栄喜君       福島  豊君    安倍 基雄君       中村 鋭一君    二見 伸明君       児玉 健次君    佐々木陸海君       東中 光雄君    伊藤  茂君       深田  肇君     …………………………………    衆議院憲法調査会事務局長 坂本 一洋君     ――――――――――――― 委員の異動二月十七日  辞任         補欠選任   福岡 宗也君     島   聡君   志位 和夫君     児玉 健次君同日  辞任         補欠選任   島   聡君     福岡 宗也君   児玉 健次君     志位 和夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本国憲法に関する件     午前十時開議      ――――◇――――― ○中山会長 それでは、ただいまから会議を開きます。  日本国憲法に関する件について調査を進めます。  本日は、憲法調査会の調査を開始するに当たり、各会派の委員から五分程度で御意見を聴取いたします。  まず、自由民主党の葉梨信行君から意見を聴取いたします。 ○葉梨委員 自由民主党の葉梨信行でございます。  日本国憲法は、本年五月には施行五十三周年を迎えることとなります。終戦後五十五年を経て、今国会において衆参両院に憲法調査会が設置され、本格的憲法論議が行われることとなったことは、まことに感慨深いものがあります。  当調査会設置のため御尽力を賜りました超党派の憲法調査委員会設置推進議員連盟の中山太郎会長を初め、議員連盟の同僚議員諸兄に対し、心から感謝を申し上げます。  私は、現在、自由民主党の憲法調査会長の任にありますが、私の前任の自由民主党憲法調査会長として、当調査会設置のため力を尽くされました故石橋一弥衆議院議員のみたまに調査会の発足を御報告申し上げ、謹んで哀悼の誠をささげる次第であります。  今後の調査会の運営について所信を申し上げます。  当調査会を構成する各党各会派において、既にそれぞれ憲法調査会が設置され、鋭意検討が進められていると聞いております。憲法問題に関しましては、各党の党内、また党外にもさまざまな議論があることを承知しておりますが、今後、当憲法調査会において広い角度から検討を行い、適切な結論を導き出すことを心がけたいと考えております。  私は、当調査会として、日本国憲法制定前後の歴史的検証を行うことが必要であると考えます。このことは、終戦直後の日本国内の政治、経済、社会情勢のみならず、米国の日本占領政策並びに世界戦略の変化、また、当時の激動する国際情勢にもわたるものであります。  調査会委員が日本国憲法制定前後の歴史的経緯についてお互いに共通の認識を得て、その上で議論を進めていくことが望ましいものと思います。憲法制定当時の状況を一つ一つ吟味していくことを調査会の出発点としていきたいと存じます。  その際、昭和二十一年、憲法改正案が審議された第九十回帝国議会の衆議院並びに貴族院の議事録は、当調査会の必要不可欠な資料でありますので、膨大な資料とは存じますが、その提出方をお取り計らいいただきたく、中山会長にお願い申し上げます。  また、日本国憲法施行十年後の昭和三十二年、政府は憲法調査会を設置し、昭和三十九年まで大変綿密な議論を展開し、その報告書が提出されております。 私は、この政府調査会の貴重な報告書を子細に再検討することも、ここで提案しておきたいと思います。帝国議会議事録とあわせて、当調査会に政府憲法調査会報告書の御提出をお願い申し上げます。  そこで、今後の運営につきましては、次回の調査会から、各党の推薦する参考人から意見陳述を求める参考人質疑を御提案申し上げたいと存じます。  参考人招致につきましては、自由民主党、公明党・改革クラブ、自由党、民主党の各会派のみならず、日本共産党、社会民主党推薦の参考人招致も行うべきものと考えます。参考人質疑の詳細につきましては、会長に御一任申し上げます。  私からは、当面の調査会の運営について申し上げましたが、各党各会派の御賛同を賜れば幸いであります。ありがとうございました。(拍手) ○中山会長 次に、民主党の鹿野道彦君から意見を聴取いたします。 ○鹿野委員 民主党といたしまして、衆議院の憲法調査会に関しまして、これから取り進めていく際の基本的な考え方について申し上げたいと思います。  最初に、この二〇〇〇年という大きな節目のときに憲法調査会がスタートするということはまことに意義のあることでございまして、私どもは、新世紀に向かって大いなる議論を展開していきたい、こういう考え方に立つところであります。  民主党は、二十一世紀のこの国の形を構想する立場から、あらゆる問題について自由濶達に議論する論憲の立場に立ちます。この立場から、本調査会におきましても、大いなる議論が交わされるよう望むものでございます。  本調査会におけるところの議論は、従来の、いわゆる護憲かあるいは改憲かというような論議にとらわれることなく、すなわち幅広く開かれたものにすべきである、こういうふうに考えておるところであります。  このような考え方から、現行憲法というものが制定過程に問題があるから改正すべしという立場にも立ちませんし、憲法改正を認めないというかたくなな態度もとらない、これが民主党の基本的な考え方であります。  日本国憲法のいわゆる三つの原則ということでしょうか、主権在民、平和主義、基本的人権、そういうものは、民主主義国を築く上において、また平和主義国を築く上において、大きな功績をもたらしてきたわけでございますが、これからも、この憲法の重要な精神として大切にしていきたい、こういうふうに考えております。  しかしながら、国際環境の急速な変化や、社会、生活環境の着実な変動など、時代は憲法についても大いなる議論を求めているものと考えます。果たして今日の憲法が新しい時代に十分適合しておるのかどうか、こういうことにつきまして調査研究することは必要なことであると考えます。  ましてや、新たな世紀を迎えまして、日本という国をどのように構想していくのか、どのような社会を目指すのかということを真剣に考えながら、そのもとで憲法の姿を議論していくことは重要であります。  憲法というものは、言うまでもなく国の基礎を形づくる基本法であり、それはいかなる国づくりを目指すかとの構想に基づいて組み立てられるべきものと考えるからであります。  こうした考え方に立ちまして、我が党は、条文に係る各論論議の前に、この国をめぐる二十世紀の総括と二十一世紀の展望につきまして、議論を大きな視点に立って骨太に進めることを提案したいと思います。  以上の基本的な考え方に立ち、国の形及び憲法全般に関する総括的議論をしっかりと行うとともに、各界の代表、碩学など、有識者を初めとして、広く国民の声が反映される仕組みを検討して推進すべきであると考えます。我が民主党は、国民とともに憲法を議論していきたい、このように考えております。  以上です。(拍手) ○中山会長 次に、公明党・改革クラブの平田米男君から意見を聴取いたします。 ○平田委員 まず、私ども公明党及び改革クラブの現行憲法に対する見解を申し述べたいと思っております。  それは、我が国の平和憲法の象徴であります憲法九条は堅持し、国民主権、恒久平和、基本的人権の尊重の三原則は不変のものと確認した上で、十年をめどに国民的な論議を展開するというものでございます。憲法制定以来半世紀を経過したわけでございまして、あるべき二十一世紀の日本及び日本国民の姿を見詰め直すという意味で国民的な論議を行う、こういう点については大変意義があると私どもは考えております。  憲法調査会は、今後のスケジュールといたしましては、憲法制定過程についての調査を行うということになっているわけでございますが、憲法制定過程については一つの論議の対象になっているということは私どもも承知をいたしております。 したがって、その調査を行うことは大変有意義なことかと思っておりますが、しかし、同時に、現行憲法が半世紀にわたり国民に深く定着をし、支持をされてきた、その事実はまた大変に重いということも我々しっかりと認識をしなければならないというふうに思っております。そういう意味で、なぜ半世紀にわたり国民からこの憲法が強く支持をされてきたのか、この点についても掘り下げた論議、認識、調査というものがなされなければならないのではないかと思います。  この国の形を考えるという御議論もございます。しかし、そのときに何を原則としてこの国の形を考えていくのか、ここが私は大変重要な問題なのではないかというふうに思います。今後論議をされる重要なテーマかとは思いますが、少しその点につきまして申し述べたいと思います。  憲法は、三原則、今申し上げました国民主権、恒久平和、基本的人権の尊重の三原則で成り立っているというふうに言われているわけでございますが、さらにその根源を掘り下げてみれば、憲法は個人の尊厳を守るということを中心に組み立てられてきていると私は認識をしておりまして、まさにその点が多くの国民から支持をされてきたことなのではないかと思っております。そして、その個人の尊厳を支え、守る、そういう観点から、今申し上げました憲法の三原則もあり、また各条項もあるのではないかというふうに思うわけでございます。  今後、憲法がさまざまな角度から調査、論議される中でやはり重要なのは、私たちが今後守っていく普遍的価値というのは何なんだろうかということをしっかりとらえていくことなのではないかというふうに思います。  私は、今後も、国民及び我が国に居住するすべての人々の個人の尊厳を守るものでなければ、憲法はその責任を果たすことにはならないと思うわけでございまして、そういう視点で日本国及び日本国民のあるべき姿を見詰め直す論憲は大いに進めていくべきであると思っております。  しかし、同時に、そこにはグローバルな視点、また私たちの歴史を踏まえた視点、あるいは将来の変化を見据えた視点というものを踏まえ、また多々まだあるかと思いますが、そういう多面的な視点も踏まえて広く議論をすべきであろう、このように考えておりまして、以上申し述べまして見解とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○中山会長 次に、自由党の野田毅君から意見を聴取いたします。 ○野田(毅)委員 憲法調査会の今後の調査の進め方について、自由党の考え方を申し述べたいと思います。  我が党は結党以来、憲法のあり方に関する諸問題について調査審議をするため、国会に憲法調査会の設置を求め続けてまいりました。  日本国憲法は昭和二十一年に制定されました。以来、五十五年が経過をいたしておりまして、その間、我が国を取り巻く状況は内外ともに大きく変わっておることは御案内のとおりです。私学助成の問題のほか、環境の問題、プライバシー保護の問題、世界有数の経済大国となった我が国の国際的役割と責任の問題など、憲法制定時には想定さえできなかった問題が生じておりまして、憲法はますます現実と乖離する事態を招いております。また、現在の憲法の基本理念である基本的人権、平和主義、国際協調主義を実現していくためにも、新たな視点に立った憲法論議を必要としております。  我が国におきましては、これまでの長い間、憲法の論議を国会で堂々と行うことができなかったということを顧みますると、二十世紀最後の通常国会であるこの国会から衆参両院に憲法調査会が設置され、本日、本院において第一回目の会合が開かれることになったこと、まことに感慨ひとしおであります。  以下、当憲法調査会の論議の進め方についての自由党の考え方を申し上げたいと思います。  まず、調査を始めるに当たっての基本的姿勢についてであります。  その第一は、言うまでもなく、憲法は国の形の根幹をなすものでありまして、憲法論議の任に携わることになった我々の歴史的使命と責任はまことに重いものがあります。我々は、二十世紀日本の歩みを振り返りつつ、二十一世紀の日本をどうするか、今後の進むべき方向について真剣に論議をし、二十一世紀日本、国家百年の国づくりの根幹となる新しい憲法をつくっていくという視点に立って調査を進めるということであります。  第二は、冷静かつ論理的な論議を進めるため、可能な限り客観的な事実を共有し、憲法をめぐる諸問題に各委員が共通した認識を持てるよう努めることであります。同時に、国民に広く国会の論議を明らかにし、国民世論の形成に積極的に努めるということであります。  第三は、国民とともに二十一世紀日本の新しい国づくりを行うという視点に立って、調査会の各地域での開催、インターネットの活用など広く国民の意見の吸収に努めることであります。  次は、当面の調査の進め方であります。  日本国憲法の制定経過についての調査、日本国憲法がどのように解釈、運用されてきたかの調査及び日本国憲法についての国民の意識の調査などは、当然行っていくべきでありますが、私は憲法についての国際的比較調査が特に重要だと考えるものであります。  なぜなら、二十一世紀の日本が国際社会の一員として生きていくためには、ともに責任を共有していくということが不可欠であり、日本だけが独善的行動をとることはできません。特に、安全保障に関する規定、危機管理に関する規定などは、国際的に共通の基準が考えられるべきであり、そのほか、国民の権利義務に関する規定、地方分権に関する規定、憲法改正手続に関する規定などの比較が重要であると考えます。  次に、調査の手順と目標についてであります。  私は、当調査会は、明確なタイムスケジュールをもって調査を進め、明確な結論を出すべきであると考えます。すなわち、調査開始後三年目には調査会として新しい憲法の概要を示す、五年目には新しい憲法の制定を図るというものであります。  ちなみに、現在の日本国憲法が国会に提案されたのが昭和二十一年四月、成立を見たのが同年の十月、国会における議論は計七カ月でありました。これは昭和二十年八月十五日の終戦の詔勅からわずか一年二カ月後のことであります。 審議時間は長きをもってとうとしとせずであります。調査審議の充実度は委員各位の問題意識と熱意いかんにあること、そして、国会は議論するだけの場ではない、結論を出す場でもあるということを申し上げ、憲法調査会の進め方についての自由党の見解といたします。(拍手) ○中山会長 次に、日本共産党の佐々木陸海君から意見を聴取いたします。 ○佐々木(陸)委員 日本共産党を代表して、憲法調査会の進め方について意見を表明いたします。  今回の衆議院憲法調査会は、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うことを目的とし、調査を終えたときは調査の経過及び結果を記載した報告書を作成し、会長からこれを議長に提出することを任務とするものであります。この点では、一九五六年の内閣憲法調査会が、日本国憲法に検討を加え、その結果を国会に報告するとされていたのとは根本的に異なるものであります。  したがって、今回の憲法調査会で、新しい国家像について検討するとか、三年ぐらい調査したら次は憲法見直しの議論をするなどというのは、本調査会の目的と任務を逸脱するものであることを最初に指摘しておくものであります。  さて、日本国憲法についての広範かつ総合的な調査をいかに行うかという点であります。  第一に、日本国憲法の先駆的内容を広範かつ総合的に明らかにする調査であります。  日本国憲法の基本原則、すなわち、国民主権と国家主権、恒久平和主義、基本的人権、議会制民主主義、地方自治という五原則について、世界の主要国の憲法との国際比較で見るとどうか、あるいは、これらの原則が歴史的にどう発展してきたのかという視点での調査を行うべきであります。  例えば、基本的人権について言えば、十九世紀的な自由権から生存権が明記される形で発展してきていること、世界人権宣言や国際人権規約とのかかわりなども調査に値します。恒久平和主義については、昨年オランダのハーグで行われた世界市民平和会議で日本国憲法第九条が二十一世紀の世界秩序の先駆をなすものとして国際的に注目されていますが、こうした点も大いに調査すべきであります。こうした調査によって、日本国憲法の持つ先駆的意義が浮き彫りになると確信しております。  第二は、日本国憲法の基本原則に照らして、現実政治の実態を点検する調査であります。  憲法と現実の乖離が問題にされておりますが、それは憲法の先駆的な諸原則と自民党政治の異常なゆがみとの乖離にほかなりません。憲法が忠実に実行されなかった結果、乖離がもたらされたものであります。憲法十三条の幸福追求の権利、憲法二十五条の健康で文化的な生活を営む権利にしても、その実現を阻んでいる政治の実態を徹底的に調査すべきだと考えます。  第三に、いわゆる押しつけ憲法論にかかわって、日本国憲法の制定過程とともに、改憲論がどういう経過で出てきたかについての歴史的経緯を掘り下げる調査が必要だと考えます。  日本国憲法施行の翌年、一九四八年に、アメリカ政府が日本の再軍備のために憲法改悪の方針の検討を開始していたことが、公文書公開によって明らかになっています。改憲論の源流はアメリカにあったというのが歴史的事実であります。 こうした点を深く掘り下げて調査すべきだと考えます。  最後に、最高法規である憲法について広範かつ総合的に調査する機関である本調査会の運営は、各会派の合意に基づく公正、民主的な運営が何にも増して求められている、そのことを強調して、発言を終わります。(拍手) ○中山会長 次に、社会民主党・市民連合の伊藤茂君から意見を聴取いたします。 ○伊藤(茂)委員 憲法調査会に臨む社会民主党の考えを表明します。  今回、憲法調査会が国会に設置され、調査活動を行うことになりましたが、その内容は二十一世紀日本の進路にかかわる極めて重要な意味を持っていると考えます。社民党は、憲法改悪の危険性を深く憂慮して調査会設置に反対をいたしましたが、設置された以上、積極的に参加し論議していくものであります。  以下、調査会の運営と論議につきまして、社民党の考え方を四点に集約して申し上げます。  第一に、社会民主党は改憲に反対であります。  日本国憲法の平和主義、基本的人権、国民主権などの原則は、近代社会の普遍的な原理と目標を鮮明に表現したものであって、これに異論を唱える者はいないと思います。今、改憲の必要はないのであります。  社民党が重視するのは、改憲の動きの戦略的な目標が、つまるところ、結局は憲法前文と九条の平和主義を変更しようとすることに置かれているという懸念であります。それは、最近、幾つかの政治家の論文などにもあらわれております。  第二に、日本国憲法の理念は二十一世紀への先見性を持っていると考えております。  今、私たちは、希望のある二十一世紀時代を構想し、あすを語る大きな責任を持っております。それを、日本国憲法の理念と目標を堅持し、具体化する方向で進めることが必要だと思います。  一つだけ例を挙げれば、欧州でのパリ憲章やOSCE、全欧安保協力機構と同じような平和のテーブルをアジアにつくるために、憲法前文と九条の立場で積極的な行動を展開すべきであります。  村山内閣を初め、私たちの党が連立に参加している当時は、政策合意の冒頭に憲法の理念と目標を尊重することが明記をされておりました。それが変化したことを深く懸念します。  第三に、今必要なことは憲法条文の改正論議ではなく、日本の将来の骨太のビジョンの論議こそ重要だということであります。  一つの時代が終わり、新しい時代に入ろうとしている今、重要な国民的課題にさまざま直面をいたしております。ポスト冷戦時代の日本とアジア、福祉日本の総合計画などでございます。私たちは、それらの打開策について積極的に、真摯な議論をしなければなりません。そういう努力が先行することを国民は求めていると考えます。私たち社会民主党は、憲法の理念に基づいて、そういう政策を積極的に提起したいと考えております。  このような立場から、第四に、調査会の運営と調査のあり方について特に強調したいことは、この調査会は、憲法について広範かつ総合的に調査を行うのが目的であると法律に規定をされており、議院運営委員会でも議案提出権がないことが確認をされておりまして、鳩山内閣当時の内閣憲法調査会とは全く違うことを鮮明に認識することであります。二、三年程度議論したら改正案の作業など、改憲の議論は絶対にあってはならないのであります。  私は、現憲法制定後に発生した数多い憲法違反問題を洗い出し、どこに憲法違反の原因があったのかなどを検証することが優先して調査されるべきであると考えます。これは憲法に定められた尊重擁護義務を踏まえてなされるべきものであります。  このような視点から論議し、日本国憲法の理念が現実に輝く二十一世紀にしたいと考えております。  以上が、社会民主党の基本的な考え方であります。(拍手) ○中山会長 これにて各会派の委員からの意見の聴取を終わります。     ――――――――――――― ○中山会長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国憲法に関する件、特に日本国憲法の制定経緯について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○中山会長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ――――――――――――― ○中山会長 会長代理指名の件について御報告を申し上げます。  会長は、民主党所属の幹事鹿野道彦君を会長代理に指名いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十時三十一分散会